ホーム >
えせ同和行為対応の手引き
不当な要求は,断固拒否しましょう
えせ同和行為とは
「同和問題はこわい問題であり,できれば避けたい」との誤った意識を悪用して,何らかの利権を得るため,同和問題を口実にして企業・行政機関等に「ゆすり」「たかり」等をする行為であり,国民に誤った意識を植えつける大きな原因となっています。
その場しのぎの安易な妥協や恐怖心などから不当な要求に応じる例も見受けられ,えせ同和行為の横行を許す背景ともなっています。
御承知のように,同和問題は国民の基本的人権に係る最も重要な課題のひとつであり,人権擁護機関をはじめ多くの人々が,その解決のため,長い間様々な啓発活動を行っています。ところが,えせ同和行為は「不当な要求を受ける人々の人権を侵害」しているのみでなく,「国民の間に,同和問題に対する誤った意識を植えつけ,新たな差別意識を生む大きな要因」となっており,多くの人々が積み重ねてきた啓発活動の効果を一挙に覆すものであり,部落差別解消への道に逆行する行為といえるものです。
排除の対象・目的は
えせ同和行為排除の対象となるのは,当該の「行為そのもの」です。団体ではありません。 また,えせ同和行為をする者がどのような団体に所属するかも問いません。同和問題を口実にこのような行為をする者は, もはや,「同和問題の解決」を語る資格はありません。
不当な要求に対しては,き然とした態度で臨み,つけ入るすきを与えないことが肝要です。
えせ同和行為排除の目的は,当該行為の排除そのものと同時に,新たな差別意識の発生を防止し,同和問題を解決するところにあります。
真に差別のない平和で住みよい社会の実現のため,国民一人ひとりが責任と勇気を持ってえせ同和行為の排除のために取り組むことが必要です。
(注) 法務局では,えせ同和行為に関するご相談にいつでも応じております。
えせ同和行為に対する対応のポイント
- 最初から一貫して,き然とした態度で,
- 安易な妥協はせず,
- 不当な要求は断固として拒否し,
- 組織全体で対応する。
1.初期の対応
最初から一貫して,き然とした態度で対応する。
最初の対応の誤りが事件を拡大させるので,最初にすきを与えて脈ありと思わせてはならない。
2.安易な妥協はしないこと
えせ同和行為者は,弱い者に強く,強い者には弱い。したがって,安易な妥協をすると更につけ込まれる。その場しのぎの安易な妥協は,火に油をそそぐ結果となるのである。例えば,えせ同和行為者は,刑事事件とはならないように金銭の要求を直接には言わず,「誠意をみせろ」,「善処しろ」等と攻めてくるが, それに根負けして金銭で妥協してはいけない。
3.不当な要求は断固として拒否
えせ同和行為に対する基本的姿勢は,不当な要求は断固として拒否することにある。応ずることのできない違法・不当な要求を拒否するのは当然のことであって,たとえその要求が同和問題の名目で行われても結論は同じである。
4.組織全体で対応すること
えせ同和行為に対しては,組織全体で対応すべきである。支店等で不当な要求を受けた場合は,支店長が個人的に又は支店限りで,その要求に応ずるべきではない。相手は,個人的な又は支店限りの対応の不備等を口実にして本店に対して,より大きな要求をしてくることが多いので,本店に報告したり本店に指示を求 めるなどして,組織全体として対応すべきである。
対応者の心構え
- こわいものという意識を捨て,
- 脅しを恐れないこと。
こわいもの意識を捨てること
どのような名称,肩書きを名乗られても,こわいと思ってはいけない。
同和の名の下に不当な要求をする者は,そのことによって,もはや同和問題を語る資格はないというべきであり,その者の要求はえせ同和行為そのものである。
脅しを恐れないこと
えせ同和行為者自身,刑事事件となることを怖がっている。したがって,激しい言葉があっても実際に暴力的行為に出ることはまずないと言ってよい。暴力的言動があれば,かえって警察の要請,通報など法的手 続きが取りやすくなる。
こんな場合は,どう対応したらいいの?
