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最優秀作品
野宿生活を支える会に参加して

岡山市立香和中学校一年 豊田 とわ

「ホームレス」「野宿生活者」これらの言葉を聞いたことがあるだろうか。多くの人たちは駅や公園で生活している。このような人たちを見るとほとんどの人が,汚い,こわい,なまけている,というイメージを持つだろう。私も一番最初はそのようなイメージを持っていた。しかし,一つの活動を通して私のイメージは変わっていった。

岡山には,「岡山・野宿生活者を支える会」という活動がある。母はその活動に参加していて,私は「その活動に参加しないか。」とさそわれ,小学四年生の時初めて参加した。この参加をきっかけに,野宿生活者に対するイメージは変わり,さまざまな問題点が見えてきた。

この活動は最初,野宿する人たちが寒い冬に命を落とさないように,との思いから冬の間だけカレーなどの食べ物や衣類や日用品を配ることから始められた。しかし,野宿する人たちと交流を続けているうちに,ボランティアたちから一年を通して活動したいという声が出たり,自分はもう一度やり直したい,という気持ちを持つ人たちが増えて相談にのる必要が出たことから,現在毎週日曜日,公園などで活動を行っている。

私が参加した時,おにぎりを配る係になった。野宿の人におにぎりを渡すと笑顔で,

「ありがとう。」

と言ってくれた。それまでなんとなくこわいような気持ちだったのだが,消えていき偏見を持っていた自分がはずかしくなった。どんな人でも同じ人間であり,私と何も変わらないことに気づかされた。

参加しているボランティアの人たちは,いつも十人ほどで衣類を渡す係,食べ物を渡す係,薬・日用品を渡す係,相談を受ける係に分かれてそれぞれの場所で野宿人たちと交わっている。

そして参加した中で最もびっくりしたことは,元野宿者だった人が野宿生活者を支える会に参加していたことだ。やはり自分も野宿をしている時,つらい思いをしたから一人でも多くの人たちに立ち直ってほしい,と思って参加しているのかな,と思った。野宿の経験を生かして,私たちが気づかないところで大きな力を出してくれている。

あるとき,一人のボランティアの人に,

「どうしてこの活動に参加しているのか。」

という質問をした。その人は,

「目の前に苦しんでいる人がいるのにどうして見過ごすことができますか。」

と答えた。それを聞いて鳥肌が立った。私は今まで苦しんでいる人をたくさん見ているにもかかわらず見て見ぬふりをして過ごしてきたのではないかと思った。そして同時に自分がとてもはずかしく思えた。

この活動を通して思ったのは,野宿をしている人も一人の人間であるということだ。そしてその命は尊いものであるということ。私たちは,その命を冬の寒さや飢えから何としても守らなければならない,と思った。けれどももっと大事なことは,人間関係の回復だ。野宿生活する人たちは親や兄弟や友達,さまざまな人間関係を失っているのだと思う。そしておそらく,孤独でさびしくて不安な気持ちで毎日の生活を送っていることだろう。この活動も初めは,食べ物や衣類を渡す側ともらう側だけの関係であまり話をしなかった,という過去の話を聞いた。数年かかって,お互いが親しくなり,だんだんと信頼関係が出来てきたそうだ。その中で元の生活に戻りたい,という気持ちになり野宿から脱出し,がんばって仕事をしている人や,生活保護をもらい生活している人など,野宿から社会に復帰した人が二十人近くいる。人と人との心が通じ合い,信頼関係ができたときに,もう一度社会の中で生きたい,という気持ちになるのだな,と思った。

野宿生活をする人たちのことを見ないふりをしたら知らないで済んだことかもしれない。でも知った以上,知らないふりはできない。こうしている時間にも食べ物を食べるために缶を集めたり,ねるところを探していたりすると思う。私が今,出来ることは小さな声だけれどもこの現実を多くの人たちに伝えることであり,出来ることをやり続けることだと思う。小さくて,弱くて,忘れられている人たちが幸せに暮らせる社会が実現するように私も努力していきたいと思う。

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