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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年10月10日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。
 続いて、冒頭、私から、先週末土曜日に開かれました法務省開催の「法の日フェスタ」について、簡単に御報告いたします。
 天気にも恵まれまして、コロナが明けたわけではありませんけれども、様々な制約から少し解き放されて「法の日フェスタ」を盛大に開催することができました。
 コロナ前の2019年の開催のときは、820名の方が御参加いただいたわけでありますけれども、今回はそこまでは届きませんでしたが、739名という大変大勢の方々にお越しいただくことができました。年配の方、若い方、男性、女性、老若男女まんべんなく来ていただいて、大変熱心に参加していただいたという印象を担当者は受けているようであります。
 ちなみに、予約制になっている事前申込みが必要なプログラム、模擬裁判ですとか、検察官による模擬取調べ、保護観察官の面接体験など、これらは前日までに予約でいっぱいになってしまう、満席になるというようなことでもありました。それ以外の自由参加のプログラムについても、非常に多くの方々が配布物を手に取っていただいたり、職員に質問していただくというような盛況ぶりだったというふうに聞いております。是非こういう取組を、段階を追って日常的に広げていきたいなというふうに思っています。
 頼りがいのある司法ということが総理指示でも言われているわけでありまして、そして頼るためには身近でなければならない。身近なものとして感じていただいて、法の役割についても若い方々にも考えていただく非常に重要な取組だと思います。来年以降も開催していくのですけれども、年間を通じて、赤れんが棟に法務史料展示室がありますよね。私も省内巡視で先週初めて中を見てきたのですけれども、大変伝統のある、また歴史の重みを感じる建物の中に、非常にまた正確に色々なものが残されていて説得力を感じました。これは私の個人的な見解で、まだ事務的に打合せをこれからしなければならないのですけれども、ああいう常設展示場がありますから、ああいうものをもっとプレイアップしたいし、もっと活用したりというふうに感じております。この「法の日フェスタ」の在り方を踏まえて、赤れんが棟の法務史料展示室の新しい展開みたいなものも考えていけたらいいな、国民により近付くための方策として考えていきたいなというふうに思っております。

犯罪被害者等支援弁護士制度の創設に関する質疑について

【記者】
 犯罪被害者支援弁護士の制度について教えてください。6月の推進会議で制度の創設が決まりました。一応その中で1年以内に結論を出すという方向性も出されていますけれど、改めてその創設の意義と創設に向けた今後の取組やスケジュール等々について教えてください。

【大臣】
 犯罪被害者等支援弁護士制度の創設、これが今具体的な大きな課題になっております。この6月に、内閣総理大臣が会長を務められて関係省庁幹部が入った犯罪被害者等施策推進会議で方針が決まりました。1年以内ということなので、我々、やっぱり努力しなければいけないというその方向性の下で、まさに今、鋭意努力をしているところであります。
 犯罪被害者やその御家族は、被害直後から必要となる様々な対応、これは改めて申し上げるまでもないかもしれませんけれど、捜査機関や刑事裁判への対応だけではなくて、示談とか、民事裁判とか、行政機関から支援を受けるための申請手続、また報道機関への対応。こういったもの万般にわたって対応しなければいけないのですが、精神的・身体的被害等によってそれができない、あるいは経済的困窮という要素もかぶさってくるおそれもあるわけでありまして、こういった万般の大変なその負担を弁護士が支えてあげられればより前へ進めていくことができると。被害者救済を前へ進めていけると。そういう考え方の下で、切れ目のない寄り添い型の支援ということを前面に出して、重大犯罪や性犯罪被害者等は特にこの切れ目のない寄り添い型の支援というものを必要としている。こういうものを前面に出して、早期の段階から継続的・包括的な支援を受けられるようにするための制度を創設しようということになったわけです。鋭意、その具体的な検討を進めています。援助対象、援助の内容、利用要件、初めての取組でありますので、きちっと詰めながら、漏れがないように、また各種制度とのバランスも見ながら、鋭意進めています。しかし、なるべくこれは前倒しをして早く結論が導けることが望ましいという考え方に立って、必要な検討準備を今進めて、早期の実現を目指して全力で取り組んでいるところです。

【記者】
 一応1年以内ということは、基本的には来年の常会中に、ということになるのでしょうか。

【大臣】
 国会審議がありますから、我々だけで言えないのですが、来年の、令和6年の段階で法整備ができれば望ましいなという考えではおります。国会審議がありますので、少なくともそれに間に合うような準備は行政としてしていって、国会の判断を仰ぐと。ただ(令和)6年中の判断に基づいて、(その後)施行できれば良いなという考え方です。

