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法務大臣臨時記者会見の概要

令和5年8月4日(金)

 我が国で生まれ育ったものの、在留資格を有していないことから、様々な困難を抱えている外国人のこどもの問題について、私として、真剣に検討してきたところですが、今般、基本的な方針を定めましたので、御報告させていただきます。
 この問題につきましては、帰責性のある親を除いて、こどものみに在留特別許可を与えるということとしますと、こどもの生活が立ちゆかなくなってしまい、一方で、帰責性のある親を含めて在留特別許可を与えるものとするには様々な支障がある場合もありまして、一刀両断でこうすべきという結論を出すことがなかなか難しい問題であると認識しておりまして、これまでもそのように申し上げてきたところです。
 もっとも、今般改正入管法が成立しましたことによりまして、庇護すべき者は適切に庇護する一方、送還すべき者はより迅速に送還することが可能となる結果、今後は、在留資格のないまま在留が長期化するこどもの増加を大きく抑止することが可能になると考えられます。これを前提とするならば、既に在留が長期化してしまったこどもに関しては、現行入管法において迅速な送還を実現することができなかったことを考慮して、特別の配慮を行うべきであるとの結論に至りました。
 そこで、今回、我が国で出生して学校教育を受けており、引き続き我が国で生活することを真に希望していると認められるこどもについては、家族一体として日本社会との結び付きを検討した上で、在留特別許可をしたいと考えています。
 もとより、在留特別許可の許否判断につきましては、諸般の事情を総合的に考慮して判断するものであり、親に看過し難い消極事情があるような場合には、在留特別許可を出せない場合も残らざるを得ません。
 ただし、今回の判断に当たりましては、過去の長期の不法滞在を消極評価しないこととしたいと考えています。
 その上で、今申し上げた方針で運用を行うことによりまして、学校に通っているこどもの多くに、家族一体で在留を特別に許可することができることとなります。
 その結果、今後の精査によるわけでありますけれども、我が国で生まれ育った在留資格のないこどもの少なくとも7割程度、改正法施行時点で学齢期に達しているこどもの8割程度に在留資格を与えることになるのではないかと考えています。

送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について

【記者】
 2点伺います。日本で生まれ育ったものの在留資格がないまま生きる、外国人のこどもたちについては、ただ突如として与えられた運命の中で、苦しくもがいていて、普通に暮らすのも困難な立場に追いやられていたと思いますが、このような立場にあるこどもたちに、大臣はどのような思いを寄せ、そして今回の判断に至ったのでしょうか。そして、今回の措置で在留資格が与えられるこどもたちに、今後、日本社会でどのように生きていってほしいと考えますでしょうか。よろしくお願いします。

【大臣】
 まず、今回の判断に至る前提といたしまして、前国会において成立した入管法改正法の審議過程においても問題となりましたように、法令上、我が国から退去することが確定したにもかかわらず、送還を拒む、いわゆる送還忌避者の問題の解決、これは極めて重要です。そして必要不可欠であるというふうに考えています。
 もっとも、我が国で生まれ、親が送還を拒否したことによりまして、我が国での在留が長期化してしまったこどもについては、そのこども自身に責任はないにもかかわらず、将来に不安を抱き、健康保険に加入できないなど、生活に不便がある状況に置かれているわけであります。
 私自身、こどもの問題については、外国人のこどもに限らず、これまでも真剣に考えてきたことから、そのようなこどもたちを「何とか救えないか」という思いで、対応策を真剣に検討してまいりました。
 しかし、この問題は、こどものみに在留特別許可を与えるものとすれば、こどもの生活が立ちゆかなくなってしまいかねず、一方で、帰責性のある親を含めて無条件に在留特別許可を与えた場合には、適正な出入国在留管理行政に支障が生じかねないために、一刀両断でこうすべきだという結論を出せない、難しい問題であったことから慎重に検討を重ねてまいりました。
 今回の方針は、このような慎重な検討を重ね、私自身悩み抜いて導き出した結論でありまして、適正な出入国在留管理行政を維持しつつ、できる限りこどもの保護を図るというバランスを実現したものであるというふうに考えています。
 二つ目の御質問ですけど、今回、在留資格を付与することができたこどもたちに対しましては、まず、日本で安心して生活し、勉学に励み、健やかに成長してもらい、いずれは、それぞれの夢を実現し、日本社会で活躍していただきたいと考えています。私自身の夢でもあります。

