法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年1月12日(火)
今日はちょっと異例な時間になりましたが,よろしくお願いします。
法務大臣訪韓に関する質疑
【記者】
先週,6日から8日まで韓国に訪問されて,取調べの可視化のことを視察されてきたと思うのですけれども,視察を終えての感想と,今後の議論とかスケジュールに与える影響についてあればお願いします。
【大臣】
6日から8日の間で韓国に視察をさせていただきました。私も改めて認識をさせていただいたことも多々あった,収穫のある視察であったと思っています。韓国の方でも,取調べの録音録画によって,やはり取調べの透明度が高くなった,あるいは,捜査の信頼性が大変高まったというような評価をされていました。ただ,導入の背景については,多少日本と異なる点があるようで,日本では冤罪の防止というような観点から声が高まっているということがあります。韓国においては,裁判での証拠能力を持った証拠をどう確保するかというような観点で,取調べの録音録画が大変積極的に導入をされてきたという背景があると,今回の視察で理解をしました。多少,いろいろな問題をまだまだ整理しなければいけませんが,こちらの勉強会にも報告をして,問題の整理の一助にしていきたいと思っています。これによって,日程が大きく変わることはないと考えています。積極的に,確実に勉強を重ねて,適切な時期に提起をすることができるようにしていきたい,これはこれまでと変わるものではありません。
夫婦別姓に関する質疑
【記者】
夫婦別姓を巡る民法改正案についてお伺いします。大臣は,以前から,次の通常国会に向けて,法案提出に意欲を示されていますが,具体的な調整もそろそろ進めないといけない段階にきていると思うのですけれども,どういう形で進めていかれるのでしょうか。
【大臣】
これは,これまでも申し上げていますように,法制審議会などの議論をすでに済ませて,いつでも提起をさせていただくことができる状況になっていますので,いろいろな御意見がありますけれども,皆様に納得いただくことができるように,より一層努力をしていくということでして,どことどう調整するということよりも,やはり,いろいろな御意見を持っている皆様に理解をいただく,納得いただくという努力をこれからも重ねるということに尽きると思っています。
外国人参政権に関する質疑
【記者】
永住外国人に対する地方参政権の付与に関してですけれども,昨日官邸で開かれた政府と民主党との首脳会議の中で,内閣提出法律案で通常国会に提出しましょうということで合意があったということですけれども,そもそも,大臣は,民主党の議員として,地方参政権付与に関する議員連盟の副会長もされていらっしゃったと思います。地方参政権付与に対する大臣御自身の考え方と,内閣提出法律案で提出することが適当であるのかどうか,この2点をお願いします。
【大臣】
私も,日本の地域生活者,住民として生活をされているという皆様に,一定地域のいろいろな活動に参加をいただくということを考える必要があるということで,一定の枠の中で参政権といいますか,そういうものを付与するということは必要なのではないかという考え方を持っていました。今,議論がその方向になってきているということは私自身は評価をできるものだと思っています。従来から,与野党を超えたいろいろな御意見があることでもありますので,国会で十分に議論をして,立法機関として検討するというのが一つの方向かなと思っておりましたが,今政府として提出を検討するという方向になってきているようですので,私も,それに従って対応を取っていきたいと思っています。
本日の閣僚懇談会に関する質疑
【記者】
今日の閣僚懇で,特別会計の見直しが議論になったと思うのですけれども,法務省としては登記特別会計を持っているという中で,どういう形で見直しの議論を進めていかれるのか,大臣の考えをお願いします。
【大臣】
今日特に,それが中心の話題になったということではありませんが,特別会計の見直しというのは,大きなテーマでもあります。登記特別会計は終了することになっていますので,淡々と幕を下ろさせていただくということです。
【記者】
今日の閣僚懇に関連して,特に特別会計が中心の議題ではなかったということですが,差し支えない範囲でどのようなことが議題になり,法務省としては何か示されたのか,特になかったのか,内容について御説明いただければと思います。
【大臣】
今日は,今後重点的・積極的に進めていく課題につき,それぞれがどのようなものを持っているのかということを,お互い意見交換をしたということです。特に省庁をまたがったり,あるいは連携を図るべき問題もありますので,そういうことをお互いに理解をし合うということが大事だということだったのではないかと思っています。私の方は,当然ですけれども,これまで皆様にお示しをしているような課題を,これからも積極的に進めていくこと,例えば再犯の防止のような安心安全な社会に向けた取組み等があります。これまでも連携をさせていただいていますけれども,厚生労働省とか経済産業省は就労の問題等がありますので,こういうことについてはこれからもより一層緊密な連携を図らせていただきたいということ等を申し上げて,お互いの理解,認識を新たにしたと思っています。
幹部人事に関する質疑
【記者】
総務省で,総務大臣が昨年の7月に就任したばかりの事務次官を交代させるという動きがあるのですけれども,法務省では幹部の人事を交代とか一新させるとかそのようなお考えは今のところお持ちでしょうか。
