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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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優秀賞 「高齢者と共に生きる」

河東町立河東中学校三年 目黒 望美

「高齢化社会」 私はこの夏休みにこの言葉を実感することになりました。 私は将来、 介護福祉士の仕事に就きたいと思っています。 その勉強のために夏休み知り合いが務めている老人ホームを訪問し介護実習をすることになりました。

まず私はお年寄り達に自己紹介をしました。 耳が遠い人もいるので大きな声でゆっくり言いました。 しかし、 ほとんどの人が外を見ていたり、 近くの人と話していたりで、 反応は無く寂しいような悲しい気分になり、 少し不安になりました。 その後、 一人のおばあさんに話しかけられ、 いろいろ質問されました。 内容は名前、 年齢、 学年など自己紹介の時に言ったことばかりでした。 さっき言ったのに分からなかったのかな、 年をとると物忘れがひどくかわいそうだなと思ってしまいました。 そんな私の気持ちとは裏腹におばあさんはたくさんの事を話してくれました。 大きな声でとてもいきいきしていてさっきまでとは正反対の表情になりました。 若いころは私達のように元気だった事、 戦争の時に苦労した事、 そしてできるならば家族と一緒に生活したいという事などこと細かに丁寧にゆっくり話しをしてくれました。 私はおばあさんの気持ちを少し理解することができたような気がしてうれしくなりました。

そしてお昼、 お年寄り達が大ホールに集まってきてみんなそろっての食事です。 私はおぼんにのったみそ汁、 おかゆのようなご飯、 煮魚にほうれん草のおひたしを一人一人に配膳しました。 いざ食べようという時、 献立てが気に入らないという人、 食べたくないという人、 福祉士の人が食べさせてくれているのにかまわずにはいてしまう人、 いろいろな人がいました。 口から出して汚いなあ、 福祉士の人も大変だなと思いながら呆然と見ていることしかできませんでした。 その時です、 一人のおじいさんが目にとまりました。 その人はずっと下を向いて食べる様子がなく、 ため息ばかりついてなんだかとても寂しそうな感じがしたので勇気を出して声をかけてみました。 私の声が聞こえなかったのか、 冷やかされていると思ったのか下からのぞきこむような鋭い目でジロッとにらみ 「いいから、 あっちいけ」 と一言だけ冷たく言われ腑に落ちず、 理由が知りたくなりました。 聞いてみると最近おじいさんは家族が会いに来てくれないことを悩み、 家族にとって自分はじゃまなのではないだろうかと思っていたにちがいありません。

家でお年寄りの面倒を見るのはとても大変な事でしょう。 女性の社会進出がめざましい現代社会においては生活のために老人ホームにあずけることは仕方のない事だと思います。 女性が仕事に出て昼間は家に誰もいなくて老人ホームにあずけるほうが安心できるのは納得できます。 しかし、 お年寄りだって好きで食事、 排便、 入浴などの面倒を見てもらおうなんて思っているわけではないと思います。 できることなら全部一人でやっていきたいと思っているにちがいありません。 そんな時こそ身近な人達のあたたかい支えが必要ではないかと思います。 知り合いがこんな事を言っていました。 お年寄り達を 「かわいそう」 「汚い」 などと思ってはいけない、 みんなこうなりたいと思ってなっているわけではない、 老いることは自然な事なんだよと教えてくれました。 その言葉を聞いて今朝同じ事を何度も聞いてくるおばあさんを 「かわいそう」 と思ってしまった事を後悔しました。 そして恥ずかしくなりました。 よく考えてみるとお年寄りは本に載っていない事をたくさん知っていて、 そのことを教えてくれます。 私も祖母に郷土料理や昔話を教えてもらい学んだ事がたくさんあります。 本を読むのとは違い、 ゆっくり話してくれるので私の中にも知恵としてそのことが残っています。

高齢化社会と呼ばれるようになった今、 介護という言葉が日常的に使われるようになっている現在、 そんな時だからこそお年寄り達から逃げるのではなく、 私達が介護という事を真剣に考えなければなりません。 人は産まれた時から、 老いに向かって歩いています。 だれもが避けて通ることのできない老いです。 他人事として感じるのではなく自分の問題として考えていかなければならないのです。 少子化が進む現代、 将来私達は一人で三人の老人の面倒を看なくてはいけない現実があります。 この現実から目を背けるということは、 私達の未来を否定することにつながります。 実生活や実体験から得た知識は、 何ものにもかえがたいものです。 過去の歴史の上に現代がなりたっているということを踏まえ、 私達は人生の先輩であるお年寄りと共生し互いに支えあって生きていこうとする意志を一人一人が持つべきだと思います。 私は、 自分の悩みを人生の先輩であるお年寄りに相談し心のケアをしてもらい、 介護福祉士として、 心と体のケアをしてあげればと思います。

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