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法務大臣閣議後記者会見録の概要

令和5年6月27日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が4件ありました。
 続いて、私から1点、御報告があります。
 所有者不明土地対策として、来年4月から始まる相続登記の申請義務化は、多くの国民の皆様に影響があることから、法務省でも、関係機関と連携して、幅広い広報を行っているところです。
 今般、その一環として、相続登記の促進キャラクター「トウキツネ」などのアバターが登場する動画を、司法書士会と共に製作し、今月22日から、日本司法書士会連合会等のホームページで公開することといたしました。
 1分強の3本立ての動画の中で、相続登記の重要性やポイント等をお知らせする内容となっており、法務省の施策らしからぬ親しみやすい内容としていますので、是非一度、御覧ください。
 引き続き、来年4月の相続登記の義務化の円滑な導入に向けて、様々な知恵を絞って、しっかりと準備を進めていきたいと考えています。

名古屋刑務所事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋刑務所での不適正処遇問題について、第三者委員会の提言書では、受刑者の特性に応じた処遇の実施には多様な知見のある人材の採用が必要だと指摘がありました。提言を受けたアクションプランの中にも職員のキャリアパスについての検討が盛り込まれましたが、特に人間科学分野を学んだ人など、多様な人材の採用につなげるために具体的にどのような検討が重要だとお考えでしょうか。

【大臣】
 御指摘のように、提言書は「受刑者の特性に応じた処遇を実施していくに当たっては、人間科学を始めとした多様な分野の知見のある者の採用、育成が必要である」としつつ、「現在の刑務官のキャリアパスは、人間科学分野を学んだ学生等にとって必ずしも魅力的なものとなっているとは言えない」とされているところです。
 しかしながら、令和7年6月までに導入される拘禁刑の下では、これまでの心理学的なアプローチだけでなく、教育、社会福祉などの人間科学的な視点からも、受刑者の特性をきめ細かく分析し、その特性に応じた処遇の実施が求められることになります。
 そのため、その実施を支える人材の確保に向けた取組は極めて重要だと考えておりまして、先日示した、「アクションプラン」においても3年以内を目標として、「キャリアパスの提示」をすることなどを定めているわけであります。
 そこで、今後、できるだけ早期に、心理、教育、社会福祉といった分野を学んだ学生等にとって刑務官が対人援助職として魅力的に感じられるようなキャリアパスを検討するとともに、まずは、多様な知見のある人材の確保に向けて、刑事施設について情報発信するなど、職員の魅力や働きがい等を積極的に広報してまいりたいと考えています。
 また、採用後においても、職員が人間科学分野を始めとした専門的知識及び技能を習得・向上できるよう研修を充実させていきたいと考えています。

所有者不明土地問題の広報に関する質疑について

【記者】
 冒頭の発言があった所有者不明土地問題の対策の動画でお伺いしたいのですけれど、「法務省らしからぬ」という御説明もあったのですけれど、柔らかくして、広く伝えたいという狙いがあるのかなと思うのですが、この機会に国民の皆さんに対してのメッセージ等あればお願いしたいのと、ポイントは、やはり4月1日に義務化されて、猶予期間があるとはいえ、早め早めの手続が必要だということだと思うのですが、その辺りのポイントも含めて御説明いただければと思います。

【大臣】
 本件は相続に関わる方に広く影響があるのみならず、既に相続が終わった方にも、登記という点でアクションを起こしていただかなくてはならないということで、広報も極めて重要であります。一方、法務省というと堅苦しいイメージがありまして、中々気安くホームページをのぞこうということにもならない可能性もあるものですから、できるだけ取っ付きやすいPRというものがこれまで以上に重要ではないかなと考えて、職員の人たちが一生懸命考えてくれたのがこのアバター動画でありますので、是非、まだ親しみが足りないとかいうような御指摘をいただければありがたいと思っています。
 今後のアクションにつきましては、具体的には地元に密着した商工会とか自治会、こういったところを通じた広報や、それから実際に行う納税通知などの各種の市民向けの通知、こういったものを活用した情報提供、これは適切なタイミングで積極的に実施していきたいというふうに考えています。

