検察の在り方検討会議 第5回会議 議事録 第1 日 時  平成23年1月20日(木) 自 午後1時28分                       至 午後4時13分 第2 場 所  法務省20階 第1会議室 第3 議 題  1 法務大臣挨拶  2 今後の検討事項等についての意見交換  3 ヒアリング・意識調査(サーベイ)について  4 その他 第4 出席委員等 千葉座長,石田委員,井上委員,江川委員,郷原委員,後藤委員,佐藤委員,高橋委員,但木委員,龍岡委員,原田委員,宮崎委員,諸石委員      第5 その他の出席者 江田法務大臣,小川法務副大臣,黒岩法務大臣政務官,事務局(神,土井,黒川) 第6 議事 ○千葉座長 それでは,ほぼ定刻の時刻となりましたので,検察の在り方検討会議の第5回会合を開会させていただきます。   本日も御多用の中,御出席をいただきまして,委員の皆様にはありがとうございます。   なお,本日は嶌委員と吉永委員におかれましては,所用により御欠席ということでございます 1 法務大臣挨拶 ○千葉座長 まず,新しく着任をされました江田五月法務大臣から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞ,よろしくお願いいたします。 ○法務大臣 どうも,皆さん,こんにちは。   今年に入ってもう2度目であるということで,本当に精力的にこの会合を積み重ねてきていただいて,大変ありがとうございます。1月14日に法務大臣に就任いたしました江田五月でございます。この度,法務大臣としてこの検討会議に関わるということになりましたので,是非,よろしくお願いいたします。   関わると申しましたが,基本的には,千葉座長を中心に,皆さん方に自由活達に御議論いただくということです。政務官はずっと陪席をさせていただいて,私は政務官から報告を受けます。皆さんの精力的な御審議に全幅の信頼を置いてまいりたいと思っています。   11月10日の第1回会議以降,大阪地検,札幌地検の現地視察など,精力的,活発な議論を進めていただき,これだけ集中的に議論していただくと,皆さん御自身のお仕事に支障が出るのではないかと思うくらいで,心配をしております。まずもって,感謝を申し上げます。   改めて申し上げるまでもないことですが,今般の大阪地検特捜部の一連の事態で,今や検察に対する国民の信頼は大きく失われていると言わざるを得ないと思います。このような深刻な状況を踏まえると,やはり検察がとにかく正義の味方だと,正義を追求するのは検察だという国民の信頼の回復を図る必要があると思っております。これは国民生活の一番基本的な信頼ですので,早急に検察の再生と国民の信頼回復を図る必要があると思っておりますので,昨年12月24日に公表されました最高検の検証結果,これも踏まえつつ,幅広い観点から抜本的な検討を加えていただきたいと思います。ただ,早期に検察の信頼回復を図る必要がございますので,これは前からそういう予定だったと聞いておりますが,3月末までに,有効な改革策を御提言いただければ有り難いと考えているところでございます。   週1回開催ということで御苦労をおかけしますが,国民の皆さんの期待は非常に大きなものがあるので,是非とも皆さんのお力をお貸しください。どうぞよろしくお願いいたします。 ○千葉座長 江田大臣,ありがとうございました。   ここで,法務大臣及び大臣政務官は所用がおありとのことで御退席になりますので,よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。 ○法務大臣 それでは,一つよろしくお願いします。 (江田法務大臣,黒岩大臣政務官退室) ○千葉座長 それでは,議事に移らせていただきます。まず,配布資料の確認をさせていただきますので,事務局からお願いいたします。 ○事務局(黒川) 本日,皆様のお手元にお配りしております資料は9点ございます。資料1はいつものとおり,本日の議事次第,資料2は座長の方で御用意させていただいた検討事項の柱立てに関する参考資料でございます。その他に皆様のお手元には,前回の会合でもお配りいたしましたヒアリング候補者に関する資料のほか,石田委員,郷原委員,高橋委員,宮崎委員,諸石委員及び本日御欠席の嶌委員がそれぞれ御用意された書面を配布しております。 ○千葉座長 よろしゅうございましょうか。お手元を御確認いただけたかと思います。   これから議事に移らせていただきますが,その前に私の方から改めてでございますけれども,皆様にお願いをさせていただきます。私の座長としての議事整理の力不足から,前回の会合では予定しておりました終了時刻を大幅に超えてしまいまして,何人かの委員の皆様にはそれぞれ会議後の御予定も入れておられたとも伺っておりますが,大変御迷惑をおかけしたのではないかと,大変申し訳なく思っております。   もちろん,議論が白熱しておりますので,一定程度,延びることはあるかとは存じますけれども,委員の皆様にも予定を差し繰って,時間を作っていただいているということもございますので,その点を改めまして,御発言は皆様にそれぞれ整理をいただきまして,簡潔にお願いできればと思っております。決して,発言の時間を制約しようという気持ちではありませんけれども,それぞれの皆さんが気持ち良く御発言いただけるようにしてまいりたいと思いますので,どうぞ,改めての御協力をお願いをしたいと思っております。 2 今後の検討事項等についての意見交換 ○千葉座長 そういうことを念頭に置いていただきまして,議事次第2,今後の検討事項についての意見交換に移らせていただきます。   これまでのところ,第1回会合での自己紹介の機会や第2回会合での意見交換などの際に,各委員から検討事項に関する御意見を伺ったほか,視察におけるヒアリングや第3回,第4回会合における皆様の御発言の中にも,本検討会議で検討すべき事項に関する問題意識が含まれ,その御認識の下で様々な御質疑もしていただいたのではないかと思っております。私の理解いたしますところでは,それらの御意見というのは,大きくまとめますと,おおむね三つくらいのジャンルになっていくのではないかというふうに,座長として皆様の御意見を聞かせていただいております。   これは私の認識に従った整理でございますので,これに従ってまとめる,あるいは御発言をいただくということではございませんけれども,頭の整理の意味で参考にしていただければと思っておりまして,お手元の資料2のような形に,ジャンルとして大きくは言えるのかなと考えております。   一つ目は,検察あるいは特捜部の組織や,その中におけるチェック体制,決裁体制といった問題であろうかと思われます。その中には,検察・特捜部の組織体制の在り方や上級庁などによる捜査・起訴をチェックするシステムの問題なども含まれているかと思います。   二つ目は,検察官の人事,教育や倫理といった組織を構成するそれぞれの検察官の在り方に関する問題が挙げられていたかと思います。この中には人材育成や人事評価の在り方のほか,不正への対処あるいは検察官倫理の確立といった問題も含まれていようかと思います。   三つ目として,検察あるいは特捜部の活動の在り方として,捜査・公判活動の在り方についての問題が多数挙げられていたかと思います。この点に関しましては,これまでどおり,取調べを中心とする捜査でよいのか,取調べの可視化を進めるべきではないかということなどが,問題意識として,皆様からもお示しされているのではないかと思います。さらに,その他として,これらの三つのカテゴリーには含まれないような問題として,検察の説明責任の在り方やメディアとの関係といった事項も,皆さんからも幾つか挙げていただいた問題でございます。   本日は,これまでの御議論を踏まえまして,さらに,最高検から検証結果についても説明を受けて質疑応答を行ったところですので,その点も頭の隅に置いていただきながら,引き続き,本検討会議における検討事項についての意見交換をさせていただきたいと思っております。もっとも,第2回会合でお出しいただいた御意見等については,既に議事録にも掲載済みでございますので,本日は,できるだけ,最高検の検証結果が出たことも念頭に置いていただいて,更なる検討事項や,これまでには不十分にしか意見を言えなかったのでというような部分についても,更に御意見をいただければ,より建設的ではないかと思っております。   