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法務省政策評価に関する基本計画



 行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)第6条の規定に基づき,法務省政策評価に関する基本計画を別紙のとおり定める。





(別紙)



法務省政策評価に関する基本計画




 政策評価制度は,各行政機関がその所掌する政策に関して自ら評価を行い,その結果を公表するとともに,これを政策の企画立案や,これに基づく的確な実施に反映させることにより,国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を徹底し,国民本位で効率的な質の高い成果重視の行政を実現することを目的とするものである。
 法務省においては,総務省から示された政策評価に関する標準的ガイドライン(平成13年1月15日政策評価各府省連絡会議了承。以下「ガイドライン」という。)を踏まえ,法務省政策評価実施要領(同年3月22日総務課長会議申合せ。以下「実施要領」という。)等を策定し,同年4月1日から,政策評価を実施してきたところである。
 この法務省政策評価に関する基本計画(以下「本基本計画」という。)は,行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号。以下「法」という。)第5条の規定に基づく,政策評価に関する基本方針(平成13年12月28日閣議決定)を踏まえ,ガイドラインを踏まえた法務省の政策評価の枠組みに代わるものとして定めるものであり,法務省の政策の特質等に応じた適切な政策評価活動が行われるよう,基本とすべき計画を明らかにするものである。




 計画期間
 本基本計画の計画期間は,平成14年度から同16年度までの3年間とする。
  政策評価の実施に関する方針
(1 ) 評価の対象
 法務省は,基本法制の維持及び整備,法秩序の維持,国民の権利擁護,国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国の公正な管理を図ることを任務としている。
 政策評価は,原則として上記任務を達成するために実施する政策全般について行うものとするが,法務省の任務が司法権との接点にあることなど,その所掌事務の特性を踏まえ,次に掲げるものは,政策評価の対象とはしないものとする。
  ア  個々の事件における検察権行使
  イ  訟務の事件処理,登記官・供託官の個々の権限行使等,行政課題に対応するための目的に照らして,ある程度のまとまりになっていないもの
  ウ  独立行政委員会である公安審査委員会の所掌事務
  エ  諮問を受けて調査審議,資格審査等を行う審査会の所掌事務
 (2 ) 政策評価の具体的な実施対象については,評価の実施体制,業務量及び緊急性を勘案しつつ,重点的かつ計画的に定めるものとする。
 なお,評価対象の単位は,政策とし,具体的には次に掲げるものをいうこととする。
  ア  狭義の政策
 特定の行政課題に対応するための基本的な方針の実現を目的とする行政活動の大きなまとまり
  イ  施策
 上記アの基本的な方針に基づく具体的な方針の実現を目的とする行政活動のまとまりであって,狭義の政策を実現するための具体的な方策や対策ととらえられるもの
  ウ  事務事業
 上記イの具体的な方策や対策を具現化するための個々の行政手段としての事務及び事業であり,行政活動の基礎的な単位となるもの

 (3 ) 政策評価の方式
 政策評価は,政策の性質等に応じ,対象となる政策ごとに適切な評価の方式を採用して実施するものとする。
 なお,政策評価の方式は,別表1に定める事業評価方式,実績評価方式及び総合評価方式の3方式を用いるものとする。



 政策評価の観点に関する事項
 政策評価の実施に当たっては,主として次に掲げる必要性,効率性又は有効性の観点から行うほか,評価の対象とする政策の特性に応じ,公平性,優先性その他適切と認める観点を加味して行うものとする。
 (1 ) 必要性
  ア  当該政策の目的が,国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当か。
  イ  行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるか。
 (2 ) 効率性
  ア  当該政策に基づく活動に投入された費用等に見合った効果が実際に得られているか,又は投入される費用等に見合った効果が得られる見込みがあるか。
  イ  当該政策において求める効果を,より少ない費用等で得られないか。
  ウ  当該政策に基づく活動に投入された,又は投入される予定の費用等により,より大きな効果が得られる活動が他にないか。
 (3 ) 有効性
 当該政策に基づく活動により,期待される効果が実際に得られているか,又は得られる見込みがあるか。
 (4 ) 公平性
 当該政策の目的に照らして,当該政策の効果の受益や費用の負担が公平に分配されているか,又は分配されるものとなっているか。
 (5 ) 優先性
 当該政策を他の政策よりも優先的に実施すべき理由があるか。



