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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年12月12日(火)

 今朝の閣議ですが、法務省案件として、三つの政令が閣議決定されました。この後、簡単に御説明いたします。また、主意書に対する答弁書が2件ありました。
 政令の件も含めて、2点御報告させていただきたいと思います。
 1点目は、12月9日(土)・10日(日)の2日間、東京国際フォーラムで第63回全国矯正展を開催しました。
 今年は国際フォーラムという大きい会場をお借りすることができて、その前は北の丸公園の科学技術館だったのですね。キャパが大きくなって、地の利も良いということで、来場者数が昨年は7,000人だったのが、今年は2万6,000人を超える方々に御来場いただくことができました。大変有り難いことであります。全国の矯正施設のほか、40の関係省庁、自治体、企業等に参加いただきまして、大変にぎやかな催しができたと思います。再犯防止に向けた矯正施設の役割の重要性を国民の皆様により深く広く理解していただく、そのための広報というのが大きな目的です。皆さん方の中にも御来場いただいた方々がいらっしゃいまして、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
 2点目は、冒頭申し上げた閣議決定された三つの政令についてであります。
 まず、「民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。昨年5月に成立しました民事訴訟法等の一部を改正する法律のうち、民事訴訟における口頭弁論期日にウェブ会議によって参加することを可能とするという改正の施行日を来年(令和6年)3月1日と定めたものであります。ウェブで裁判手続が進められるようになる第一歩だというふうに考えております。国民にとって利用しやすい制度になるよう心掛けていきたいと思います。
 また、仲裁法の一部改正法とADR法の一部改正法の施行日を令和6年4月1日に定める政令(「仲裁法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」及び「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」)が閣議決定されました。
 いずれも裁判外の紛争解決手続として、これからより大きな機能、役割を果たしていってもらいたいという期待感のもとで改正を行ったものでありまして、来年以降、こういったものの利用が一層促進されることを期待したいと思います。

危険運転致死傷罪の在り方に関する質疑について

【記者】
 危険運転致死傷罪の見直しについてお尋ねします。現状では、危険運転致死傷罪は、法定速度を大幅に上回る速度で事故を起こした場合、直線道路では適用されにくい点などの問題が指摘されていて、被害者や遺族団体からも法改正を求める声が上がっています。また、スマートフォンを操作しながらの運転にもこの罪を適用することを政府が検討しているという一部報道もありましたが、要件の見直しの必要性やその進め方について、大臣の所見を伺います。
 
【大臣】
 危険運転致死傷罪については、適切に適用されていないのではないかなどといった様々な御意見があることは承知しています。そういった御意見も踏まえて、自民党のプロジェクトチームで危険運転致死傷罪の拡充について議論が行われ、今月6日、提言案が取りまとめられました。まだ受け取っていないのですけれども、間もなく提言を法務省にも持ってきていただくということになるのではないかと思っております。
 こういった御提言、それから様々な御意見も寄せられておりますので、法務省としては、(危険運転致死傷罪を規定する)自動車運転死傷処罰法を所管する立場から、危険運転致死傷罪の在り方について十分に検討していきたいというふうに考えております。

改正民法の施行に係る無戸籍者への通知に関する質疑について

【記者】
 法務省は昨日、無戸籍問題を解消するため法務局に通知を出したとの一部報道があります。通知を出した経緯と、法務省としての今後の取組、大臣として呼びかけなどがありましたらお答えください。
 
【大臣】
 民法の嫡出推定、離婚から300日以内に生まれたこどもは前の夫のこどもと推定するという規定がありまして、この適用を避けたいと母親が思った場合は出生届を出さないということが起こり、それが無戸籍が生ずる主な原因だというふうに言われています。少なくとも(令和5年11月10日現在)775人の方が無戸籍でいるという問題を解決するための方策として、この嫡出推定制度の見直し等を内容とする「民法等の一部を改正する法律」が来年4月1日に施行されることになっています。この施行日があと4か月に迫っているので、改正法の周知を徹底するために、法務省から全国の法務局に対し、12月11日付けで通知を出しました。その中身は、改正法の経過措置でありますけれども、改正後の民法の施行日である来年4月1日より前に生まれたこどもについても、同日から1年間に限って、嫡出否認権というものがありまして、嫡出推定による父子関係を解消するための裁判手続の申立てができるんですね。今までは父親にしか認められていなかったのですけれども、母親やこどもにもそれを認めようという嫡出否認権の行使、これを施行日前に生まれたこどもについても、施行日から1年間に限って行使を認めるという点を、迅速に、かつ丁寧に関係者に周知する必要が高いというふうに考えております。
 嫡出否認権の行使の機会を逸することがないよう、法務局職員が面会するとか、書面を郵送するとか、様々な通知方法を具体的に考えていきながら、今後通知を実施していきたいというふうに思います。是非皆様方にも視野に入れていただいて、色々な場面でこういった取組についても報道していただければ有り難いと思います。よろしくお願いしたいと思います。
(以上)