大臣就任に当たっての森法務大臣訓示
平成20年9月25日(木)
この度,法務大臣に就任いたしました森英介です。一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
法務大臣の就任に当たりまして,麻生総理から,特に御指示があったことは,以下の2点でございます。
1点目は,「裁判員制度の円滑な導入をはじめ,司法制度改革を推進する」というものです。
司法制度改革に関しては,国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて,様々な取組がなされていると承知しています。とりわけ,来年5月21日に始まる裁判員制度につきましては,まだまだ国民の皆様方の中に漠然とした不安がみられるように感じます。制度を円滑に実施するには,国民の皆様方の理解と協力が不可欠ですので,一層創意工夫をこらしていただいて,具体的で,また,わかりやすい広報啓蒙活動等に全力を挙げていただくように要望をします。
また,法テラスを中核とする総合法律支援等の確実な実施や,新たな司法試験制度・法曹養成制度のより一層の充実に向けまして,関係省庁等と連携を図りつつ,最大限の努力をしていただく必要があると考えています。
また,2点目は,「安全な日本にふさわしい入国管理を推進する」というものであります。
本年末までの5年間で不法滞在者を半減するという目標実現に向けた総合的な対策が講じられているものと承知していますが,不法目的で入国しようとする外国人の水際阻止や不法滞在者の大幅な縮減対策,さらには,新たな在留管理体制の構築に関する検討等を通じまして,その達成に向け,引き続き,不法滞在者対策を強力に推進していただくことが肝要であると考えます。
同時に,政府においては,訪日外国人旅行者の受入れの促進を通じた観光立国実現へ向けた取組などの検討が進められていますが,入管当局においても,これらの要請に適切に対応して,多数の健全な外国人の迅速かつ円滑な受入れに努めるなどして,世界に開かれた安全な日本にふさわしい入国管理行政を推進していただきたいと思います。
総理から御指示があったこれらの事以外にも,治安回復のための諸対策,とりわけ,再犯防止策については,現在,法務省でも,関係機関・団体と連携を図りながら,就労支援や「自立更生促進センター構想」の推進,施設内外における処遇プログラムの充実強化等,種々の取組がなされているものと聞いていますけれども,引き続き,安全・安心な社会の実現に向け,積極的かつ効果的な再犯防止に努めていただきたいと思います。
さらに,犯罪被害者等の保護・支援のための諸施策,刑事施設における過剰収容対策への一層の取組,地図整備事業や人権擁護の推進,テロの未然防止策,刑事司法分野における国際連合等への協力,民商事分野におけるアジア諸国等への法整備支援など,法務省には,数多くの重要課題があると認識しています。
法務省の仕事は,国民生活の基本根幹となる重要なものばかりであり,法務行政の在り方一つで,国民の生活が大きく変わることもあるわけです。それゆえ,国民本位の法務行政を推進すること,具体的には,多くの国民の御意見に謙虚に耳を傾け,国民の立場,特に生活者や弱者の立場に立って任務に当たっていただくこと,また,過去にとらわれず,問題があれば見直すこともおそれないということが,特に重要であると考えています。
いろいろと申し上げましたけれども,私自身,全く専門外の分野に今まで携わっていた者でして,言わば,素人です。しかしながら,法務行政といっても,基本は,コモンセンスであるというふうに考えていまして,やはり国民の立場でもって,国民に理解していただくような姿勢が一番大事であるというふうに考えていますので,そういう意味合いにおいて,私も素人ゆえの自分の持ち味を発揮させていただきたいと思いますし,また,そのために皆様方の忌憚のない御意見,御教授を賜りたいというふうに思います。立場,職種を越えて,これから遠慮なく,いろいろなことを私に御意見を聞かせていただければ幸いです。いずれにしましても法務大臣という極めて重い責任を懸命に果たしていく覚悟ですので,皆様方の絶大なるお力添え,また,御支援を心からお願いをしまして,就任の挨拶とします。どうぞ,よろしくお願いします。