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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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優秀賞 「ある青年の行動から」

いわき市立永井中学校二年 柴崎 成美

あなたは困っている人を見かけたら、助けてあげることはできますか。その人が車いすの人だったり、目や耳が不自由な人だったり、障害を持って生まれてきた人だったら。

これは私の姉から聞いた話です。

ある本屋での出来事。一人の女性がお店に入ってきました。彼女は足が悪いのか、車いすでした。仕方がないことですが、彼女は車いすのためどうしても幅をとってしまいます。そんな事にも関わらず、周りにいた何人かの男子高校生が近よってきて
「じゃまなんだよ。」
と車いすの女性に向かって言ったのです。その彼女はただうつむいているだけでした。そんな時ある若い男性が、
「やめなさいっ。」
と言って、男子高校生たちと車いすの彼女の前に立ちました。彼らは自分たちが悪いことをしたというのに、かばった若い男性をにらみつけてお店から出て行きました。

私はこの話を姉から聞き、心が温かくなりました。今、世の中は犯罪が多発していて、暗いニュースばかり聞いていたこともあってか、この話はとてもうれしく思いました。その反面、暴言をはいた男子高校生たちのことが、腹立たしく思えてきました。車いすの彼女は傷ついたはずです。その場にいた誰もが彼の行動に感動し、思わず心の中で彼に拍手を送ったのではないか、男子高校生たちに怒りを感じたのではないか、と私は思いました。

しかし、障害を持っている人に対して変な目で見てしまったということは誰にでも経験があると思います。

私もそのようなことがありました。足が不自由なのか、病気なのか、歩き方が少し不自然な人がいました。私は珍しい物でも見るような、少し冷たい目で見ていたのかもしれません。周りにも数人、冷やかな目で見ている人がいました。中にはその歩き方を真似して笑っている人もいました。私は差別的な目で見てしまった自分が今ではとても恥ずかしく思います。

私は車いすの話をきっかけにして障害者に対するイメージを変えることができました。最初は障害を持っている人は、私たちと違うのだと思っていました。目、耳、手や足、脳に障害を抱えている人、五体不満足な人。私はずっと特別な人だと思っていました。かわいそうな人なんだと思っていました。

でも、私は間違っていました。障害者の人は特別な人ではない、かわいそうな人ではない、同じ人間なのだ、と私は今そう思っています。

だから障害を持っている人を差別的な目で見るのはおかしいと思います。笑ったり、コソコソ陰で何かを言ったり、障害者の立場、存在を否定してしまったり。私はこのようなことは、絶対にいけないことだと思います。このようなことを平気でできる人を私は許せません。

しかし、私たち人間は自分たちと違うところがあると、どうしても変な目で見てしまいがちです。それは普段から障害者の人と触れ合ったり、身近に感じていないからだと思います。障害者の方は養護学校や施設に通っている人がほとんどです。そうすると、触れ合う時間はなくなるし、身近にも感じなくなります。だから、時々障害者を見かけると変な気持ちになり、差別的な目で見てしまうのです。

私は、あの車いすの女性を救った青年に勇気をもらいました。彼は当たり前のことをしただけですが、その当たり前のことをするには勇気が必要です。彼は思いやりの心を持ち、すべての人を平等な目で見ているのだと思います。簡単なことのように思えますが、実は一番難しいことだとそう感じました。

それではどうしたら私たちと障害者の方が共に生きていけるのでしょうか。最初から大きいことをしようとすると大変です。まずは小さいことからでも始めてみませんか。障害者の方を見かけても差別するのではなく、同じ人間なんだと受け入れる、それだけでも十分だと思います。それだけでも第一歩を踏み出せるはずです。少しずつでもいいです。困っている人を見かけたら、温かい手を差しのべる勇気を出してみて下さい。その勇気が差別を失くし、共に障害者の人と心から分け隔てなく生きていけるのです。うれしい時は一緒に喜んだり、悲しい時は一緒に悲しんだり、そんな当たり前の生き方を共にできると思います。それが生きることではないでしょうか。

私は一人の人間として、あの青年のように温かい手を差しのべることができる勇気とやさしさを持った人になりたいです。

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