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トップページ > 所管法令等 > 国会提出法案など > 国会提出主要法案第171回国会(常会) > 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案要綱

外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案要綱

第一 総則

一 趣旨

この法律は、外国等に対して我が国の民事裁判権が及ぶ範囲及び外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものとすること。(第一条関係)

二 定義

この法律における「外国等」の意義について定めるものとすること。(第二条関係)

三 条約等に基づく特権又は免除との関係

この法律の規定は、条約又は確立された国際法規に基づき外国等が享有する特権又は免除に影響を及ぼすものではないものとすること。(第三条関係)

第二 外国等に対して裁判権が及ぶ範囲

一 免除の原則

外国等は、この法律に別段の定めがある場合を除き、裁判権(我が国の民事裁判権をいう。以下同じ。)から免除されるものとすること。(第四条関係)

二 裁判手続について免除されない場合

1 外国等の同意

  • (一)外国等は、特定の事項又は事件に関して、条約その他の国際約束、書面による契約又は訴訟手続その他の裁判所における手続(外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続を除く。以下二において「裁判手続」という。)における陳述等により裁判権に服することについての同意を明示的にした場合には、当該特定の事項又は事件に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第五条第一項関係)
  • (二)外国等による日本国の法令を適用することについての同意は、(一)の同意と解してはならないものとすること。(第五条第二項関係)

2 同意の擬制

  • (一)外国等は、裁判手続の開始の申立てをしたり、裁判手続に参加した等の場合には、原則として、1(一)の同意があったものとみなすものとするとともに、口頭弁論期日等に外国等が出頭しないこと及び外国等の代表者が証人として出頭したことは、1(一)の同意と解してはならないものとすること。(第六条関係)
  • (二)外国等が訴えを提起した場合又は当事者として訴訟に参加した場合において、反訴が提起されたときは、当該反訴について1(一)の同意があったものとみなし、また、外国等が当該外国等を被告とする訴訟において反訴を提起したときは、本訴について1(一)の同意があったものとみなすものとすること。(第七条関係)

3 商業的取引

  • (一)外国等は、当該外国等と当該外国等以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間の商業的取引に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第八条第一項関係)
  • (二)(一)は、当該外国等と当該外国等以外の国等との間の商業的取引である場合及び当該商業的取引の当事者が明示的に別段の合意をした場合には、適用しないものとすること。(第八条第二項関係)

4 労働契約

  • (一)外国等は、当該外国等と個人との間の労働契約であって、日本国内において労務の全部又は一部が提供され、又は提供されるべきものに関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第九条第一項関係)
  • (二)(一)は、次に掲げる場合には、適用しないものとすること。(第九条第二項関係)
    • (1)当該個人が外交官、領事官、国際機関に派遣されている常駐の使節団若しくは特別使節団の外交職員又は国際会議において当該外国等を代表するために雇用されている者その他外交上の免除を享有する者である場合
    • (2)(1)に掲げる場合のほか、当該個人が、当該外国等の安全、外交上の秘密その他の当該外国等の重大な利益に関する事項に係る任務を遂行するために雇用されている場合
    • (3)当該個人の採用又は再雇用の契約の成否に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)である場合
    • (4)解雇その他の労働契約の終了の効力に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)であって、当該外国等の元首等によって当該訴え又は申立てに係る裁判手続が当該外国等の安全保障上の利益を害するおそれがあるとされた場合
    • (5)当該個人が日本国に通常居住するときを除き、裁判手続の開始の申立てがあった時において、当該個人が当該外国等の国民である場合
    • (6)当該労働契約に関する訴え又は申立てについて日本国の裁判所が管轄権を有しないとするならば公の秩序に反することとなるときを除き、当該労働契約の当事者間に書面による別段の合意がある場合

5 人の死傷又は有体物の滅失等

外国等は、人の死亡若しくは傷害又は有体物の滅失若しくは()損が、当該外国等が責任を負うべきものと主張される行為によって生じた場合において、当該行為の全部又は一部が日本国内で行われ、かつ、当該行為をした者が当該行為の時に日本国内に所在していたときは、これによって生じた損害又は損失の金銭によるてん補に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十条関係)

6 不動産に係る権利利益等

  • (一)外国等は、日本国内にある不動産に係る当該外国等の権利若しくは利益等又はこれらから生ずる当該外国等の義務に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十一条第一項関係)
  • (二)外国等は、動産又は不動産について相続その他の一般承継、贈与又は無主物の取得によって生ずる当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十一条第二項関係)

7 裁判所が関与を行う財産の管理又は処分に係る権利利益

外国等は、信託財産、破産財団に属する財産、清算中の会社の財産その他の日本国の裁判所が監督その他の関与を行う財産の管理又は処分に係る当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十二条関係)