司法外交閣僚フォーラムに関する質疑について

【記者】
 来週に迫ったG7とASEANの司法大臣会合に関して、大臣の目標みたいなところをお伺いをしたいのですけれど、現在の合意文書などの策定に向けた調整状況と、現状最新の情勢でもウクライナやロシアの状況は、かなり混迷を極めていると思いますが、それを踏まえて、今回、大臣が合意文書に盛り込んでいきたいと思っている文言であったり、各国で見いだしていきたいと考えている一致点があればお伺いをいたします。

【大臣】
 いくつか大事な視点があると思っていまして、一つはG7に関して申し上げますと、(ウクライナが)復興のフェーズに入った段階において、何が大事になるかということで、一つは腐敗対策をしっかりやらないとお金も中々集まりにくくなるでしょう。その点は日本にも貢献できる部分があるのではないかということで、G7につきましては、復興におけるそれぞれのやるべきこと、特に腐敗対策を中心に話が進められるべきだというふうに思っています。できれば、ドイツ、日本とつないできたものが、今後もつなげられると良いと思っているところでありますけれども、これはどうなるか分かりません。
 ASEANとの関係は、50年を経過して、その間、私どもが法制度整備で随分貢献してきたので、良い関係が構築できているわけであります。この関係を、次の50年に向けてイコールパートナーシップとして、お互いに協力し合う関係というものを改めて確認し、前進させていけたら良いと思っております。
 そしてG7とASEANとが一緒に行う会合につきましては、広島のサミットにおいて、G7とグローバルサウスの連携を深めるという趣旨の合意がなされているところ、初めてG7とASEANで会議を開くということになっていますので、やはり法の支配による国際秩序の重要性ですとか、基本的人権の尊重ですとか、そういった価値感を、このG7とASEANで、共有し合うということはサミットを受けたアクションとして重要ではないかなというふうに思っています。この両者の関係が1回で終わることなく、何らかの形でつなげるような工夫ができれば良いというふうに思っているところであります。

難民認定制度に関する質疑について

【記者】
 難民認定申請のアクセスのことで伺います。前回の記者会見でも出ましたけれども、東京入管で面会支援者が難民認定申請書を差し入れしようとしたところ、入管職員に拒否されたということがあったようです。6月14日に、野党国会議員の難民問題に関する議員懇談会が入管庁へのヒアリングを行ったのですけれども、その中で本人からの申入れがあれば交付をするけれども、差し入れの場合は、「保安上の理由」で許可しない場合もあるという回答でした。なぜ保安上の理由があるのか理解不能ですが、そもそも難民申請にたどり着くまでが非常に難しいという現状があります。空港で申請しても上陸拒否にあって、空港でそのまま帰国させられるか、退去強制手続に入って、入管収容施設に収容されるということが非常に多いと思います。以前にも、アフガン難民が成田空港で上陸拒否されて、30人近くが牛久の入管センターで長期収容されて大きな問題になったこともありました。仮に運よく入国できても、難民認定手続のことがわからなくて、オーバーステイなどで退去強制令書が出てから入管収容中に難民申請する人が多いと思います。
 入管側は「難民申請の濫用者が多い」とか、今回のように「保安上の理由」で難民申請書の差し入れを拒否することもあるようですけれども、実際は庇護が必要な人に対して、難民申請しやすい環境を整備できるかどうかというのが喫緊の課題だと思うのですけれど、そういった難民申請へのアクセスについて、ちゃんと調査をして調査結果を報告して改善するお考えはあるのでしょうか。国会では難民の推算方法に問題が多いことが指摘されましたけれども、申請手続にも非常に問題が多いと思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 御質問の中で言及のあった被収容者や空港での庇護を求めた者への対応に関する見解は、御質問者の見解として承りました。
 まず、被収容者に対して難民認定申請の機会を適切に与えることは重要だと考えています。被収容者に難民認定申請書の交付の希望があれば、これを確実に交付しなければいけませんし、そのようにしております。
 被収容者に対する物品の差し入れがあった場合、一般論として申し上げれば、保安上、衛生上の支障の有無を踏まえて、所長等が差し入れの許否を判断しているところであります。
 また、上陸手続の中で外国人から我が国に庇護を求める供述があった場合や、難民性を主張する場合には、一時庇護上陸許可申請や難民認定申請の機会を適切に与えることも重要と考えておりまして、これらの申請について確実に案内し、適切に対応しているところです。
 調査の話がありました。このように保護を求めている方にはこれまでも適切に難民認定申請等を行う機会を確保しているところでありますが、御指摘があれば、その都度事実関係の確認を行っています。その過程において調査が必要だと判断した場合は、当然、調査をするということになりますけれども、現時点において確認をする限りは、その必要はないと判断しております。引き続き真に保護を必要とする方々を確実に保護できるよう取り組んでいきたいと考えております。

