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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年10月13日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、冒頭、私から一つ御報告させていただきたいと思います。
 昨日、総理官邸で「安全安心なまちづくり関係功労者表彰式」が開催され、総理から全国16の団体・個人の方に表彰させていただいたわけであります。これは防犯活動あるいは再犯防止活動に御貢献・御尽力いただいた個人又は団体に対する表彰です。犯罪数そのものは徐々に減ってきているようでありますけれど、その中で再犯(者)というものが約半数ぐらい占めている状況が続いているわけでありまして、防犯とそして再犯防止、大変重要な課題であるわけです。法務省としても、鋭意一生懸命取り組んでいますけれど、やっぱり民間の方々の現場感覚の中で手を差し伸べていかれる様々な試み、様々な努力、様々な実績、そういったものに私も触れる機会がありました。表彰式の前に法務省に来ていただいて、短い時間ではありますけれども、懇談させていただくことができました。行政のほうから見ている景色と、また現場でそういった方々が努力されている中で感じていらっしゃること。双方向で意思疎通ができたと思っております。特に、社会保障的なアプローチというものと、我々が携わっている矯正行政の連携ですね。これがすごく大事ではないかな。個人的にそういうふうにも思いました。せっかくのこういう表彰によってきずなができたわけでありますから、こういった方々の経験、知見、感想、提言、意見。そういったものを昨日一日にとどめず、これからも継続した関係の中で吸収していきたいというふうに強く感じたところです。

技能実習制度及び特定技能制度に関する質疑について

【記者】
 先日、武部勤様のNAGOMi(一般財団法人外国人材共生支援全国協会)から技能実習などの制度に関する要望が提出されました。それに対する受け止めを一つお願いしたいのと、そもそも現在の技能実習・特定技能制度についてどのような問題点があるとお考えなのか、また、今、調整が進められている有識者の最終報告に、その点に関してどのような期待をお持ちなのか、2点お聞かせください。

【大臣】
 10月3日に、NAGOMi(一般財団法人外国人材共生支援全国協会)の代表者の方々にお越しいただきまして、今、検討中の有識者会議の最終報告書の取りまとめに向けた御提言を頂きました。技能実習制度、そして特定技能制度の在り方について、非常にポイントを突いた御指摘を頂き、御要望・御提言を頂きました。実際にNAGOMiは、現場で外国人材の受入れ、保護、支援、現実に実践されている団体でありますので、大変貴重な御意見・御示唆を頂いたというふうに受け止めております。
 この技能実習制度あるいは特定技能制度、この二つの制度について、今まさに有識者会議で検討中ではありますけれども、そこでの議論も踏まえながら申し上げれば、この二つの制度、特に技能実習制度(について)、国際貢献という本来の趣旨と、同制度が人手不足分野における人材確保として事実上活用されてきたという制度の趣旨と実態のかい離がよく指摘されている部分でありますけれども、このかい離を埋めるということが大きな論点・課題だというふうに思います。また、技能実習生に対する人権の侵害も大きな問題であり、乗り越えるべき、解決すべき課題であると思いますし、監理団体や登録支援機関の指導監督・支援体制が不十分だと、ちょっと甘いんじゃないかと、こういう御指摘があることも承知しております。そして、高額な借金を背負って日本に入ってくる技能実習生。それが失踪につながっていくケースもままあるといった様々な問題点が指摘されております。現行制度に関わるこうした問題を解決するために、有識者会議で現在議論が行われておりまして、我々としても最重要課題の一つとして、引き続き急いでやろう、できる限り迅速にやろう、スピード感を持ってやろう。そういう感覚を持って最終報告書に向けた議論がこれから凝縮されて行われていくと思います。そのことを期待しているというところです。

【記者】
 今の質問と少し関連します。特定技能のことについてお伺いします。先日、10月10日の斉藤鉄夫国土交通相の閣議後記者会見で、外国人労働者の在留資格である「特定技能」の対象にバス運転手を追加するため、関係省庁と調整を進めていると明らかにされました。今年の6月には、運転手の人手不足が深刻化する「物流2024年問題」への対策を協議する関係閣僚会議、物流革新に向けた政策パッケージのポイントでも外国人材の活用が触れられております。その一方で、客を乗せるバスやタクシーは、二種免許の取得が必要で、試験も日本語のみのため、外国人には取得のハードルが高く、そもそも安全運転の徹底をどのようにするかなど課題も指摘されております。その上で、この斉藤国交大臣の発言を踏まえ、「特定技能」の対象に自動車運送業が追加される、このことが検討されているということへの大臣の受け止めについてお聞かせください。

