法務大臣閣議後記者会見の概要(平成21年9月11日(金))
平成21年9月11日(金)
おはようございます。
【新司法試験に関する質疑】
Q:昨日,新司法試験の4回目の合格発表が行われまして,2043人の合格が公表されました。この数字が,2010年ころには年間3000人を合格させるという政府の閣議決定とかなり乖離した数字で,その傾向は昨年も同様でしたけれども,ますます広がっているのではないかという指摘だとか,これからも合格率がこのように下がり続けるのであれば,かなり法科大学院側も懸念されるところなので,大臣の側から今回の成績の結果発表について,閣議決定との乖離なども含めて,お考えをお聞かせください。
A:基本的には,司法試験委員会において法曹となるべき能力の有無を判定するという観点から,適切に合格者が決定されたと考えています。合格者数の目安ですけれども,確定的な合格者の予定数ではなくて,司法試験の合否は,あくまでも受験者が法曹となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有しているかどうかに基づいて判定されるものであろうと思っています。司法試験委員会においてもこの目安を示すに当たって,「ここで示す合格者数の概要は,実際の試験結果に基づいて当然変動する性質のものである。」ということを述べているところでありますので,先ほど申し上げたように,結論として言えば,法曹となるべき能力の有無を判定するという観点から適切に決められたと思っています。ただ,そうは申しましても,今年の新司法試験の結果,合格者数が昨年を下回っており,合格率が極めて低い法科大学院があるということは事実です。法科大学院は新たな法曹養成制度における中核的な教育機関ですので,適正な入学者の選抜,理論的かつ実践的な教育並びに厳格な成績評価及び修了認定を通じて,法曹に必要な学識及び能力を備えた法科大学院の修了生を養成することを目的としているところですが,にもかかわらず,こういう現状になっているということは,法科大学院がその目的を十全に果たしていないということは言えると思っています。これまでも申し上げているとおり,法科大学院の現状に関しましては,その数や学生定員が,制度設計時の想定を超えており,教育内容や水準にもばらつきがあるとの問題意識を持っています。今回の新司法試験の結果も踏まえまして,教育成果の上がっていない法科大学院につきましては,教育の体制や内容の改善に一層真剣に取り組んでいただきたいと思っています。法務省としましても,文部科学省等の関係機関と連携して,法科大学院の教育の改善に協力していきたいと思っています。
Q:昨年,合格者がゼロだったところが3校ありました。今回は,一応全部の学校で合格者が出ていますし,ゼロだったところも数人の合格者を出しているのですけれども,この結果というのは,例えばそれなりに学校の教育の質が上がったとか,そのような評価というのができるものなのでしょうか。
A:それはそういうことも言えると思います。現に既に文部科学省等と協力して,いろいろ法科大学院とも協議を重ねていまして,実際に定員の減少,削減をしているところもあるわけですけれども,ただその効果が出てくるのは2,3年後ですので,あまり今の時点で即断をしていただかない方が良いのではないかと私は思っています。
Q:来年度から一応,できれば1000人規模の定員削減をすべきでないかという,文部科学省側からもそうですし,法科大学院協会がやっているアンケートなどでもそのような結果がまとまりそうなのですけれども,しかしながら,このように低い合格率だと,どれだけ減らしても,ではどのくらいその合格率に近づくことができるのかという見込みがなかなか立たないと思うのです。一方で教育は文部科学省ですけれども,司法試験の合格者の数というのは,やはり法務省が決められることですので,これは連携方法もありますし,法務省と文部科学省のこれからの協議というのはどのようになさるのでしょうか。
A:既にそういった改善努力がなされているところであって,まだ2回か3回の卒業生でもって,この制度そのものについて即断することは早計だと思うのです。ただ,やはりそういった努力というのはなお続けていかなければなりませんし,3割と言いますけれども,卒業年次全体,累積で見ると2人に1人,約5割は入っているのです。ですから,さらに一層努力をすることは必要ですけれども,だからと言って,今の状況は必ずしも誠に不適切とは私は思っていません。
Q:閣議決定の3000人という数字はあって,一方でこの間,法曹の質がやはり低下しているのではないかという,これは根拠とされてきたのは,例えば司法修習の最後で行われる二回試験での不合格が相次いだとか,または弁護士の就職難とかも言われていたのですけれども,これが3000人という数字を抑制させているとか,そういったお考えはないのでしょうか。