なお,いつものことで大変恐縮でございますが,時間の関係もございますので,まずは皆様から一人5分程度で御所見を述べていただき,また,時間が許す限り,二巡目という形にさせていただければと考えております。本日は,おおむね4時30分頃までの予定と皆様にはお願いをしているところですが,検討事項のほか,ヒアリングあるいはサーベイなどについての御議論,御了解をいただくものもございますので,おおよそ3時半頃までを一つの目途とさせていただきたいと思います。どうぞ,頭に置いていただければと思います。その後,休憩を取らせていただきまして,後半は,ヒアリングとサーベイについての御議論ということにさせていただきます。   今日は皆様から必ず御発言をいただこうと思いますので,私の方から順番という形で回させていただきますので,よろしくお願いしたいと思います。   それでは,今日は高橋委員の方から順次回って,まずは5分程度,御発言をいただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ○高橋委員 お手元の一枚物で簡単に御説明をしていきたいと思います。恐らく他の方が提起されると思われるようなものは省きまして,私が言わないといけないかなと思うものだけを中心にまとめてみました。   一つ目が,組織能力開発の仕組みということで,広く言いますと,要するに組織としての能力開発をもっとしっかりやらないと,今後,誤りがやはり起こるだろうということであります。大きく三つございまして,一つが個人としての能力アップを人材育成でいかに図るかという問題と,もう一つは組織的な知見の蓄積,これをどうやってもっと促進するかということと,もう一つは中堅幹部,上級幹部のリーダーシップの在り方,これをどうやって変革をしていくのかということです。   一つ目としては,ここにも例えばということで書きましたけれども,検察官としての基本的能力の向上ということを更に図っていかないと,これがどんどん劣化をしていきかねないということで,新しいタイプの学習の仕方,組織における個人の育成の仕方をいろいろ考えて提言していきたいと思います。   それから,二番目は,やはり専門性とか,今まで扱っていなかったような領域がありますので,専門領域や対象分野についての組織としての知見を蓄積し,共有して,どんどん,このレベルを上げていくと。個別の対応,事案の対応を受け身でするだけではなく,事前に重要だと思う分野については,組織的に知見を,専門的な外部の人たちの知恵も借りて,ふだんから準備しておくと。それをみんなで共有するという仕組みです。   三番目が,やっぱり今回の問題にも一つ関わってきますが,上級幹部,中堅幹部というのは,一体,どんな役割を果たすべきなのかといったときの,例えば組織開発,人材育成のような,より重要なリーダーシップ的な部分,これに例えば多面評価を入れて,自分自身のリーダーシップスタイルがどのように周りから見られているのかということもよく確認して,自分自身を自己変革するような,かなり徹底して,そうやって自己変革を図るような研修を民間企業では,最近,そういうものが出始めていますので,そんなものも必要じゃないかということでございます。   二番目が,チェックシステムの話と非常に絡むんですけれども,私は仕事品質確保の仕組みと書かせていただきました。一つ一つの仕事の品質をどうやって,つまり,誤りを起こさずに確保できるチェック体制をつくるかということなんですが,やはり,最高検のレポートでもそうですけれども,今までの体制は,一番重要なのは重層的決裁システムでやるんだという前提で,二次的に,例えば捜査を行った者は,公判部に行くときに,その流れの中で,これは金融業界なんかでもいわゆる意思決定等,実際のエクゼキューションを証券会社の売買で分けるみたいなことをやってけん制機能にしますが,そういうようなものが二次的なものとして,今まで想定されていたと思うんですが,やはり,私は,重層的な決裁システムが,ある意味重みになり過ぎると,いわゆる空気が支配して,何か後戻りできないような空気を逆につくってしまうという部分もあるので,私はこれは意味がないというつもりは全然ないんですけれども,むしろ,重層的な部分はリーダーシップとか人材育成とかにより重きを置いていただいて,公判部の方もチェック体制も限界がありますので,ここに書きましたような横の仕組み,専門性もしっかり持って分かっているような人たちが組織の中のかなり独立性の高い部分をつくって,そこが重要案件については徹底的に横からチェックして,本当に起訴すべきかとか,強制捜査に入るべきかという重要なタイミングでチェックするというような監査的な部門を別途作るべきではないかと,横に,縦ではなく,こんな縦に加えて。   それから,今のは具体的な案件ごとのチェック体制ですが,もう一つは組織全体としてのチェック体制です。今回のサーベイもそうですが,こういうふうにして組織品質という言葉を私は使いますが,組織全体としてどんな状況にあるのかというのを常に把握して,その状況を見ながら各幹部が自分の所轄する組織の雰囲気あるいは実態がどうなっているか,それを今,どう変えなければいけないのかということを,毎年,具体的な計画に落として,実際,それが本当に,翌年進捗しているのかを毎年チェックしていくような組織全体としてのチェック,それから,もう一つが個人の能力のチェックです。本当にこの人がちゃんと適切なプロセスで仕事ができているのかと。イメージ的にいいますと,エアラインの機長というのは,時々,監査フライトというのがあって,ワンフライト,ずっと監査員が後ろに乗って,全て一挙手一投足をチェックして,その人の改善点を必ずフィードバックするということをやったりするわけですね。何かそういうようなものができないかということでございます。   三番目が,人事情報収集で,人事の評価というのは大体制度だけ変えても,結局,運用が問題になりますので,一番問題なのは結果的な情報,つまり,どれだけ起訴し,有罪にしたかという最終的な結果情報だけではなく,適切なやり方でやっているのかという部分の人事情報,プロセス的な人事情報をもっとしっかり集まる仕組みをつくって,それが幹部の人事の意思決定に反映されるような仕組みをしっかりつくるべきだろうということですね。それから,あとは意識調査の結果から何か出てくるというものもあるかもしれません。そのときはそのときで,また,何か考えるべきでしょうが,最後に一つだけ言いますと,今までもいろんな改革案が出てきているんですが,結局,本当にそのとおり改革が進められているのかをフォローして,しつこくしつこく変わるまで見続けるという仕組みが弱かったのではないかと。ですから,今回の改革を徹底して継続的に効果の測定をする体制と仕組み,これを是非,御提言したいと,こんなふうに思っております。 ○但木委員 私は,主権在民における検察権の正当性の根源というのは,国民の信頼と支持にあると。そういう意味で,今回の事件でその信頼が揺らいだということは,検察権の根源的な正統性について,今,疑問が持たれているという非常に重大な局面であろうと思っています。したがって,私としては検察を知る者として,公正にやっぱり物事を考えて,根源的な問題提起をやらなければならない自分の責任があると思っております。   その意味で,二つの点に絞って申し上げたいと思う。   一つは,検察官の持っている公訴官としての役割と捜査官としての役割を,きちっと分けて考えるべきであるということであります。捜査官の役割は,飽くまでも事件について,その真実を究明して犯人を糾明していくという役割であります。これに対して,公訴官というのは,捜査が適正に行われているか,そして,有罪を獲得できるだけの証拠が集まっているか,さらに,起訴すべき価値はあるか,それらの問題を公平公正な立場で,公益の代表者として判断しなければならない。その判断をするために,もちろん,捜査が必要な場合は捜査をやるということもできると。しかし,それは飽くまでも公訴官としての役割を果たすための捜査である。   この二つの検察官の働きというのは,同じように見えて,実は質が違うものではないかと思っております。それが検察官の倫理,検察の組織,あるいは捜査の在り方,裁判の在り方というものに全部影響してくる考え方ではないかと思っております。先ほど高橋委員が,縦の決裁だけではだめじゃないかということをおっしゃいました。これは恐らく,もっとそれを法律的にいえば公訴をする者,あるいは公訴を維持する者というのと捜査をする者との,そういう機能の違いを持った者のチェックというのが必要なんじゃないかということを言われているんじゃないかなと私は思いました。   