【記者】
 これ、読売(新聞)がかなり詳しく書いていますけれど、親の条件のところですね、今発表のところにも出ていますけど、かなり色々書かれています。中には政治犯で、偽造でないと来られない方とか、よく分からない事由で、こちらで偽装結婚のような形しかないと言われた人とか、しかし、その後、非常にこどもさんとも真面目に過ごしているような御家族がいるのも知っています。こういったことになると、親が問題があれば、子が全て認められない、おそらく、これ数字から言うと、201人のうち就学可能な者を含めると8割ということになると、160人は認めたということでいいんですか。読売(新聞)には140って書いてありますけど、160ってことになるのか。それから、親も合わせると(在留資格のない送還忌避者)4,233人のうち、何人が、在留資格を取れるということになるのか。それから、立憲民主党の201人というのが白紙になったということも読売(新聞)に出ています。国会審議中に、そういうお話が出ていたと。これ、立憲民主党との修正協議に応じられれば、201は認めたけれど、それが白紙になったので、今回、齋藤さんや入管当局の皆さんで色々審議して、160、8割ぐらいだということになったのか、その点をお願いいたします。
 やはり、これで引き裂かれるこどもたちが出てしまうという点と、日本で生まれ育ったということも、中には、来たときに5歳で、でももう成人になってしまったとかいう、ほとんど日本語のほうが流ちょうに話せるし、日本の文化に慣れ親しんでいる子は確実にそぎ落とされてしまっているんですけど、成人になってしまった人ですね、それからその低年齢のときに、未就学のときに日本に来た人たちがここにもう含まれなくなってしまうんですけども、そういった人たちに対しては、今後どういうふうにしていくのか教えてください。

【大臣】
 まず、国会での修正協議のやり取りについては、私から、政府としてこれを発言することは差し控えなくてはいけないかなというふうに思っていますので御容赦いただきたいと思います。
 それから何人がというお話がありましたが、まずこれ、今日、方針を御説明しまして、これから精査をしていくということになりますので、一言で言えばその結果によるということなんですが、先ほど申し上げたように、精査していない段階で、どのくらいかなという、皆さんからの質問で見通しを聞かれると思ったので、不正確な数字になるかもしれませんが、先ほど申し上げたように我が国で生まれ育った在留資格のないこども、少なくとも7割、それから改正入管法の施行時点で、学齢期に達しているというこどもの中での割合で言えば8割程度になるのではないかというのは飽くまでも精査をする前の段階のことであるということは御理解いただきたいと思います。
 それから、先ほど、私のお話の中でもありましたけど、やはり出入国管理行政上の問題と、それからこどもの人権という問題のバランスが非常に難しい問題であったということでありまして、やはり看過し難い消極事情があるような場合にはですね、出入国管理行政に与える支障というものがやはり大きい。そういう場合にはですね、在留特別許可を与えることは、難しいということにならざるを得ないと。具体的にどういうケースかということを、今想定しているものを申し上げますと、例えばブローカー等から入手した、他人名義の旅券を行使して入国したり、偽装結婚して入国したような場合や、上陸審査において、退去命令を受けたにもかかわらず、それに従わなかった場合などの不法入国・不法上陸と言われるケースですね、それから詐欺などの目的で、偽造在留カードを行使したり、偽造在留カードの作成や売買に関与したり、偽装結婚の仲介を行うなど、出入国管理行政の根幹に関わる違反ですね。あるいは薬物の使用や売春等の反社会性の高い違反ですとか、懲役1年を超える実刑判決を受けたことなどを想定しているわけでありますので、先ほど申し上げたバランスの中で適切に判断していきたいというふうに考えています。

