法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年2月23日(火)
おはようございます。
選択的夫婦別姓に関する質疑
【記者】
選択的夫婦別姓について,法務省政策会議で提示された民法改正案の概要では,別姓を選んだ夫婦の子供の姓は統一するとしています。民主党が野党時代に国会に提出してきた議員立法では,子供の姓は出生の際に父母が協議をして定めるとしていて,兄弟姉妹の姓が異なることを認めていました。今回は,平成8年の法制審議会の答申に沿って子供の姓を統一しましたが,その理由について御説明いただけますか。
【大臣】
私は,議員立法の法案策定などに携わってきましたので,子供の姓をそれぞれ出生のときに決めるという方法も一つではないかということは考えていましたし,考えられることだと思います。一方,法制審議会では,多角的な御議論の中から,子供の姓は統一をするという答申を出されていました。いろいろと検討をしてきましたが,多くの皆様からの御意見や,世論調査等を見ますと,やはり子供の姓は統一をしている方が,何か安定するのではないかという御意見も大変多くありますので,多くの皆様の御納得をいただくという意味では,子供の姓を統一をするということでまとめをさせていただきました。
公訴時効の見直しに関する質疑
【記者】
時効見直しに関し,法務省政策会議で提示された刑事訴訟法改正案には,民主党が衆議院議員選挙の政策集で掲げた時効中断制度が盛り込まれていないことについて,党内の一部からも不満の声が出ています。民主党の掲げた時効中断制度と比べて,今回法務省が提示した時効の廃止と延長を組み合わせた案の方が,どのような点で優れているとお考えでしょうか。
【大臣】
これも,時効を見直そうという中でそれぞれに意味のある御意見だと私も考えています。ただ,運用に当たってどうかということを考えてみますと,中断という方法ですと,不公平が生じるということもあり得ますし,それからやはり一番難しいのは,時効の中断についておそらく裁判所等で証拠の存在等を含めて,判断をいただくということになるのだと思いますが,これを裁判所に判断していただく,あるいはするということには困難もあるのではないかと思います。また,それは事前に証拠等を何らかの形で開示をすることになるわけですので,事前に心証形成につながるということなどにもなりかねないわけでして,その意味では,時効の中断というのは一つの貴重な考え方だと私は今も思いますが,やはり実質的に運用などに当たることを考えますときには,時効の延長,廃止という形で統一をする方が公平性にもかなうのではないかと考えています。
【記者】
法務省政策会議での一部議員の反発がここ何回かずっと続いているのですが,それは,政府が示そうとしている案と,民主党がこれまで考えてきた案のそれぞれの発想が,根本的に違うということにあると思います。今の大臣の話ですと,やはり,法制審議会がまとめた案の方が,より実務上は良いであろうということであり,最終的には民主党の同意が得られなくても,政府としては法案を提出するというお考えなのでしょうか。
【大臣】
時効の中断論等では,例えば被疑者の防御権等が損なわれるのではないかという懸念もありました。そのようなことを考えますと,そこは十分に考慮しなければいけないということもありますので,どのような形でその部分を防いでいくかということなども併せつつ,合意といいますか,御理解,納得をいただく努力をさせていただいているという状況です。
【記者】
そうしますと,政府案についても,防御権の観点から修正を考えないでもないというお考えですか。
【大臣】
修正ということになるか,あるいはいろいろな運用上の形で何かできることもあるかもしれませんし,今そのような問題も最終的な意見交換を続けているという状況です。
【記者】
そのような異論がいろいろある中で,実際の改正のタイミングというか,時期としてはいつくらいを目標として考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】
異論といいますか,御意見は,私も十分に理解できる問題提起でもあるわけですので,そこは,できるだけその意見が実質的に納得いただけるように検討し,そして,議論をこれからも煮詰めていきたいと思っていますので,それを踏まえてできるだけ早く提案をできるように,努力を最終的にさせていただいているということです。
会社法制の見直しに関する質疑
【記者】
明日の法制審議会総会につきまして,会社法制の見直しの諮問に関する一部報道がありましたが,諮問の方向性や想定される改正の形,それから,改正法案の国会提出時期について,大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】
