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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年6月6日(火)

 今朝の閣議において、3件の法務省案件が閣議決定されました。
 続いて、私から3件報告があります。
 まず1件目は、本日、閣議決定された「令和4年度人権教育及び人権啓発施策」の国会報告、いわゆる人権白書についてです。
 本報告は、様々な人権課題について、令和4年度に政府が講じた人権教育・啓発に関する施策を取りまとめた年次報告であり、共管する法務省と文部科学省において作成したものです。
 本年度は、「特集」として、昨年11月に内閣府から公表された「人権擁護に関する世論調査」を取り上げました。
 また、現代的課題として「ビジネスと人権」など6つの「トピックス」を掲載しています。
 本報告は、本日、法務省ホームページに掲載いたします。
 法務省としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現を目指し、引き続き、人権啓発活動等にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、矯正施設に対する全国調査において発見された不適正処遇事案についてです。
 名古屋刑務所における一連の暴行・不適正処遇事案を契機としまして、令和4年12月5日から同月12日までの間を対象に、全国257の矯正施設に設置された居室棟の監視カメラ等の映像記録の検証を実施しました。
 その結果、本年2月8日に公表しておりますとおり、土足で居室内に立ち入る、居室の扉等を足で蹴ったり物でたたく、相手を不快にさせるような言動をする、衣類等を居室に投げ入れるなど、14の施設において、合計46名の職員による122件もの被収容者に対する不適切な言動が認められました。
 その後、これらの行為について、各施設において更に調査を進めた結果、被収容者の身体に対して暴行等の不適切な実力行使に及んだ事案は認められませんでしたが、それぞれの行為の動機、経緯、態様等を踏まえ、本年3月24日から5月29日までの間に、15名の職員に対し監督上の措置を講じました。その内訳は、「訓告」が3名、「厳重注意」が3名、「注意」が9名です。
 なお、それ以外の31名についても、今後の対応について留意するよう、口頭指導を行ったところです。
 今回の調査結果につきましては、明日開催予定の名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に係る第三者委員会(第10回)に報告することとしております。
 今後、第三者委員会から示される再発防止策については、名古屋刑務所にとどまらず、全国の矯正施設に向けたものとなると考えていますが、被収容者に対する不適正処遇を根絶するべくしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、司法外交閣僚フォーラムについてです。
 7月6日、7日に東京で開催する司法外交閣僚フォーラムまであと1か月となりました。
 各国・機関から続々と参加表明をいただいております。
 司法外交閣僚フォーラムは、日ASEAN特別法務大臣会合、ASEAN・G7法務大臣特別対話、G7司法大臣会合という3つの閣僚級会合から成り立っています。
 そのほか、関連イベントとして、日ASEAN特別ユースフォーラムや、法務省の施策を発信する特別イベント・展示も実施します。
 特別ユースフォーラムは、日本とASEANの若者が法の支配について議論するもので、その成果は「勧告」として日ASEAN特別法務大臣会合に提出される予定です。
 ユースフォーラムにより、日ASEANの若者同士の「横」のつながりに加え、政治的リーダーと次世代を担う若者の「縦」のつながりが生まれます。若者の新鮮な視点が国際社会に届けられるとともに、日ASEAN関係の深化と対日理解の促進を実現することができると期待しております。
 また、各局部課主催の特別イベントや展示を通じて、法務省の司法外交についての様々な取組を国際社会に発信してまいりたいと思います。
 ちょうど残り1か月ということで、司法外交閣僚フォーラムの成功に向けた準備をますます加速してまいります。

大阪入管の常勤医師等に関する質疑について

【記者】
 2月下旬に知っていながら、(大阪入管で)酒酔いで診察していた女医の話については、大臣、発表しないまま隠蔽されていたと批判が出ております。それから、(難民審査参与員の)柳瀬さんについても、個人的な会話の記録が出てきまして、年間100件に満たないと。これまで、大臣が、2,000件以上を15、6年間で調査し、それはまさに今の難民認定の現状を的確に表していると、こういった会見の場で御発言したことが虚偽だという指摘が出ております。これ、撤回しないのか。それから、そもそもね、こんなことが次々出て、昨日は入管の警備官の制圧動画もまた一部の弁護士によって公開されました。なぜ辞めないのか。一連の責任を取って辞めるべきではないかという声が強まっております。なぜ隠し続けたのかも含めてお答えください。

【大臣】
 まず、大阪(入管)の件については、申し上げているとおり、これは訴訟になる可能性が強い案件というふうに思っていますので、事実関係の確認には、慎重な上にも慎重を期する必要があるということで、それなりに時間が掛かったということでありますので、そこは是非御理解いただきたいと思います。

【記者】
 理解できないです。

【大臣】
 訴訟に係る話になりそうなので、事実確認をしっかりとした上で、対応しなくてはならないというところは、御理解を是非いただきたいと思います。

【記者】
 今の大阪(入管)の件に関連して、調査をしていたとしても遅すぎなかったかということで反省はないのかということと、あともう一つ、大臣もウィシュマさんの事件を教訓として医療体制を改善してきたというようなことをおっしゃっていますし、4月に入管が出した報告でも、大阪(入管)に常勤医師1人とあるわけですね。でも、この常勤の医師は例の問題の医師で、1月20日以降出勤していないんです。これは間違いではないですか。訂正しないのですか。

【大臣】
 まず、大阪(入管)の件についてもう少し早くできなかったかという御質問ですけれども、これはやはり訴訟を前提とした対応をせざるを得ないということでありまして、したがって、事実関係について、おそらく相手も色々否定したりする展開になるかと思いますので。

【記者】
 相手が否定しても発表してください。

【大臣】
 しっかりと固めていく必要が私はあると思っています。私は今までも、できる限り早く、この手のものは公開するように努めてきたつもりですけれども、本件はそういう特殊な事情があるということで、是非御理解いただきたいと思っております。
 それから、常勤医師については、常勤医師という立場がある以上、資料にそのまま書くということをした、ということでありますので、他意はありません。ただ、事実関係の確認については、先ほど申し上げたとおりです。

大臣に対する問責決議案の提出に関する質疑について

【記者】
 本日、入管法をめぐりまして、大臣に対する問責決議案が提出されました。そのことに対する受け止めをお伺いします。

【大臣】
 問責決議案が出たのは承知していますが、私からは特段コメントはありません。

【記者】
 問責決議の受け止めは特段ないということですけれど、決議が出た以上、国会並びに国民に対して、大臣のお立場ですとか、入管に対するお考えというものも改めて説明する必要があると思いますけれども、今後どう対応されるか、もう一度お答えいただけますでしょうか。

【大臣】
 まず、要するに国会での御判断について、私はコメントするべきではないと思って、(コメントを)していないわけですが、そこは御理解いただきたいと思います。良いとか悪いとか、私が言える立場ではないと思っていますので。
 ただ、私は、入管法改正の必要性については、これまでも重々申し上げてきておりますので、是非一刻も早い御判断をいただいて、前へ進めていきたいというふうに思っております。繰り返しになりますけれど、例えば医療制度一つをとっても、ウィシュマさんの件もありましたので、医療制度についてもかなり改善が今回の法案で図られるということになりますので、是非早く通していただければ有り難いと思っているところです。
(以上)