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中学生人権作文コンテスト

もっと知りたい、みんなのこと

「なつきちゃんのこと、もっと知ろう」

今も私の心の中に響いているこの言葉。これは、去年の秋、私たちが演じた人権劇「はぴねす」の中で、主人公のなつきを守ろうと、必死になって周りの人たちに訴える友人たちの言葉です。人権劇を終えた今、私は「まず知ること」これが差別をなくしていく一歩だと思います。

エイズウイルスの感染者に対する差別や偏見をテーマにした人権劇のシナリオを手にしたとき、私は「今さらエイズなんて。」と思ってしまいました。でも、この人権劇に取り組んでいなければ、わかっているつもりになっていたエイズのことも、高齢者や障害者に対する偏見が抱えている問題も、また、その他のいろいろな差別についても本当はわかっていなかったし、もしかすると、気づかないうちに、私自身が差別者になっていたかもしれないとさえ思うのです。

転校生のなつきは、エイズに感染していることをクラスメートに知られます。これまでにも偏見による差別で、いろいろな辛い体験をしていたなつきは、また今度も、自分に対する周りの目や態度が変わってしまうのではないかと恐ろしさや不安を抱きます。そして、やはりクラスメートたちも、エイズは怖い病気だと恐れ、差別的な行動をとるようになっていきます。しかし、なつきを大切に思う仲間は、そんな状態を許すことができません。」そこで、「なつきちゃんのこと、もっと知ろう。」と心から叫ぶのです。

なぜ、知ることが大切なのでしょうか。エイズとはどんな病気なのか、なつきの気持ちは、なつきという存在は……。そんなことを冷静に考えてみると、知ることによって本当の姿が見え始め、うわさや偏見に流されている愚かさにも気づいてくるのではないでしょうか。クラスメートたちの心は、この言葉をきっかけに少しずつ動き始め、なつきは「この学校に来てよかった」と思えるようになりました。真実を見つめることによって、お互いを大切にしようとする心が生まれた仲間たちだからこそ、なつきがそう思えるようになったのです。

「自分には関係ない。」「よくわからない。」と、目を背けたり距離をおいたりしてしまうことがあります。けれども、そのことが差別を温存することになってしまう、私は人権劇に取り組むことによってそう感じるようになりました。

ナレーターをしながら、周りの友達の動きや表情を見ているうちに、私は友達のいろいろな面に気がつきました。役になりきろうと何度もシナリオを読み返す友達、表舞台には出ないけれど心を込めて背景を描き、幕間に静かに素早く背景を付け替える友達、役者がいきるようにと細かな調整をしながら音響を考える友達、真剣な表情で舞台を見つめスポットライトを当てる友達……。小さな頃からずっと一緒に過ごしてきた私たち福井中の仲間ですが、お互いのことをどれくらいわかっているのだろう、友達の横顔を見ながら、ふとそう考えました。「話さなくてもわかる。」「どうせこう思っているだろう。」など、つきあいの長い私たちだからこそ、勝手な思い込みで過ごしてきたかもしれないと感じた瞬間でした。

二十六年前から福井中に伝統的に続けられている人権劇は、その年に演じた人たちだけでの成功ではないと私は思っています。先輩が込めた思いが、今の私たちにつながり生きているような気がするのです。そして、地域の方々はいつも私たちを温かく包んでくれている、そんな雰囲気を私はよく感じます。だからこそ、私もこの福井を大切にしたい、伝統を守っていきたいと思います。

三月になれば、私たちは初めてそれぞれの新しい場所で過ごすことになります。当たり前のように毎日会っていた仲間たちといったんは離れてしまいます。けれども、みんなで一つになって創り上げた人権劇や思い出の数数を忘れることはありません。またきっと笑顔で会えると楽しみにしています。だから、私はあえてみんなに言いたい。「卒業まであと少しだからこそ、お互いのことをもっと知ろう!」と。そうすることが、私たちの絆をさらに強くすることにつながると思うからです。

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