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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年10月17日(火)

 今朝の閣議ですが、法務省の案件はありませんでした。
 私から、まず1点御報告させていただきたいと思います。
 「刑事施設及び少年院における被害者等の心情等の聴取・伝達制度に関する職員研修の実施」について、御説明と内容についてお話ししたいと思います。
 昨年6月に成立した刑法等の一部を改正する法律により新たに導入するものでありまして、本年12月1日からの運用を予定しております。
 本制度は、受刑者及び在院少年の矯正処遇や矯正教育において、被害者の心情等をより直接的に反映し、被害者の立場や心情への配慮等を一層充実させるとともに、受刑者等の反省や悔悟の情を深めさせ、その改善更生等を効果的に図ろうとするものであります。
 こういう制度は今までありませんでしたから、犯罪被害者あるいは御遺族の方々と直接接するという機会もあまりなかった矯正職員にとっては、新たな取組となるわけです。非常に重要な取組になっていくと思います。これをしっかりと定着させなければいけないし、また実効性も上げていかなければならない。そのスタートが迫ってきているわけであります。
 このタイミングで、12月1日からの本制度の円滑な導入に向けて、来週23日月曜日から25日水曜日にかけて、職員の研修を行う予定にしております。法務省の地方支分部局である東京矯正管区の管内施設の職員を対象とした集合研修を矯正研修所において実施します。
 本研修では、運用開始の直前期でもあることも踏まえ、加害者に被害者等の心情等を伝達する場面を想定したロールプレイですね。これをしっかりやろうという実践的な研修カリキュラムで行います。来週24日火曜日午後1時から夕方4時半まで組んであって、(記者の)皆さん方も視察していただくことができますので、火曜日の記者会見が終わったら、すぐ是非行っていただいて、皆さん方色々な御感想・御意見をお持ちになるでしょうから、またそれを踏まえて、ここで色々やり取りをさせていただくのも有益かなと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 被害者の方々に対する様々な我々ができること、また加害者となった方々の社会復帰に対して我々ができること。そこから色々な可能性が開けていくというふうに思いますので、非常に重要な施策だと思いますので、しっかりと我々もフォローしていきたいし、皆様方にもまた様々な情報を共有していただきたい。そんな思いで御説明を申し上げました。
 もう1点、申し上げたいわけでありますけれども、10月8日日曜日、歌手の谷村新司さんが御逝去されました。14年前ですね、2009年、平成21年に、“社会を明るくする運動”の広報ポスターに出演いただけませんかというお願いをしましたところ、もちろん御快諾いただいた上で、それは本当に大事な運動ですねという深い御理解をいただきまして、それから14年間、本当に誠心誠意尽くしてくださいました。当省の主唱する“社会を明るくする運動”のフラッグアーティストとして、「人は変われる。一緒なら。」のフレーズと共に温かい笑顔と優しい歌声、私が言うまでもないのですけれども、この運動を広める上で大きな貢献をしてくださいました。「咲きほこる花のように」という応援ソングを法務省に贈呈していただいたような形になっています。まだまだこれからアリスとしての活動を10年ぐらいやっていくんだというふうにおっしゃっていたようでありまして、本当に突然の訃報でありまして、もう本当にショックを受けました。谷村新司さんのこれまでの御功績に心から深く感謝申し上げますとともに、謹んで哀悼の意を表し、皆様方と共に御冥福を心からお祈りしたいと思います。

不法残留者対策に関する質疑について

【記者】
 (今月)13日に在留外国人の統計が公表されて、在留外国人の数はまず過去最多を記録しました。もう一方で、不法残留者の数字も公表されていまして、これもまた8万人弱に増えました。短期滞在からの不法残留が増えていることが主な原因とみられますが、今後、更に観光などで短期滞在の入国が回復すると見込まれます。その中で、不法残留対策というのはどういうふうにこれから強化していくのか、お聞かせください。

【大臣】
 その統計が公表されて、色々なところでかなり話題になっていますよね。国民全体の関心も、やはり高まってきているんだというふうに思います。
 その中での御指摘でありますが、まず数字から申し上げますと、今年の7月1日現在の不法残留者数は、7万9,101人でありまして、今年の年初、1月1日から比べますと、8,610人増加になっております。
 この不法残留者について、直前の在留資格別の内訳を見ますと、短期滞在が2,895人、技能実習が2,928人、特定活動が2,600人の増加となっておりまして、この三つの在留資格の方々の増加が不法残留者全体の増加に大きく影響しているというふうには、一応表面的には見えます。まだまだ分析は必要だと思います。
 増加の要因としては、御指摘が今あったかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の段階的な緩和などによって外国人新規入国者が増加した。実習先から失踪する技能実習生が増加している。在留不許可や難民不認定処分を受け、あるいは新型コロナウイルス感染症に関する在留資格上の特例措置の終了により「特定活動」によるそれ以後の在留が認められなくなった者が増加している。それぞれ今申し上げた、短期滞在あるいは技能実習、特定活動。そういうところから不法残留が増えている姿が浮かんでくるわけであります。様々な要因がありますから、この三つだと断定することはできないですけれども、一つのポイントとしてはそういうところになろうかと思います。
 これは、やっぱり国民の不安に直結していきます。大きな社会問題にもなり得る問題でありますので、厳格な出入国在留管理というものをもう一回しっかりと我々も見直し、しっかりと実施していかなければならないという状況にあるというふうに思っております。
 まず、色々な要素がありますけれども、法務省としては情報の分析ですね。まず、今申し上げたような、どこから・どういう形で不法残留というものが生じてくるのか。よくそこを分析をすることがまず第一だと思います。そのためには、たくさんの情報をなるべく把握したい。各種届出や実地調査等において把握した情報を活用する。あるいは不法就労という問題に今度は入っていくとなると、関係機関との連携、これも重要な要素だと思います。警察や厚生労働省等の関係機関と連携して、これを強化するための「不法就労外国人対策等関係局長連絡会議」を設置し、不法就労等外国人の問題についての連携・協力を強化するという取組を行っています。関係機関との連携ということでは、更に不法残留者の外国人の調査・摘発。今申し上げた警察関係等の、関係機関との協力・調査。こういったものを総体としてやりながら、機運の醸成として毎年6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」と定めて適正な外国人雇用の推進について、理解と協力を得るためのキャンペーンを行う。総合的に色々やっています。しかし、相当な数に達してきているので、もう一度、内容を私もよく吟味して、整理して、やるべきことに漏れがないか、もう一度しっかりと取り組みたい。そんなふうに思っております。国民の不安に、やはりしっかり我々は対応していくという大きな使命があると思いますので、御指摘も踏まえてしっかり対応していきたいと思っております。

