法務大臣閣議後記者会見の概要(平成21年12月1日(火))
平成21年12月1日(火)
おはようございます。
【ハーグ条約に関する質疑】
Q:ハーグ条約に関連する質問なのですが,政府は今月からフランスの大使館とハーグ条約の関連で協議会を立ち上げて,今後について話し合いをするということが一部報道で出ています。改めて法務省としての今の取り組み状況と,今後どのようにしていくかということについて,大臣のお考えを聞かせてください。
A:今お尋ねのありました協議会ですが,これは私が承知をしているところでは,子供の親権に関する連絡協議会というものであると伺っています。外務省でフランスと協議をする場ということのようですが,法務省はそのメンバーではありません。また,私が理解をしているところでは,必ずしもハーグ条約に関連して設置されるものではないと承知をしています。そのようなものであるということを前提にしながら,ハーグ条約につきましては,これまでもお話をさせていただいているように,国際的にも大変関心も高く,そして日本にとっても重要な課題であると私も受け止めています。ただ,これも常々申し上げますように,それぞれの国の子供に関する,家族に関する法制が異なるとか,あるいはとりわけDV被害などを受けておられる皆さんなどは,大変これによって懸念を持たれているという状況もありますので,環境整備あるいはそのためのいろいろな法的な,あるいは法的ではないにしろ,環境整備というものが必要なのではないかと考えていまして,大変重要な課題であることを認識しながら,是非そのような問題・懸念として残る内容を検討してまいりたいと思っています。
【最高裁判決及び個人通報制度に関する質疑】
Q:昨日最高裁で,ビラ配りをめぐる判決が出たかと思います。マンションにビラを配布したことが刑事罰に問われて,これで有罪が確定するということになるわけですが,一方で市民の表現の自由を萎縮させるのではないかという懸念もあります。個別の判決ではあるのですが,改めて,表現の自由をめぐるこの裁判の結果について大臣としての受け止めをお願いします。
A:今すでに御指摘がお話しに出ていましたように,個々については裁判所の判断ということでもありますので,私からコメントをするという立場にはありません。それとは全く別に,表現の自由は憲法で保障されている人権,基本的な人権の中でも基本の中の基本のようなものですので,それについて,もちろん尊重されるべきであるし,そしてそのような社会でなければいけないということは当然だと思っています。
Q:昨日敗訴した原告あるいは弁護団が,この先について個人通報制度というものに頼って,今後はそのような制度があれば活用していきたいということを発言されているようです。大臣はマニフェストに入っている個人通報制度については実現を目指すという方向だと思いますが,今後の取り組みについて改めて伺いたいと思います。
A:そのような考え方をお持ちだということは,私も直接お聞きしているわけではありませんので,それは別にしまして,一般的な話とすれば,個人通報制度は,私もマニフェストでお約束をした課題でもあり,是非実現に向けて着実な取り組みをしていきたいと考えています。今外務省が中心となった研究会も,この間積み重ねられていると承知をしていますし,そこでの問題もかなり精査をされ,そして煮詰まってきていると承知をしていますので,あとは批准をすることによってどのような体制を整えておかなければいけないのか,そのようなことをあわせてできるだけ議論を煮詰めて,批准の時期を是非迎えていきたいと思っています。
Q:外務省が中心の研究会で議論を積み重ねているとのことですが,もう少し詳しく,差し支えなければその進み具合と,今後いつごろを目途にというスケジュールみたいなものを法務省としてはどう受け止めていらっしゃるのか分かれば教えてください。
A:この研究会は相当回数を重ねてきているという報告をいただいていまして,ほぼ論点といいますか,そのような問題は整理をされてきているのではないかなと思ってはいます。ただ申し上げましたように,批准をするとなれば,どのように受けるのかとか,あるいはそれに対してどのような問題点があるのか,問題があったときにどのような形で解消をしていくかということもありますので,なかなかいつというところまで確定はできるものではありませんけれども,できるだけ,早く方向は出していくことができたらと願っています。
【難民制度に関する質疑】
Q:10日ほど前になるのですが,11月19日と20日にグテーレス国連高等難民弁務官が来日されました。多分大臣もお会いになられていると思うのですが,20日に記者会見がありまして,国際的な日本政府とNPOの難民支援の役割については敬意を払いつつも,国内の難民制度については,難民申請者の収容ですとか,強制送還の問題,それから裁判の機会を奪ってはならないという問題,あるいは出身国によって公平さを欠く難民認定や難民在特の問題などもかなり痛烈に指摘をされていました。そのことについて,大臣はどのように受け止めていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
