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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年7月28日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。
 この政令は、所有者不明土地問題の解決に向けて令和3年に成立した民法等の一部改正法のうち、住所変更登記の申請を義務化する部分の施行日を、令和8年4月1日とすることなどを定めるものです。
 また、本日、民法等の一部改正法のうち、令和6年4月1日に施行される相続登記の申請の義務化に関し、義務に違反した場合の過料通知の取扱いを定める「不動産登記規則等の一部を改正する省令」が公布されました。
 法務省としては、これらの新制度の円滑な施行に向けて準備を進めているところですが、新制度が国民にしっかりと定着するよう、必要な環境整備や情報発信に万全を期してまいります。

検察官による広島市議への不起訴示唆等に関する質疑について

【記者】
 2019年の参院選を巡る河井克行・元法務大臣の公選法違反事件に絡み、東京地検特捜部の検事が、現金を受け取ったとされる当時の広島市議に不起訴を示唆して供述を誘導したとされる問題で、新たに公判担当検事が法廷での証言を誘導した、また任意の取調べで元市議の供述の否認部分を意図的に録音しなかったことなどを示す録音データの存在が一部で報じられました。最高検は21日、供述の誘導に関する報道を受けて「公判の推移を踏まえつつ適切に対応する」とするコメントを出しているが、改めて大臣の受け止めと、法務省としての今後の対応について伺います。

【大臣】
 御指摘の報道についてはもちろん承知しております。お尋ねは、現在公判係属中の個別事件に関わる事柄でありますので、法務大臣として所感を述べることは差し控えねばならないと考えていますが、お尋ねの事案については、最高検がコメントしているとおり、検察当局において、適切に対処するものと承知しておりまして、法務大臣としては、それを見守っていきたいというふうに考えています。
 なお、前回も申し上げましたが、飽くまで一般論として申し上げれば、取調べに際しては、任意性を失わせるような利益誘導は断じてあってはならず、また、捜査・公判に当たりましては、公正さを疑われることがないよう、適切な態度で対処しなければならないと認識しています。

【記者】
 本日の一部報道では、法務検察内部で、全体を見れば利益誘導とは言えない、組織的な指示はないといった見解もあるようで、こういった法務検察内部における見解を大臣の方で把握されているかという点と、公判との兼合いがあるとはいえ、これから最高検の調査が本格的になされる段階で、こうした見解が法務検察内部で出ているということに対してのお考えをお聞かせください。
 あともう一点、今も大臣がおっしゃったように、適切に対処するのを見守るということだと思うのですが、検察の調査方法についてのお考えはありますでしょうか。検察当局の一般的な実務として、こうした問題が生じたときに、最高検の指示を受けて地検特捜部が自ら調査するという可能性もあるようで、今回の事件というのは、最高検の決裁も受けて捜査が進められた事件に関する疑惑に関してでして、そういった疑惑を特捜部が自ら調査をするというのは、やはり疑念が生じかねないと思うのですが、そういった調査の在り方であるとか、調査結果を公表すべきかという点についてお考えをお聞かせください。

【大臣】
 最初の御質問で法務検察の中で、そういう意見があるということについて、私はそういう意見は承知しておりません。繰り返しになりますけれども、まさに(公判)係属中の個別事案でありますので、私はコメントは差し控えるのが裁判と我々の関係の在り方であるというふうに思っています。検察の今後の対応につきまして、まずは、検察でどういうふうに対応するのかということが前提となりますので、先ほど答弁したように、見守っていきたいというふうに申し上げるしかないかなと思います。

【記者】
 関連してお伺いするのですが、最高検の調査の結果について、大臣として公表すべきものだとお考えでしょうか。

【大臣】
 まだ、検察において対応を検討している段階であると思いますので、見守る以上のことは申し上げられるタイミングではないんじゃないかなと思っています。

露当局がICC裁判官を指名手配リストに掲載したことに関する質疑について

【記者】
 先日、ウクライナ侵攻に絡んで、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した国際刑事裁判所の裁判官に対してロシア当局が指名手配をしたという報道がありました。先日の司法大臣会合をはじめ、ロシアについてメッセージを発している大臣として、また、同裁判官は検事出身でもありまして、こうしたロシア当局の措置についての受け止めをお伺いします。

【大臣】
 御指摘の報道は承知しております。その上で、我が国としては、本件をめぐって、ICC関係者個人に対して措置をとることは不当であると考えておりまして、ICCとも連携して、きちんと対応していきたいというふうに考えています。

被害者心情伝達制度に関する質疑について

【記者】
 被害者心情伝達制度が12月から始まるのを前に、今、職員の一斉研修が行われています。改めてこの制度の狙いや研修の目的、大臣が期待されていることを教えてください。

【大臣】
 刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度は、昨年6月に成立した刑法等の一部を改正する法律により新たに導入されて、本年12月までの運用開始を予定しております。
 本制度は、受刑者等の矯正処遇や矯正教育において被害者の心情等をより直接的に反映し、被害者の立場や心情への配慮等を一層充実させるとともに、受刑者等の反省や悔悟の情を深めさせ、その改善更生等を効果的に図ろうとするものであります。
 また、本制度は、これまで被害者等の方々と直接接する機会のあまりなかった矯正職員にとって新たな取組になります。したがいまして、本制度の円滑な導入に向け、制度を所管する矯正局において、本年7月25日から本日にかけて、制度の担当者となる職員を対象とした集合研修を行っているところです。各施設の担当者において、本研修で得られた知識・知見を十分に発揮することを期待しておりまして、今後も、本年12月までの運用開始に向けて、こうした職員研修の実施を含む各種準備を進め、先に述べた制度趣旨に沿った運用となるように万全を期していきたいと思います。

(以上)