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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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優秀賞 「曾祖母と人権」

石川町立石川中学校二年 鎌田 恭平

今年の5月から8月にかけて我が家で起きた94才の曾祖母を取り巻く事件で、 僕は 「人権」 について深く考えさせられました。

それは、 家の中で曾祖母が転んだことから始まりました。 五月の中頃、 曾祖母は、 トイレに行く途中に足を滑らせて廊下で転んでしまったのです。 それを見た祖母は 「今後のこともあるからポータブルトイレか、 紙おむつでも使えばいいだろう。」 と曾祖母に言いました。 でも母は、 「歩けるから、 そんなものは必要ない。 転ばないように手すりを作ればいい。 第一歩けるのに紙おむつなんてとんでもない。 紙おむつをして布団の中で用が足せるの。」 と言いました。 その言葉は、 曾祖母を思いやる言葉として僕の心に深く残りました。 そして、 母の提案によりベッドやトイレの中、 廊下に手すりを取り付けました。 初めてのことだったので戸惑いましたが、 出来上がりを見て、 曾祖母はとても喜んでいました。 そのおかげで曾祖母は家の中で杖もつかず生活をすることができました。

面倒見るのが大変だからという理由で自分の都合を優先させ、 相手のことを考えない行為は、 人権を無視した行為だと思います。 僕は自分の好きな時にトイレにいけることはとても大切なことだと思います。 いろんな介護用品を使うより、 曾祖母の為にも少しでも歩いたり運動したりするほうがいいと思うのです。 このことは僕にとって普段は考えないようなことでしたが、 「健康に生きる権利」 があるとするならば基本的人権のことを知るとても貴重な経験をしたいと思います。

その後、 母の突然の入院によって、 今まで母がしてきた家の中の仕事を誰がするのか、 そして曾祖母の面倒を誰が見るのかという問題が起こりました。 祖母の兄弟の話し合いにより、 曾祖母は東京に住んでいる曾祖母の子供の元で生活することとなりました。

最初は、 とても嫌がっていた曾祖母でしたが、 祖母や父の話でようやく納得したようでした。 東京での生活は、 十日間ずつ三人の兄弟で面倒を見るということでしたが、 高齢の曾祖母にとって夏の東京の気温は高く、 十日間ずつ生活環境が変わることは大変つらかったようです。

また、 子供達の中での曾祖母の面倒の見方も様々だったようです。 いろいろ細かいところまで世話してくれた人もいましたが、 老人ホームにいれようと言い、 おしっこをもらすという理由で部屋の畳を取り外して面倒を見ずに食事のときだけ様子を見にきた家もあったと聞きました。 高齢のためおしっこをもらしたりといろんな失敗をしていたようですが、 まるで動物を檻の中に閉じ込めておくような行為は、 とても自分の母への行為として信じられませんでした。 またそんな失敗をしたときの対応も、 怒ったり叩いたりと様々だったと聞きました。 その上、 曾祖母の年金とか財産とか、 まだ死んでもいないのにお葬式のこととかお金のことばかり話をする家庭もあり、 曾祖母の生活とは関係のないところで兄弟喧嘩が絶えませんでした。 曾祖母は人間ではないのでしょうか。 曾祖母に人権はないのでしょうか。 本当なら94才まで長生きした自分たちの母である曾祖母に対してその子供達は、 やさしい気持ちで接するのが本当だと僕は思います。 自分の都合だけしか考えず曾祖母の人権を無視してまるで邪魔者のように扱っていたのはとてもショックでした。

七月のはじめに母が退院してきました。 本当なら八月の初めの頃まで入院しなくてはいけないそうですが、 家のことが心配だと言って退院しました。 それから一カ月後の八月の初めに、 曾祖母は僕達の家に戻ってきました。

今、 曾祖母は家で祖母と口げんかをしながら暮らしていますが、 とても楽しそうです。 やはり長年住み慣れた所がよいらしく、 東京での話をたまにしては、 怒ったり笑ったりしています。 曾祖母も僕の家族もそれぞれにいろんなことを言いながら、 以前と変わらない生活を送っています。

今回の曾祖母の周りで起きたことは僕に大切なことを教えてくれました。 老人に対する接し方で、 自分の都合ばかり考えずに相手の立場になってどうするかを考えるということです。 そしてそれは、 お節介ではなく本人の意思を尊重することだと思いました。 そして世話をするだけではなく、 本人に残された運動能力が衰えることのないようにリハビリをして、 人間らしい生活ができるように周囲の環境を整えることが大切だと思いました。

また、 本当に大切なことは、 施設の充実だけでなく一人一人の中に人権に対する認識を高め守っていくことではないかと思います。 そして人権を守ることは、 相手のことを思うことだと思いました。 相手の立場になって考え相手を認めることが、 人権を守るまず第一歩になるのではないかと思います。

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