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裁判員裁判を含む公判活動


大阪地方検察庁検事
経歴
 平成14年に任官後,東京,名古屋,和歌山,大阪,松山,京都,神戸の各地方検察庁で勤務。
 その他,法務省大臣官房,法務省刑事局で勤務。また,アメリカで在外研究を経験。

裁判員裁判に携わって

 国民の皆さんから選ばれた裁判員の方々が刑事裁判に参加する裁判員制度は,その導入から10年以上が経過しました。裁判員制度が始まった頃,私自身は検事に任官して7年目を迎え,裁判員制度という新しい制度の導入に期待と不安を抱きながら,裁判員として参加される国民の皆さんに向けた分かりやすい主張・立証の在り方を日々模索していました。
 裁判員の方々は,御家族やお仕事等,日常の用務を抱えながら,裁判員としての職務を果たそうと真摯に裁判に臨まれています。検事は,そのような裁判員の方々が,法廷で,事件の証拠や当事者の主張を直接見て,聞いて,それらを正しく理解し,公正な結論に至るための,分かりやすい主張・立証に努めなければなりません。  そのための工夫は,検事それぞれが,事件の性質や証拠の内容等に応じて日々模索し,検討しているところであり,私自身も,例えば,テレビのニュースにおける説明ぶりを参考にしてみたり,  検事の先輩方の実際の主張・立証のスタイルを見よう見まねで学んでいきながら,自分なりのスタイルを日々考え,目の前の裁判に取り組んでいます。
 もちろん,検事が裁判に臨む姿勢や態度の基本部分は,裁判員であってもそれ以外の刑事裁判であっても変わるところはありませんが,日頃法律に触れる機会の少ない方にも分かりやすい主張・立証を考えることは,法律の基本に立ち返ることにもつながり,初心を思い起こさせてくれます。

被害者の気持ちに寄り添う

 私は,司法修習生の頃,「性犯罪の被害者に,女性の立場から寄り添いたい。」と思い,その気持ちから検事に任官することを決めました。事件の被害者やその御家族といった方々は,被害者参加制度というものを利用して裁判に参加したり,証人として法廷に呼ばれたり,裁判を傍聴したりと様々な形で刑事裁判に関わりを持たれることがあります。私は,刑事裁判を通じて,被害者やその周りの方々のつらいお気持ちが,できる限り裁判官や裁判員の方々に伝わるよう丁寧な主張・立証を心がけています。
 これからも,事件の被害者の方々に寄り添う気持ちを大事にし,日々の仕事に取り組んでいきたいと考えています。

おわりに

 以上のように,検事の仕事は,一人一人が創意工夫を重ね,より良い裁判の実現を目指すことができる点で非常にやりがいのある仕事であると,私自身は感じています。
 今,勉学に励む皆さんにも,このようなやりがいを将来共に感じていただけたらと思います。