それから,もう一つの問題は,可視化の問題をたくさんの方がこの中でも問題提起されています。それはそれで非常に価値があることです。ただ,お考えいただきたいんですが,可視化だけでこの会が止まってしまっては,私はそれは検察官調書による裁判,あるいは取調べというものが証拠の中心の現在の捜査構造,それを延命させるだけの効力しかないんじゃないか。やっぱり,物事はもっと根源的に考えるべきだと思っています。   現在の刑事裁判というのは,検事調書中心で行われてきたというのは事実だろうと思うんですね。我々もよく選挙違反なんかの公判の場合,例えば証人が全部うそをついていると分かっているわけですね。裁判官も分かっているし,検事も分かっているし,弁護士も分かっている。しかし,それは321条1項2号書面で検察官の調書が裁判に出る。その証拠に基づいて有罪が認定される。それをみんな分かっていますから,こんなものは偽証で起訴する人は誰もないんですよ。みんな,そのうそを「まあ,いいや」ということで,検察官調書による裁判ができればいいということで今までやってきた。それで,本当にこれからの裁判がそれで良いのかという問題を,是非,お考えいただきたい。   そういう裁判とともに捜査構造も同じなんです。真実の解明をしろというのが刑事訴訟法の一つの目的として1条に掲げられている。そして,その方法を刑事訴訟法は取調べ中心に全部置いているわけですね。取調べによって真実を解明していけと。それの一番大きな証拠能力を持っているのは検事調書ですから,やっぱり,検事としては取調べを行って真実を言わせて,それを調書にして,それを裁判に出していくということが最も重要な検察官の役割だと思い続けてきたわけです。現実には,それは正当な権限行使として今まではそれで良かった。   しかし,社会が大きく転換する中で,そういうやり方自体が一つの問題として提起されている。つまり,過度に取調べに頼る捜査,あるいは過度に検事調書に頼る裁判,それが根源的に問われているんじゃないか。やっぱり,ここは本当にその構造自体をみんなで本当にこれで良いのか,次の時代もこれで良いのかどうか。ここを本当に考えていなければいけないんじゃないかと私は思っております。 ○宮崎委員 今日,書面は出させていただいておりますが,概要は昨年11月10日に申し上げた,要するに検察捜査の適正化,公訴及び公判遂行の適正化,検察官倫理の確立及び検察組織の改革の四つでありまして,これを最高裁の検証報告書が出た現時点でも,変更する必要はないように考えております。取調べ全過程の録画・録音の必要性につきましては,検証報告書によりましても,客観的事実と異なる事柄について同一方向の調書が膨大に作られているということが指摘されているとおり,取調べ全過程の録画・録音の義務化は必須だと考えております。   また,証拠開示の拡充も必要であるいうことが今回の事件で明らかになったと思います。制約のある証拠開示制度ではありますけれども,一定程度,機能したということは明らかでありますが,一方,今回の証拠改ざん,そして,フロッピーの還付あるいは取調べメモの廃棄など,検察官が証拠開示制度を踏まえて,それを回避するというための行動もまた明らかになりましたし,また,貝塚放火事件における捜査報告書の改ざんが報道されていますが,これも証拠開示の対象となりにくい捜査報告書の改ざんという形で現れてきていると思います。そういう意味で,証拠の改ざんや廃棄,証拠隠しができないようにする仕組みのために,証拠リストの作成・交付と,証拠の原則全面開示が必要だと,このように考えているところであります。   第二の課題は,公訴・公判遂行の適正化であります。これはAさん事件を見ても明らかであります。そういう意味で,無罪を示す証拠があったときに引き返すという努力も必要であります。もちろん,それは何も特捜事件のこれからのことだけではなく,現に数多くの再審事件がありますけれども,そこでの証拠開示の在り方とか公判遂行が適正であるのかということでも,現在も問われているところだと考えています。   第三の課題は,検察官倫理の確立であります。これは以前に触れておりますので省きます。   第四の課題も検察組織の改革であり,検察官倫理に従った検事が不利益な扱いを受けないように,公正な捜査を行った人たちが不利益を受けないような人事考査の在り方,そしてまた,幅広い教養を得るための他職経験だとか,そういうような取組も必要ではないかと考えているところであります。   論点についてはそうでありますし,今日,また,千葉座長からの論点の枠組みメモもいただきました。ここで最後に申し上げたいのは,やはり,時間が限られる検討会議にあって,まず,こういう幾つかの論点,多くの論点について第一に議論されるべきは,取調べの可視化など検察捜査の適正化であると考えているところでありますし,最高検の検証報告書によっても,最大の問題点は取調べが検証可能となっていない点にあったと。この点が多くの方の共通の認識ではないかと思われます。例えば可視化が行われるならば,検察組織の在り方,上司の決裁の在り方あるいは倫理規範の在り方も,大きく変わってくるわけであります。可視化をするかしないかによって,その後のこういう課題,本日,座長メモでいただいたことも前提がかなり異なってくるかと思います。最大の課題の検察捜査の適正化を検討すべきではないかと思います。   但木委員が先ほどおっしゃっていただきました検事調書に頼る捜査構造が良いのかどうかということは我々も共通の認識として持っているところでありますけれども,それを私どもは理論的なというのか,抽象的な議論をしてもなかなか前へ進む議論ではないように思います。まず,取調べの可視化をすることによって,検事調書に過度に頼るという捜査構造は改められるであろうし,また,そういう意味で,物的な証拠の扱い方とかいう様々な取調べ構造がまず変わってくるのではないかと思っております。そういう意味で,様々な制度改革の第一歩として私は議論すべきことではないかと,このように考えておりますので,提言をする次第であります。したがって,私の見解によれば今日の千葉座長のメモの1,2,3,4の順番を改めていただいて,3,2,1と,このようにメモを改めていただければ良いのではないかと,このように考えているところであります。 ○石田委員 これまでの三人の方々で大体触れられておりますし,また,関心事項の詳細につきましては,第2回の会議で申し上げておりますので,検討すべき課題のみを要約して申し上げたいと思います。   検討すべき課題は山積しておりますが,期間が限られた現状におきましてはやはり重要課題を絞り込んで,その事項を優先的かつ集中的に議論して,速やかに提言をまとめるべきものと考えます。   まず,第一の課題としては,捜査・起訴についてリアルタイムに外部検証できるシステムを構築すべきだと思います。具体的には,取調べの全面可視化,任意性あるいは特信性立証の証拠方法を客観化すること,あるいは独立機関による監査システムの構築などを検討すべきです。   検証結果報告書の事実認定や原因分析については,不十分な点があることは多くの観点から指摘されております。しかし,本件が客観的証拠を無視して,検察官が描いた見立てに沿う検察官調書が強引に作成されたという点に本質的な問題があるということは,本件でも多くの主要証拠の特信性が否定されていることからしても,既に客観的に明らかだと思います。   これまでの特捜事件やえん罪事件の多くが,強引に作成された供述調書に依存した事件でありました。このため公判では,これは私も経験したところですが,供述証拠の任意性,特信性の判断のための審理に極めて多くの労力と時間が費やされてきました。これによって,任意性,特信性がないとされた事案が少なくないことは,既に経験上,明らかなところであろうかと思います。   こうした違法・不正な取調べを防止するためには,一体,どうすればいいのかということが第一の課題です。答えは明白で,弁護人の取調べに対する立会権を認める,あるいは取調べの全過程の録音・録画,あるいは調書自体を今の一人称の記述式から問答形式の調書の作成に変えるといった作成方法の見直し,それから,検察官の任意性あるいは特信性の立証方法を客観的な証拠に限定するといった,刑事訴訟法321条1項の見直しという方策が検討されるべきです。こうした方策は,検察の問題のみならず,裁判の迅速化といったことにも有用なのではないかと思います。   