【記者】
 答えていないんですね。親の問題でこどもに在留資格を与えないっていうのは、親ガチャと全く同じですよね、発想が。色々な状況があります。インタビューしている中でも、ものすごく真面目に娘さんたちも生きてきて、その親が日本に来たときにやはり偽装結婚しないとこれ以上いられないよと、間に入った公認会計士の方に言われて、例えば偽装結婚で有罪を受けてしまったという人もいました。その方は在留資格を、一定の資格を今与えられている状況に、報道を続けてこの会見で聞いたことでなりましたけれど。なので親ガチャのようなやり方でこのように線引きをし、140人しか認めないということでは、60人のこどもたちは救われないわけですよね。それから今回未成年で切っていますけど、たまたま今回大臣が今考えたときに18歳未満だった子はいいですけれど、そうじゃない時期にまさに生まれて、もう20歳を超えた、18歳を超えた子たち、こういう子たちをどうするのか。「看過し難い消極事情があっても」って書いてありますけど、こういうのがこれからどのくらい積極的に考慮されるのか。これ親ガチャ的な発想をですね、こう堂々と書き込んでいること自体、私は非常にびっくりするんですけども、これどういうふうに考えているんですか。
 それから、数字言えないってことですけど、(在留資格のない送還忌避者)4,233人のうち、どのぐらいの、親も含めて何割くらいの人がこれで資格を得られるという、その数字は出ているんですか。親も含めた数字です。割合しか言えないなら割合しかないんですけど。

【大臣】
 まず、私は答弁していると思っています。つまり出入国在留管理上、看過できない事情がある場合、これはやはりこどもの問題とバランスをとって判断をしていかざるを得ないということであります。そこで更にどういうケースかということで、親の消極事情について説明をさせていただいたということであります。
 それから数字については、これも先ほど申し上げたと思うんですが、今回はその方針も御説明をさせていただいて、これから1件1件精査をするということになりますので、先ほど申し上げた7割、8割以外に、今のところ、明快な形で申し上げることはできない段階であるということであります。

【記者】
 まず、この対象なんですが、これは飽くまでも昨年末時点の201人ということで、この中から選ばれるということなんでしょうか。つまり、その後、成人になる方もいらっしゃいますし、新たに学齢期を迎えるという方、先ほど法施行時で学齢期という言い方もされていましたが、そこら辺、どの時点で出すのかということ。
 それからもう一つ、実際に在留特別許可を出すのはいつになるんでしょうか。
 それから、本人に対しては、同じことなんですけども、通知みたいなものはいつ頃予定されているんでしょうか。教えてください。

【大臣】
 まず本措置の対象となるこどもや親に関しては、入管法改正法の施行を待たずに、順次、在留特別許可の許否判断を行っていきたいというふうに考えております。したがって、許可できるものは、すぐ許可していきたいということなので、本日午後から順次アクションを開始したいなというふうに考えています。それから今回の措置につきましては、冒頭で私が申し上げましたことに尽きるわけでありますが、我が国で生まれ育ったものの、在留資格を有していないこどもは、様々な困難を抱えてしまっているということでありますので、入管法改正法施行時までに、我が国で出生して、小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き我が国で生活していくことを真に希望しているこどもとその親について、親に看過し難い消極事情がある場合を除いて、家族一体として、我が国、社会との結び付きを検討して在留特別許可をする方針ということであります。繰り返しますけど入管法改正法施行時までに、我が国で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており引き続き(我が国で生活していくことを)希望している、ということになります。その他色々なケースがあると思いますが、それは従来から個別の状況に応じて判断をするという、そういう方針は不変でありますので。

