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ホーム > 各種行事 > 第56回(平成20年度)中学生人権作文コンテスト結果 >

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優秀賞 星野富弘さんとの出会い

同志社香里中学校 1年 宮坂 茉里

私の家の茶の間にかかっているカレンダーは、きれいな花の絵に短い詩が書きそえられている。ある日、一枚一枚をめくりながら見ていると、お母さんが来て、
「この絵は、手足の不自由な人が口に筆をくわえて描いたのよ。」
と、教えてくれた。私には信じられなかった。試しに私もやってみたが、全然できなかった。口びるは痛くなるし、線はふるえてしまい、何を描いたのか全く分からない状態だった。

しばらくして、本屋でこの本の表紙カバーのつばきの花を見た時、カレンダーを見ていた時と同じ感動をおぼえた。そして、本をめっくてみると口に筆をくわえ、絵を描いている星野富弘さんの写真がのっていた。信じられなかったが本当に口で描いた絵だったのだ。

星野さんは、中学の体育の先生だった。生徒達の前で宙がえりをした時、マットに頭から落ちて首の骨を折ってしまい、首から下の感覚がすべてなくなってしまったのだ。それ以来今日まで、車椅子やベットでの生活を続けている。スポーツマンだった先生にとって、天井を見つめたまま、じっと寝ていることしかできなくなってしまったことは、どれほどのショックだっただろう。

今まで当たり前に手で持ったり、足で歩いたりしたことができなくなり、さらに人を見れば憎らしくなり、人を信じる心さえも失いかけてしまったという星野さん。何のために生きているのだろうと思ってしまった気持ちは、当然のことではなかったかと思う。この時はきっと周りの人の励ましなど耳に入らなかったのだろう。

しかし、星野さんはとても強い人だ。私たちには簡単に書ける「ア」という字を、歯ぐきから血がでるほどの思いをしてやっと書けるようになった時、ただうれしいと思っただけではなかった。それまでの自分がはずかしいと思い、ベットの上での生活は本当の自分と向き合わせの生活だったと言っているのだ。体の自由をうばわれたことによって、希望を失ってしまうのではなく、すべてを生きる力に変えてしまう力強い人なのだ。

私は今まで、自分でも気付かないうちに障害のある人たちをさけてきた。テレビなどで、障害者の人の話になるととたんにチャンネルを変えてしまったり、目をそむけてしまったりした。街中や病院で体の不自由な人を見かけ、相手の気持ちなんて少しも考えず、じろじろ見てしまったこともあった。そんな私が花の本当の美しさを知ることができなかったのは、当たり前のことだ。

私が今こうして書いたり走ったり、またうれしい事やつらい出来事を経験するということは当たり前のことではなく、感謝の気持ちを持つべきことなのだ。なかなか形に表わせないけれど、いつも心のどこかに置いておきたいと思った。

大変な生活の中で星野さんは、ドクダミでさえ、美しく見えるという。「不自由な生活をしていても不幸ではない。不自由なひとを見て、すぐに不幸ときめつけてしまったのは、私の心のまずしさでした。」という。そしてドクダミのような花も美しく見えるようになった、と。

私の家の裏には、ドクダミが生えている。私が「ドクダミ」といって思い浮かべるのは、この植物の強烈な臭いと異常なほどの繁殖力だけだった。「雑草はすぐ生えるから困る。」といって引き抜いてむしっていた気がする。ドクダミに花があることは知っていたけど、その花をのぞき込んだり、さわってみたり、まして絵に描いてみようなんて思った事は一度もない。でも星野さんは、ドクダミの美しさに感動することができる。「上をむいて、四つにひらいているこのまっ白い花は、聖なる十字架のようでした。」といっている。私は目の前が開けたようだった。こんなに豊かな人がいるのだ。手足の自由はうしなってしまったけれど、そのかわりに手足は自由に生きている人たちが一生かかっても得られないような、心の自由を勝ちとったのではないか。そう思ったら、星野さんが幸せな人に見えてきた。

「障害は不便である。しかし、不幸ではない。」と、ヘレン・ケラーが書いているように、星野さんは幸せだから、あの、人に感動を与えるやさしい花の絵がかけるのだろう。

私も星野さんのように、これからはどんな花でもその花の最も美しい所を見られる人になりたいと思う。そして、人に対しても両手いっぱいの優しさを持った自分でありたい。

カレンダーをもう一度じっくりめくってみた。道ばたに咲いている草花の生命のすばらしさが少し分かったような気がする。きれいな花の色は、星野さんの心の美しさそのものだ。

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