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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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優秀賞 「いじめは 「犯罪」」

浪江町立浪江東中学校三年 小澤 亜矢

世の中ではいじめに関するさまざまな事件がたくさん起きていますが、ニュースを聞いたり新聞を見るたびに心が痛み、それにかかわった人達の思いはどうなんだろう。つらいいじめにあって傷ついた人の思いや過去に過ちを犯してしまった人の思いを、以前から知りたいと思っていました。

今年の夏休み、東京から母の友人とその子供が私の家に遊びに来ました。彼女は私と同じ受験生で、目が大きくとてもかわいくて、明るく素直で、話をしていてもあきない子でした。彼女の左手の甲には二ケ所、気になる 「跡」 があり、私が無意識のうちに見ていたら、
「あっ、これは、私がいじめられていた時にできたんだぁ。」
と、彼女はぎこちない笑顔で言い、私は 「はっ!?」 と息をのみ、今までの会話がぎくしゃくしてきたのを感じました。話の話題を変えたほうがいいのかなあ。と、思いましたが、何か役に立ちたくて、おもむろに話を切り出しました。
「いじめかぁ。うちの周りでは、あまり見掛けないから、よくわからないけれど、いじめほど傷つくものってないよね。」
「そうだね。私は中学一年の時、クラスから除け者にされてさ、だんだんエスカレートしていったんだぁ。おどされて現金を奪われたり、トイレの水に顔を押し付けられたり、暴言を言われたり、靴やカバンが隠されたり、この左手はタバコを押し付けられてできた跡なんだぁ。先生に訴えてもだめだったんだ。」
と、当時を思い出しているような顔をしながら言い、私は、
「その先生、教師失格だね。クラス全体の事を把握できないなんて、その反面あなたはよく乗り越えられたね。すごいよ。」
と、彼女が私よりも何倍も大きく見えました。
「すごいでしょう。でもいじめられた一年間は本当につらかった。どうやったら楽に死ねるかなぁ。と思った時もあったよ。乗り越えてこられたのは、クラスの一人が 『ガンバレ』 と書いてあるメモを渡してくれた事と、両親の愛情、あとは三冊の本に勇気付けられた。確か…、『東京ANGEL』 『宇宙のみなしご』 『ナイフ』 という題名の本だったな。今度貸してあげるから読んでみなよ。」
と、言われました。

彼女が、負けずに勉強や部活でみんなを見返そうと頑張っている姿。無視されても、傷つくような言葉を吐かれても、じっと我慢している姿を見ていた彼女の両親は、学校へ行き、先生方に相談したが、あまり効果はなかったようです。

おばさんは、私の母に、
「先生の前ではいい子で、見えない所でいじめをやるから、いくら先生達に言っても、解決してくれないのよ。今の子は上手よね。タバコの跡を見て、先生達が動いてくれたけど、遅いんだよ。と大声で怒鳴ってやりたかったよ。」
と、泣きながら、一言付け加えました。
「いじめは地獄だよ。」
と…。

私の母はこの話を聞き、小学校五年の時の事を思い出したみたいです。
「目の前でいじめを見たけれど、自分に勇気がなく、とめられなかった事、かばってあげられなかったという後悔の気持ちはずっと残っている。」
と、母が言いました。その話を聞いて私は、30年以上たった今も、ふと思い出し、何も行動を起こせなかった自分が情けなく、いじめの事実を知っているのに見て見ぬ振りをしていた人も、確かに心の傷を受けてるのだなあと思いました。

いじめを体験した彼女の話を聞いて気になる言葉がありました。
「身内以外は信用しない・できない。」
と言った言葉に私は、心の傷は深いのだと理解できましたが、人を信じられないと言い切ってしまうのはとても寂しく、不幸な事。これからたくさんの出会いがあるはずなのに、心を閉ざしてしまう事は良い出会いもなくなってしまう。一生懸命頑張ることのできる彼女だからこそ、素直に人を信じる気持ちや、信じて欲しいという気持ちを一日も早く戻ってほしいと思います。

いじめは 「犯罪」。いじめを隠すのではなく、学校、家族、地域の人達を巻き込んで、社会全体で考えていく方が、子供達を守ることにつながるような気がします。

私は心のどこかで、「いじめ」 を他人事だと考えていましたが、もう一度、自問自答しなければならないとつくづく思いました。

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