【記者】
 (在留資格のない送還忌避者)4,233人のうち、本邦で出生したこどもは201人ということですけれども、本邦で出生していないこどもですね、これが何人いるのかというのを教えてください。
 今回の条件には当てはまらないけれども、未成年の方、あるいは施行までに成人に達する方もいらっしゃると思うんですけれども、そういう、特に日本で出生していないけれどもまだ未成年だという子たちについては、どのように対応されるおつもりでしょうか。

【大臣】
 まずですね、最初の人数ですが、94人ということであります。201名のほかに94人ということになります。昨年末の時点においてですね。それから、本邦で出生していないこどもについての御質問だったと思いますが、これもですね、現行の在留特別許可の許否判断におきましても、相当期間、我が国の小学校、中学校又は高校に在学していることを積極的に在留特別許可の許否判断において評価をしているところでありますので、我が国で出生していないこどもについても、個別の事案ごとにその点を含めて、諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可の許否を判断していくということになります。

【記者】
 在留特別許可の資格の中身としては、何を与えるということになるのでしょうか。「永住者」であったり「留学」であったりというのがあると思いますけれども、よろしくお願いします。

【大臣】
 在留特別許可に当たりましては、当該外国人が行おうとする活動や当該外国人が有する身分若しくは地位に応じて、在留資格を個別に決定していますので、一概にこういう資格だというふうにお答えすることはちょっと不正確になってしまうわけでありますが、基本的にはこどもについては「留学」、親について、こどもを監護養育する就労可能な「特定活動」の在留資格を付与することになるのではないかなという想定をしているところであります。

【記者】
 家族の定義なんですけれども。親は当然監護のあれなので認められるという方向なのですけれども、兄弟ですね、日本で生まれ育った、この条件には当てはまらないのだけれども、例えば、19歳とか20歳のお兄さんがいますといった場合に、そういう場合は、それから家族といった場合にそれ以外にも例えばいとこの人がですね、お父さんとお母さんがいなくて同居しているとかそういうことも考えられると思うのですけど、家族というのはどういう定義でお考えですか、お願いします。

【大臣】
 基本的には両親ということになるわけでありますが、したがって、そのおじいちゃんおばあちゃんとかですね、どこまで広げるかということであります。祖父母はもちろん想定をしているわけではありませんが、これも、祖父母であっても個別の事案ごとにですね、諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可をする場合もあると考えていますし、弟や妹、お兄さんがいてそれで両親がいない場合、そういうケースについても、従来から個別に総合的に判断するということになっていますので、従来のルールに則して判断していくということになります。

【記者】
 そうしますとお兄さんがいて、親はいると、お兄さんと同居していると、19歳のお兄さんと18歳のお姉さんと。こどもは日本で生まれて今中学生だといった場合は、お兄さんだけ帰されちゃうという、そういう家族分断になっちゃうんじゃないですか。

【大臣】
 その辺はケースをちゃんと見てみないとなんとも言えないところでありますけれども、これは従来もその家族の観点を入れながら、個々の事案を見て総合的に判断していますので、一概にこうだというふうには申し上げられないところだと思います。

【記者】
 基本的には親、監護というところを重点に置いているという。

【大臣】
 そうですね、今回の措置は、こどもが帰責性がないにもかかわらず、こんな状況に置かれているのをどうするかという観点の基本方針でありますので、その方針に沿ってこういう考えを申し上げたとおりであります。それ以外の個々の案件につきましては従来どおりの方針で行うということであります。