8 知的財産権

  • (一)外国等は、当該外国等が有すると主張している知的財産権(日本国の法令により定められたもの又は日本国の法律上保護される利益に係るものをいう。(二)において同じ。)の存否、効力、帰属又は内容に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十三条第一号関係)
  • (二)外国等は、当該外国等が日本国内においてしたものと主張される知的財産権の侵害に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十三条第二号関係)

9 団体の構成員としての資格等

  • (一)外国等は、一定の要件を備える団体の社員その他の構成員である場合には、その資格又はその資格に基づく権利若しくは義務に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十四条第一項関係)
  • (二)(一)は、当該裁判手続の当事者間に当該外国等が裁判権から免除される旨の書面による合意がある場合又は当該団体の定款、規約その他これらに類する規則にその旨の定めがある場合には、適用しないものとすること。(第十四条第二項関係)

10 船舶の運航等

  • (一)船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶の運航に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十五条第一項関係)
  • (二)(一)は、当該船舶が軍艦又は軍の支援船である場合には、適用しないものとすること。(第十五条第二項関係)
  • (三)船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶による貨物の運送に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十五条第三項関係)
  • (四)(三)は、当該貨物が、軍艦若しくは軍の支援船により運送されていたものである場合又は国等が所有し、かつ、政府の非商業的目的のみに使用され、若しくは使用されることが予定されているものである場合には、適用しないものとすること。(第十五条第四項関係)

11 仲裁合意

外国等は、当該外国等以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間の商業的取引に係る書面による仲裁合意に関し、当該仲裁合意の存否若しくは効力又は当該仲裁合意に基づく仲裁手続に関する裁判手続について、当事者間に書面による別段の合意がある場合を除き、裁判権から免除されないものとすること。(第十六条関係)

三 外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について免除されない場合

1 外国等の同意等

  • (一)外国等は、条約その他の国際約束、仲裁に関する合意、書面による契約、保全処分又は民事執行の手続における陳述等によりその有する財産に対して保全処分又は民事執行をすることについての同意を明示的にした場合には、当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十七条第一項関係)
  • (二)外国等は、保全処分又は民事執行の目的を達することができるように指定し又は担保として提供した特定の財産がある場合には、当該財産に対する当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十七条第二項関係)
  • (三)二1(一)の同意は、(一)の同意と解してはならないものとすること。(第十七条第三項関係)

2 特定の目的に使用される財産

  • (一)外国等は、当該外国等により政府の非商業的目的以外にのみ使用され、又は使用されることが予定されている当該外国等の有する財産に対する民事執行の手続について、裁判権から免除されないものとすること。(第十八条第一項関係)
  • (二)次に掲げる外国等の有する財産は、(一)の財産に含まれないものとすること。(第十八条第二項関係)
    • (1)外交使節団、領事機関、特別使節団、国際機関に派遣されている使節団又は国際機関の内部機関若しくは国際会議に派遣されている代表団の任務の遂行に当たって使用され、又は使用されることが予定されている財産
    • (2)軍事的な性質を有する財産又は軍事的な任務の遂行に当たって使用され、若しくは使用されることが予定されている財産
    • (3)当該外国等に係る文化遺産、当該外国等が管理する公文書その他の記録又は科学的、文化的若しくは歴史的意義を有する展示物であって、販売されておらず、かつ、販売されることが予定されていないもの
  • (三)(二)は、1(一)及び(二)の適用を妨げないものとすること。(第十八条第三項関係)

3 外国中央銀行等の取扱い

  • (一)外国中央銀行等は、その有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続については、第一の二に該当しない場合においても、これを外国等とみなし、一並びに1(一)及び(二)を適用するものとすること。(第十九条第一項関係)
  • (二)外国中央銀行等については、2(一)は適用しないものとすること。(第十九条第二項関係)

第三 民事の裁判手続についての特例

一 訴状等の送達

外国等に対する訴状等の送達に関し、その方法等について定めるとともに、その他の必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること。(第二十条関係)

二 外国等の不出頭の場合の民事訴訟法の特例等

外国等が口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない場合における当該外国等に対する請求を認容する判決の言渡しの要件、判決書等の送達方法及び上訴等の申立期間等について、所要の規定を整備するとともに、判決書等の送達に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること。(第二十一条関係)

三 (こう)引及び過料に関する規定の適用除外

外国等については、民事の裁判手続においてされた文書その他の物件の提出命令、証人の呼出しその他の当該裁判手続上の命令に従わないことを理由とする(こう)引及び過料に関する民事訴訟法その他の法令の規定は、適用しないものとすること。(第二十二条関係)

第四 施行期日等

  • 一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一項関係)
  • 二 この法律の施行に伴う所要の経過措置について定めるものとすること。(附則第二項関係)
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