また,再発防止のための方策として,報告書は「検事長の指揮事件として,高検において,証拠関係の十分な検対等を行うものとする」とされております。しかし,検事長など上部組織による指揮あるいは決裁の充実では,従来の決裁制度とは本質的に変わるところはないと思います。先ほども指摘されましたけれども,方策としては極めて不十分であると考えております。したがって,上部による指揮あるいは決裁ではなく,独立した部署あるいは機関によるリアルタイムの監査あるいは検証といった,抜本的な改革が検討されるべきだと思います。   第二の課題としては,倫理規範の制定,不正防止システムの構築,あるいは適正な人事のトレーニング,人事評価の方法の確立を挙げるということができます。本件に限らず,これまでも問題となった事件の検証等は,たびたび検察庁でも行われてきましたが,それが事後の改善のために役立っているとは思われません。本件についても,多くの検事には自己自身の問題と捉える意識が見られないように感じられます。それは検察庁内部の独特な雰囲気や風土に由来するものであると思われます。   その改善のためには,今回,サーベイが行われますが,全検察官など職員を対象にした意識あるいは組織調査を恒常化すること,あるいは検察官としての基本的な倫理規範を明文化すること,そして,内部通報システムなどを充実させること,適正な教育システム,人事評価方法を確立することなどが検討されるべきだと思います。   特に倫理教育が不十分なことは,現在の司法研修所の検察講義案を,来るときに見てきたんですが,21年版でも検察倫理に関する該当部分は,かなり分厚い教科書の中の1ページにも満たない状況であります。先ほど民事弁護教官の現役の方に聞いてきましたらば,民事弁護であるとか刑事弁護というのは,かなりの時間を割いて弁護士倫理の講義をしている,そして,弁護士会でも御存じのように基本規定があり,そして,我々の年齢になった段階でもしかるべき倫理教育が行われ,それが必須科目になっているという状況であります。このような観点からも,検察官の倫理教育は改めていく必要があるのではないかと考えます。 ○郷原委員 お手元にお配りしている検察の組織の特殊性と法的枠組み,この紙に関連しまして,私からは,千葉座長からも示されています検討すべき事項,それから,他の委員からもいろいろ意見が出ておりますが,こういう検討するに当たっての前提事項というか,背景について少し考えてみたいと思うのです。   先ほど但木委員も言われたように,根本的な問題を検討しなければ,せっかくこういう在り方会議が開かれた意味がないと思います。その根本的な問題を考えるに当たっては,検察の組織というのが一般の行政庁とも企業とも違った独特の組織である,特殊な組織であるという認識をまず持つ必要があるんじゃないかと思います。その認識を持たないと,高橋委員からも,コンプライアンスの観点からいろんな改善を提案されておりますが,この特殊性を無視して考えると,恐らく実効性はないものになってしまうんじゃないかと。   そういう観点から,検察の組織のどこに特殊性があるかというと,まず,一つはこの組織は一体何を目的として,何を目指している組織かということが極めて不明確であるということがまず一つの特徴じゃないかと思います。それは検察がどういう法的枠組みで成り立っているかということにも関係するんですが,結局,検察庁法上の法的根拠などを突き詰めていきますと,検察の目的というのは,いわゆる検察官の権限行使の独立性と,そして,検察の組織としての一体性を融合・結合させたことによって,組織として組織の内部で独立して判断をするという枠組みそのものが維持されることが,一つの目的のような考え方が今まで知らず知らずのうちに採られているのではないか,そして,制度もそうなっているんじゃないかという感じがいたします。詳細はこの紙の中に書いているとおりです。   それが一つの特殊性であるとともに,それが例えば民間の企業とか行政官庁であればやはり目指すものがあって,目指すものと,今,起きていることとの間にどういう関係があるのかというところから,コンプライアンス的な検討が始まるんですが,そういう考え方がなかなかできないという一つの特徴です。何が悪かったのかということが分からない。   そして,もう一つの特殊性は,明らかに法的な性格としては行政機関であること,これは誰も疑わないと思うんですが,行政機関でありながら司法的判断を行っている機関のように社会的には思われているわけですね。これは一体どういうことなのか。司法判断というのは,本来,裁判所が行うべきもので,そんな検察レベルで行う判断が司法判断なわけがないんですけれども,しかし,実際のところ,先ほど但木委員もおっしゃった調書裁判というものの前提に,検察官のところで取調べを中心に判断したことによって,社会がそれを事実上,司法判断のようにみなすというような社会構造が存在しているんだと思うんです。   ですから,まず,多くの場合,重要な事件は検察官がゴーサインを出して警察が逮捕するということも含めれば,警察,検察の逮捕というのは検察官の判断に基づいて行われるんだと思うんですが,逮捕して身柄を拘束することによって,事実上,その人間に対して犯罪を行った悪人だというラベリング,烙印が押されるということがあって,それが社会的には非常に重要であるからこそ,検察の判断は司法判断のように思われ,そして,その検察の判断を中心に裁判所の認定も行われるということになっているのではないかと。基本的には,そういう構造が一般の企業とか一般の官庁のような組織論がなかなか通用しないという検察の問題の特殊性ではないかと思います。   そういうような特殊性があるために,従来のような伝統的な犯罪,経験と勘の積み重ねによって適切な判断ができるような領域の犯罪については,その枠組みが非常によく機能してきたんですが,残念ながら,今回の大阪地検の問題のように,最近の社会,経済の最先端との間で,その実態を踏まえて社会に対して鋭敏性を持って判断しないといけないような部分というのは,組織の中で判断が完結する枠組みが維持されることが正しいという考え方では,なかなか適切性が維持されません。それが,結局,今回のような問題の誤りが発生した根本にあり,そして,この誤りがなかなかどこに問題があるのかということが認識できない,これまでいろいろ説明していただいた最高検の検証結果報告書の問題点の根本はそこだと思います。検察の組織において何がどう間違っているかということの認識ができないことの理由も,こういう枠組みが自己目的化するシステムというところにあるのではないかという気がいたします。   ということは,検察の問題をこれから根本的にその在り方を考えていくためには,この枠組みが基本的には刑事事件の判断枠組みとして重要なものであり,維持されるべきであるとしても,それだけではやっていけない領域が,この頃,非常に大きくなっている。そういった領域について,どういうサポートシステムをつくっていくのかという観点で考えていき,そして,枠組み自体の問題点を認識して,やはり,それを一部是正するべきところは是正していくという修正の観点を持っていかないといけないんじゃないかという気がいたします。   そして,まずはそういう特殊性があるということを前提に考えていくと,なぜ,今回のような問題が発生し,なぜ,取調べの在り方にしても,事実認定の在り方にしても,決裁システムにしても,こういったところがなかなか改まらないという現状に結び付いているのかということの理由,原因というのも理解できるようになるのではないかという気がいたします。   そして,最後に検察官になぜ倫理規程がないのか,検察に倫理規程がないのかというところも,実は,このことに関連しているんじゃないかと思います。枠組み中心の考え方の中では,抽象的に倫理としてこうすべきだという考え方が出てきません。枠組みから離れて検察の組織としてはこういうもの,こういう価値を実現するんだということを一つ世の中に対して明確なものを打ち出さないと,倫理というものを確立する前提が生まれてこないんじゃないかという気がいたします。 ○後藤委員 私は11月25日付けで,一応,こういうことを検討したらよいのではないかというペーパーを提出いたしました。基本的にはそこで考えたことは今でも変わっておりません。第一に,取調べを中心とする捜査の在り方を見直す必要があるのではないか,第二に,検察官の倫理を明確化して確立する必要があるのではないか,第三に,検察組織の見直しの問題があるのではないか,それから,第四に,検察官の役割意識を考え直す必要があるのではないか,第五に,検察以外の人々にも果たすべき役割があるのではないか。