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滋賀県人権啓発活動ネットワーク協議会
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京都新聞滋賀本社賞

障害のあった人と

守山市立守山南中学校3年 田井 逸稀 

私は今回、人権作文を書くにあたって、障害のある人に関する問題をテーマとした作文を書くことにしました。そこで私は、一番身近にいた私のお母さんについて書くことにします。

私のお母さんは、怒るとすっごくこわいけど優しくて字も絵もうまくておもしろくてかっこ良い人です。そんなお母さんを私は大好きだったし、誰よりも尊敬していました。しかし、お母さんはうつ病だったのです。うつ病とは、気分障害の一種の一部であり、抑うつ気分や不安、焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠症などを特徴とする精神疾患です。私のお父さんは、私が生まれて3ヶ月の時に脳内出血で死んでしまい、お母さんいわくうつになったのはそれからだと言っていました。私がまだ小さい頃は入院もしていて、「自殺しないように、部屋からもあまり出れなかった」とか「あんたがいなかったら、私はもう死んでたわ」とか私によく聞かせてくれていました。

しかし、小さい頃の私にとって、お母さんの病気は全然分かりませんでした。そりゃあ、私が小さかったからでしょうけど、いろいろな所にも連れて行ってくれたし、私の前ではいつもいつも笑顔でつらい顔なんかしたことがなかったからです。けれど、私が三歳になって保育園に入ってから寝込むことが多くなりました。朝、お母さんが体調が悪く起きられなかった時は私も保育園を休むこともよくあったし、行けたとしても車で送りむかえをしている他のお母さんに送ってもらうこともよくありました。そして、私が「あぁ、お母さんは本当に大変なんだ、病気なんだ。」と自覚したのは小学校からです。いつも家に帰ったら、横になるか寝ていて、ご飯を作るのとせんたくするのだけで精いっぱいでした。昔のようにいろいろな所にも行けなくなって休みの日はずっと家で一人で静かに遊ぶようになりました。正直、さみしかったし嫌だったけれど、これ以上につらい姿も見たくなかったし、私なりにがまんしてきました。逆に、お母さんの力になりたくてお手伝いをしました。当時は料理も作れなかったし、家事なんて全然できなかったけれど、私なりに見つけてやるようにしていました。それに、お母さんの主治医の病院に行った時は分かる部分だけでも先生の話を聞いたりして、できるだけ理解できるように努力しました。うつで不眠症だったお母さんのために寝る前に飲む十錠以上ある薬を私も覚え、毎夜、私が用意する係になりました。これで、お母さんの役に立っているなら自分も嬉しかったし不満も何もありませんでした。一人でさみしかったけど、お母さんと一緒にいられることが一番楽しかったのです。

けれど、小学校高学年になるにつれ、私なりに不満もでてきました。まず、一つ目として「友だちと遊びに行けない」ということです。高学年になり、近くのデパートとかに遊びに行く人が増えとてもうらやましかったのです。友だちにもさそわれたことは何回もあったのですが、そのうち何回かは行けませんでした。それはお母さんが体調をくずした時とかで、一人にしておくと何もできなくなって大変だからです。大丈夫な時は遊びにも行けるのですが、そんな状態で遊びに行って私も心から楽しめるわけないので断念するしかありませんでした。二つ目は、私が悪いことをしてしまって怒られた時の言葉です。あまり負担させたくないので、いつも慎重に気を付けていました。子供ながら、やはり怒られることもありましたが年に何回かくらいでした。怒ったら体力を使うので、その度に体調をくずしてしまうのです。すると、お母さんは必ず「あんたは何も分かってない。怒らせんといて。あんたは私も病気のことも何も分かってない。」と言うのです。私は、この言葉が悔しくて大嫌いでした。私だって病気のことを理解しようと努力して、いろんなことをがまんしているのに、いつも誰よりも近くにいて手伝ってきたのに何でそんなこと言われなくちゃいけないんだと思うからです。しかし、これらのことがあっても私はお母さんに何も反論できませんでした。それは、不満だったとしても一番つらくて悔しくてしんどい思いをしているのは他の誰でもなくお母さんだと心の奥で私が分かっているからです。

こういうことがあって、一番がんばろうとしているのは障害者だと私は思います。普通の人より苦労を何倍もしてつらいのに、普通の人たちと同じように生きようとがんばっているように見えるからです。私は、普通に元気に生きていて「お前に何が分かるんだ」とか言われても何も言えませんが、一番強い人たちなんだと私は思います。そして、こういうことを気付かせてくれたともいえるお母さんに心から感謝したいと思います。


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