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子どもの人権掲示板
児童虐待
昨今,親の「虐待」により尊い子どもの命が失われたり,あるいは「養育の放棄」により人間的な発達期を過ごせないなどの事例が増え,大きな社会的問題となっています。
そこで,今回は,「児童虐待」はなぜ起こるのか,その問題点は何かについて紹介します。
皆さんもぜひ考えてみてください。
児童虐待の問題点
児童虐待の問題点として,以下のことが指摘されています。
- 家庭内で近親者(親など)によって行われるものであるため,発見が困難又は遅れる場合が多い。
- 本来は子どもを保護するはずの親の行為であるため,子どもにとって逃げ場がない。
- 虐待と躾(しつけ)の区別が必ずしも明確ではないため,関係者が情報を認知した場合も,その見極めに時間を要し対応も遅れる。
などです。
しかし,ここで重要なことは,「今そこに助けを求める子ども」がいると認められる場合には,まず,これを救済することが先決であり,「躾」か「虐待」か議論している暇はないということです。現に虐待を受けている子どもにとって「遅れた救済」は救済にはつながらないばかりか,直ちに虐待に対する防御・救済の措置が採られないと,かえって子どもがいっそう迫害を受けることが多いのです。
通告義務
児童福祉法第25条は,「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は,これを福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」と定め,児童虐待防止法第6条も同様の規定を置き,すべての国民に児童虐待の通告義務を課しています。
児童虐待の定義
では,児童虐待の定義はどのようなものでしょうか。このことについては,児童虐待防止法第2条が以下のとおり定めています。
- (1)
- 「児童の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること」(同法第2条第1号)
いわゆる「身体的虐待」に該当する場合であり,打撲傷,あざ(内出血),骨折,頭部外傷,たばこによる火傷など外見的に明らかな傷害を生じさせる行為を指すとともに,首を絞める,殴る,蹴る,投げ落とす,熱湯をかける,布団蒸しにする,溺れさせる,逆さ吊りにする,異物を飲ませる,冬に戸外に閉め出す,縄などにより身体を拘束するなどの外傷を生じさせるおそれのある行為を指します。
- (2)
- 「児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること」(同法第2条第2号)
いわゆる「性的虐待」に該当する場合であり,具体的には,子どもへの性交,性的暴行,性的行為の強要・教唆,子どもに性器や性交を見せる,ポルノグラフティーの被写体などに子どもを強要するなどの行為を指します。
- (3)
- 「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること」(同法第2条第3号)
いわゆる「ネグレクト」を指し,具体的には,以下のような行為が挙げられます。
- 1.
- 子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど。
- 例: 家に閉じこめる(当該児童が学校等に登校する意思を有するにもかかわらず,登校させない),重大な病気になっても病院に連れて行かない,乳幼児を家に残したままたびたび外出する,乳幼児を車の中に放置する,遺棄するなど。
- 2.
- 子どもに対して継続的に無視し続けるなど,子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない(愛情遮断など)。
- 3.
- 食事,衣服,住居などが極端に不適切で,健康状態を損なうほどの無関心・怠慢など。
- 例:適切な食事を与えない,下着など長時間ひどく不潔なままにする,極端に不潔な環境の中で生活させるなど。
以上が主な例でありますが,親がパチンコに熱中している間,乳幼児を自動車の中に放置し,熱中症で子どもが死亡したり,乳幼児だけを家に残して火災で子どもが焼死したりする事件も,ネグレクトという虐待の結果であることに留意する必要があります。
- (4)
- 「児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」(同法第2条第4号)
いわゆる「心理的虐待」に該当する場合であり,具体的な行為としては,<1>ことばによる脅かし・脅迫など。<2>子どもを無視したり,拒否的な態度を示すことなど。<3>子どもの心を傷つけることを繰り返し言う。<4>子どもの自尊心を傷つけるような言動など。<5>他の兄弟姉妹とは著しく差別的な扱いをする。などを指します。
以上が児童虐待防止法で定められている虐待の定義でありますが,ここで留意すべきことは,「虐待しているつもりはなくても,子どもにとって有害であれば,それは虐待である。」ということです。
児童虐待事件の大多数は,本来は子どもを保護するはずの親の行為です。そのため,子どもにとっては,逃げ場がないのです。
私たちは,子どもからの「SOS」を敏感に感じとる「アンテナ機能」を持つことが必要です。「もしや…」という疑いを感じたら,児童相談所・福祉事務所・法務局の専門機関に相談(通告)しましょう。これは,子どもの人権・福祉にたずさわる私たちひとりひとりの義務なのです。