同和問題への取組を非難された場合
同和問題への取組や同和研修の在り方を口実に不当な要求を受けたときは,相手方に対して,「法務局に申し出て,それが人権侵犯になるかどうか,また,今後どうすべきかについては,法務局の処理に委ねたい」と答える。その後,速やかに法務局に申し出るなどして体制を整える。
弱みを追及された場合
弱みを追及された場合でも,密室での取引はやめて,紛争の適正・妥当な解決を図るための正当な手続によるべきである。
いいがかりの内容が仮に事実であるとしても,法的な観点から見れば,損害賠償を認めるには,故意・過失の有無,賠償の対象になるかどうか,適正・妥当な賠償額はどうかなどの検討を要する。したがって,それらを検討しないまま,安易に相手のいいがかりを認めたり,謝罪的な発言をしてはならない。
事実上の過誤等の処理は,別個に正しい手続によって行うべきであり,それを口実にする相手方の違法・不当な要求は,断固として拒否すべきである。
官公署の影響力が利用された場合
えせ同和行為者は,企業に対して不当な要求をする場合に,その手口として,その企業の監督官庁等に連絡をとり,その官庁の企業に対する影響力を悪用しようとすることが多い。各行政機関は,えせ同和行為の排除に積極的に取り組んでおり,えせ同和行為者に加担することはないので,このような手口にだまされることなく,法務局に相談する。
対応後の手続
民事上の法的手続
1.内容証明郵便の送達
相手方の行為が続くとみられる場合には,法的手続きをとる前に内容証明郵便を送達する。
内容証明郵便には,およそ次のような事項を記載する。
- ア
- 相手方の行為が刑法上脅迫罪・強要罪・恐喝罪などを構成すること(あるいは民事法 上不法行為となること)。
- イ
- 弁護士に依頼済のときは,今後の連絡は弁護士事務所に連絡されたいこと。
- ウ
- 違法行為があるときは,断固として法的手続きをとること。
さらに違法行為が続く場合には,再度,調子を強めた内容証明郵便を送るか,その他の法的手続きをとる。
2.仮処分の申請
不作為の仮処分(面談禁止,架電禁止,立入禁止,業務妨害禁止等)の申請をする。
仮処分決定を得ることにより,禁止事項が明確になり,相手方の動きが止まる効果がある。
3.債務不存在確認の訴えの提起
些細な誤りにつけこみ損害賠償請求を求めてくる場合には,相手方に対して正規の手続に従い裁判上請求するよう促し,これに応じないときは,逆に債務不存在確認の訴えを提起するなど,紛争を裁判によって解決する方策をとる。
警察への連絡等
警察は,えせ同和行為者を「社会運動標榜ゴロ」として,昭和61年12月に定められた「暴力団総合対策要綱」(平成8年3月改正)に基づき,その排除に積極的に取り組んでいる。
このために各県警には,企業対象暴力事犯指導担当官及び民事介入暴力担当官が置かれている。犯罪が既遂になってからの対応はもちろん,犯罪の予防のための暴力の排除にも対応する体制が取られているので,不当な要求を受けたときは,次のように警察と連絡を密にする。
- 大分県警本部(組織犯罪対策課又は警備第二課等)又は最寄りの警察署に,不当な要求を受けた後,速やかに連絡をとり,相手方との対応等について助言を受けておく。連絡が遅れ て,対応が手遅れになることがないよう注意する。
- 緊急を要する場合には,110番又は警察署に通報等のほか,暴排ダイヤル,暴追ダイヤルに通報する(あらかじめ電話番号を確認しておく。)。この場合は,「民事介入暴力であ って,えせ同和行為であること」を明確に伝える。
- 相手方の強要行為の程度によっては,警察に相談あるいは被害の深刻をする等の措置を講ずる。
弁護士への依頼
- 日本弁護士連合会は,民事介入暴力対策委員会を中心にえせ同和行為の排除に取り組んでいる。
