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ハンセン病を学んで

西条市立東予東中学校 2年 安藤 令奈

ハンセン病ってどんな病気なんだろう。総合の時間にハンセン病の学習が始まった時には、私は全く知らなかった。DVDを見て、いろいろ調べていくうちに、私の中に「なぜだろう?」という疑問がたくさん出てきた。

ハンセン病は「らい菌」に感染することで起こる。発症すると手足の麻痺や皮膚に病的な変化がおこり、顔や手足に変形の後遺症が残ることがある。しかし、「らい菌」の感染力は極めて弱く、早期に発見し適切な治療を行えば完治する病気だ。遺伝もしない。それなのに、なぜハンセン病の患者は差別されるのだろう。なぜ、今なお隔離された島で暮らし続けるのだろう。

ハンセン病問題を考えるフォーラムに参加し、西条市出身の元患者である松本さんや本田さんからお話をうかがった。そして、私の疑問の答えがわかって、心が痛くなった。いくつかの原因が重なって、差別を引き起こしていることを学んだ。

まずは、「無癩県運動」などの、政策による差別だ。ハンセン病と診断されると、役人が警察や医者とともに患者の家を訪れ、家が真っ白になるまで消毒し、人里離れたところへ強制収容し隔離した。それが「恐ろしい伝染病」だという間違った認識を人々に植え付け、患者の家族までもが、偏見や差別の対象となった。

次に、「らい予防法」などの法による差別だ。法によって隔離政策を強固に進めた。懲戒権による独房での監禁や、優生保護法により、断種や堕胎が行われたり、新生児は強制的に標本にされたという。私は話を聞くにつれ、あまりの恐しさに震えてしまった。

一番私が悲しくなった原因、それは「無知、無関心」も大きな差別の一つだということを聞いたからだ。「ハンセン病ってどんな病気?」と聞かれても、私はうまく答えることができなかった。つまり私も差別しているのと同じなのだ。関わろうとしていないし、知ろうとも学ぼうともしない態度が、偏見や差別を残しているのだ。

治る病気だと認定されても強制収容は続き、「らい予防法」が廃止されたのは、平成八年、つい最近のことだ。熊本地裁が国の責任を認め、その動きは全国に広がった。国は新たにハンセン病で隔離された患者たちへの補償を行う法律を定めた。さらには入所者や社会復帰者の名誉回復や、支援を行うとともに、ハンセン病問題の啓発活動に取り組むことを約束した。どうしてこんなに時間がかかったのだろう。強い憤りを感じる。

しかし、たとえ裁判に勝ち、国が謝罪したとしてもハンセン病問題は、今なお解決していない。偏見や差別は今でも根強く残っている。島を離れ、社会復帰しようとしても、多くの問題点がある。高齢化や身体障害、実名や戸籍を捨てさせられたために頼る人も救いの手を差し伸べる人もいない、家がない、訓練や教育を受けていない。受け皿がない、など問題はたくさんある。

これらの問題を解決するために、私たちに何ができるだろう。こうした現実を知らない人がたくさんいる。私たちの無関心も大きな原因だ。今なお苦しんでいる人たちの現実に目を向け、考えていかなければならない。

ハンセン病で苦しんだ松本さんや本田さんは「ハンセン病になって人の優しさに気付いた。」とおっしゃった。そして、「自分たちが偽名でなく本名で、偏見や差別や自分たちの現実を語ることが自分たちの役割だ。」ともおっしゃっていた。私は、その心の強さと奥深さに涙が出そうになった。

ハンセン病問題だけではなく、今の世の中には、人種や性別、家柄、障害の有無などにより、様々な差別や偏見がある。いじめも大きな問題だ。人権をめぐる問題の解決には、一人一人が人権尊重の精神を持つことが大切だ。人は生まれながらにして、個人として尊重され、幸せな人生を送る権利を持っている。人権が尊重される社会の実現に向けて自分にできることをしていきたい。

まずは、自分の目で見て学び、それを家族や友達に伝えていきたい。そして、少しでもハンセン病についての知識を持つ人が増え、差別の目がなくなっていけば良いと思う。

この夏、療養所のある大島青松園を訪ねた。松本さんや本田さんと再会できた。島は太陽がふりそそぎ、とても明るかった。皆さんが、故郷を思い一歩一歩踏みしめながら歩いた「相愛の道」の周囲には壮大な海と空が広がっていた。様々な形の石を用いたモニュメント「風の舞」には、自由への強い気持ちが込められているのを感じた。このように美しい島になるには、多くの入所者の長年の苦しみや悲しみがあったのだろうと思うと、胸が熱くなった。今回の経験を活かし、さらに深く学んで広く伝えていくことを心に誓った。

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