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平成11年版 犯罪白書のあらまし 〈第2編〉 犯罪者の処遇

〈第2編〉 犯罪者の処遇
1 検察
 (1) 罪名・処理区分別の検察庁終局処理人員第3表参照
 平成10年における検察庁の終局処理人員総数は212万57人(前年比1.0%増)で,その処理別内訳は,公判請求が4.9%,略式命令請求が48.3%,起訴猶予が31.2%などとなっており,起訴率は61.9%,起訴猶予率は37.0%となっている。
 さらに,交通関係業過を除く刑法犯の起訴率は58.2%(同1.4ポイント増),起訴猶予率は34.9%(同1.6ポイント減)で,交通関係業過の起訴率は12.9%(同1.7ポイント減),起訴猶予率は86.8%(同1.7ポイント増)となっている。また,道交違反(道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反をいう。)を除く特別法犯の起訴率は74.5%(同0.8ポイント減),起訴猶予率は22.3%(同0.5ポイント増)で,道交違反の起訴率は93.4%(同0.6ポイント減),起訴猶予率は6.2%(同0.6ポイント増)となっている。
 また,平成10年の終局処理人員の罪名別構成比では,道交違反が50.6%と最も高く,交通関係業過の32.1%がこれに続いているが,両者を除いた構成比では,窃盗40.4%,横領10.7%,傷害7.3%,覚せい剤取締法違反6.1%となっている。
 (2) 検察庁既済事件の逮捕・勾留状況
 平成10年における交通関係業過及び道交違反を除く検察庁既済事件(36万4,583人)のうち,被疑者が逮捕された事件(身柄事件)の占める比率(身柄率)は,29.9%(10万9,156人)であり,これを罪名別に見ると,強姦(83.0%)が最も高く,以下,強盗(76.5%),覚せい剤取締法違反(70.1%),殺人(64.8%),恐喝(49.9%),銃刀法違反(48.6%)の順となっている。
 また,身柄事件のうち,検察官によって勾留請求された被疑者の全身柄事件被疑者に占める比率(勾留請求率)は,91.6%となっており,勾留請求された被疑者のうち,裁判官によって勾留が認容された者の比率(認容率)は99.8%である。
2 裁判
 (1) 第一審裁判所の通常手続による終局処理人員第4表参照
 平成9年における地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所の第一審裁判所としての通常の公判手続による終局処理人員総数は6万6,170人(前年比3.9%増)であり,そのうち死刑は3人,無期懲役は33人,無罪は68人(総数の0.1%)となっている。
 このうち,地方裁判所及び家庭裁判所による第一審における終局処理人員5万6,921人について罪名別に見ると,最も多いのは覚せい剤取締法違反の1万4,648人(総数の25.7%)で,以下,道交違反7,621人(同13.4%),窃盗5,687人(同10.0%),入管法違反5,114人(同9.0%),業過(業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。)4,539人(同8.0%),詐欺3,459人(同6.1%)の順となっている。
 一方,簡易裁判所における通常手続による終局処理人員9,249人については,懲役言渡し人員8,378人の95.4%(7,996人)が窃盗,罰金言渡し人員667人の47.5%(317人)が業過及び道交違反によるものである。また,略式手続によって罰金又は科料に処された者105万3,840人を罪名別に見ると,道交違反の92万9,259人(略式手続総数の88.2%)が最も多く,業過の8万3,746人(同7.9%)がこれに次いでいる。
 なお,裁判確定人員についての懲役刑の執行猶予率を見ると,昭和30年代後半以降,おおむね50%台で推移したが,平成に入ってからは上昇傾向が見られ,6年以降は60%台を示し,10年は63.0%である。
 (2) 第一審の量刑
 平成9年における地方裁判所及び簡易裁判所の第一審裁判所としての有期の懲役及び禁錮の科刑状況を見ると,刑期が1年以上2年未満の者が全体の49.7%と最も多く,次いで,2年以上3年以下が21.3%,6月以上1年未満が13.8%となっている。また,無期を含めて刑期が10年を超える者は総数で186人で,これを罪名別に見ると,殺人(108人)が最も多く,以下,強盗(51人),放火及び強姦(各7人),詐欺,覚せい剤取締法違反及び麻薬取締法違反(各2人)の順となっている。
 なお,平成10年の通常第一審における死刑言渡し人員は7人で,殺人が5人,強盗致死が2人となっている。また,無期懲役言渡し人員は47人で,殺人が13人,強盗致死が33人等となっている。
3 成人矯正
 (1) 行刑施設一日平均収容人員の推移
 平成10年における行刑施設の一日平均収容人員は5万1,986人(前年比3.8%増)であり,そのうち受刑者は4万2,611人(同4.0%増),未決拘禁者は9,060人(同2.3%増)である。
 なお,行刑施設の一日平均収容人員は,昭和61年に5万5,348人のピークがあり,62年以降は減少して平成4年には4万4,876人となったものの,5年から増加に転じている。
 (2) 新受刑者数の推移
 新受刑者数は,平成4年を底に,以降,漸増傾向にあり,10年は,前年より434人(1.9%)増加して2万3,101人となっている。
 平成10年における新受刑者の罪名のうち構成比の高いものを見ると,窃盗(28.3%),覚せい剤取締法違反(25.8%),詐欺(7.2%),道路交通法違反(6.2%),傷害(5.7%)の順となっている。
 (3) 平成5年出所者の再入状況 
 平成5年における出所者について,5年を経過した10年末までの再入状況を出所事由別に見ると,満期釈放による者の約50%,仮釈放による者の約30%は,いずれも4年以内に再入しており,前者は後者に比べると再入率が高い。
 なお,平成元年から5年までの出所者について,出所年を含む5年間に再入した者の累積の比率の推移を見ると,3年までに出所した者についてはおおむね横ばい傾向にあったが,4年及び5年に出所した者については若干上昇している。
4 更生保護
 (1) 仮出獄の許可人員及び仮出獄率
 仮出獄許可人員は,昭和59年の1万8,897人をピークに,その後平成8年までは減少傾向を示していたが,9年以降増加し,10年には,1万3,126人(前年比1.2%増)となっている。仮出獄率は,平成元年以降56%台ないし58%台で推移しており,10年は,58.2%(同0.1ポイント減)である。
 (2) 保護観察事件の受理状況
 平成10年の保護観察新規受理人員(保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む。)は,7万7,266人(前年比1.6%増)で,これを保護観察の種類別に見ると,仮出獄者は1万2,948人(同0.9%増),保護観察付き執行猶予者は5,282人(同4.9%増)となっている。
 仮出獄者は,昭和59年のピークには1万8,718人であったが,平成4年以降は1万2,000人台で推移している。保護観察付き執行猶予者は,昭和50年代には7,000人台から8,000人台であったが,平成元年以降は,4,000人台から5,000人台で推移している。
 (3) 保護観察期間中の再犯の状況
 保護観察期間中に,再度罪を犯し,かつ,新たな処分を受けた者の比率(再犯率)は,近年,仮出獄者についてはおおむね1%前後で,また,保護観察付き執行猶予者についてはおおむね30%台で,それぞれ推移している。

● 目次
◯ 〈はじめに〉
◯ 〈第1編〉 犯罪の動向
◯ 〈第2編〉 犯罪者の処遇
◯ 〈第3編〉 少年非行の動向と非行少年の処遇
◯ 〈第4編〉 各種の犯罪と犯罪者
◯ 〈第5編〉 犯罪被害者と刑事司法
◯ 〈おわりに〉