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中学生人権作文コンテスト

自分の心と向き合うこと

「自分の心と向き合うこと」それは、あまりすきではありません。でもそれは今の自分の課題であるとも気づいていました。今まで自分の心と向き合う機会があっても逃げてしまうことが多かったし、向き合おうとしない自分にも見て見ぬふりをしてきました。そうすることで自分の弱い気持ちを守ってきたような気がします。だから、大島へ行くと聞いたときも心の中でちょっと嫌やなあと思っていました。なぜなら本当の自分、つまり、自分の中の弱い部分と正面から無理矢理向かい合わされる場面がくるような予感がしていたからだと思います。嫌というより怖いという感覚でした。

ハンセン病の調べ活動をする中である一首の短歌と出会いました。神山出身のハンセン病患者の松浦篤男さんの短歌です。

『らいに罹り 勉強せずなりし 日を思いしみじみと踏む 母校の庭を』

私はこの短歌の意味を知ったとき、時間が止まったような気がしました。自分の心と向き合うことが苦手だから、自分の弱い心を知りたくないからという理由で大島へ行くのは嫌だ。ハンセン病について学びたくない。と考えた自分は間違えていると思ったのです。松浦さんは、あんなにもつらい環境の中にいても今でもいろんなことを学ぼうとしているのに、そして、若かったときに学ばなかった自分を悔いているというのに・・・。そう考えると、早く大島へ行って松浦さんに会ってみたいと思うようになりました。

そして迎えた大島青松園交流会の当日、私はとても緊張していました。大島に着き、私が一番楽しみにしていた松浦さんのお話が始まりました。その中で私が一番印象に残っていることは、松浦さんが自分の目の病気に対して、「私は負けません。」と力強く言い切ったことです。私は鳥肌が立つぐらい感動しました。それと同時に私も自分に負けたくない、本当の強い自分になりたい、と心から思いました。

もうひとつ今の自分と深く向き合うきっかけとなったお話を聞くことができました。それは副園長さんが話された、「入園者が大島青松園で有意義な一生を終えることと社会復帰をすることのどちらに重点を置けばいいのか。」というお話でした。このお話から私はいろいろなことを考えました。入園者の方が社会復帰をし、大島に住む人がいなくなるということは良いことです。でも悲しいけど、社会にはハンセン病に対する差別も残っていて高齢の元患者の方たちが安心して暮らせる社会とはいえません。また、大島青松園がなくなるとハンセン病があったこと、そしてたくさんの方が差別で苦しんできたことも忘れ去られるような気がします。ハンセン病患者の人たちにとって、どちらの選択が幸せなのでしょうか。ハンセン病患者の方たちと同じ体験をしていないし、差別から受けた心の痛みも知らない私が考えること自体乱暴なのかもしれませんが、私はこの大島で暮らす方が幸せなのではと考えてしまいました。その理由は、今まで差別に苦しんできたということも理由のひとつですが、私がそう考えたのは、大島青松園で暮らす人たちが、本当に支え合って、生きがいを持って生き生きと笑顔で暮らしていると感じたからです。私たちを迎えてくださった松浦さんもそんな笑顔でした。松浦さんは、手の不自由な仲間のために手紙を代筆しているそうです。仲間の目になり、手になっているのです。苦しい時、つらい時、生きる希望を失った時、そばにいてくれる仲間は宝物です。そんな仲間に囲まれて暮らすことができたら、これからの人生が輝いたものになるから、この大島で暮らす方が幸せなのではないかと考えたのです。こんな風に考えたことは、今の自分たちの仲間同士の関係とも向き合わせてくれました。

大島での昼食、私たちはお弁当を食べましたが、松浦さんは昼食もとらず最後の最後まで私たちに語りかけてくださいました。「私は差別から逃げなくて良かった。差別と戦ってきてよかった。こんな大勢の人にハンセン病について正しく認められる時代がくるとは思わなかった。」まさか、六月十二日に天国に旅立たれるとは、そして、このお話が最後のお話になるとは思いませんでした。

今回の学習で向き合った私の弱さとは、自分自身の弱さを見て見ぬふりする心です。これは、差別は悪いとわかっていても見て見ぬふりすることにつながってしまうんだとわかりました。松浦さんたちは差別から決して逃げませんでした。それが最後に伝えたかったことなんだろうと思っています。

天国の松浦さん。私は、自分自身の弱さから逃げない私になります。そして、世の中にある偏見や差別にたいして間違っていることは、間違っていると言えるように成長していきます。

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