【記者】
 見過ごし難い消極事情のところに、これは親がということなんだと思いますが、例えば一番最初に不法入国・不法上陸があります。これはいわゆる入管が言っている、不法入国と不法残留っていう言い方をしますが、これは特段そういう入管法違反としてどちらが重いっていうことは元々ありませんでした。2009年にフィリピン人の家族のケースで、お父さんお母さんが不法入国だということで強制送還され、娘さんだけが特定活動が出たということがありましたけれども、そのときに、やたら不法入国ということを法務省が強調し始めました。ここで殊更不法入国・不法上陸というのを真っ先に挙げている。入管が言うところの不法滞在、私的滞在の御家族が超過滞在ということがメインだとは思うのですが、ここでなぜ殊更のように不法入国・不法上陸というのを改めて書いているのかという事情を説明してください。法務省の運用の仕方が、2009年を境にがらっと変わったという事情があるので、大臣は御存じかどうか分かりませんが、その辺の事情についてお願いします。

【大臣】
 まずですね、不法入国・上陸というのは具体的には、偽変造旅券を行使して、不法に入国したもの、上陸審査において上陸を拒否されたにもかかわらず、退去せずに居座ったものなどでありまして、このような行為を消極事情とせずに許容するということになりますと、出入国在留管理行政に与える影響、支障というものが極めて大きいというふうに判断をしているので、ここに消極事情として挙げさせていただいたということでありまして、それ以上のものでも以下のものでもありません。もっとも在留特別許可の許否判断は、個別の事情ごとに、諸般の事情を総合的に勘案して行っているものでありまして、不法入国・上陸したことのみをもって、一律に在留特別許可を認めないということでもないということでありますので、やはり個別に見ていくしかないかなと思っています。ただ消極事情としては、出入国管理行政上の大きな支障があり得るので、それを消極事情として、考慮せざるを得ないということであります。

【記者】
 対応方針のところで、引き続き本邦で生活をしていくことを真に希望しているこどもとその家族というふうな文言がありますけれども、先ほどの御説明の中で、こどもに関して在留資格で「留学」っていうのを例として挙げていらっしゃいましたが、「留学」は学校を卒業した後も、やっぱり真に希望しているという趣旨からすると、何らかの在留資格を与えられるっていう理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 まずですね、前提として、今回の措置は、我が国で出生をして、小学校、中学校等で教育を受けて、既に成人している者についてですね、もう成人しているという者については、本人に看過し難い消極事情が認められないのであれば、基本的には在留特別許可を認める方向で考えていきたいというふうに考えています。

【記者】
 答えていると言っていますが、答えていないと思うので。海外では、こどもが来た場合、特に未就学を含めて、こどもさん未成年が来た場合に、自動的に帰責性がこどもにはないということで、こどもには認められるような国もあります。親とこどもとのバランスというお話をちょっと言いましたけれど、こういった看過し難い、親にこういう事由があったことが、こどもに在留資格を与えられない理由にどう直結するんですか。少なくとも、こどもにはこの事件に関する帰責性はないわけですよね。そこを御説明できていない。こういうことをやっていること自体が、法務省・入管庁の人権を無視したような今回の法改正に批判がいっぱいありましたけれど、そこに根差すような、親が悪いことをしていれば、何かそれがこどもとのバランスという意味では、こどもに影響するからこどもも悪くなるという考えなのか。なぜ、こどもには全く事由がないのに、そういうこどもの親が悪いから君は駄目だよということになるのか。どう説明するんですか。そういうこどもたちに。これ、ものすごいそぎ落とされた60人の子たちは、今、泣いていると思いますよ。説明していただけますか。

【大臣】
 これまでも、在留管理行政の中で、不法に在留しているのが長期化してしまっているという前提があります。ですから、本来は、もっと早く国外に出ていただく必要があったのだけれども、違法状態が継続しているということが前提になっております。その違法状態を解消するということ。これを今回の入管法改正の中で、我々強調して各種の政策を取り込んで、まだ施行はされていませんが、法改正が実現をしたと。したがって、この法改正が実現された暁には、そういう長期にわたって不法状態で日本の国内にとどまるということは、今後はなくなってきますので、かなり抑止されていると思いますので、こういうこどもが今後出てくるという可能性は極めて低くなってきていると。ただ、問題は、今までこの法施行をする前に、長期不法状態で、在留許可がないまま長期化して、こどもが生まれて、そしてそのこどもはかなり学校教育を受けるぐらいまでになってしまっているというこの現状について、どういう解決をしていくかということであります。
 したがって、この違法状態にずっとなっているという前提において、このこどもたちの権利のバランスを考えて、先ほど申し上げたように、答弁していないと言いますが、私は、見解の相違であって答弁していると思いますが、この出入国在留管理の適正性の確保と、それからこどものことと、両方のバランスを考えながら、今回の措置をとらせていただきたいということであります。