こういったことでございましたけれども,やはり,差し当たりの重要度もこういう順番であろうと考えております。   最高検の検証を拝見して,大きな問題を感じるのは,捜査段階では,皆さん,Aさんの関与を認める供述をしてしまっていることです。それが公判になって初めて正されるという結果になっています。なぜ,そうなるのか。そこのところ,つまり,なぜ,捜査では誤った供述調書で固めてしまったのか,そのメカニズムが十分解明されていません。前田検事の証拠改ざんは,ある意味で,突出した問題ですけれども,もっと日常的な問題として取調べの在り方があるのではないかと思います。   大きく言うと,検察官が自分の仮説に合う情報だけを集めようとする傾向が見えていると思います。多くの検察官は,普通は間違った供述をさせようと思って誘導しているわけではないと思います。正しい供述をさせようと思いながら,しかし,結果として間違った供述で固めてしまう。それはなぜなのか。これは,単なる心掛けのような精神論で対処できる問題ではなくて,科学的な見方で,その原因を究明して再発を防ぐということをしなければいけないのではないか。それがまだできていないのではないかなと思います。   そういう観点からは,やはり,まず取調べの問題があって,その中に可視化とか,あるいは調書の証拠としての扱い方が今のようなもので良いのかといった問題があると思います。この辺は,問題意識としては但木委員がおっしゃったこととかなり共通するところがあるように思います。   それから,倫理規範の確立,これも必要だと思います。   組織の問題としては,例えば,特捜部という組織をどうするかとか,人事の在り方あるいは決裁の在り方,こういった課題があると思います。   それから,検察官の役割は,私は非常に重要な根本問題だと思います。これは但木委員や郷原委員が示唆されているところです。ただ,これは根本的だけれども,かなり抽象的な問題になるので,差し当たり,後回しにして,まず,各論から入って,その議論の中で,基本問題に持ち上げていく,あるいはそこへ掘り下げていく方がよいのではないかと考えております。それで,取りあえずは,今,申しましたような取調べを中心とした捜査の在り方,そして倫理規範の問題,そして組織の問題というような順序で検討を始めてはいかがかというのが私の現在の意見でございます。 ○江川委員 私たちがやらなければならない役割なんですけれども,一つは3月末までにという期限,それから,もう一つは,地に落ちたと言われる検察に対する国民の信頼を回復するための提言をするということです。それを考えると,まず,何をしなければいけないかというと,基本はAさんのような事件を繰り返さない,そのためにどうするか,目に見えて変わったというふうに実感できるような具体的な何かを示すことが一番国民の信頼回復につながるのだと思います。そういう意味では,確かに根源的なものも大事なのですけれども,今,後藤委員が各論から入った方がいいのではないかというふうにおっしゃったのは私も賛成です。   なるべく具体的なものを提起すると。では,その具体的なものは何かというと,一つは先ほどから言われている取調べ過程,全過程の録音・録画,可視化の問題です。確かに但木委員のおっしゃったように,可視化だけでいいのかというのは正にそのとおりです。でも,ですから,この可視化というのはやっぱり最低ラインだと思うんですね。可視化だけではだめだ,可視化以外に何ができるのかということは話し合わなければならないけれども,まず,取調べの全過程の録音・録画については,きちっとした方向性を出すというところをまずはやらなければいけないと思います。そういう意味では,宮崎委員がおっしゃったように,座長メモでいうと,まず,3から始めるというのがやっぱり正しいのではないかというふうに思います。   そして,私はここでの議論の中で,但木委員が1回目だったと思いますが,おっしゃった文化,風土の問題を挙げられました。これは大変重要な指摘だと思いますし,私もヒアリングだとかをやりながら,すごくその問題を感じました。では,その文化や風土を変えるにはどうしたらいいのかというと,やっぱり,それは閉鎖された組織の中だけじゃなくて,外の人の目,外の風を入れるということだと思うんですね。今までこの何か月間かでヒアリングをやったり,いろいろ調査をやりたいといったときの反応を見ていても,非常に検察という組織は閉鎖的でありますし,取調べの過程も非常に密室性が高いと。こういう閉ざされた組織に外の目,外の風が入ることで,文化,風土を変えていくということが大事じゃないかなというふうに思います。   取調べの可視化もやっぱり,そういう一環として外の人の目で,検証できるというふうにしていくという意味もあります。それ以外に,例えば倫理規程の話がありますけれども,倫理規程はもちろん私は作った方がいいと思いますが,作りっ放しではしようがないわけで,倫理違反があったときにそれを審査する,あるいは監察機関みたいなものを作ることが必要になると思いますが,そういう中には,やはり,外の人がちゃんと入って,あるいは外の人がメインでそういう組織を作って,それをチェックする。あるいは最高検の検証で再発防止策の中でも,恒常的にいろんな事件の検証組織を作るというような話もありましたけれども,これも検察内部の組織ではなくて,外部の組織あるいは外部の人を入れた組織にする必要があるというふうに思います。   今回の検察の検証結果は,皆さん方もお聞きになったり,読まれたりして,いろんな方から不十分だという指摘が随分ありました。本質的なところを,これが聞いていない,あれが聞いていない。それはやはり,中の人だけでやっているからああなるんだというふうに思います。アドバイザーが入りましたけれども,これはどういう人に何を聞くかというところから関わっていないので,やっぱり,そういう材料をちゃんと集めるところから外部の人が入る。そうした検証の結果を,つまり,失敗したことなどをどうして失敗したのかということをちゃんと分析して,そして,全国津々浦々の検察官にちゃんとそれを伝達して,こういうことは二度と繰り返さないようにという教訓をみんなで共有化してもらうということが検察官の全体の質を向上させる上で,とても大事じゃないかなというふうに思います。   それから,もう一つ,特捜部のことに関してはやはり特捜部の存廃,今のままの組織でいいのかということも議論するべき必要性があるなというふうに思います。そういう意味では,宮崎委員がおっしゃったように,3,2,1の順番でやっていくということに私も賛成です。 ○原田委員 私はこの機会に,教育と研修の重視ということを取り上げてみたいと思っております。こういうお話をすると,この喫緊の大変な問題に対して毒にも薬にもならない,そういうことをやったってどうしようもないじゃないかとお感じになると思います。私もかつて,そういうことを思ったことがございました。と申しますのは,裁判所で安川裁判官の事件というのがございました。これは皆様も御存じだとは思うのですが,大分前のことです。あのとき,やはり,今と同じほどの衝撃が裁判所に加えられましたし,世論からも厳しい批判を受けました。   その当時,最高裁が打ち出した一つの柱は,研修の充実ということでした。これを私は聞いていて,こんな大事件のときに研修の問題なんかを持ち出して,対応できるのだろうかという不安を持ったものです。ただ,10年,20年経ってみますと,この研修というのが正に大きな木に育ちました。非常に大きな裁判官育成の基本になっているのです。   それは,三つございまして,一つはマスコミ研修です。私は1期生で毎日新聞に行きましたが,これは私個人の裁判官人生の中で最も勉強になったし,良かったと思います。それが企業研修に,さらには官庁研修に発展しました。二つ目が研修所での1週間ものですけれども,裁判とほとんど関係ないような宇宙工学ですとか,私の場合は宗教でしたけれども,そういうところへ伺って,いろいろな人の話を伺うという機会がございました。三つ目が海外に留学させることです。これは裁判官になれば,ある程度の年次までに相当数の人が海外に行くという体制を作りました。   法総研でもある程度実施されていることだと思いますが,その充実が必要だと思うのです。考えてみますと,劇薬的な対処方法というのは,そのときはいいのですけれども,何年も経って見てみますと,かなり弊害が生まれるようにも思います。