また,そのために各都道府県にある弁護士会に民事介入暴力対策センターを置き,えせ同和行為者に対する対応について相談を受けている。 - えせ同和行為者は,かなり知能犯的な色彩を持っている場合が多いので,弁護士にもよく相談し,事案に応じてその解決を弁護士に依頼する。
法務局への相談
法務局・地方法務局の本局及び支局では,えせ同和行為排除のための相談を受けており,必要に応じて,警察,弁護士会と連絡をとる体制を敷いているので,同和問題を口実に,不当な要求を受けたときは,法務局等に相談する(連絡先は「相談機関等のご案内」をご覧ください)。
具体的対応の要点
- 面談する場所は,当方の管理が及ぶ範囲内(例えば,自社応接室等)とする。
呼び出しがあっても,相手の要求する場所には出向かない。 - 対応は,担当者が行い,幹部を出さない。
- 対応は必ず2名以上で行う。場合により,弁護士に交渉を委ね,弁護士を立ち会わせ,又は弁護士,警察官 に待機してもらう。
- 相手方を確認する。
相手方の氏名,所属団体,所在(場合によっては電話番号)等を確認する。代理人と称する場合は,相手方との関係,委任の事実の確認を行う。 - 話の内容は,面接の場合でも電話の場合でも,できるだけ録音するか,又は詳細に記録をとる。相手方がそのことを指摘した場合は「上司に報告するため」と言う。
関連していると思われる無言電話も,その時間,状況等を記録しておく。 - 相手方の話はよく聞き,その趣旨,目的を明確にしておく。
- 言動には注意する。
- おびえず,あわてず,ゆっくりと対応し,無礼な態度を見せないよう注意する。相手方の挑発にのってはならない。
まして,相手方を挑発してはならない。 - 相手方の要求に応じるべきでないと考えたときは,例えば「当社としては,あなたの要求には応じられません。これ以上お話しても結論は変わりません。どうぞ,お引き取りください。」等と明確に答え,「検討する」とか「考えてみる」等,相手方に期待を抱かせる発言をしてはいけない。
- 当初の段階で「申し訳ありません」「すみません」等と当方の非を認める発言をしてはいけない。
- 相手方が念を押したときは,「はい」「いいえ」で答えず,当方の主張を繰り返す。
- 誤った発言をした場合は,その場で速やかに訂正する。
- おびえず,あわてず,ゆっくりと対応し,無礼な態度を見せないよう注意する。相手方の挑発にのってはならない。
- 相手方の要求に即答,約束をしない。「一筆書け」と言われても書く必要は無いし,書いてはならない。いかなる場合でも署名,捺印をしない。
- 特別の事情がない限り,当方から相手方に電話をしない。
「図書等物品購入の強要」の対応
1.電話により購入の申し入れがあった場合
- おびえず,あわてず対応し,相手方の要求に応ずるべきでないと考えたときは,例えば「当社では,その本を必要としないので,購入するつもりはありません。」と明確に答える。
- 相手方は,「とにかく送るから見てほしい。」「顔を立ててほしい。」旨,懇願することもある。これに対しては,「送ってきたら着払いで送り返す。」旨伝え,「購入するつもりはない。」と繰り返し答える。
- 断ると,相手方は,「同和問題に対する理解がない。」「糾弾するぞ。」とおどし始めることが多い。
これに対しては,「同和問題についての研修等行っている」同和問題についての研修や必要な資料等は,法務局等に相談して決定する。」等と答える。 - また,執拗に購入を強要するときは,「このような物品の購入の申し入れの対応については,警察・法務局から指導を受けている。」と言ってもよい。
- 送ってきたら受け取りを拒否する。又は,着払いで送り返す。
誤って封を開けた場合でも,その上から包装して送り返して差し支えない。
最近では,「着払いで送り返す。」と言えば,送ってくることはないようである。
2.突然,送ってきた場合
- 受け取りを拒否する。
- 封を開けて気づいたときは、その上から包装して、着払いで送り返す。
えせ同和行為に関することは,法務局(支局)までご相談ください。
