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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月1日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から一つ御報告があります。
 本日は、関東大震災から100年となる節目の日です。
 私も防災服でこの場に立っておりますとおり、朝から徒歩で官邸に参集する訓練を実施し、その後、官邸において、政府本部運営訓練として、緊急災害対策本部会議及び臨時の閣議に参加してまいりました。
 また、本日午後には、法務省においても、災害発生時における初動対応訓練としまして、法務省災害対策本部運営訓練を実施します。
 私は、実は資源エネルギー庁で勤務していた際には、まさに停電対策を担当する電力の課長をやっておりました。今日の訓練でも、東京を中心に1,220万戸の停電が発生しているという訓練でありましたけれども、まさにそういったケースにおいての対策を担当する課長を経験していた時期がありますし、また、農林水産副大臣であった平成28年には、熊本地震に遭遇しましたし、農林水産大臣であった平成30年には、西日本豪雨が発生し、その対処もしてまいりましたので、災害の悲惨さを、まさに身にしみて経験してまいりました。
 今日一日、このような思いを法務省職員と共有して、法務省の災害への備えを万全なものとしてまいりたいと考えています。
 皆さんもこの機会に災害への備えをお考えいただけたらと思います。

法制審議会家族法制部会に関する質疑について

【記者】
 先月29日に、家族法制の見直しを検討している法制審議会の部会が開かれ、民法改正要綱案の「たたき台」が示されました。父母が合意すれば、共同親権を選べるようになる一方、家庭内暴力や虐待の被害者に配慮した仕組みも明記されています。現行の民法では、離婚後に父母いずれかの単独親権しか認めておらず、今回の共同親権が認められれば家族法制が大きく変わることになると思われます。今後、この「たたき台」を基に議論は続きますが、現時点での大臣の御所感をお聞かせください。

【大臣】
 法制審議会家族法制部会では、父母の離婚後の子の養育の在り方等についての調査審議が進められておりまして、8月29日に、その第30回会議が開催されました。
 第30回会議では、これまでの調査審議を踏まえて作成された「要綱案のたたき台」が示された上で、その内容についての議論が行われたと承知しています。
 もっとも、要綱案の取りまとめまでには今後も複数回の会議が開かれる予定でありまして、第30回会議で一定の結論が得られたというわけではないというふうに承知しております。
 私は、諮問をする立場でありますので、法務大臣として、法制審議会におけるまだ議論が進行中の、具体的な検討の在り方についてコメントすることは、やはり適切ではないと思いますけれども、私としては、法制審議会においては子の利益を確保するという観点から、充実した調査審議が行われることを期待しているところであります。

矯正施設の強靱化に関する質疑について

【記者】
 先ほど大臣も言及がありましたが、本日は防災の日であり、また、関東大震災から100年の日となります。今後も、首都直下型地震や南海トラフ地震など巨大地震の発生が予測される中、一昨日公表されました法務省の令和6年度概算要求では、法務省施設の老朽化とともに、矯正施設の耐震化も課題となっており、その環境整備のための予算要求も前年度比から大幅にアップしていました。法務・司法における施設の強靱化は概算要求における重点事項のひとつとされていますが、改めて矯正施設の強靱化の意義について、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 実は、全国に277施設ある矯正施設の約4割が、現行の耐震基準制定前である昭和56年以前に建築されたものです。
 矯正施設は、身柄を拘禁している施設である、つまり逃げることが難しい施設であるということから、国として被収容者の生命を守る義務があることに加えまして、逃走防止等国民の安全確保のための役割を果たしているほか、再犯防止施策の実施のための基盤となる施設でもあります。
 その他、地方自治体等との間で防災協定を締結するなど、協力体制を構築しておりまして、災害発生時には、施設の一部である鍛錬場等を地域住民に避難所として提供するなど、防災拠点としての機能も有しています。
 矯正施設に求められる役割を十分に果たすことができるよう、耐震化及び老朽化対策を含め、着実な施設整備に取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。