水俣病に係る訴訟に関する質疑について

【記者】
 水俣病の認定訴訟について伺います。9月27日に水俣病と認定されなかった原告を認定して賠償することを国などに命じた大阪地裁の判決について、国として判決を不服として控訴する方針だと一部報道があります。明日11日が控訴の期限ですが、訟務局を所管する法務大臣として、事実関係・見解を伺います。

【大臣】
 報道があったことは承知しております。かつ、控訴期限が明日11日であることを踏まえ、判決内容を十分精査し、関係省庁等と最終段階の検討を行っている状況であります。それ以上の詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。

埼玉県議会に提出された条例案に関する質疑について

【記者】
 埼玉県議会に自民党県議が出しているこども放置禁止条例案についてお伺いしたいです。PTAらによる反対署名は現時点で8万人を超えています。自宅での留守番やこどもだけで公園で遊ぶことを禁止する条文について、憲法学の専門家からは、憲法違反の疑いもあると問題点が指摘されている状況ですが、この条例案についての受け止めをお願いします。

【大臣】
 報道があったことは承知しております。まだその詳細について、情報を入手する段階には来ておりません。いずれにしても、全国の中の埼玉県の条例について、ここで私が直接コメントする立場ではないと思いますし、また事実上どういう案なのか、まだ間接的にしか触れていませんので、コメントは差し控えたいと思います。

ナゴルノ・カラバフ等からの避難民への支援に関する質疑について

【記者】
 先日、外務大臣がアゼルバイジャンとアルメニアの係争で、ナゴルノ・カラバフからの避難民支援を行うと発表しています。併せて、この週末にはイスラエルとパレスチナの紛争もあって、避難民がかなり出てくる状態になると思うんですけれども、法務省として、今後何かその対応だったり対策というのを考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】
 およそ難民の、救える難民等の方の枠を広げようという考え方で、入管法改正をさせていただいて、12月1日の施行期日も、ほかの施策よりも早く前倒しにしました。この制度を是非活用していただいて、より多くの難民など、様々な事案が今並行して進んでいるのはおっしゃるとおりですけれども、その条件を広げるという、我々の法律の趣旨にのっとって、できるだけ多くの難民等の方を保護できる仕組みとして運用していきたい。補完的保護制度ですよね。運用していきたい。そういうふうに思っています。

【記者】
 積極的に避難民をこれから日本に受け入れるという話というのは、今あったりするのでしょうか。

【大臣】
 特段何か政府の動きとしてという話は今の段階では聞いておりません。

京都地方法務局の窓口対応に係る大阪法務局の人権侵犯事件処理に関する質疑について

【記者】
 京都地方法務局のことでお尋ねするんですけれども、先週の報道で、京都地方法務局のほうで松葉杖を使った男性の対応に関して人権侵犯が認定されたと報道がありまして、個別のケースになるとは思うんですけれども、仮に事実だと、法務局が人権侵犯の認定を受けるというのは少し異例かなと思うんですが、これに関して大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 事実関係を申し上げますと、令和4年4月、京都地方法務局において、足に障害をお持ちの方が人権相談に来られたと。その際、相談者を立たせたまま対応したということが、障害のある方が必要としている社会的障壁の除去について、「合理的配慮」をしなければならない法令上の義務に反していると。そういう意味で、人権侵犯の事実があったというふうにされ、京都地方法務局が大阪法務局から「啓発」を受けたということは事実であります。
 国民の人権を擁護すべき立場にある法務省の人権擁護機関において、このような対応があったということについては、重く受け止めております。再発防止をしっかりやらなければならないという思いでおります。
 本件が発生した理由は、障害をお持ちの方への「合理的配慮」の必要性に対する職員の理解の不足であるというふうに認識しているところでありまして、大阪法務局が主催した障害のある方の人権に関する研修を京都地方法務局の幹部職員等に受講させましたほか、当省人権擁護局から、法務局・地方法務局の人権擁護事務担当部署に対して、改めて「合理的配慮」の提供の趣旨等の理解を徹底するよう、適切な窓口対応に努めるよう周知したところであります。
 しっかりと国民から信頼される人権擁護機関の窓口が、国民から信頼されなければ本当の意味でその機能を果たせないわけでありますので、再発防止を徹底して努めていきたいと思っております。
(以上)