鈴木 香代子 検事 (大阪地検公判部 平成17年度任官)
こんな悲惨な事件は二度と起こさせないようにしたい。
私が検事となってからの4年間,刑事裁判は裁判員制度の導入を踏まえ,見て聞いてわかる公判を題目に大きく変わってきましたが,刑事事件に検察官として携わる私の思いは変わりません。
現在,私も大阪地方検察庁公判部の裁判員裁判担当部門で勤務し,今後本格化する裁判員裁判の公判に向け,準備をしている最中ですが,公判部の検察官の仕事の目的は,真相を解明して,犯人の適正な処罰を求めるという点にあり,これは裁判員裁判でも同様です。
私も裁判員裁判に対応するため,主張立証の的をできるだけ絞り,審理の道標となるべきビジュアル資料を作成したり,膨大な証拠をまとめた統合報告書を作成したり,難解な言葉を平易な言葉に置き換えるなどして裁判員の理解に役立つよう工夫をしています。
しかし,それだけでは本当に必要な適正な科刑を得られるわけではないと実感しています。
例えば,適正な科刑を得る上で,被害の実情や被害者とその家族の無念さを裁判官や裁判員に伝えることが必要ですが,そのためには,自分の目で被害の実情を確認することが何よりも重要です。
20代前半の女性が交通事故で意識障害を伴う重傷を負った事件を配点された私は,彼女が受けた被害の実情を確認するため,入院先の病院に足を運び,特別に許可を得て本人に面会させてもらいました。
そこには,記録だけで考えていた私の想像を遙かに超えた悲惨な現実がありました。彼女は,脳へのダメージで自力では身動きも意思表示さえもできない幼児のような状態でした。私は,自分が受けたショックを裁判官にも分かってもらうため,医師から聞いた彼女の症状を報告書にしただけでなく,事故に遭う前の彼女の写真を法廷で示しながら,母親に,事故前後の彼女の様子などを証言してもらった上,父親にも将来のあった娘の人生を奪われた悲しみや,被告人に対する怒りを述べてもらい,「重傷者1人を出した事故」という言葉だけは言い表せない被害の実情を立証し,その結果,被害の実情に見合う長期の実刑判決が下されました。
検事の仕事は,このように被害者のつらい思いを,1つ1つ立証していくという事が重要であり,決して派手な仕事ではありません。しかし裁判員裁判が本格化していく中で,検事は,刑事裁判においてますます重要な役割を担うことになり,やりがいも増していくものと思っています。検事を志すロースクール生の皆さんといつか一緒に仕事をすることを楽しみにしています。
現在,私も大阪地方検察庁公判部の裁判員裁判担当部門で勤務し,今後本格化する裁判員裁判の公判に向け,準備をしている最中ですが,公判部の検察官の仕事の目的は,真相を解明して,犯人の適正な処罰を求めるという点にあり,これは裁判員裁判でも同様です。
私も裁判員裁判に対応するため,主張立証の的をできるだけ絞り,審理の道標となるべきビジュアル資料を作成したり,膨大な証拠をまとめた統合報告書を作成したり,難解な言葉を平易な言葉に置き換えるなどして裁判員の理解に役立つよう工夫をしています。
しかし,それだけでは本当に必要な適正な科刑を得られるわけではないと実感しています。
例えば,適正な科刑を得る上で,被害の実情や被害者とその家族の無念さを裁判官や裁判員に伝えることが必要ですが,そのためには,自分の目で被害の実情を確認することが何よりも重要です。
20代前半の女性が交通事故で意識障害を伴う重傷を負った事件を配点された私は,彼女が受けた被害の実情を確認するため,入院先の病院に足を運び,特別に許可を得て本人に面会させてもらいました。
そこには,記録だけで考えていた私の想像を遙かに超えた悲惨な現実がありました。彼女は,脳へのダメージで自力では身動きも意思表示さえもできない幼児のような状態でした。私は,自分が受けたショックを裁判官にも分かってもらうため,医師から聞いた彼女の症状を報告書にしただけでなく,事故に遭う前の彼女の写真を法廷で示しながら,母親に,事故前後の彼女の様子などを証言してもらった上,父親にも将来のあった娘の人生を奪われた悲しみや,被告人に対する怒りを述べてもらい,「重傷者1人を出した事故」という言葉だけは言い表せない被害の実情を立証し,その結果,被害の実情に見合う長期の実刑判決が下されました。
検事の仕事は,このように被害者のつらい思いを,1つ1つ立証していくという事が重要であり,決して派手な仕事ではありません。しかし裁判員裁判が本格化していく中で,検事は,刑事裁判においてますます重要な役割を担うことになり,やりがいも増していくものと思っています。検事を志すロースクール生の皆さんといつか一緒に仕事をすることを楽しみにしています。