令和6年度予算の概算要求に関する質疑について

【記者】
 概算要求の関連で伺います。いくつか重点項目がありますが、どのような点に力を入れていくのか改めて伺いたいのと、また、今後の課題があれば教えてください。

【大臣】
 まず、令和6年度予算の概算要求における重点事項としましては、「安全・安心な社会の実現」、「外国人材の受入れ・共生社会の実現」、「法務・司法におけるDXの加速・施設の強靱化」、「国際化・国際貢献の推進」ということで、いずれもしっかり力を入れていきたいというふうに考えています。
 これらの重点事項を含む各種施策を実現するために、一般会計としては総額8,480億円、東日本大震災復興特別会計としては総額8,000万円を要求することとしています。
 法務省における各種施策は、全て、国民の安全・安心を守り、国民生活の基盤を根底で支えるような法的な基盤を形成するものでありますので、厳しい財政事情の下ではありますが、所要の予算を確保することは、私は大変重要だと思っていますので、法務省一丸となって必要な予算の確保に努めてまいりたい。課題としては、できるだけ要望に沿うように努力をすることに尽きるということであります。

大阪入管の常勤医師に関する質疑について

【記者】
 昨日、大阪の酩酊医師に対する処分が出たわけですけれども、これですね、こういうことで出されたわけですけれども、この件については、酩酊して診療したというだけではなくて、国会でも内部の告発として色々な情報が出ておりまして、誤って処方したとか、それから収容者に対して罵詈雑言を吐いていたとか、そういう色々な経緯があると思うんですけれども、これはウィシュマさんのときほどではないですけれども、やはりきちんとどういうことをこの医師がやったのかということを報告されてしかるべきだと思うんですけれども、そういうことはお考えになるのかどうか。実際どういうことをこの人がやってきたのかということですね。それから、処分ですけれども、1か月の停職ということですけれども、これ、公務員の懲戒に関する指針というものがありまして、この処分、停職で良いのかどうかというですね。これはずばり、ガイドラインにはずばりこれに相当するあれはないんですけれども、例えば飲酒運転であれば、免職か停職ということになっているわけなんですね。この人の場合は、飲酒運転というよりももっと重いと思うんですね、実際には。診療をやっている最中に、自分の仕事をしている、公務をしているときに飲酒をして、収容者の命を危険にさらしていたということですね。実際にそういうことで言いますと、より重いのではないかと思われるという見方もあると思うんですけれども、1か月の停職で良いのか。つまり、停職であれば、本人は辞職したということですけれども、辞職しなければ1か月後にまた業務を再開していたわけですよね。この人はですね。そんな人に診てもらいたいと思わないと思うんですよね、収容している人はですね。そんなことがあって。こういうことで良いのかということですね。その2点、お伺いしたいのですが、よろしくお願いします。

【大臣】
 まず、私の本件受け止めですけれども、御指摘のとおり、大阪(出入国在留管理)局に勤務していた常勤医師が、本年1月20日に酒気を帯びた状態で勤務に臨んだことなどについて、本年8月31日、大阪(出入国在留管理)局は、「停職1月」の懲戒処分として、同医師は同日付けで辞職したということです。収容施設において、被収容者に対して適切な医療を提供することは、私は国の責務であるというところまで考えております。今回、そのような責務に係る業務を担う常勤医師が非違行為に及んだことは、私は重く受け止めたいというふうに考えています。本件を踏まえて、まず医師の採用に関しては、より慎重にその資質を見極める必要などがあったのではないかと私は考えておりまして、私から入管庁に対しては、今回の事案の反省を踏まえ、医師の採用及び業務管理の在り方等の改善を図るよう指示したということであります。
 それから、職務中に飲酒したという点についてお話がありましたが、私のところに来ている報告としては、少なくとも、医師が職務中に飲酒したことを直接的に裏付ける資料等は見当たらなかったというふうに報告を受けています。ただ、これ以上の詳細な事実関係については、今後訴訟になる可能性が、私はかなりあると思っていますので、こうだったああだったというお答えは差し控えなければならないと思っています。
 最後に、量定について御質問がありました。本件では、人事院が定めた懲戒処分の指針も念頭に、各事案の内容等諸般の事情を踏まえ、「停職1月」という量定を決したものであります。私も、別の役所でこういう処分を行う大臣官房秘書課で勤務をしておりましたけれども、この停職処分というものは、国家公務員法上に定める懲戒処分のうち免職に次ぐ重い処分だろうと、私は思っているところであります。
(以上)