 政策効果の把握に関する事項
 (1 ) 政策効果の把握に当たっては,目標の達成度及び施策の目的を具現化した効果について,可能な限り定量的な把握に努めるものとする。定量的な把握が困難な場合又はそれが客観性の担保に結びつかない場合においては,定性的な把握を行うこととするが,その場合にあっても,可能な限り客観的な情報,データ又は事実に基づいた把握を行い,また,第三者の活用等により,効果の把握の客観性が確保できるよう,留意するものとする。ただし,求めるべき情報,その情報の分析に必要な精度及び情報の収集並びに分析に必要なコストを事前に検討し,政策効果の把握に要するコストが過度に増大しないよう配慮するものとする。
 (2 ) 別表2に掲げる法務省の政策の企画立案をつかさどる各部門(以下「政策所管部局」という。)は,政策効果の把握に必要な情報・データや事実が効果的・効率的に入手できるよう収集や報告等にあらかじめ配慮する。なお,入手に当たっては,相互に協力し,必要に応じて関係者の協力を求めるものとする。また,大臣官房秘書課政策評価企画室(以下「政策評価企画室」という。)は,これらの円滑化を図るため,必要な調整を行うものとする。



 事前評価の実施に関する事項
 (1 ) 事業等の企画立案や実施に当たっては,その利害得失を個別具体的に比較検討し,選択を行うことが必要であり,特に,国民生活や社会経済に与える影響が大きいものや多額の財政支出を伴うものなどについては,事前に期待される効果やそれらに要する費用などを分析・検討することにより,その選択の合理性を確保する必要があり,このような分野の政策につき,可能な限り,事前評価を行うものとする。
 (2 ) 事前評価については,次のような観点から評価を行うものとする。
  ア  事業等の目的が国民や社会のニーズや,より上位の目的に照らして妥当か,行政関与の在り方からみて行政が担う必要があるか。
  イ  事業等の実施により,費用に見合った効果が得られるか。
  ウ  上位の目的の実現のために必要な効果が得られるか。
  エ  より効率的で質の高い代替案がないか,事業等の目的に照らし,その効果の受益や費用の負担が公平に分配されるか,他の事業等よりも優先的に実施する必要があるか。
 (3 ) 上記(2)イの観点から評価を行うに当たっては,可能な限り,予測される効果やそのために必要となる費用を推計・測定し,それらを比較するものとする。その際,効果については,受益の帰属する範囲や対象を極力特定し,可能であれば定量化するものとし,費用については,事業等に係る直接的な支出のみならず,事業等により付随的に発生するそれ以外の費用についても含めることを検討するものとする。
 (4 ) 事前評価の実施対象は,以下のとおりとする。
  ア  法務省所管に係る新規採択事業で事業費10億円以上の施設の整備(ただし,施設の維持,修繕,災害復旧,施設の部分整備,宿舎整備,緊急整備の事業等を除く。)
  イ  法務に関する研究
  ウ  新規の事業等のうち,政策評価企画室又は政策所管部局において,上記(1)の観点から事前評価の対象とする必要があると認めるものであって,事前評価の方法が開発されているもの
 (5 ) 政策評価企画室は,上記(4)ウに該当するものとして事前評価の実施対象と定めるときは,同政策所管部局の意見を聴かなければならないものとする。



 計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項
 (1 ) 事後評価において使用する方式は,別表1のとおり,事業評価方式,実績評価方式及び総合評価方式の3種類とし,それぞれ対象とする政策は次のとおりとする。
  ア  事業評価方式を使用する政策
     事前評価の実施対象とする諸施策
  イ  実績評価方式を使用する政策
   (ア ) 国民の権利の保全に関する法制度の整備・運営及び国民の基本的人権の擁護に関する諸施策
   (イ ) 法秩序の維持(刑事・治安の面から)に関する諸施策
   (ウ ) 出入国の公正な管理に関する諸施策
   (エ ) 国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理に関する諸施策
  ウ  総合評価方式を使用する政策
   (ア ) 法制度の整備(社会経済情勢に即応した基本法制その他の政策所管部局所管の法制度に係る立法作業)
   (イ ) オウム真理教対策
 (2 ) 事後評価を行う政策の具体的内容及び単位,目標,効果の把握のための指標その他必要な事項を,法務省事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)で定めるものとする。



