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平成14年版犯罪白書のあらまし 〈第1編〉 犯罪の動向

〈第1編〉 犯罪の動向

 刑法犯の概況第1図第1表参照

(1 )認知件数・検挙人員
   平成13年における警察による刑法犯の認知件数は,戦後最高の358万1,521件(前年より32万5,412件増)となっている。交通関係業過(道路上の交通事故に係る業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。)を除く刑法犯認知件数についても,13年は,273万5,612件(同29万2,142件増)と,戦後最高の値を示している。
 平成13年の刑法犯認知件数を罪名別に見ると,窃盗が最も多く,次いで交通関係業過となっており,両者で全体の約90%を占めているが,この傾向は過去10年間に大きな変化はない。
 平成13年における警察による刑法犯の検挙人員は,119万5,897人となっており,これを罪名別に見ると,交通関係業過が最も多く,次いで窃盗となっており,両者で全体の約87%を占めている。

(2 )発生率・検挙率
   平成13年における刑法犯の発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率)は,2,814件(前年より248件増)と,戦後の最高値を示し,交通関係業過を除く刑法犯の発生率は,53年ぶりに2,000件を超えて2,149件(同224件増)となっている。
 平成13年における交通関係業過を除く刑法犯の検挙率は,19.8%(前年比3.8ポイント低下)と,戦後初めて20%を割り込み,戦後最低記録を更新した。
 検挙率を罪名別に見ると,殺人は過去10年間94%から98%と世界でもまれにみる高率を維持しており,平成13年も94.1%(前年比0.9ポイント低下)を維持した。強盗は8年以降低下を続けており,13年は48.7%(同8.1ポイント低下)となっている。また,窃盗は,2年以降30%台で推移していたが,12年に20%を割り込み,13年は15.7%(同3.4ポイント低下)となっている。

(3 )主要刑法犯の動向
   平成13年における,凶悪犯の認知件数,検挙件数及び検挙人員を見ると,前年と比べ,殺人については,いずれも減少したが,強盗については,いずれも増加した。
 粗暴犯では,前年と比べ,傷害,暴行,脅迫及び恐喝のいずれについても,認知件数は急増したが,検挙件数及び検挙人員は恐喝を除いて増加したものの,認知件数の急増に追い付かず,検挙率は,いずれも低下した。
 財産犯や知能犯のうち,詐欺,横領(遺失物横領を除く。),文書偽造・有価証券偽造及び遺失物横領の認知件数は,横領の増加を除き,おおむね減少又は横ばいの傾向が続いている。
 窃盗では,認知件数の急増と検挙率の低下という傾向が続いているが,検挙人員は昨年から反転増加した。侵入盗,すり,ひったくり及び自動車盗という重要窃盗犯は,平成13年において,全窃盗の認知件数の18.9%を占め,その検挙率は,27.1%である。

 特別法犯の概況

   平成13年における特別法犯の検察庁新規受理人員総数は,100万9,850人(前年より1万8,614人減,前年比1.8%減)となっている。罪名別に見ると,道路交通法違反が89万969人(総数の88.2%)と最も多く,次いで,覚せい剤取締法違反が2万6,496人(同2.6%)となっていて,両者で特別法犯の90%以上を占めている。なお,廃棄物処理法違反では,前年より909人増加して3,811人となった。
 交通関係法令違反以外の特別法犯の構成比を見ると,薬物関係が最も高く,以下,保安関係(銃刀法違反等),外事関係(入管法違反等)の順となっている。

3 各種犯罪の概況

(1 )交通犯罪
   交通事故の発生件数は,昭和53年以降増加傾向にあり,平成5年に過去のピークを突破して以降,毎年過去最高記録を更新している。しかし,死者数については,5年以降減少傾向にある。
 交通事故の発生件数の増加に伴い,交通関係業過の検挙人員も増加し,平成13年では,前年より2.4%増の87万605人となり,戦後最高となった。

(2 )薬物犯罪
   覚せい剤事犯の検挙人員は,昭和40年代半ば以降急激に増加し,50年代後半から63年にかけては2万人を超える水準で推移した。その後は減少を示していたものの,平成7年以降再び増加傾向に転じたが,13年は,前年比5.5%減の1万8,110人となっている。
 薬物の押収量を見ると,大麻の押収量の増加傾向が著しく,平成13年では,過去最高の約995キログラムとなった。覚せい剤の押収量は約419キログラムである。
 また,麻薬特例法違反に係る没収・追徴金額は,平成13年において,過去最高の総額約37億8,700万円となった。