せっかくの機会ですから,劇薬ではありませんが,例えてみれば細い苗木みたいなものを育ててはどうかと思います。教育というのはそういうものです。この機会に芽を出していくと,10年,20年経てば,非常に大きなサポートになると思うのです。   劇薬の場合は,非常に効果に速効性がありますけれども,弊害もあるという点を十分に考えないといけないと思いまです。一例だけ申し上げると,可視化については当然議論すべきだし,裁判官としてこれに反対する理由は全くございません。ただ,可視化されたビデオをある重大事件で証拠として見たことがあります。全く被疑者の供述に問題点が見られないのです。僕らはプロですから,いろいろな点を注意しながら見ているのですけれども。   裁判員裁判の場合,検察官調書よりも公判供述の重視の傾向が表れています。しかし,自白したビデオを見せたら相当それを信じてしまうように思うのです。自白をした場合にはむしろ被告人に非常に致命傷を与える可能性があります。そういう点も考えて,いろいろ政策を考えていかないと,劇薬だけでは危険だなと感じている次第です。したがいまして,対処方法としては大樹を育てる方向と,劇薬についてはその処方を誤らないように十分に考えていくのがいいのではないかと考えております。 ○井上委員 既に他の方々がいろいろな角度から意見を述べられたこととほとんど重なってしまうかもしれませんが,なるべく簡潔に申し上げますと,今回の事態の中心的問題点は,特捜部の捜査がかなり当初から一つの筋立てに,そしてそれのみに従って進められたこと,捜査の方法としても,被疑者や関係者の取調べに多くの精力が注がれる余り,不当と思われるような点が少なからず認められる取調べ方により,取り調べられた者の多くからその筋立てに沿うような供述が取られたこと,他方,客観証拠の中にその筋立てや供述証拠の内容とは整合しない重要な問題点があったにも関わらず,捜査主任検事がこれを軽視し,あるいは,その問題点を十分解消しないまま,筋立てに沿う供述証拠に依拠して,筋立てどおりの内容の起訴をすることにし,決裁に当たる上司や上級庁においても,その問題点を認知することができないまま,その起訴決定を承認したこと,その後,その客観証拠の存在及びそれを捜査主任検事が改ざんした上,還付した事実を他の検事や上司も知るに至ったにも関わらず,これを深刻に受け止めず,あるいは,あえて伏せて,不整合の問題点を解消しないまま,筋立てに沿う供述証拠に依拠して,当初の筋立てどおりの公訴を維持したことにあると思います。   したがって,座長の用意された論点整理の大きな項目に沿って申しますと,まず第一には,このような捜査や起訴,公訴の維持を許した態勢の見直し,すなわち,事件の筋読みないし筋立て,証拠の評価等について,主任検事一人あるいは少数の幹部の見方のみによらず,様々な角度から複眼的に検討し,また常に再考ないし引き返すことのできる捜査態勢や決裁の在り方,上級庁の関与の仕方,但木さんの言われたチェックのシステムというのも同じことのように思いますし,高橋さんの言われるように,縦のチェックだけでなく,横のチェックも必要なのかもしれませんが,それを考えてみることが必要だと思います。 第二には,検察官個々の問題として,手柄を挙げること,特に大きな事件で大物を検挙・起訴し,有罪を勝ち得るといったことにプライオリティを置くのではなく,あくまで,客観的な立場から事案の真相を探求し,それに応じて,訴追にとっては不都合なことでも指摘したり,明るみに出すことこそ,検察官の本分であるという意識を徹底させるような体制の整備,例えば,倫理綱領のようなものを定めたり,教育研修や人事評価・管理のシステムを整備することなどを検討するべきでしょう。   そして,第三には,但木さんも言われたように,捜査や立証について,供述証拠に過度に依存しない捜査や立証の在り方に改めていくべきであり,そのような方向に持っていくにはどうすればよいか,考える必要があると思います。   もっとも,この最後の点は,一般論として言うだけなら易しいのですが,詰めて考えるとなかなか難しい。例えば,今回の事件でも,虚偽の証明書はどのような経緯を経て,何時,どこで,どのような方法で作成されたのかが確定的には明らかにされていないように思われるわけですが,その点をさらに解明しなければならないとした場合,どのような方法があったかと言いますと,現実には,実行した本人から更に詳しい,あるいは明確な供述を得るほかはなかったようにも思います。そのように,被疑者や被告人が犯行を行ったのは間違いないと思われるけれども,その動機や犯行に至る経緯,犯行の詳細な内容等は,当人の供述によらないと十分分からないことが多い。そういった不審点や不可解な点が残っても,割り切って有罪とし,あるいは処分を決められればよいのですが,従来のようにその点にこだわる限り,供述証拠に拠らざるを得ないところがあるわけで,そのような立証ないし事実認定の構造や関係者の心理の構造を変えていけるのかは,なかなか難しい問題なのです。   その点がすぐに大きくは変わらないとすると,供述への過度の依存は改めなければならないのはもちろんとしても,供述も有用な証拠として用いる以上,それが真実性があり信頼できるものであることをいかにして確保するかを考える必要がある。その意味で,多くの方々が指摘されたように,取調べの録音・録画の問題を含む,取調べの適正さの確保,供述の任意性や信用性の確保の在り方について検討することは,当然必要だと私も思います。また,取調べで無理をして供述を得るということをさせないために,それ以外の方法で,信頼できる供述やそれに代替し得る他の証拠を得る手段がないのかといったことも考えてみる必要があるでしょう。   ただ,これらの問題を考える場合には,本会議の主たる任務である検察の在り方という視点からだけで議論するわけにはいかず,裁判所や弁護人,警察等の他の捜査機関の活動の在り方とも密接に関連し,それらに大きな影響を与え得る事柄ですので,それらの点をも視野に入れて幅広く議論しなければなりませんし,立法的手当を講じることが適切,あるいは不可欠と考えられるものも少なくありません。その意味で,本会議の所掌として,検察の運用でカバーできる範囲を超えて,どこまでのことが言えるのか,そしてまた,本会議の構成や日程上の制約の下で,どこまで詰めた検討ができるのかについては,正直,疑問もあるということを申し添えたいと思います。   もちろん,本会議でこれらの点についても議論すること自体は,そのような立法や制度化の検討に資するという意味でも,非常に有意義だと考えています。 ○諸石委員 私は座長メモにあります主要な検討の枠組みの前に,その底にあるといいますか,その当然の前提となっている常識的なことについて,改めて共通認識をここで作っていきたいと,こう思っております。あらゆる改革というのはプラス面があると同時に,必ずマイナス面,副作用というのが出てまいります。どんな副作用が出てくるかということを認識して,それを甘受する覚悟の下に改革を進めるということが必要でございます。   まず,今回,議論になっています改革をやろうとすれば,裁判官・裁判員,検察官,弁護人にとって相当の労力と時間の負担になります。また,お金の費用の負担になる。これは最終的には国民全体の負担に跳ね返ってくるわけであります。   今回の問題は,ある検察官が証拠改ざん行為を行ったということに端を発しているわけでありますが,まず,考慮すべき問題は証拠改ざんといった行為がその組織の中で広く横行しているのか,あるいは極めて例外的であるのかということによって,その意味が全く違うということであります。証拠改ざん行為ということに限って申しますと,本件以外に検察官による証拠の改ざん行為が行われたという事例,それを疑わせる具体的な事案というのは,まだ,具体的に指摘されていないと思います。また,大阪と札幌で検察官,検察事務官と懇談をいたしました。全メンバーが口をそろえて,考えられない行為,あってはならない行為という認識を述べておりましたように,今回の改革の主要課題は,証拠改ざん行為が検察の組織内で広汎に横行しているということへの対応策ではないんだということは,まず,確認しておく必要があると思います。   私は企業の出身なので企業の例をとりますが,内部統制だとか遵法体制の確立だとか,リスク管理だとかということを,今,企業は随分力を入れてやっております。