 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 (1 ) 次のような場合,学識経験を有する者の知見を活用するものとする。
  ア  高度の専門性や実践的な知見が必要な場合
  イ  政策評価の実施に当たり,より厳格な客観性の確保や多様な意見の反映が強く求められる場合
 (2 ) 学識経験を有する者の知見を活用するに当たっては,法務政策フォーラムの政策評価懇談会を活用するほか,政策評価の対象とする政策の性質,政策評価の内容等に応じて,次のような方法を採るものとする。
  ア  学識経験者からの意見聴取
  イ  学識経験者等により構成される研究会等の開催
  ウ  外部研究機関の活用
  エ  審議会等の諮問機関の活用



 政策評価の結果の政策への反映に関する事項
 政策評価の結果は,政策の企画立案作業等における重要な情報として適時的確に活用され,これに適切に反映されるよう,次に掲げる手続を採るものとする。
 (1 ) 政策所管部局における反映の手続
  ア  政策評価企画室は,政策所管部局が実施した評価結果の取りまとめを行った場合には,取りまとめた結果を当該政策に関係する政策所管部局へ通知する。また,政策評価企画室が自ら政策評価を実施した場合も同様とする。
  イ  アに規定する通知を受けた政策所管部局は,速やかに当該評価結果の政策の企画立案への反映についての検討を行い,政策評価企画室に対し,報告書により,その反映状況を報告する。
 (2 ) 政策評価企画室並びに大臣官房秘書課組織係,同人事課,同会計課及び同施設課(以下「予算等担当部署」という。)における反映の手続は,次のとおりとする。
  ア  政策評価企画室は,評価結果が当該政策に係る予算,機構又は定員の要求(以下「予算要求等」という。)に資すると認める場合には,評価結果報告書を予算等担当部署へ送付する。
  イ  予算等担当部署は,政策評価企画室から送付された評価結果報告書について,当該政策に係る予算要求等に関する基礎資料として用いるなど,必要かつ相当な範囲でこれを活用する。
  ウ  政策評価企画室は,上記アの規定に基づき評価結果報告書を予算等担当部署へ送付した場合には,当該評価結果に係る反映状況報告書を予算等担当部署へ送付する。


 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する事項
 (1 ) 政策評価に関する情報の公表は,インターネットのホームページ(https://www.moj.go.jp/)を通じて行うほか,必要に応じて,政策評価企画室において随時行うものとする。
 (2 ) 公表する事項は,次に掲げるものとする。
  ア  本基本計画及び実施計画
  イ  政策評価結果
  ウ  政策評価結果の政策への反映状況
  エ  その他必要と認める事項



10  政策評価の実施体制に関する事項
 (1 ) 政策評価企画室は,政策評価に関する基本的事項の企画及び立案,政策評価の総括及び実施その他の政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保を図るため,次に掲げる事務を行うものとする。
  ア  本基本計画,実施計画の立案及びその他の政策評価に関する基本的事項の企画及び立案並びに評価手法等の調査及び研究
  イ  政策所管部局が実施する政策評価に関する指導及び援助並びに政策評価に係る結果の取りまとめ,公表その他の政策評価の総括
  ウ  政策評価企画室において政策評価を実施するのが相当であると認める政策に係る政策評価の実施
  エ  政策評価に必要な職員の人材確保の推進及び資質の向上
 (2 ) 政策所管部局は,それぞれその所管する政策につき,政策評価企画室の総括の下に政策評価を実施し,又は政策評価に参画するものとする。
 また,政策所管部局は,次の表に定めるとおり,政策評価企画室に対し,政策評価の結果等を報告するものとする。

