伊藤 栄二 検事 (刑事局参事官〔検事法制管理官室〕 平成3年度任官)
刑事立法という仕事
このところ,刑法,刑事訴訟法等を改正するなどの刑事立法が活発に行われています。平成16年(2004年)以降だけでも,例えば,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の制定,公判前整理手続の創設等を内容とする刑事訴訟法の改正等の司法制度改革関連の立法が行われたほか,刑法では,自動車運転過失致死傷罪等の新設や殺人罪等の法定刑の引上げなどが行われ,刑事訴訟法では,犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度の創設等が行われました。このような刑事立法の作業を主に担っているのが刑事局の刑事法制管理官室となります。
刑事立法の作業は,大別すると,法律案を立案しこれを国会に提出するまでのものと,国会での法律案の審議に対応するものとに分けることができます。このうち,法律案の国会提出までの政府部内におけるプロセスを見ますと,例えば,法務大臣の諮問により法制審議会の調査審議を経てその答申を得る必要がありますし,内閣法制局の審査や関係各省庁との協議・調整等も必要となります。そこで,刑事局において所要の法律案の企画・立案を行いつつ,このような様々なプロセスを経た上でようやく法律案の国会提出に至ります。そして,法律案の国会提出後は,衆議院及び参議院での法律案の審議に対応するなど,法律案が可決・成立するように努めます。
このように刑事立法の作業は,法律案の企画・立案に加え,国会審議等を始め,多くの関係機関における審議,審査等に対応しなければならず,大変骨が折れる難しい仕事です。ただ,その一方で,以下のとおり,重要でやりがいのある仕事であると考えています。
まず,刑法,刑事訴訟法等の刑事の基本法は,具体的事件の捜査や公判のベースとなるもので,その改正等の刑事立法は,例えば裁判員制度の導入のように,捜査・公判実務に大きな影響を与え得るものであり,我が国の刑事司法において大変重要な意味を持ちます。そこで,刑事立法の企画・立案に当たっては,その重要性を踏まえ,法整備の必要性があるのかどうかを慎重に検討した上で,あるべき法整備の内容を入念に検討します。また,この検討はいわば白紙に絵を描いていくようなものであり,非常に創造的な面があります。みんなで侃々諤々と議論しながら,より良い刑事司法の実現を目指して法整備の内容を検討していく作業は,まさに夢のある仕事といえます。
他方,刑事の基本法についての法整備ですから,その内容は刑法や刑事訴訟法理論に照らし合理性のあるものであると同時に,実務において円滑に運用され得るものである必要があり,その検討は,法律家ならではの作業といえます。
そして,こうして苦労して作業をした法律案が可決・成立したときの達成感は大変大きいものです。市販の六法全書に,自分が考えた条文が登載されているのを見るというのは得難い経験です。
さらに,そのように関与した刑事立法が実務からも使い勝手が良いなどと積極的な評価が得られれば,大きな喜びとなります。
以上,検事の多様な仕事の一つを理解していただく一助となれば幸いです。
刑事立法の作業は,大別すると,法律案を立案しこれを国会に提出するまでのものと,国会での法律案の審議に対応するものとに分けることができます。このうち,法律案の国会提出までの政府部内におけるプロセスを見ますと,例えば,法務大臣の諮問により法制審議会の調査審議を経てその答申を得る必要がありますし,内閣法制局の審査や関係各省庁との協議・調整等も必要となります。そこで,刑事局において所要の法律案の企画・立案を行いつつ,このような様々なプロセスを経た上でようやく法律案の国会提出に至ります。そして,法律案の国会提出後は,衆議院及び参議院での法律案の審議に対応するなど,法律案が可決・成立するように努めます。
このように刑事立法の作業は,法律案の企画・立案に加え,国会審議等を始め,多くの関係機関における審議,審査等に対応しなければならず,大変骨が折れる難しい仕事です。ただ,その一方で,以下のとおり,重要でやりがいのある仕事であると考えています。
まず,刑法,刑事訴訟法等の刑事の基本法は,具体的事件の捜査や公判のベースとなるもので,その改正等の刑事立法は,例えば裁判員制度の導入のように,捜査・公判実務に大きな影響を与え得るものであり,我が国の刑事司法において大変重要な意味を持ちます。そこで,刑事立法の企画・立案に当たっては,その重要性を踏まえ,法整備の必要性があるのかどうかを慎重に検討した上で,あるべき法整備の内容を入念に検討します。また,この検討はいわば白紙に絵を描いていくようなものであり,非常に創造的な面があります。みんなで侃々諤々と議論しながら,より良い刑事司法の実現を目指して法整備の内容を検討していく作業は,まさに夢のある仕事といえます。
他方,刑事の基本法についての法整備ですから,その内容は刑法や刑事訴訟法理論に照らし合理性のあるものであると同時に,実務において円滑に運用され得るものである必要があり,その検討は,法律家ならではの作業といえます。
そして,こうして苦労して作業をした法律案が可決・成立したときの達成感は大変大きいものです。市販の六法全書に,自分が考えた条文が登載されているのを見るというのは得難い経験です。
さらに,そのように関与した刑事立法が実務からも使い勝手が良いなどと積極的な評価が得られれば,大きな喜びとなります。
以上,検事の多様な仕事の一つを理解していただく一助となれば幸いです。