【記者】
 未成年のうち、日本で生まれていないこどもたち、これはいるんですけれども、この子たちというのは、例えば、2歳のときに親と連れられてきたと。1歳のときに来たと。今は16歳であると。物心のついていないときに連れられて、自分の責任のないところで連れられてきて、ずっと日本で生まれ育って、日本に基盤があって、日本語しかできないといったこどもと、今、日本で生まれたこどもの本質的な差は、こどもの権利ということから考えた場合、全くないと思うんですけれども、なぜここで線引きを、どういうことでこの線引きをされるのか。そこをちょっと教えてください。

【大臣】
 これも、先ほどどなたかの御質問で答えていると思うんですけれども、まず、我が国で出生している方の方針については、申し上げたとおりで、今後の話として、先ほどどなたかの御質問にもあったかと思うんですけれども、現行の在留特別許可の許否判断におきましても、相当期間、我が国の小学校・中学校又は高校に在学していることを積極的に評価しておりまして、先ほど申し上げた2歳で来て高校生になるようなケースは相当するんじゃないかと思いますけれども。そういう場合には、現行も積極的に在留特別許可の許否判断において、評価をしております。したがって、我が国で出生していないこどもについても、個別の事案ごとにその点も含めて、諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可の許否を適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

【記者】
 在留特別許可、今でもそういうのは判断して、考慮していると。今後更にガイドラインを作られるわけなんですけれども、そこでも更に今より明確にその点は強調されるということで考えて良いんですか。

【大臣】
 整理しますと、今回の方針は、入管法改正法の施行時までに、我が国で出生して、小学校・中学校又は高校で教育を受けていて、引き続き我が国で生活するほど浸透していると認められるこどもについて、家族一体として、我が国社会との結び付きを検討して、看過し難い消極事由がない限り、在留特別許可をしようというものです。一方、新しく作りますガイドラインの見直しにつきましては、未成年者であるかどうか、そこもかかわらず、入管法改正法施行前に、退去強制令書が発付された不法滞在者全体を対象として、適用される在留特別許可の判断の在り方というものを、新たなガイドラインの中で策定をしていきたいというふうに考えています。それは、今、検討中ということであります。

【記者】
 今のお話で、例えば川口のクルドの、ほぼ二千数百人になっている御家族・こどもさんを含めて、強制退去令書を親がほとんど出ている方たちがほとんどです。だから、こういう人たちに対しても、今、大臣のお話ですと、そもそも違法状態が続いていたんだと。これが施行されれば、そういうことが解消されるという、一言で言い切りましたけれども、二千数百人いる方たち、このほとんどが退去令書、出ていますよ。この方たちが全て、この施行が通れば帰るんだという御認識なんですか。今まで4,233人のうち何人を、今回の法案が通ったら帰したいんだと言ったら、全部じゃないような言い方もされましたよね。今のお話ですと、川口で強制退去令書が出ているクルド人家族・一家、これはほぼこういった出生の状況のようなことがない限りは、退去令書が出ている御家族は、みんな帰るという御認識で良いかということと、それから、説明している、つまり違法状態がずっと続いていて、それゆえに今回は親に問題があったことでこどもにも違法状態が波及していたわけですけれど、そういったこどもたちが、今回は、この法を作ったことで、一部出生前、こっちで生まれた子たちは救えるけれど、そうじゃない低年齢で生まれたけれど違法状態が長かったことでずっとここにいる子には認めるのだから、お話を聞いていると、最大限こちらとしては配慮したんだという言い方に聞こえますけれど、こどもたちが違法状態を招いたわけではないわけですよね、そこは。違法状態が続いていたんだと言いますけれども、こどもたちがここに来るのは、自分たちの意思で来ているわけではないですから、だから60人のこどもたちにそのような「あなたたちの親が違法状態で来て、ずっと長くいて、しかもこの看過し難い消極事由に入っちゃっているんだから諦めなさい。」と。そういうことにしか、今、お話では聞こえないんですね。そういうことで良いんですか。