(3 )財政経済犯罪
   平成13年の財政経済犯罪のうち,税法違反の検察庁新規受理人員を見ると,法人税法違反が336人(前年比116人増),所得税法違反が93人(同6人増),相続税法違反が7人(同1人増)及び消費税法違反が2人(同1人増)である。

(4 )ハイテク犯罪
   ハイテク犯罪は,ここ10年で検挙件数が急増し,平成12年が559件,13年が810件となった。最近は,セキュリティ・ホール攻撃という高度な犯行手口も見られるようになった。

(5 )銃器犯罪
   平成13年の銃器犯罪は,発砲件数が前年比81件増の215件となり,同発砲事件における死亡者が前年比16人増の39人となった。また,銃器使用犯罪の検挙件数に占める暴力団以外の者の比率は,42.2%(前年比10.5ポイント上昇)であり,押収けん銃に占める真正けん銃の割合は92.4%(同2.5ポイント上昇)である。

4 各種の犯罪者による犯罪の動向

(1 )暴力団犯罪
   暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員)は,平成8年から増加傾向を示し,13年末現在では,約8万4,400人であり,そのうち暴力団構成員は約4万3,100人である。また,同年における暴力団相互の対立抗争事件の発生回数は,前年比63回増の81回となり,対立抗争事件に占める銃器使用回数の割合も87.7%である。
 交通関係業過及び道交違反等の交通法令違反を除く暴力団構成員等の検挙人員は,平成元年以降は3万人台を推移しており,13年には,3万917人(前年比137人減)となっている。

(2 )外国人犯罪
   外国人による交通関係業過を除く刑法犯検挙件数・検挙人員を見ると,来日外国人以外の外国人では長期減少傾向にある。しかし,来日外国人では,昭和55年に検挙件数867件・検挙人員782人であったものが,平成13年には検挙件数が1万8,199件(約21倍),検挙人員が7,168人(約9倍)となっており,最近では,検挙件数が減少傾向を示す反面,検挙人員が増加傾向を示している。
 来日外国人による道交違反等交通関係を除く特別法犯の送致人員は,昭和55年の2,280人から平成13年の7,492人と約3.3倍となっている。
 平成13年における来日外国人の検察庁終局処理人員を罪名別に見ると,交通関係業過を除く刑法犯では,窃盗(3,951人),傷害(717人),強盗(355人)の順に多く,道交違反を除く特別法犯では,入管法違反(9,245人),覚せい剤取締法違反(876人),大麻取締法違反(209人)の順に多い。

(3 )公務員犯罪
   平成13年の公務員犯罪は,検察庁新規受理人員が,前年比2,449人増(9.8%増)の2万7,314人であり,罪名別では,自動車による業務上過失致死傷が84.8%を占める。その起訴人員は,前年比222人増(7.2%増)の3,290人である。また,13年の起訴率は12.1%である。

(4 )精神障害者の犯罪
   平成13年における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員のうち,精神障害者は720人,精神障害の疑いのある者は1,361人で,両者の刑法犯検挙人員に占める比率は0.6%となっている。また,罪名別検挙人員に占める比率を見ると,放火の11.9%及び殺人の9.1%が特に高くなっている。
 平成13年に検察庁で不起訴処分に付された被疑者のうち,精神障害により,心神喪失と認められた者は340人であり,罪名別に見ると殺人(87人),傷害(59人)及び放火(56人)の順に多い。また,精神障害により,心神耗弱と認められ起訴猶予処分に付された者は270人であり,罪名別では傷害(79人)が最も多い。第一審裁判所で心神喪失を理由として無罪となった者は1人(殺人)であり,心神耗弱を理由として刑を減軽された者は83人であった。これを罪名別に見ると殺人(24人)が最も多い。
 これらの総数694人を精神障害名別で見ると精神分裂病(427人),アルコール中毒(46人),そううつ病(35人)の順に多い。

 諸外国の犯罪動向との対比 第2図参照

   我が国とアメリカ,イギリス(イングランド及びウェールズをいう。以下同じ。),ドイツ及びフランスの計5か国について,近年の主要な犯罪の動向を比較すると,我が国は,認知件数や発生率が最も低い。一方,検挙率は,2000年において,フランス,イギリスを下回り,23.6%となった。
 ただし,殺人については,我が国は,5か国中,認知件数及び発生率ともに最も低い上,検挙率は,2000年において,ドイツ(95.3%)に次いで2番目に高い94.3%であった。


● 目次
 
○ 〈はじめに〉
○ 〈第1編〉 犯罪の動向
○ 〈第2編〉 犯罪者の処遇
○ 〈第3編〉 犯罪被害者の救済
○ 〈第4編〉 少年非行の動向と非行少年の処遇
○ 〈第5編〉 暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向