【記者】
 大臣は、柳瀬さんをかばう理由としてほかの参与員も同じような意見だからということですが、例えば今回の国会質疑で参考人となった浅川参与員も難民認定率は0.0パーセントと極端に低く、ろくに出身国情報を見ないという発言が各方面から大いに批判を浴びています。そういった柳瀬さんや浅川さんのような、難民はいないという立場の参与員の御意見しか大臣は聞いていないんじゃないかというような疑いが出てくるわけです。もしそうでないというのであれば、大臣は、難民参与員を差別しているわけではない、個別の参与員に肩入れしているわけではないとおっしゃるのであれば、例えば北村泰三中央大名誉教授だとか、鈴木江理子国士舘大学教授だとか、難民はいるという立場の参与員の方々もいるんですよね、しっかりと。そういった方々の参与員問題の課題について、ちゃんと聞かないと、大臣としてはちゃんと説明しているつもりかもしれませんけれども、やっぱりその国会質疑だとか、記者会見だとか聞いてて、絶対納得いかない記者や議員や一般の有権者はいると思うのですよ。私自身もそう思いますし。やはり、そこはちゃんと参与員の現在の制度に問題を指摘している参与員の方々の意見も聞くべきではないかなというのが1点と、先ほどの質問の続きなんですけれども、一般論として入管の、東京入管だったら東京入管の責任者が受け取りを拒否することもあるというふうに聞きましたけれども、例えば難民認定の申請の書類を拒否するってのはありえないと思うんですけれども、そこは一般論じゃなくて難民認定申請書に限ってお答えいただけたらと思います。

【大臣】
 前者につきましては、もうこれまで何回答弁しているか分かりませんが、裁判それから難民以外でも保護してきているということも何十回も御説明しておりますので、お答えは同じことになってしまいますが、ただ参与員制度につきましては、この運用については、今後、やはりちゃんと私は、注視をして、おかしいことがないかどうかというのは、しっかりやっていきたいというふうに思っています。
 二つ目の質問につきましては先ほど御答弁申し上げたように、御指摘を受けた案件について、私、事実関係を調べています。ただ、具体的やりとりについては、個別の案件ですから皆さんにお話することはできません。お話を受けて事実関係を確認している中で、これは入管側の行為に不適切な対応があったとは思えないやりとりでありますので、そこはあえて、今回の件で、改めて調査をする必要はなかろうと思います。しかし、今後、指摘がある度に、私はしっかりと事実関係を確認して、誤りがあるようであれば、正すなり、調査するなりしていきたいと思っていますが、現時点で私が把握する限りにおいてはその必要はないと、これも先ほど答弁したとおりであります。
(以上)