これはつまるところ,企業の役職員の中には,違法・不当な行為をする者があり得るという性悪説的な立場に立って,そこで,違法・不当な行為の根絶を目指すのではなくて,違法・不当な行為の発生する確率を下げると,そのための方策である。そのために内部監査の充実,役職員の教育訓練,指揮命令系統の整備,決裁手順の明確化,執務マニュアルの整備といった,現在,議論になっておりますようなことを,企業の中でも,業務運営の体制整備の努力として日常的にやっております。これは会社法の制定を契機として,この強化に大変な労力,時間とコストをかけて推進しているわけであります。   検察においては,検察官が違法・不当な業務執行,権限行使をするということはあり得ないという常識に基づいて,全ての業務運営の仕組みが組み立てられていたのだろうと考えられます。しかし,検察官も人の子であり,間違いをしでかすこともあり得ると,不適切な行為をしでかす可能性をどこまで減らすことができるかということを考えていくというのが本件改革の出発点だろうと思います。検察官による違法・不当な行為が二度と起こらないようにするということは究極の目的ではありますが,二度と起こらないということを絶対的に保証するということは,制度設計としてはないものねだりであります。改革というものに内在する限界であります。そのことをまず認識しておく必要があると思います。   そして,刑事司法というのは国家社会の秩序と国民生活の安全を守る砦であります。その中でも検察・警察の役割というのは,より積極的・能動的に社会の秩序と国民生活の安全を守って,違法行為の摘発をすることにあります。もし,検察の機能の発揮に対して,余りにも過剰な抑制条件を課しますと,その反面として犯罪の摘発だとか,捜査に対して謙抑的・消極的になり,結果として国民生活の安全・安定の確保の機能に欠けることになりかねないおそれがあり得ると,そうならないようにどうするのかということを常に考える必要があります。また,特捜検察というものの役割は,世に「検察の牙」と呼ばれますように,政界,官界,経済界の権力の腐敗・乱用を摘出することにありまして,この機能に必要以上の制約を課することによって,「悪いやつらが枕を高くして眠れる体制」をつくり出すことにつながらないように,留意する必要があると思います。   あらゆる制度とかその運用というのは,常に長所と短所とを併せ持っております。また,他の諸制度と密接に絡み合って存在しているのでありますから,一つを変えると良くも悪くも各方面に影響をいたします。したがって,その辺の長短を検討し,改革に伴って影響を受ける諸制度の変革との連携を保ちながら実施すべきことでありまして,その意味から,あらゆる改革というのは,その準備に多大の時間,労力,コストを要するものでありまして,本来的に望ましい改革であっでも,それを短兵急に即時・全面的に実行いたしますと,かえって混乱を招き,改革の芽を摘んでしまうということになりかねないと思います。改革というのは,その最終的な到達目標とタイムスケジュール,改革の順序と範囲,関連する他部門での諸改革との整合性を熟慮しながら,順序よく着実に推進することが成功の要諦であると考えます。   今次の改革に伴って多くの利点が得られると思いますが,その反面として,これまで当たり前と思われていた幾つかのことに変容を受けざるを得ない蓋然性があるということが,国民に十分理解,納得されることが必要であると思います。   被取調者にあっては,自分に不利益な供述はしたくないというのが,これは人間の本性であります。犯行の自供に向けての圧力が減少しますと,自発的に自供する事例が減少する傾向が生じることは当然であります。裁判員裁判において,犯行の認定に当たって,これまでのようにほとんどの場合に被取調者が犯行を自認している状況ではなくて,否認のままで物証と関係者の供述だけに基づいて被疑者の供述を真っ向から否定する判断をせざるを得ない,そういう事例が増加してくるだろうということを覚悟しておかなければいけないと思います。   また,殺人における殺意とか不正請託の趣旨といった内心に関わる問題を被取調者の供述なくして,構成要件事実として立証することが極めて困難であるのは当然でございます。例えばアメリカにおきまして,殺意について自分で自供するはずがないという前提から,刑法上の殺人の構成要件として銃を他人のいる方向に向けて発射するという行為,それだけで,それを刑法上の殺人として死刑以下の刑罰を科すと,そういうふうに個人の内心というのを構成要件から取り去れば可能でありますが,日本の刑法の主観主義ということからいうと,そういう問題があるということを考える必要があると思います。   それから,そういう被取調者が自発的に自分に不利益な事実を供述することを忌避しようという傾向が生じてくることを防ごうと思いますと,自発的な反省なり,改しゅんの気持ちに基づいて,当初から捜査に協力して自分に不利益な事実を積極的に供述する態度を示していた者と,当初,逃げ隠れしていたけれども,逃げおおせずに渋々自供する者との取扱いの違いを情状の面でも明らかにしていく必要がある,しゃべらないならば,特別に有利な情状を検察が調べてやろうと思っても,調べられないというような事態も出てくる。   それから,これらの改革に伴って,疑わしいけれども,有罪を完全に立証し切れない事件についての不起訴,起訴猶予処分といったことが数多く発生することや,起訴事件においても被告人の自供が得られないことが決め手を欠く結果につながって,無罪率が従来よりも大幅に増加するといった事態も考慮に入れておく必要があると思います。また,将来的には組織ぐるみの犯罪において,犯行を命じた上級幹部を追及するためには,その事実を供述した下級の関与者に対して,刑事手続上で有利な取扱いを与える司法取引制度の導入ということも,この延長線上で検討する必要が生じてくるかもしれないと思っております。   今回の改革に当たっては,検察の組織・人事の在り方だとか,内部で組織に横串を刺すチェック体制の構築だとか,さらに具体的な取調べ状況の録音・録画による可視・可聴化について,その範囲だとかやり方だとか,証拠の弁護人への開示だとか,証拠としての使い方,例えば供述の信用性を立証するために,このテープを聞いてくれと,見てくれと,こう言われると,その全体が必要だということになれば,何十時間というビデオを見る,それが今の裁判員裁判の中でやれるのかといった問題も考える必要がございます。   そういった基本的な諸問題について,まず,考え方,方向付けを明確にするということと,その具体策については,改革の実施の順序,タイムテーブル,関連部門の改革との連動性を考慮して十分な事前準備をして,逐次,整然と実施に移すと,この二つを区別して考えていく必要があろうかと思います。   そして,ちょっと付け加えますと,この資料2に関連してどちらから入っていくかということについて,今,いろいろ御意見が出ているようでございますが,どちらからやるにしても,結局,最初に取り上げたものの議論で時間切れになることのないように,最初から時間配分を明確に決めて,その都度,それぞれの予定時間内で,それぞれのテーマの議論を終了するということを是非お願いしたいと思います。 ○佐藤委員 私は,先ほど井上委員が整理されました問題認識と認識を共有するところですけれども,そのような立場から見ますと,座長が用意されたこの枠組みの整理は,基本的に極めて適切,妥当だと思っております。ただ,これでいきました場合には二番目に倫理という問題がありますけれども,これとの関わりにおいて一番のテーマとしては,検察の組織,権限及び任務というものを加えて考えるべきではないかと。これは先ほど郷原委員が言われておりましたことと共通する部分がございます。といいますのは,検察官の役割は,検察庁法上,極めて明確に具体的に書かれているわけですけれども,検察庁は単に検察官を統括するところとあるのみなんですね。   しかし,検察官同一体の原則というものによって検察庁としての意思というものは,当然,明確にあり,それにのっとって今回も捜査が行われ,公判が遂行されたように思いますけれども,それでは,検察庁の任務は何なのかというのは定められておりませんし,その内容は恐らく人によって理解が異なるようなことが生ずる,そういう状況だろうと思います。したがいまして,検察官の倫理を明確にすることと併せて検察庁の任務もこの際,明確に定めるべきだと思います。これに関する参考意見を後日,議論の過程で提出してまいりたいと思います。   それから,特捜部の存廃の問題は,特捜部問題が今回の問題の発端でありますので,是非正面から議論しなければならない。