公証人による定款認証の見直しに関する質疑について

【記者】
 株式会社の定款申請から認定までについて、オンライン活用の幅を広げられないか有識者会議を開いて検討することになっていますが、オンライン活用をする意義や期待、今後のスケジュールを教えてください。

【大臣】
 今月11日に政府全体の取組として、デジタル行財政改革会議が立ち上がりまして、また開催されまして、その中で岸田総理から各関係閣僚に指示が下りたわけであります。法務大臣の私にも、公証人による定款認証の見直しを行うように、という指示がありました。ちょっとその部分の総理のお言葉を御紹介しますと、途中からですけれど、「この社会変革を進める上でスタートアップの活用、これも重要です。システム調達におけるスタートアップの参入機会の拡大を進めてまいります。これについては小泉大臣に、是非、創業環境の改善のため、公証人による定款認証の見直しをお願いいたします。」、こういう指示を頂きましたので、もうこれは何としても前へ進めたい、進めなければいけない。そういう思いで事務方のほうに、できる限り早期にでき得る限り幅広く検討して、この総理の指示にしっかり応えられる方針を出そうと。そういう検討作業を始めているところであります。
 中身については、まだ本当に鋭意やっているところでありますので、こうだということは申し上げられませんが、今、御質問あったオンラインの活用というのは、今、舞台がデジタル行(財)政改革ですからね。当然、オンラインの活用というのは視野に入ってきます。重要な要素として視野には入ってきます。具体的にそれをどうするかは、もうちょっと我々の検討を深めた上で、道筋が見えたところで御説明したいというふうに思っていますが、スタートアップの企業が、なかなか定款を認証してもらうのに時間が掛かる、スピードが勝負の世界で数か月掛かるみたいな、そういう御批判もありましたので、思い切ってそれを短縮するということを含めて、今、検討を進めておりますので、また遠からず御説明できる機会が来ると思います。

補完的保護対象者の認定制度等に関する質疑について

【記者】
 現行の難民認定制度と改正入管法の補完的保護制度のことで質問します。2005年以降に、異議審査の段階で難民審査参与員が導入されて、2016年に行政不服審査法が適用されて、難民審査参与員は行政不服審査法上の審理員というふうに位置付けられるようになりました。その審査結果というのは、一次審査の処分庁である入管庁自身が下して、行政不服審査会とか、そういった第三者機関への諮問や答申というのもなく、不服審査の独立性が担保されていないような、今、仕組みになっています。しかも、前回の改正入管法の国会審議では、一部の難民審査参与員で臨時班が構成されて、対面審査も行われずに大量の案件が迅速に不認定処理されていたということが明らかになって、非常に大きな問題になりました。これでは3回目以降の難民申請者の送還停止効を除外するというのはあり得ないという意見が噴出しました。
 現在、難民認定制度で、一次審査も不服審査機関も出入国管理行政から独立していないG7加盟国というのは、おそらく日本だけだと思います。国連の人権機関からも、色々独立した難民認定機関というものが求められているわけですけれども、それから程遠い状況があると。その中で今回、補完的保護制度を年内に施行しようということで、10月10日まで施行規則のパブリックコメントを法務省のほうで募集されていました。難民認定審査も補完的保護の認定審査も、おそらく入管庁難民認定室が担当されると思うんですけれど、現行99パーセント以上の難民認定申請が不認定になると。そこでまた新しく補完的保護制度の施策の規定を年内に策定するという、今、流れだと思うんですけれども、こういった一次審査の在り方や難民参与員制度の行政不服審査法上の今の不備の件については、検討されるようなお考えというのはあるのでしょうか。

【大臣】
 補完的保護対象者の認定制度について申し上げたいと思いますけれども、紛争避難民等の人道上、真に保護すべき方々をより確実かつより早期に保護するために、要件を満たす方々について速やかに補完的保護対象者と認定し、「定住者」の在留資格を付与するなどして安定的な在留を認め、支援を行う必要があるということから、(本年)12月1日からこれを施行するという形になっております。そのことも是非御理解いただきたいと思います。
 また、第三者機関の設置についての御議論の御質問がありましたけれども、現在の難民認定手続については、その他の出入国在留管理行政上の様々な手続と密接に関連しているということから、出入国在留管理庁において行うことが適当であり、独立した第三者機関を設置することは考えておりません。
 担当課の話がありましたけれども、補完的保護対象者の認定の申請に対して、一次審査は難民認定室、同申請の不認定処分が出た場合の審査請求は審判課が所管する。難民の場合と同じですね。その窓口になります。
 今のような御指摘も踏まえて、その上で、入管庁では制度と運用の両面から難民認定手続の適正性を確保し、真に保護すべき者の一層確実、迅速な保護を実現してまいりたいと思っております。
(以上)