A:日本の今の難民の問題について,大変評価もいただきました。そして今後第三者定住の問題などもあり,是非積極的に取り組んでほしいというお話でもありました。ただ一方で,そのような御指摘をされているということも聞いています。それが,きちっとした情報に基づいて全て御理解いただけていたかどうかということは,私も少し御説明などが足りないところもあったかと思いますが,その御指摘等はまた改めて受け止めて,できる限りやはり,日本の難民政策,国際的にも信頼をいただけるような,そのような方向に私もしていくことができたらと思っています。
Q:入管の統計として,今年の11月現在で300人を超える難民申請者が入管施設に収容されています。なおかつ,その中には拷問等禁止条約の送還禁止規定,前回の入管法の改定でもそのことは明文化されましたが,そのような出身国に該当する方も長期間収容されている方もいらっしゃいます。仮放免ですとか在特の問題ですと,制度の見直しまでいかなくても,運用の見直しでいろいろ状況が変わってくると思うのですが,今後そういった運用の見直しですとか,それに対して政府で検討チームを作るなど,具体的な対策は何か考えていらっしゃるでしょうか。収容や送還の問題はやはり緊急を要する問題だと思うのですが,それについてお考えをお伺いしたいのですが。
A:これについては個別,十分な事情等を総合的に判断をして対応をしているのが実情です。一方では退去強制手続も並行して進んでいくので,そのような中で本当に難民としての保護が必要かどうかということも判断をしながら総合的に対処をしているということです。それについて,できる限り難民の救済にきちっとした適切な対応をとっていくということは,いつも念頭に置かなければいけないと思っていますが,特に大きな何かシステムを検討するとか,そのようなことは今直ちに考えているものではありません。
Q:運用はどうでしょうか。
A:運用については今申し上げましたように,個々,十分に検討を加えながら一つ一つ対処をしているということですので,その運用の精度といいますか,そのようなことを改めて上げていくということは当然だと思いますが,何かこれまでの運用と違った運用を特段考えているということはありません。
Q:検証のチームとかを作る予定はないですか。入管全般で難民だけに限りませんが。
A:そのようなことはしていませんが,常々政務三役の下で運用について,あるいは一つ一つの案件についても十分に精査をさせていただいているという状況です。
【裁判員制度の広報に関する質疑】
Q:昨日行政刷新会議が開かれまして,仕分けの対象は基本的には支持するという形で,復活させる場合には政治判断で国民に分かりやすい説明をという意見を出されました。見直しの対象となった裁判員制度の広報費用についてなのですが,これまでの仕分けを受けたあとの検討の状況とか,今後どうしていくのかということを,昨日の会見を踏まえて,今一度大臣の考えをお聞かせ下さい。
A:この間の仕分けの中でも御指摘をいただいていますのは,むしろこれからは調査とか,実情の把握とか,そのようなことについては十分にやるようにといいますか,否定されているものではありません。一般的な啓蒙ということでは確かに十分に随分浸透してきているものだと思いますが,やはり個々に見ますとまだまだ内容とか,あるいは躊躇をするというような声も多々ありますので,できるだけ今度は一般的な広報というよりは少し皆さんに積極的に,なぜ参加ができないのかと,あるいは消極的なのかということなどの調査なども含めながら,より効果的な広報ということにつなげていきたいと,そのような形でまた見直してみたいと思っています。
Q:見直した上でもう一度,概算要求するのですか。
A:これまでの一般的な広報という意味ではなく,必要な新たな形での情報の提供や広報などを求められているのだろうと思いますので,そのような観点で検討をしたいということです。
【法教育に関する質疑】
Q:大臣から以前お話もありました法教育の出張授業が先々週と先週とに2校行われました。大臣も御報告を受けられていると思いますが,実際に始まってみての改めて今後の取り組みへの思いなど,そのあたりのことをちょっとお聞かせいただきたいのですが。
A:まだ詳細な報告は受けてはいないのですが,いずれにしても社会の中で一人一人がきちっとした法的な力を持って,様々な被害に遭わない,そして自らの権利を自らも守っていくということ,ひいては社会全体に,お互いに公平公正な立場で存在をしなければいけないということを是非身に付けていただくことが大事だと思います。なかなか,どこまで活用いただけるかというのはあるのですが,まず私の方では,積極的にそのような法教育を受けていただいたり,あるいは私たちがお手伝いできることであれば積極的にお手伝いをして,社会が法の下に平等で対等で,そして一人一人が被害に遭わない安心な社会につなげていけたらと思っています。
(以 上)