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平成16年度司法試験第二次試験論文式試験問題

【憲法】

第1問
 13歳未満の子供の親権者が請求した場合には,国は,子供に対する一定の性的犯罪を常習的に犯して有罪判決が確定した者で,請求者の居住する市町村内に住むものの氏名,住所及び顔写真を,請求者に開示しなければならないという趣旨の法律が制定されたとする。この法律に含まれる憲法上の問題点を論ぜよ。

第2問
 公職選挙法第10条は,被選挙権を有する者を,衆議院議員については年齢満25年以上の者,参議院議員については年齢満30年以上の者と定めている。この規定の憲法上の問題点を論ぜよ。
 また,同条を改正して,衆議院議員及び参議院議員のいずれも年齢満35年以上の者とした場合は,憲法上どのような問題が生じるか,論ぜよ。

【民法】

第1問
 AはBとの間で,A所有の土地上に2階建住宅を新築する工事について,請負代金を2000万円とし,内金1000万円は契約締結時に,残金1000万円は建物引渡し後1か月以内に支払うとの約定で請負契約を締結した。この事案について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは独立した問いである。
1  Aは,Bが行ったコンクリートの基礎工事が不完全であるとして,Bに工事の追完を求めたが,Bは基礎工事に問題はないと主張してその後の工事を進めようとしている。AはBとの契約関係を終了させるためにどのような主張をすることができるか。
2  Aは,Bに内金1000万円を支払い,Bは約定の期日までに建物を完成させてAに引き渡した。ところが,屋根の防水工事の手抜きのため,引渡し後1週間目の大雨によって建物の2階の書斎に雨漏りが生じ,書斎内のA所有のパソコン等が使い物にならなくなってしまった。雨漏りによるパソコン等の損害を50万円,屋根の補修工事に要する費用を100万円とした場合,AはBの請負残代金請求に対してどのような主張をすることができるか。

第2問
 Aは,Bに2000万円の金銭を貸し付け,その担保としてBの父親Cが所有する甲不動産(時価2500万円)に第1順位の抵当権の設定を受け,その旨の登記をした。Bは支払期限までにその債務を弁済せずに行方をくらませた。
 そこで,Cは,この抵当権の実行を避けるため,Aに対して複数回に分けて合計800万円をBに代わって弁済するとともに,残りの債務も代わって弁済する旨繰り返し申し出たので,Aはその言を信じてBに対して上記貸金債権について特に時効中断の手続をとらないまま,支払期限から10年が経過した。他方,その間に,Cに対してDが1000万円,Eが1500万円の金銭を貸し付け,その担保として,甲不動産につきそれぞれDが第2順位,Eが第3順位の抵当権の設定を受け,いずれもその旨の登記を了した。
 以上の事実関係の下で(Cが無資力である場合も想定すること),Aが甲不動産に対して有する第1順位の抵当権設定登記の抹消を請求するため,Eはいかなる主張をし,他方,Aはこれに対していかなる反論をすることが考えられるかを指摘し,それぞれについて考察を加えよ。

【商法】

第1問
 P株式会社の代表取締役Aは,第三者割当ての方法で,取引先Q株式会社に対し,発行価額50円で大量に新株を発行した。P社株式の株価は,過去1年間1000円前後で推移していたが,この新株発行により,大幅に下落するに至った。ところで,この新株発行は,取締役会の決議を経てはいたが,株主総会の決議を経ないままされたものであった。
 P社の株主Bは,商法上どのような手段をとることができるか。新株発行事項の公示(商法第280条ノ3ノ2)がされていなかった場合はどうか。

第2問
 A株式会社の取締役である甲は,A社の代表取締役ではないにもかかわらず,代表取締役であった父親が死亡した際に,取締役会の決議を経ることのないまま,議事録を作成して,A社の代表取締役に就任した旨の登記をした。
 甲は,振出人を「A株式会社代表取締役甲」とし,受取人をBとする約束手形をBに対して振り出した。さらに,Cは,この手形を裏書によりBから取得した。
 Cは,どのような場合に,だれに対して手形金の支払を請求することができるか。