事業評価方式 実績評価方式 総合評価方式
 政策所管部局は,事業評価(途中,事後の検証を含む。)実施後,速やかに,政策評価企画室に対し,その結果について,報告するものとする。  政策所管部局は,毎年度5月末日までに,政策評価企画室に対し,前年度に実施した実績評価の結果(定期的に実施した測定結果を含む。)について,報告するものとする。  政策所管部局が総合評価を実施した場合には,評価実施後,速やかに,政策評価企画室に対し,その結果を報告するものとする。ただし,評価に数年度を要する場合には,毎年度5月末日までに,同報告書により,その中間報告をするものとする。

 (3 ) 中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第16条第6項に規定する実施庁である公安調査庁は,政策評価のほか,本基本計画に定める実績評価方式に準じて,同項の規定に基づく評価を実施するものとする。



11  その他政策評価の実施に関し必要な事項
 (1 ) 国民の意見・要望を受け付けるための窓口の整備
 政策評価に関する外部からの意見・要望については,インターネットのホームページにおいて受け付けるほか,投書及び電話等によるものについても,政策評価企画室において随時受け付けるものとする。また,寄せられた意見・要望については,同室から関係する政策所管部局へ回付するものとする。
 (2 ) 他府省との連携・協力
 総務省等が総合的又は統一性を確保する観点等から行う政策評価の実施に当たっては,その実施の目的にかんがみ,評価活動を,政府全体として,総合・一体的な形で展開し,国民の期待に応えることができるよう,積極的に情報や意見の交換を行うなど,政策評価を主導的に実施しようとする府省との適切な連携・協力を図るものとする。
 (3 ) 基本計画の見直し
 本基本計画は,政策評価の実施状況,政策効果の把握の手法その他政策評価の方法に関する調査及び研究の成果並びに開発の動向等を踏まえ,必要な場合には,所要の見直しを行うものとする。
 (4 ) 実施要領等との関係
 実施要領及び法務省政策評価実施細目については,これらに基づく政策所管部局から政策評価企画室への報告がなされた時点で廃止されるものとする。政策評価企画室は,当該報告に係る情報を,本基本計画実施のために活用するものとする。

(別表1)
  事業評価方式 実績評価方式 総合評価方式





 行政活動の採否,選択等に資する情報を提供することを主眼として実施する。



 行政の幅広い分野を対象として,政策の達成度合いについての情報を提供することを主眼として実施する。



 特定の課題を設定した上で,多角的な視点から総合的に評価し,政策の効果を明らかにするとともに,問題点の解決に資する多様な情報を提供することを主眼として実施する。














 原則として事務事業が対象となるが,所掌する政策の性質等に応じ,必要があればおおむね施策としてとらえられる行政活動のまとまり(以下,両者併せて「事業等」という。)についても対象とする。



 原則として,法務省の所掌事務全般にわたって,共通の目的を有する行政活動の一定のまとまり(おおむね施策程度のまとまりに相当すると考えられる。以下「施策等」という。)を一個の単位として評価の対象とする。



 特定の行政課題に関連する行政活動のまとまり(おおむね狭義の政策や施策ととらえられる行政活動のまとまりに相当すると考えられる。以下「政策・施策」という。)を対象とする。







 事前の時点で評価し,かつ,途中や事後の時点で検証する。



 あらかじめ目標を設定した上で,定期的(少なくとも毎年一回)・継続的にその目標に対する実績を測定し,かつ,目標期間終了時に当該期間における達成度を評価する。



 政策・施策の導入から一定期間を経過した時点を中心に実施する。





(別表2)
 大臣官房秘書課
 同人事課
 同会計課
 同施設
 同訟務部門(法務局及び地方法務局を含む。)
 同司法法制部
 民事局(法務局及び地方法務局を含む。)
 刑事局
 矯正局(矯正研修所,矯正管区,刑務所,少年刑務所,拘置所,少年院,

     少年鑑別所及び婦人補導院を含む。)
 保護局(地方更生保護委員会及び保護観察所を含む。)
 人権擁護局(法務局及び地方法務局を含む。)
 入国管理局(地方入国管理局及び入国者収容所を含む。)
 法務総合研究所
 公安調査庁(公安調査局,公安調査事務所及び公安調査庁研修所を含む。)