【大臣】
 同じ御質問なので同じ答弁になりますけれども、出入国在留管理上、看過できない違法状態の継続というものについては、それは厳しく対応していかなくてはいけないと。一方で、おっしゃるように帰責性のないこどもについて、どのような保護をしていくかというこのバランスの中で、ぎりぎりの判断をしているのが今回のケースということでありますので、あとは申し訳ないけれど、見解が違うかなということであります。

【記者】
 クルドの方はどうですか。

【大臣】
 今回の措置は、こどもに着目した措置でありまして、2,000人のクルド人のことについては、また別の機会にきっちり質問していただければと思います。

【記者】
 今の(質問)に関連するかもしれないんですけれど、今回、親とこどもというのがいて、こどもは今回の積極事由に該当するものの、親は消極事由、不法入国とか薬物使用とかである場合で、親には在特を出せないとしても、こどもだけ希望している場合というのは、これ、現行の運用になってしまうかもしれませんが、そういう場合に関しては、在留特別許可というのは、出せるものなんでしょうか。

【大臣】
 これも個別の事案ごとに総合的に判断していくこととなりますけれど、ただ、親が帰国をすれば、こどもに在留特別許可を与えるみたいなそういう運用は行っていません。

【記者】
 これは、今回、今の送還忌避者でいうと今回の入管法改正を行ったわけですけれども、これは新たにガイドラインを見直す、あるいは在留特別許可の申請制度を作るということも、国会審議中そういうお話でしたけれど、これは恒常的に見直す、それの第一回目というふうに考えてよろしいんでしょうか。それとも、今回一回限りこの対応をして終わりということなのか。将来を見据えての、これが出発点だと考えて良いのかどうかをお答えください。

【大臣】
 まず、今回の方針は改正入管法が成立して、庇護すべき者は適切に庇護する一方、送還すべき者はより迅速に送還をすることが可能になる結果、今後は在留資格のないまま在留が長期化するこどもの増加を抑止することが可能になるということを前提として、既に在留が長期化しているこどもに対して、現行法で迅速な送還を実現することができなかったということを考慮して、今回限りのものとして行うものであります。もっとも、現在検討中の在留特別許可に係る新たなガイドラインにおきましては、我が国で家族と共に生活するというこどもの利益の保護が十分考慮される必要があることを明確にする方向で、今、検討をしておりますので、このガイドラインができた暁には、それに沿って在留特別許可の許否判断については適切に行っていくということになります。

【記者】
 今の質問の一つで、今、申請手続化すると。今のところ、要するに、在留特別許可、退去強制令書が出てしまったら、再審情願みたいな形で、行政手続化していないわけですが、それと行政手続化するというのも今回の法改正の趣旨としてあったかと思うんですが、それに反映させるということなのか、申請手続の概要そのものについては、これはいつになったら明らかにするんでしょうか。

【大臣】
 今回表明しました基本方針につきましては、手続(化する)ということではなく、職権で順次やっていく。先ほど申し上げました。お答え申し上げましたように、職権で順次許可を与える判断をしていくということになります。ただ、ガイドラインについて、それを法律で申請主義にするということについては、今、検討中なので、まだいつということは申し上げられません。
(以上)