【大臣】
 今年に入って6月のこの発表がありました。また、10月に入って、緊急パッケージということで、急いでこれを対応していこう、物流の2024年問題をにらんで、できることをやっていこうと。その中に、この外国人材の活用という問題意識も浮かび上がってきているわけであります。重要な視点でもあろうと思います。そういう背景のもとで、斉藤国土交通大臣が10日の閣議後の記者会見で、バス(など)の運転手さんを「特定技能」の対象にすることについて、関係省庁と事務的な調整を行っていると御発言されたことは重々承知しているところであります。主管官庁として、これは国交省が今、色々な問題を整理して、課題を整理して、そしてそういう要望を出しておられるという状況の中で、我々も特定技能制度の取りまとめを、現行制度を取りまとめる省庁でありますので、国交省と連携して、しっかりコミュニケーションをとって、意思疎通して、連携して、適切に対応したいと、そういうふうに思っております。

「旧統一教会」の解散命令請求に関する質疑について

【記者】
 今日、「旧統一教会」の解散命令請求が行われる方針ですが、臨時国会に財産保全法を提出する動きだったりとか、法テラスへの電話相談が減らないといった状況がある中で、この一連の動きを大臣としてどう見られているのか、お聞きします。

【大臣】
 「旧統一教会」の解散命令請求が文部科学大臣において行われたわけであります。
 まず、今、御指摘がいくつかありましたけれど、法テラスの対応ダイヤルですね、ここについてちょっと詳細、最近の状況を申し上げますと、法テラスの「霊感商法等対応ダイヤル」に、現在も「旧統一教会」に関する相談が、ひと月当たり50件前後寄せられています。このことから考えてみても当然ですが、依然として「旧統一教会」に関する様々な問題を抱えて、お困りの方が相当おられるということは事実だというふうに思います。
 法テラスにおいては、こうした方々が抱える問題の総合的解決を図るため、引き続き、弁護士・心理専門職等の知見を活用して、関係機関とも連携して、相談対応を行っていくというふうに承知しておりますが、法務省としても、関係機関との間で必要な情報共有を図るなどして、緊密な連携のもと、被害の実効的な救済に万全を尽くしていきたいと思います。一つのステップを今踏んだわけでありますけれども、被害を被った、今も苦しんでいらっしゃる方がずっと厳しい状態に置かれたままでありますので、関係省庁と連携して、法務省としても全力で対応していきたいと思います。
 財産保全法案については、ちょっと今、私からコメントすることは難しい状況だと思っています。

【記者】
 先ほどの「旧統一教会」解散命令請求に関してですが、今後のその対応とか、実施するのであればスケジュールをもう少し、今後の対応についてお聞かせいただければと存じます。

【大臣】
 今後は、裁判のプロセスに入っていくわけですよね。法務省としても、裁判については所轄庁である文科大臣と連携しながら対応していくことになりますが、そのスケジュールとか、どういうふうになって、これは裁判所が全部この裁判の中で取り仕切っていかれますので、我々からはそれは申し上げられないという状況であります。

性同一性障害特例法の規定に係る家事審判事件に関する質疑について

【記者】
 昨日、静岡の家裁のほうで、戸籍の性別変更に手術が必要というのは違憲だとする初めての判断が下されました。民法の改正だったりとか、度々議論される家族の在り方、今後出される最高裁の判決などにも影響があるのかなと思うんですけれども、大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 静岡家庭裁判所浜松支部において、性同一性障害特例法の生殖能力をなくす手術を受ける必要があるという規定について、憲法に違反して無効であるという判断がされた旨の報道があったことは承知しております。
 この問題の合憲性については、現在、御指摘のとおり、最高裁で審議中でありまして、個別の事案でもあり、私からこの問題についてこの時点で申し上げることは差し控えたいと思います。
 いずれにしても、これは今、そこも御指摘がありましたけれど、家族の在り方全体に関わる問題であり、国民的な議論と理解が得られる必要がある大きな問題だと思いますので、引き続きしっかり対応していきたいと思っております。

閣僚の資産公開に関する質疑について

【記者】
 唐突ですけれども、閣僚の資産公開制度についてお尋ねしたいと思います。内閣改造がありましたので、新任閣僚の資産が近く公開されるかなと思います。小泉大臣も初入閣されましたので公開されるかなと思うんですが、国民に対して透明性を持つという趣旨の制度だと思うんですけれど、この制度に対する所感というか大臣の評価と、もし可能であれば御自身の資産に対する御自身なりの思いというか評価があれば、この2点、お尋ねいたします。

【大臣】
 資産公開制度、特に国会議員、そして閣僚の資産公開制度、非常に重要な仕組みだと思いますので、やはり多くの方に関わる公の仕事をする責任を負う者の清廉さ、透明性、そういうものをやはり説得力を持たせないとリーダーシップが発揮できないわけです。そこがしっかりしていなければ、政治家として、行政のトップとしても、リーダーシップを発揮できない。非常に重要なポイントだと思います。だから、民主的な意思決定をしていくという、民主主義の在り方の根本にやっぱりこういった部分も関わっているんだろうと思います。そもそもは有権者からの様々な指摘とか、有権者の目というものを我々はずっと受けながらきていますので、この資産公開についても、当然のことでありますけれども、きちっと対応してきております。
(以上)