秋田県人権啓発活動ネットワーク協議会
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第31回全国中学生人権作文コンテスト 法務事務次官賞 
秋田県大会最優秀賞 秋田地方法務局長賞
水泳が僕に教えてくれたこと

大館市立成章中学校 3年 奈良 光樹(なら こうき)

「彼は伸びるよ。」高校生以下の障害者の水泳大会に出たときに、パラリンピックに出た選手に言われた言葉です。これを聞いたとき、僕はうれしくてたまりませんでした。苦しみながら続けた水泳。悔しさの連続だった水泳。その水泳が、今は僕に力をくれるのです。

僕は生まれたときから両手がありません。そのため僕の両親は、身体も小さくて弱かった僕を「少しでも強くなってほしい」という思いで水泳を始めさせました。それは宮本圭さんという僕と同じ障害を持ちながらも、パラリンピックに出場した選手がいたからです。宮本さんは両手がないのに、パソコンでメールをしたり、車を運転したり、足を手の代わりに使って普通の人と同じような生活をしていました。僕が小さいときに僕の家に来て、どういう風にお風呂に入るか、物を持つかなど、自分でできることは自分でするように、店での会計など人の手を借りないといけないことは助けてもらうなどを教えてくれたそうです。その宮本さんもしていた水泳を、僕は三歳で始めました。最初は母と一緒にプールに入って、水につかる練習から始めました。小学校一年生でようやく二十五メートル泳げるようになりました。そして四年生で初めて出た市の大会では、同じ学年の子と一緒のコースで泳ぎました。しかし結果は他の子がゴールしたときに、まだ半分くらいのところを泳いでいて、かなり差をつけられてしまいました。でも、「しょうがない、くやしくない。だってみんなは手があるし。」と思っていました。手がある相手に負けても悔しいとは思えなかったのです。でも泳ぐこと以外で悔しかったこと、嫌だったことはたくさんありました。水泳は上半身に何も着ないので、両腕がないことをさらけ出さないといけません。そんな僕に「何で手がないの。」と、小学生は無邪気にしつこく聞いてきます。自分だってわからない。聞かないでほしい。そう思って、何も言いませんでした。

しかしそんな悔しい思いをしても水泳をやめようとは思いませんでした。確かに友だちと遊びたかったし、他にスキーや陸上にも取り組んでいて、僕の生活は大変でした。そんな僕に母は「やめるのはすぐできる。でも続けていくのが大事。また始めようと思っても、同じようにできるまで大変だよ。」と繰り返し繰り返し言ってくれました。そんな母の励ましがあったからこそ今のように、自分でできることが増えてきたのだと思います。足でご飯を食べること、足で文字を書くこと、そして何でも挑戦して、嫌になっても水泳を続けることができたのだと思います。

続けることで僕は、次第に障害をもった人の大会では手のある人に勝つようになりました。実は同級生の友だちにも水泳で勝つことがあります。「人に負けたくない。自分は自分なりに。」やがて僕はそんな気持ちを持つようになりました。しかし両手がない僕は全てのことをみんなに勝ちたい、同じようにしようと思ってもできることとできないことがあります。それをサポートしてくれる人がいるから、毎日みんなと生活できています。親やコーチ、そして友人の協力なくては生活できません。着替えなどの手伝いや、移動教室のときに物を持ってくれたり、僕が生活しやすいように自然にサポートしてくれるみんなにいつも感謝しています。水泳のコーチも両腕がない人を育てたことがなかったから、最初はきっと手探り状態だったけれど、僕が泳げるように一生懸命指導してくれました。水泳をやって、たくさんの人と出会い、嬉しいことも悔しいこともたくさんありました。けれど水泳だけは負けたくないという気持ちで頑張っています。

僕は今年の十月に水泳の全国大会に出場します。全国大会へ出場し、ジャパンパラリンピックへ出ることが目標です。そして最終的には二〇一六年リオデジャネイロで行われるパラリンピックを目指しています。

今もたまに両腕がないことでばかにされます。しかし、今の僕は小学生のときの僕より自分に自信を持っているので、相手の話を受け流せるようになりました。

今、僕は同じ両腕がない障害をもつ子と連絡を取り合っています。人伝えに聞いたのですが、彼は僕を目標としていてくれるようです。僕が宮本さんを目指したように、僕を目指してくれる人がいます。何だか照れくさいけれど、もっと頑張らなくてはいけないと思います。彼が僕を目指してよかった、と思ってくれるような水泳を泳ぎ続けたいのです。

自分に自信を持つこと、努力すればするほど成果は出ること、続けることの大切さ、周りの協力のありがたさ・・・水泳は僕にたくさんのことを教えてくれました。そして、水泳は僕を強くしてくれました。嫌な思い出もあるけれど、それも含めて僕は水泳が好きです。大事なことをたくさん教えてくれた水泳を、これからもずっと続けていきたいと思います。

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