秋田県人権啓発活動ネットワーク協議会
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平成18年度最優秀賞 秋田地方法務局長賞 もえちゃんの手はあったかいね

秋田市立秋田北中学校三年 岸野 百絵

「もえちゃんの手はあったかいね。」

お姉さんが私に言った言葉。すごくすごくうれしかった言葉。ずっと忘れない。

私の通っていた小学校には、「ふれあい活動」という高学年と低学年のペアの「兄弟」を作って、一緒に行事を楽しむという活動があった。一年生だった私は初めてできるお姉さんが誰なのかすごく楽しみだった。一回目のふれあい活動は、兄弟が決められる日だった。私はワクワクしていた。けれど私のワクワクは急に止まってしまった。なぜなら私のお姉さんが、特別学級の三年生の女の子だったからだ。急におなかが痛くなって、恐くなってきた。お姉さんに、「よろしくね。」と言われても、言葉を返すことができなかった。

教室に戻るとクラスは楽しそうに賑わっていた。「私のお姉さんはピアノが弾けるんだよ。」「僕のお兄さんは野球ができるんだ。」自分のお兄さんやお姉さんを自慢していた。「百絵ちゃんのお姉さんは何ができるの。」と聞かれて、私はうつむいた。くやしかった。そして自分のお姉さんが障害者であることがすごく恥ずかしかった。

お姉さんは、脳に障害があり、みんなと同じように勉強ができなかった。兄弟との本の読み聞かせの活動でも、字がなかなか読めないお姉さんは、何度もひっかかって、先に進まない。そんなお姉さんを見ていると「どうしてお姉さんなのにできないの。そんなのお姉さんじゃない。」そう思って泣いてしまったこともあった。その時の私は、ずっとお姉さんに、心を開くことはないと思った。

あるふれあい活動の日。その日は金魚の水槽掃除の日でみんなが一斉に外に集まった。みんなは兄弟らしく手をつないでいた。それが私にはうらやましくて仕方がなかった。私のお姉さんは何もできないから手なんかつながないと思おうとしたけれど、やっぱりうらやましかった。その時だった。私の後ろを付いて来るように歩いていたお姉さんが私の手をぎゅっとにぎった。

「もえちゃんの手はあったかいね。」

ぎこちない笑顔でそう言ったお姉さん。そして、今度は私の手をひっぱって、「本当のお姉さん」のように力強く歩き出した。

私は驚き以上に、うれしさがこみ上げてきた。胸をすうっとあたたかい風が通りぬけていく感じがした。いつのまにか私は、お姉さんと一緒に笑顔になっていた。

その時のお姉さんの手は汗でにじんでいた。きっと勇気をふりしぼって私の手をにぎってくれたんだろう、お姉さんが、私に障害者の壁を越えさせてくれた。汗でにじんだ優しい手で。それからすぐ、ふれあい活動の兄弟は変わってしまったけれど、お姉さんとの出会いは大きな大きな力になった。

みんなと違う。みんなと同じようにあたりまえの事ができない。そんなお姉さんを私は差別の目で見ていた。だから私はなかなか障害者という壁を越えることができなかった。けれど、その壁を越えさせてくれたのは、障害者であるお姉さん自身だ。

それから私は、もっと障害者の方達とふれあってみたいと思うようになり、その時所属していた音楽部で障害者センターへ行き、歌を歌う活動などをするようになった。そこでは、私達が来ることをすごく楽しみにして下さる人がたくさんいた。手拍子をしながら聴いて下さる人。体をゆらしながら一緒に歌って下さる人。中には涙を流しながら聴いて下さる人もいた。目の前に広がる無限大の笑顔そして命を見て、私は手をつないだ時と同じように胸にあたたかい風が通りぬけていった。

この世界には、自分と同じ人なんて一人もいない。障害を持っていたり、人種が違ったり。けれど一人一人が違うからこそ、一つ一つの命が輝ける。よく障害者の人を見て「かわいそうだ。」と言う人がいる。障害を持っていない人が普通で、障害を持っている人が普通ではないのか。それは違う。同じ生きている人間ということに変わりはない。障害のある人はただ与えられた個性と一緒に生きているだけ。もちろん、一人でできない事は私達の手助けが必要だ。そして世界中の人々に与えられた、生きるという権利は、大小なく等しいものだから、世界中の人が、自分の命を、そして相手の命を大切にできたら良いと思う。自分の考えや、世界中の人達の考えを、お互いが同じ目線で見ることで、きっと争いもなくなっていくだろう。お互いに相手を理解し合おうとする。そんな輪が世界中に広がればもっとたくさんの命が輝けると思う。

今、差別に苦しんでいる人はたくさんいる。でも、その人達にも命がある。生きる権利がある。差別がなくなり、もっともっと命の花が満開になれば、きっと地球は、きれいな命の花畑になるだろう。そして私も、命ある人間として、命の花を最大限に咲かせたいと思う。

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