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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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福島民報社賞 「児童虐待問題について」

福島市立福島第一中学校三年 佐藤 あゆみ

人権とは、すべての人が生まれながら平等にもち、保障されなくてはならない権利です。この権利が存在することで、一人ひとりの個人が、かけがえのないものとして大切にされ、尊敬をもって人間らしく扱われることが保障されているのです。

ところが、この人権が全く無視されてしまっているという問題が起きています。それは、児童虐待問題です。県内でも、実の両親から虐待を受けていた幼い子どもたちの事件がありました。すべての人が生まれながら平等にもっている人権を、自分の両親によって奪われてしまうなんて、あまりにもひどすぎると思いました。せっかくこの世界に生れてきたのに、その誕生を一番喜んで大切に守ってくれるはずの両親が、守ることもせず、虐待というひどい行為をするなんて、私は信じられません。それに、どうしてそんなひどいことができるのか、理解できません。

私は、中学二年生の時に、職場体験活動で幼稚園でお世話になりました。年少組から年長組までの子どもたちは、みんな元気いっぱいで、いつも笑顔でした。慣れない環境の中で過ごすことが始めは不安でしたが、子どもたちの明るい笑顔に励まされて頑張れたところが、たくさんあったと思います。毎日、お母さんたちと手をつないで幼稚園に通ったり、お昼には、かわいらしいお弁当を、笑顔で残さず食べる子どもたち。手作りの手提も、教室の壁に並んでいました。そして、帰る時にもお母さんたちが迎えに来てくれて、笑顔で帰る姿がありました。子どもたちにとって、自分をしっかり守ってくれる親の存在は、子どもたちに安心感を与え、明るく元気に過ごすことのできる、心の支えになっているんだと思いました。

児童虐待という事件が起きた時、幼稚園で過ごした時の子どもたちの笑顔を思い出しました。この世界に生まれてきて、まだ三〜五年しか生きていない子どもたち。でも、幼稚園で出会った子どもたちは、楽しいことや嬉しいことをたくさん経験してきています。もちろん、悪いことをしてしかられたり、友達とケンカをしたりして、悲しいことも経験するはずです。でも、それは成長していくために必要な悲しさやつらさだと思います。それに比べ、虐待によって受ける心や体の傷は、想像も出来ないほどの痛みを伴っているはずです。一番安心できる家の中で、安らぐことができない。そんなかわいそうな子どもたちがいることも、全て現実なのです。

もし自分の子どもがケガをしたり、病気になったりしたらどうするだろう、どんな気持ちになるだろう、と考えてみました。考えただけでせつない気持ちになってしまうし、いつも元気にしていてほしいと思ってしまいます。中学生の私でも、こんな気持ちになってしまうのに、自分の本当の子どもを虐待するなんて、信じられません。そんな大人には、子どもを育てる資格なんてないと思いました。

すべての人が生まれながらにもち、保障されなければならない人権ですが、赤ちゃんや子どもたちは、その権利を守ってくれる大人がまわりにいなければ、権利を権利として自分のものにできないのだと思いました。自分を大切にしてくれる大人がまわりにいることが、とても大事なことだと思います。そして、自分を大切にしてくれる人たちがいれば、自分の中にも、人を大切にする心が生まれてくるはずです。虐待する親たちは、自分たちもそんな扱いを受けて大人になったのでしょうか。もしそうなら、自分の子どもには、自分と同じ苦しみを味わうようなことをさせたくない、と思わないのでしょうか。それとも、大切にされたことがないから、大切にするということが分からないのでしょうか。

一人ひとりが、かけがえのない存在として生きていくためには、一人ひとりが、命の大切さを考えなければならないと思います。また、自分自身の命も大切に考えることが必要なのではないか、と思います。自分の命の大切さが分かれば、同じ命を持っているまわりの人たちのことも、大切に考えることができるのではないでしょうか。

幼稚園で出会った子どもたちのような笑顔。そんな素晴らしい笑顔が、全ての子どもたちから奪い取られてしまうことなどない、明るい世界になって欲しいと思いました。そして、児童虐待という行為が、言葉が、消えてなくなってしまう日が来ることを心から願っています。

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