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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年10月6日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から冒頭、1点御報告させていただきたいと思います。大分、秋が来た感じがありますけれども、この秋に、冬にかけての部分もありますけれども、全国の刑事施設等で行われる矯正展について、皆さんも御存じかもしれませんけれど、知っていただきたいと思って御報告を申し上げたいと思います。
 コロナで2年ほど開けなかった時期があるようですけれど、昨年からまた再開され、今年はもう全力でやろうということで、全国の刑事施設で矯正展が行われます。
 御存じのように、全国の刑事施設では、懲役刑受刑者等の改善更生及び円滑な社会復帰を目的として、刑務作業を実施しております。全国の刑事施設では、懲役刑、受刑者等の改善更生及び円滑な社会復帰を目的として、刑務作業を実施しております。
 この刑務作業において実際に受刑者が刑務作業で製作した製品、刑務所作業製品。これが、この法務省地下1階のキャピックショップ等で販売されていますけれども、これを国民に是非知ってもらって、販売をして、買ってもらって、刑務作業の重要性、あるいは改善更生に向けた各刑事施設の取組、こういったものを国民により身近に知ってもらう。そういう意味を込めて、販売・広報というものを予定しているわけであります。ホームページにそれぞれの日程が載っていますけれども、この週末から始まってまいります。明日は長野刑務所、岐阜県の笠松刑務所。また、明日と明後日の予定で、神戸(刑務所)、岡山(刑務所)。15日は東京拘置所で開催されます。12月には、東京国際フォーラムで第63回全国矯正展が開催される予定にもなっております。
 私もこの間、地下のキャピックショップに行きましたけれど、本当に良い製品が、また幅広くラインナップされていて、大変驚きました。受刑者の方々の努力もあろうかと思いますし、各施設での運営ですね。そういったものの成果であろうかと思います。その製品の向こう側に受刑者の方がいる。そういうことを実感しながら、私もいくつか買わせていただきました。是非報道機関の皆様方も、そういう実感がきっと沸きますので、是非(キャピックショップを)のぞいていただければ。買っていただくまでは言いませんけれど、キャピックショップを折々のぞいていただければ有り難いなというふうに思います。

ウクライナからの避難民への支援に関する質疑について

【記者】
 ウクライナ避難民について伺います。ウクライナ避難民をたくさん受け入れているポーランドでは、先月、財政支援がちょっと厳しいということで少し減らすというような発表がありました。戦争が長期化する中でも、財政負担がどんどん増えていくということもあると思うんですけれど、まだまだ(戦争が)続いている中で、息の長い支援というのは、日本政府としては今まで行ってきた財政支援について、今後何か変わる見込みというのはあるのでしょうか。継続されるのでしょうかというのと、12月以降、補完的保護対象者に切り替わった場合、資格の面だけではなくて財政支援の面で何か変更というのは特にあるのでしょうか。

【大臣】
 今まさに御指摘がありましたように、補完的保護対象者の認定制度という仕組みを入管法改正で作りました。その趣旨は、より幅広く受け入れていこうと。ウクライナの方も含め日本に避難される希望を持った方々を、しっかり難民法をベースにしつつも、ちょっと枠を広げて受け入れていこうと。そういう姿勢で法改正をし、これから施行されていくわけであります。この方針は変わることはありません。ポーランドの場合は、私も中身はよく分かりませんけれど、200万人から300万人もウクライナ難民の方が、お隣の国ですから行っているので、ポーランドにはポーランドの事情があるのだと思います。それは私の所管外ですから申し上げませんけれども、少なくとも我が国では、補完的保護対象者の制度をしっかりと施行していって、そして支援についても、おおむね現在の難民の方々への支援と同程度の内容にする方向で関係省庁と今調整をしております。ですから、大まかに言うと、制度が変わるけれども支援というのは今までの難民支援というものをにらみながら同程度ということを頭に置きながら調整していくと。そういう今段階であるというふうに御理解いただければと思います。

デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する検討会に係る質疑について

【記者】
 自筆証書遺言の作成におけるデジタル技術の活用に関してお尋ねします。昨日、民間研究会の初会合が開催されて法務省も参加されたかと存じますけれども、可能な範囲で初会議での議論の内容ですとか、改めて議論に期待することをお聞かせください。

【大臣】
 まさに昨日、民間の、民事法の研究者、実務家等を構成員とする、法務省からも担当者が入って研究会が立ち上がりました。高齢化社会の中で、相続あるいは相続制度というものは、大変大きな意味を持ち、多くの方が関わり合いを持つ課題になっていまして、その相続制度を支える大きな仕組みが遺言という仕組みでありますので、日本の社会全体に大きな関心事項となり、重要な課題だというふうに思います。
 昨日の1回目の研究会では、1回目でありますので検討事項を幅広く皆さんで議論していただくと。それぞれの中身についても議論があったかもしれません。こういうことを検討していこうということについて、大枠の意見交換が行われたものと承知しております。これは、利便性も大事だし、一方で遺言の信頼性も大事だし、煩雑であっても困るけれども、信頼性が揺らいでも困るという、そこの知恵の出し方。端的に言えば価値判断につながるかもしれませんが、そういうところを一回深めていかないとしっかりした答えが導けない問題だと思いますので、関係者の方々が積極的に関わっていただいて議論をしていただきたいと思うし、報道機関の方々にも関心を持っていただければ有り難いと思うので、折々、進捗状況について御報告できるようなことがあれば、心掛けて皆さん方にも途中経過をできる限り報告はしたいというふうに思っております。