【刑法】

第1問
 甲は,交際していたAから,突然,甲の友人である乙と同居している旨告げられて別れ話を持ち出され,裏切られたと感じて激高し,Aに対して殺意を抱くに至った。そこで,甲は,自宅マンションに帰るAを追尾し,A方玄関内において,Aに襲いかかり,あらかじめ用意していた出刃包丁でAの腹部を1回突き刺した。しかし,甲は,Aの出血を見て驚がくするとともに,大変なことをしてしまったと悔悟して,タオルで止血しながら,携帯電話で119番通報をしようとしたが,つながらなかった。刺されたAの悲鳴を聞いて奥の部屋から玄関の様子をうかがっていた乙は,日ごろからAを疎ましく思っていたため,Aが死んでしまった方がよいと考え,玄関に出てきて,気が動転している甲に対し,119番通報をしていないのに,「俺が119番通報をしてやったから,後のことは任せろ。お前は逃げた方がいい。」と強く申し向けた。甲は,乙の言葉を信じ,乙に対し,「くれぐれも,よろしく頼む。」と言って,その場から逃げた。乙は,Aをその場に放置したまま,外に出て行った。Aは,そのまま放置されれば失血死する状況にあったが,その後しばらくして,隣室に居住するBに発見されて救助されたため,命を取り留めた。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

第2問
 甲は,Aとの間で,自己の所有する自己名義の土地を1000万円でAに売却する旨の契約を締結し,Aから代金全額を受け取った。ところが,甲は,Aに対する所有権移転登記手続前に,Bからその土地を1100万円で買い受けたい旨の申入れを受けたことから気が変わり,Bに売却してBに対する所有権移転登記手続をすることとし,Bとの間で,Aに対する売却の事実を告げずに申入れどおりの売買契約を締結し,Bから代金全額を受け取った。しかし,甲A間の売買の事実を知ったBは,甲に対し,所有権移転登記手続前に,甲との売買契約の解除を申し入れ,甲は,これに応じて,Bに対し,受け取った1100万円を返還した。その後,甲は,C銀行から,その土地に抵当権を設定して200万円の融資を受け,その旨の登記手続をし,さらに,これまでの上記事情を知る乙との間で,その土地を800万円で乙に売却する旨の契約を締結し,乙に対する所有権移転登記手続をした。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ。

【民事訴訟法】

第1問
 弁論主義の下における証明責任の機能について,証明責任を負わない当事者の立証活動の在り方に関する規律に触れつつ,論ぜよ。

第2問
 Xは,Yに対し,200万円の貸金債権(甲債権)を有するとして,貸金返還請求訴訟を提起したところ,Yは,Xに対する300万円の売掛金債権(乙債権)を自働債権とする訴訟上の相殺を主張した。
 この事例に関する次の1から3までの各場合について,裁判所がどのような判決をすべきかを述べ,その判決が確定したときの既判力について論ぜよ。
1  裁判所は,甲債権及び乙債権のいずれもが存在し,かつ,相殺適状にあることについて心証を得た。
2  Xは,「訴え提起前に乙債権を全額弁済した。」と主張した。裁判所は,甲債権が存在すること及び乙債権が存在したがその全額について弁済の事実があったことについて心証を得た。
3  Xは,「甲債権とは別に,Yに対し,300万円の立替金償還債権(丙債権)を有しており,訴え提起前にこれを自働債権として乙債権と対当額で相殺した。」と主張した。裁判所は,甲債権が存在すること並びに乙債権及び丙債権のいずれもが存在し,かつ,相殺の意思表示の当時,相殺適状にあったことについて心証を得た。

【刑事訴訟法】

第1問
 警察官は,被疑者甲及び乙について,Aをナイフで脅迫し現金を奪った旨の強盗の被疑事実により逮捕状の発付を得た。
1  警察官は,甲を逮捕するためその自宅に赴いたが,甲は不在であり,同居している甲の妻から,間もなく甲は帰宅すると聞いた。そこで,警察官は,妻に逮捕状を示した上,甲宅内を捜索し,甲の居室でナイフを発見し,差し押さえた。この捜索差押えは適法か。
2  警察官は,乙の勤務先において逮捕状を示して乙を逮捕し,その場で,乙が使用していた机の引き出し内部を捜索したところ,覚せい剤が入った小袋を発見した。警察官はこれを押収することができるか。

第2問
 現住建造物等放火の共同正犯として起訴された甲と乙は,公判廷において,いずれも公訴事実を否認している。検察官は,甲が捜査段階で警察官Aに対して「乙と一緒に放火した。」旨を述べた供述調書の取調べを請求した。これに対して,甲乙それぞれの弁護人が異議を述べた。審理の結果,警察官Aの取調べ中,否認していた甲に対して,Aが「甲と乙が火をつけるのを目撃した者がいる。」旨の虚偽の事実を告げたため,甲の上記供述がなされたことが判明した。
1  この供述調書を甲に対する証拠とすることができるか。
2  公訴事実に関する甲の被告人質問が行われる前に,甲が死亡したとする。この供述調書を乙に対する証拠とすることができるか。
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