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山梨県教育委員会教育長賞
『祖母に教えてもらったこと』

山梨市立 山梨南中学校

三年  城 眞理


私の母の母はすい臓がんで他界しました。母が十八歳の時のことです。だから私は、母方の祖母に会ったことがありません。母からは子煩悩な人だったと聞いています。私には忘れられない出来事があります。

私が小学校六年生の時のことです。私と兄がささいなことで兄妹けんかになった時のことです。売り言葉に買い言葉で、相手が嫌がる言葉をぶつけ合っていました。嫌なことを言われるので、私も悔しくなって、嫌がる言葉を繰り返し言いました。そして、

「死ね!」

どちらがこの言葉を使ったのか覚えていません。しかし、確かにこの言葉を二人が使いました。それは本当に死んでほしいなどと思って使っているのではありません。怒りや憎しみの表現として簡単な気持ちで出てきた言葉でした。

「二人ともやめなさい。どんな理由があっても、死ね、なんて言葉を絶対に使ってはいけません。世の中には生きたくても、生きたくても、死ななければならなかった人もいるんです!」

母は激怒でした。私も兄も、その様子に驚き言葉を失いました。母の目はあふれそうな涙でいっぱいでした。母はその場を離れると、タンスの部屋からきれいなピンクの風呂敷包みを持ってきました。そして私と兄の前に置き、無言で部屋から出て行ってしまいました。

私と兄は、そのきれいな風呂敷を開いてみました。すると、赤いノートが入っていました。二人で中を開いてみると誰かの日記のようでした。

「○月○日、今日は美樹と眞樹がそろってお見舞いに来てくれました…」

「○月○日、晴れ。美樹と眞樹、元気に学校に行ったかしら…」

「○月○日、早く家に帰って、みんなの為にごはん作ってあげたい…」

私は、ピンときました。美樹は母の姉の名前、眞樹は母の名前です。この赤いノートは母の母、つまり私は会う事が出来なかった祖母が病院に入院中に書いていた日記でした。日記では自分の体はフラフラなのに、人の事を心配する言葉が多く書かれていました。そして、ページの最後には周囲の人への感謝の気持ち、元気になって恩返しをしたい気持ちが書かれていました。

その日の夜、私は、そのノートをもう一度開きました。

「このノート開くと、お母さん泣いちゃうんだよねぇ。」

ともう泣き顔になっている母と一緒に。祖母はがんの進行で、最期は食べ物が全く食べられなかったのだそうです。栄養を取る方法は点滴からでした。そのことは祖母にとってもとても辛いことだったそうです。そして、元気な時に出来ていたあたり前のことが何もできないことが何よりも辛かったとのことでした。人間として人間の為に何かできることが、人間にとってどれほど幸せなことか、祖母を見ていると母に痛いほど伝わってきたそうです。「自分で、自分の髪の毛を今日は洗うことができたんだよ。自分で、トイレまで歩いて行けたんだよ。水を少しだけ自分で飲めたんだよ。」

人間として生まれたからには、尊重されるべき権利。そこには、自分の命はもちろん、人の命を大切にすることが含まれているのだと思いました。私は、あの日の出来事以来、人に対して、決して、死ね、という言葉を使っていません。そのことを教えてくれたのは、私の祖母に他なりません。私は祖母に会う事は出来なかったけれど、祖母の教えは、母に、私に、兄に、間違いなく受け継がれています。人間としてもっと生きたかった祖母、そしてお世話になった方々に恩返しをしたかった祖母。それを無念にも果たすことのできなかった祖母の思いは、あの赤いノートにぎっしりとつづられていました。その思いの強さは手に力が入らず、最後は字がよれよれになっていることからも知ることができました。私はこの祖母の思いをしっかり受けとめようと思います。そしていつもどこかで私たちのことを見守ってくれている祖母に恥ずかしくないように私は人間として、しっかり生きていきたいと思います。


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