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平尾 覚 検事 (福岡地検久留米支部 平成10年度任官)

支部長検事として

 「後は任せてください。」
 事件を公判請求した後,苦楽を共にした刑事達と酒を酌み交わし,ほどよく酔いも回ってきたころ,しばしば私が口にする言葉である。
 刑事事件は捜査を遂げて処罰すべき犯人を起訴すれば終わりとなるわけではない。捜査過程で収集した証拠を公判廷に顕出し,適正な科刑を得て初めて,刑事事件は一つの区切りを迎えることができる。刑事事件の公判を知り尽くし,そのノウハウを持つ検察官が刑事事件の捜査を行う理由の一つはそこにある。
 私が支部長を務める福岡地方検察庁久留米支部のような小規模検察庁の場合,一人の検察官が捜査を行うと共に公判を担当することが多い。
 捜査の過程においては,目の前にいる被疑者が犯人であるかどうか,そして収集された証拠は適正な科刑を得るために十分なものであるか否か,まさに自分が行うであろう公判での立証活動をイメージしながら検討を尽くす。そして,自らの考える公判戦略を刑事に伝え,捜査方針を策定する。公判準備は捜査段階から始まっていると言っても過言ではない。
 ところで,私は,検事任官10年目に福岡地方検察庁久留米支部長として勤務することを命ぜられた。90万人弱の人口を有する福岡県筑後地域の中心都市である久留米市に位置する地検久留米支部であるが,検察官7名を含めた総勢30名余りの職員で管内全ての刑事事件の捜査・公判を担当している。
 支部長といっても,自ら個別事件の捜査・公判を担当するが,仕事はそれにはとどまらない。部下検察官の捜査・公判活動についての決裁・指導は言うに及ばず,これまで直接経験してこなかった検務事務や検察行政事務についても責任を負うこととなる。そして,筑後地域の検察を代表する者としての役割も求められることとなる。
 捜査・公判のみを担当していたときには得られない悩みや視点を得る日々である。
 任官10年目に,規模の大小はあれど,地方の検察組織の長として,検察の組織としての有り様を把握し,検察組織と外の世界の接点に位置する機会を与えてもらったことに深く感謝している。
 最後に,電話の向こうから「支部長,いつまで残業してるんですか。○○で飲んでるので今から来んですか。」という部下職員の声が聞こえ,仕事を切り上げ,いそいそと官舎と目と鼻の先にある居酒屋へ向かう。これも小規模検察庁勤務の楽しみの一つであることを付け加えておく。
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