【大臣】
特段ありません。
性同一性障害の親のもとに生まれた子に関する質疑
【記者】
兵庫県で性同一性障害で女性から男性に変わった夫と,妻との間で生まれた子供について,嫡出子とは認めないということで,法の下の平等に反するのではないかという声が上がっていますけれども,そのことに関して,法務省としてのお考えと,今後その批判の声にどのように答えていくのか,法整備とか含めてどのように考えているのかお聞かせいただけますでしょうか。
【大臣】
私も,少し認識が不足をしていたのかなと思います。というのは,性同一性障害の特例法については,私も国会での立法化作業に参加をさせていただいていました。特例法を作るに当たって,このような例は必ずしも想定を十分にしていなかったということもあったかと思っています。そういう意味では,このような問題提起をいただいたということもあり,運用でできるのか,解釈等で可能なのか,あるいは法的な措置が必要なのかということ等も含めて,これは少し検討をさせていただかなければいけないと思っています。できるだけ早急に議論をし,検討したいと考えているところです。
【記者】
現状のままの対応ではいけないという御認識をされているということでしょうか。
【大臣】
そうですね。私もいささか,このままでは問題ではないかと認識しています。これまで認識が多少足りなかったというか,予測をしていなかったということもありますので,遅きに失するところはあるかもしれませんけれども早急に改善といいましょうか,そういうことに取り組んでいきたいと思っています。
【記者】
嫡出子として認めるべきだということでしょうか。
【大臣】
そこは少し検討しなければいけないと思います。
【記者】
今の法の中では,今回のようなケースを嫡出子として認めるのはなかなか厳しいということでしょうか。
【大臣】
今の民法の下で,性同一性障害ということは別にして,一般的な中では,一定の解釈で認めている部分があると思いますので,そういうものと比較といいますか対応するとすれば,これだけをだめと言っているのは多少差別といいますか,少し無理があるのかなと,認識をしています。そういう意味では法整備が必要なのか,あるいは解釈をもう一度整理をし直すということで対応するのか,その辺はこれからできるだけ早く検討・議論をしなければいけないと思っています。
【記者】
この検討するということは,自治体,例えば兵庫県宍粟市などに対して,これまでに嫡出でない子として扱いなさいと指導をしたことは,一度撤回するということなのでしょうか。
【大臣】
指導したというか,今の解釈の中で適用をしてきたということだと思います。ですから,その性同一性障害の方の特例を受けて,そういう場合にも法の同じような適用ができるのかどうかということを,もう一度整理をきちんとしていきたいということです。これまでのことが間違いだったということかどうかは,なかなかそこまで確たることは申し上げられませんけれども,ただ,やはり同じような扱いをむしろすべきなのではないかということで,でき得れば見直しも含めて検討をしたいということです。
【記者】
質問の趣旨は,現に出生届が出ているわけですので,その検討は検討でやるということは,出ている出生届に対しては,その検討している間は答えを出さないということなのか,一旦出した答えを引っ込めるのか,そこの部分をお聞かせいただきたいのですが。
【大臣】
そこは今すぐにそれを指示できるかどうか,分かりませんけれども,できるだけ早く結論を出したいと思います。
【記者】
省内ではどのような指示を出されたのでしょうか。大臣から,例えば各地の事例をもう一度全部集めるとか,あるいは,こういう検討をすぐ始めてくれとか。
【大臣】
今,政務三役の下で,今日も取り上げて,直ちに議論をして,検討しましょうと合意をしたところです。
【記者】
それは政務三役の中で,そういうことをしようということでしょうか。
【大臣】
それを事務方に,議論をきちんとしましょうと,指示をしたということです。
【記者】
現在,法務省で把握されている同じようなケースが全国に6件あるようですが,この6人のケースについて,見直し・検討をした上で救済をするということも当然検討対象となってくるのでしょうか。
【大臣】
これまではそれぞれのケースで,子供さんに対する扱いを御当事者も納得をされたかたちで届けをされているとは聞いていますが,そこはもう一度どういう経緯だったかということは確認をしたいと思っています。
法曹人口に関する質疑
【記者】
法曹人口の3000人の目標を見直す方針を固めたという一部報道がありましたが,実際のところどうなんでしょうか。文部科学省との懇談会の件かと思うのですけれども,法曹人口の見直しのお考えというのは政府内もしくは法務省内にあるのでしょうか。
【大臣】
今,3000人の閣議決定を見直すということは全く決めていませんし考えていません。ただ,法曹養成全体についてはいろいろな御意見も出ていますし,文部科学省と協力をしながら検証作業をスタートさせるということで,今ほぼスタート直前になっていますので,法曹養成全体について検証し,その中で見直しが必要だということになれば,いろいろな議論が出てくるのであろうと思っています。
【記者】
その中で,見直しが必要だというのはロースクールの在り方であるとかそういうことをイメージされているのでしょうか。
【大臣】
基本的にはそういうことです。