諮問の内容といいますか,方向性,あるいはどのような答申をいただけるものかは,これから御議論をいただくということですが,基本的には企業結合法制,あるいは企業統治の在り方ということが大きな問題点になろうかと思っています。ただ,もう一つよく言われていますように,公開会社法という検討の中で御提起をされている情報開示のような問題もあります。これは国際企業会計の方向性が必ずしもまだ見えていないことから,この諮問では直接触れていませんが,今やはり企業が多数の利害関係者,そして社会的な存在として,大変重要な存在となっていますので,そのような問題も,あとから少し方向性が見えてくれば,また諮問に追加をさせていただくなり,あるいはその議論の中でそのような問題も取り上げられるということもあろうかと思っています。これは当然のことながら,金融庁等にもこの御議論の中で関わり,加わっていただいて問題を議論していくということになりますので,当初の諮問については,企業統治と企業結合法制についてということでお願いをしたいと思っております。その意味では,まだまだ議論も相当深めなければいけないところであろうと思いますので,どの程度の期間で結論を出していただくかは,必ずしも後ろを区切っているわけではありません。
長崎県知事選挙の結果及び国会審議に関する質疑
【記者】
長崎県知事選挙で,与党が推薦する候補者が敗れたことに関連して,鳩山総理や小沢幹事長から,政治と金の影響があったというような発言が相次いでいますが,大臣はどのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。
【大臣】
昨年の政権交代で新しい政権がスタートしてから,ちょうど半年近くになるわけですが,最初の大きなうねりが,ある意味では一段落し,これから少しづつ政策というのが現実化していくという,ちょっと中休みの時期なのかという感じもします。ただ,政治と金という問題が全く影響なかったかといえば,私もそういうことはなく,何らかの影響があっただろうと思います。やはり,民主党はそのようなところにこれまで非常に厳しく当たってきた,それから自由闊達というか,そのような雰囲気があり,このようなところにも期待があったと思いますので,いささか皆様が大丈夫かという気持ちを抱かれたこともあるかもしれません。
【記者】
自民党は民意が示されたということで,昨日から国会での審議を拒否していますが,それに関してはいかがでしょうか。
【大臣】
これは一つの選挙ですので,全く民意ではないということはないと思います。それぞれの皆様の気持ちをお示しした民意だと思いますが,それが必ずしも国政に関する民意のすべてだとは思いません。ただ,一つの地域であっても,思いがあるのだということは重く受け止めていかなければいけないとは思います。
【記者】
自民党の審議拒否についてはいかがでしょうか。
【大臣】
今,多くの皆様が求めておられるのは,早く経済や生活に関連をする政策を着実に進めてほしいということであろうと思います。政治と金ということについては,これは我々が率直に真摯に受け止めるということではありますが,その意味では,いささか残念だという感じがします。
【記者】
今の民主党は,自由闊達な雰囲気がかつてに比べて失われているというふうに大臣は御認識されているのでしょうか。
【大臣】
確かにこれまで野党ということもありましたので,それぞれが一人一政策ではありませんが,それぐらいに政策作りをしたり,あるいは議員立法などをしてきたというような活力みたいなものもあったのではないかと思います。政権を担って責任のある役割を果たすということになったときに,その良さをどうやっていかしていくかというあたりも,一つの問題なのかとは思います。
政策会議の在り方に関する質疑
【記者】
今日,政策会議の在り方について,民主党側と政府側とで会合が持たれるということなのですが,それに関連して,大臣は政策会議の今の在り方,これからどのようなことが望まれるかということで,御所見いただけますでしょうか。
【大臣】
お尋ねのとおり,この件は政府と民主党の方で検討するということでもあります。政策会議は基本的には政府与党一体となって,そして政策については政府が責任を持って決定をし,進めていくということでもありますので,基本的に政策会議は,これまでの形を維持をしていくということが筋なのだろうと思います。ただ,政策について国会の側で議員が全く関わりを持たない,持てないということも考えてみれば変な話ですので,そこをどうやって,良い意味で国会の側からの御意見等の提起を受け止められる仕組みを作ることができるのかということではないかと思っています。