障害のある人が車いすでの乗車を拒否されたり、アパートの入居を断られる事案が発生しています。障害のある人に対する理解や配慮は十分でしょうか。
障害のある人を含むすべての人々にとって住みよい平等な社会づくりを進めていくためには、国や地方公共団体が障害のある人に対する各種施策を実施していくだけでなく、社会のすべての人々が障害のある人に対して十分に理解し、配慮していくことが必要です。
我が国は、平成5年3月に作られた「障害者対策に関する新長期計画‐全員参加の社会づくりをめざして‐」及び平成7年12月に決定された「障害者プラン 〜 ノーマライゼーション7か年戦略」に基づき、「障害のある人も地域の中で普通の暮らしができる社会に」という「ノーマライゼーション」を基本理念の一つとする障害者施策を進めてきました。
しかし、現実には、車いすでの乗車やアパートへの入居を拒否される事案が発生するなど、障害のある人に対する国民の理解や配慮はいまだ十分でなく、その結果として障害のある人の自立と社会参加が阻まれており、共生社会は十分に実現されているとはいえない状態にあります。
このような中、政府は、平成14年12月に、「障害者基本計画」及び「重点施策実施5か年計画」(平成19年12月に新計画策定)を策定し、障害者施策を推進しています。
また、平成16年に障害者基本法が改正され、障害を理由とする差別禁止の理念が法律に明記されるとともに、12月9日の「障害者の日」が12月3日から9日までの「障害者週間」に拡大されました。同週間では、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し、「共生社会」の理念の普及を図るための多彩な行事を集中的に開催しています。
法務省の人権擁護機関も、国民の間にノーマライゼーションの理念を一層定着させ、障害のある人の自立と社会参加を更に促進するために、様々な啓発活動に取り組んでいます。
また、障害者施設等において、施設の協力を得て、臨時に特設の人権相談所を開設して入所者等からの相談に応じており、普段、法務局に出向くことが困難な入所者やその家族も、施設内で気軽に相談できるような配慮を行っています。さらに、介護サービス施設・事業所に所属する訪問介護員(ホームヘルパー等)など、障害のある人と身近に接する機会の多い社会福祉事業従事者等に向けて人権相談活動につき周知・説明し、人権侵害事案を認知した場合の情報提供を呼びかけるなど連携を図っています。このように、法務省の人権擁護機関では、障害のある人や身近に障害のある人と接する人たちからの人権相談への対応を充実させながら、障害のある人との人権に関する啓発活動や障害のある人に対する人権侵害事案の調査救済活動に取り組んでいます。