カンボジアの送出機関に係る措置に関する質疑について

【記者】
 カンボジアの技能実習生の失踪者率が著しいとして、来月から少なくとも半年間、カンボジアの三つの送出機関からの新規受入れを停止することが決まりました。現在、技能実習制度の在り方を見直しているところではありますが、今回の措置に対する受け止め、そして、こうした対応の意義を改めてお聞かせください。

【大臣】
 今回の措置は、出入国在留管理庁が令和元年11月に取りまとめました、失踪技能実習生を減少させるための措置に基づく一連の措置の中の一つです。過去には、御案内のようにベトナムの送出機関5機関に対して同様の措置を実施してまいりました。令和3年8月、こういった措置をやってまいりました。結局、その送出国の機関と我が国の受入れ機関、また、行政を含めて二国間の協力によって失踪者を減らしていこう、そういう改善をしていこうという考え方で、それにのっとって、カンボジアについても緊密な連携をしながら、今回そういう措置を執らせていただきました。制度の適正化という意味では、国をまたがる話ですので、両国間が調整しながら適正化を図っていくという方法が非常に重要なものだと思います。ただ、視野を更に広げれば、制度そのものの在り方というものも関わってくる部分もあると思いますので、有識者会議で議論をしていくその枠の中で、制度論、これも注目していきたいというふうに思っております。制度そのものの見直しというところにも関わってくる問題であろうと思って注目しています。

【記者】
 今回、この措置が行われたということで、失踪率が高いということをどう考えていらっしゃるのか、そこの受け止めをお願いできますか。

【大臣】
 これは今申し上げたように、具体的なオペレーションの部分でチェックが十分ではないということがまずあると思いますよね。一国の中の制度ではないので、国境をまたぐので、やっぱり複数の段階があり、ある種複雑なそれぞれの段階ごとの運用、運営というのがあって、結果的に十分な保護ができていない、失踪者が抑えられないということになっていると思いますので、ここはしっかりと執行面でまず適正化を図っていくという努力を、もっともっと我々はやらなければいけないというふうには思っております。この制度の存立に関わる大きな問題なので、失踪者が増えれば増えるほど制度が機能しなくなるのだという御批判もありますから、しっかりと取り組む。そのほかに、まず制度全体も視野に入れる有識者会議の議論にも注目をしていく状態。そういう状況だろうと思います。

こども・若者の性被害防止のための対策等に関する質疑について

【記者】
 一昨日ですけれども、立憲民主党が、ジャニーズ事務所の性暴力の問題で関係省庁のヒアリングを開催しました。そして、被害者、当事者も参加され、法務省からも人権擁護局の職員の方も参加したと思います。被害者の方は、単に芸能プロダクション内の性暴力加害、被害の問題としてだけではなくて、同じように性被害に遭っても声を上げられない被害者が大半なので、人権問題として政府にもしっかりと取り組んでほしいと。そして、国連人権理事会の特別報告者のヒアリングも受けたけれども、日本にも政府から独立した国内人権機関が必要なんじゃないかというふうな内容のコメントもされていました。法務省の、今言ったように人権擁護局の職員も参加されていたと思うんですけれども、このような、この問題の長年にわたる性暴力問題だと思うんですが、それの真相究明や再発防止に向けて、人権行政を所轄する法務省としてどのような取組が考えられるのか。ビジネスの人権の在り方も大きく問われていると思いますし、今言った技能実習生の問題でもやはりそういった性暴力とか色々な暴力を受けることがありますが、大半がやっぱり泣き寝入りだと思うんですね。そういう状況もあるので、政府与党内で御検討されていることもあれば、それも含めてお答えいただきたいんですが、大臣の考えをよろしくお願いします。

【大臣】
 性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を非常に著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける大変悪質で重大なものであって、これを許さない社会を構築する必要があるというのがまず基本だと思います。
 取り分け、弱い立場に置かれるこども・若者が被害に遭う事案が後を絶たず増えて、また、こども・若者は、それを性被害と認識できないという問題も指摘されているわけでありまして、おっしゃるように、対策の強化というのが喫緊の課題だというふうに思います。
 政府は、この事柄の重要性に鑑みまして、個別の省庁ではなく政府全体で、網羅的に連携して政府全体で取り組んでいくんだという考え方に基づいて、今年の7月に、「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」を取りまとめました。それ以前に策定しました「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」等に基づく対策と併せて、こども・若者に関する対策を一層強化することとしました。政府全体で連携して重く受け止め、進めていくというパッケージです。
 その中に、法務省関連施策としては、先の通常国会で成立した改正刑法等の趣旨・内容について、関係府省が連携して広く周知を図ること、SNS等によるこどもの人権相談の推進などの施策が盛り込まれ、それに鋭意取り組んでいるところであります。
 法務省としては、この緊急対策パッケージも踏まえ、これをとにかくしっかりやっていく、関係省庁とも連携しながらしっかりやっていく、そういう取組をこれからもより強めていきたい。そして、こども・若者に対するものも含む性犯罪・性暴力対策をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。
 政府から独立した第三者機関としての国内人権機関、そういったお話も今あったかと思いますが、これも私も何度かお答えしているとおりでありまして、特に今日付け加えることはありません。
(以上)