A:法曹に対する需要の多様化とか増大という意味から,法曹人口を拡大しなければいけないというのはコンセンサスだと思うのです。ただそれをどの程度どうすれば良いかということは議論の余地のあるところであって,少なくとも今においては,閣議決定に掲げられた目標をこの時点でもって変更する必要性というのは私は感じていません。ただ,先ほどから申し上げているとおり,法曹の質を確保しなければいけないという観点から,なかなか閣議決定に掲げられた目標の達成は容易でないということは,今かなり明らかになってきているところです。こういった目標については,引き続きましてその目標としてそれに近づくように努力をするということが妥当であろうと思っています。ただ,それと今おっしゃった就職難とか,そういったことも本来想定していた法曹の需要に十分にまだ応えられるようなことになっていないということ,例えば民間企業とか,そういうところの門戸がまだ広がっていないということですから,そういった司法制度改革の中の一環として,社会の意識も変えていかなければいけないのだと私は思います。だから,それを必ずしも法曹人口が増えてきたためにそういったひずみが生じているばかりでもないのではないかと思います。
Q:法科大学院側も,それぞれ定員削減,教育内容の改善に努めているとは思うのですが,当初から74校という数は多すぎるのではないかという話もあって,特に定員を減らす努力というのはもちろん必要だと思うのですけれども,そもそも今の74校体制というのが適切かどうかということについては,大臣としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
A:個人的には同感ですけれども,しかし,やはりそれはあくまでも国から数を減らせとかそういうことは言える筋合いのことではないと思います。それぞれの大学院の自主的な判断によらなければいけないと思います。
【広島少年院に関する質疑】
Q:広島少年院での暴行事件の,4人の法務教官について免職処分が出ているのですけれども,これに関連して昨日これからの方策だとか,いろいろ発表されました。この件について大臣はどのように感じていらっしゃいますか。
A:御指摘の事案に関しましては,昨日当時の広島少年院長等の監督職員合計5人及び関係職員合計12人に対し,停職から厳重注意までの処分を行ったとの報告を受けています。このような多人数の職員を処分するに至ったことは矯正行政に対する国民の信頼を著しく損なうものであって,誠に遺憾に思っています。特に,明らかな兆候が認められたにもかかわらず,それをきちんとくみ取って対処できなかったところなどは,大いに反省をしなければいけないのではないかと思っている点であります。矯正局に対しましては,こうしたことが再び起こらないように,再発防止策の徹底を図り適正な施設運営に万全を期するように指示したところであります。
【予算執行に関する質疑】
Q:総選挙後の予算の執行の凍結に関して,地方自治体などから不安の声がかなり相次いで今週も出てきているのですが,現時点で大臣が把握されている,総選挙後に政権交代を見据えて法務省として予算の執行を一時停止しているような事案というのはございますでしょうか。
A:延期しているアイテムはあります。
Q:具体的にどういったことでしょうか。
A:パソコンとかテレビの購入とか,そういったことについては一時留保しているということであります。
【政権交代後の法務行政に関する質疑】
Q:民主党の新しい政権の顔ぶれというのが徐々に決まり始めているという状況の中で,これまで政治家として死刑執行に反対である政治家とか,党として死刑に対して非常に疑問を持っている党の代表なども閣内入りするというような情勢なのですが,法務大臣に就任するということとは別に,閣内にそういった意見のある人たちが入っていくこと,これが死刑に関してのみならず,今後の法務行政にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。
A:どういうふうになるか分かりませんが,私は私なりの考えがありますけれども,考えの違う方が政権を担われるその一角に入るということであれば,その方のお考えによってこれから法務行政が司られるのだと思います。私から云々することではありません。
【公訴時効に関する質疑】
Q:一昨日,公訴時効の関係で「宙の会」が政権交代を踏まえて,改めて撤廃に向けての要望を声明として出したのですが,大臣としては公訴時効問題についてどのように引き継がれるお考えでいらっしゃいますか。
A:私の在任中の勉強会とか検討チームでもって一定の結論を出して,公訴時効の問題について一つの方向性を明らかにしたところであります。それでもって,なるべく早めに法制審議会にお諮りするというところまで決めたわけですので,願わくば,その方針を踏襲していただきたいと思いますけれども,それもやはりこれからの政権を担う方のお考えであります。
(以 上)