現状でいくのか,あるいは全て廃止するのか,あるいは一部整理をし,統合していくのかということについてのこの会議としての意見は,明確に出すべきだと思います。これについてもまた後日,意見を申し述べたいと思います。   それで,特捜部の存廃を議論する場合に,私は先ほどもお話が出ていましたけれども,捜査権と公訴権,これを同一人が保有する,ないしは同一部,同一組織が保有する問題を是非解決しなければいけないと思います。その解決の仕方が特捜部という組織をどのような形で存置させるのか,あるいは廃止するのかということを決めていく場合の一つの判断材料になると思っております。その意味で前回も指摘いたしました事項に関して最高検報告書の中に示されたところの解決策は,不十分,不明確,曖昧,中途半端だと言わざるを得ない。   それから,第一の部分でもう一つ議論されるべきは,これも既に出ておりましたけれども,内部不正についての監察体制,これをやはり組織として構築すべきだろうと思います。その際に苦情についての処理体制を併せて同一の組織でいいと思いますけれども,定めることが必要だと思います。といいますのは,十数年前に警察がいろいろな問題を起こして,国民世論から厳しい指摘を受けた際,このような会議が構成されました。そのときに多くの委員の方が指摘したのがその問題でした。   つまり,国民からの苦情があった,ないしは当事者から苦情があったその中には,えてして官憲がなした不正といいますか,不適当な措置というものが内在しているということがあったからであります。苦情処理の過程で,その組織の襟が正されていく端緒になると思いますので,監察体制をつくるならば,併せて苦情処理体制もつくる必要があるだろうと思います。   これは大変人手もかかりますし,厄介です。厄介ですけれども,これをやらなければ不十分のそしりを免れないと思います。なお,その際,これらを外部者による組織にするのは,私は不適当だと思います。それは一見,公正性が担保されるように見受けますけれども,やはり,内実を十分承知した者が,また,権限のある者が,また,常時,そこに務めることのできる者が処理をしなければ,これは時の流れとともに形骸化していくものだと思います。   次に,二つ目の枠の関係で申し上げますと,今度の問題は検察官がよく口にし,かつ国会等においても答弁されてきた言葉,すなわち,「法と証拠に基づき」がお題目に堕していたのではないかと強く思います。これは但木委員からもるる御指摘がありましたので,あえてそれ以上,申し上げませんけれども,私どもも検察研修というのを随分受けました。私も受けましたし,全国の警察官は必ず検察庁における研修を受けるように進めてまいりました。それは,公訴提起手続を知る過程で検察の捜査ないし公判についての理解を進めるという意味でありましたけれども,実質的には証拠に対する見方の厳しさを教わるということがございました。   その警察を挙げて検察研修を受けるようにしてきた検察庁において,証拠を見る目が当時ほどの厳しさを持っていないということは驚きでありますし,残念であります。そういう意味では,先ほど来,御提言がありましたけれども,証拠に関する教育訓練,研修というものを是非,この機会にやり,また,全国警察が挙げて検察研修を受けたいと,そういう検察になっていただきたいと思います。   それから,先ほども原田委員からお話がありましたけれども,一般社会の実情を知ること,これはこの機会に是非やるような仕組みを作っていくべきだと思います。今回の事件を私なりに勝手に推認いたしますと,恐らく国会議員が関与しているということを認知してからは,あの役所においては議員から言われれば,事務を曲げて遂行するに違いないという前提に立って物を見ていったという,そういう過程がありはしないかと。しかし,行政実態は決してそういうものではなくて,そこの意識のかい離,認識のかい離は極めて大きかったように私は推認します。そういう意味におきましても,この際,行政機関の仕事あるいは企業の実情等々を深く知る,そういう仕組みを構築するべきだと思います。   三つ目の部分については,当然,取調べの問題というのは入ってこようと思いますし,何人かの方がおっしゃっているような全面可視化の問題というのは,議論になるんだろうと思いますけれども,この点に関して一点だけ申し述べておきますと,私は現在の法体系の下でそれをやろうということは,捜査機関に無責任を強いることになると思います。井上委員あるいは諸石委員が整理されましたけれども,これをもしやるとするならば,整備しなければならない立法上の問題が多々ある。それに手を付けて,その上で可視化の問題を実行するということ,これは選択肢として十分あり得る。ただ,何をどのようにすべきかということについては,この際,明確にしておくことが,将来のために意味のあることだろうと思いますので,この点につきましても後日,整理ができますれば,御提言を申し上げたいと思います。   なお,最後に,どこの項目に入るのか分かりません,二番目に入るのかもしれませんけれども,私は特捜部の検事には多くの方が指摘されたように傲慢と言える,そういう体質が徐々に徐々に醸成されていったのではないかと思います。例えば会社に捜索に行くときに隊列をなして,そしてテレビカメラの砲列の中を捜索に行く。   我々の常識からすると,捜索というのは静かにやるものであって,あるいはひそかにやるものであって,ああいうことがまかり通って,それが当然だという形で,もうここ20年ぐらい行われているように思います。それはやはり傲慢体質を更に強めていく,本質的な問題じゃありませんけれども,そのようなことに資しているのではないかと大変危惧をいたします。決して捜査は「スター」のように華々しくやるものではなくて,静かに遂行すべきものだと思いますので,そのような体質の改善策も是非考慮いただければなと思います。 ○龍岡委員 多くの方々がいろいろな角度から,いろいろな検討事項について提言がありましたので,私自身が付け加えることはほとんどないと言ってもいいのかと思います。この会議の検討すべき事項につきましては,基本的には私も第2回の11月25日の会議で述べたことということになりますけれども,最高検の今回の事件についての検証結果の報告書を拝見し,それから,それについての質疑応答の結果を踏まえて考えますと,どうも基本的な点,つまり,何でこのような事件,事態が発生したかという根源的な問題については,必ずしも明らかになっていないんじゃないかと思います。   確かに,かなりの程度に事実も調査されて,事実関係が相当明らかになったことは間違いないんですけれども,もう一つ足りない。これは皆さんが指摘されているところで,これについてはこれからのヒアリングによって補い,それをも踏まえた上で,今後検討していくということが必要ではないか。根源的な背景,原因といったものをできるだけ明らかにする,解明まではいかないかもしれませんけれども,明らかにしていくということがまず必要なのではないだろうか。その意味で,今回のヒアリングがまた意味があると思います。   検討事項について提起されたいろんな問題について,座長が今日,示された主な枠組みですけれども,私自身はこの枠組みで整理されることは大変結構じゃないか,極めて適切であると思います。この中身については,いろいろな議論があると思うんですが,時間の制約とか,いろんな問題がありますので,そこは絞っていかなければならない。検討すべきことは多々あるとは思いますけれども,限られた時間内でこの会議の目的を達するとしたら,ある程度,絞っていかざるを得ないだろうと思います。   そうしますと,大きくこの三つの柱の中で主要なものを選んでいくということになるのだろうと思います。いずれも重要な問題だと思いますが,私はこの中で,順序としてはこの順序かなと思いますが,特に2の問題が先ほどの意識からいうと重要ではないか,根源的な問題で,検察官の意識の問題にどうしても触れざるを得ないんじゃないだろうか。現在の検察官がどういう意識で仕事をしておられるかといった点について,もう少し議論をしていく必要があるんじゃないか。今回の事件を見ていまして,これでいいのかという思いがあり,検察官自身の意識改革が必要ではないのだろうかと,そういう観点から議論していく必要があるように思います。   この検討会議での議題として議論するのに最もふさわしいのはそこではないだろうか。後の例えば3の問題,これも本件に直接関係するわけですから大事な問題ですが,これについても当然,いろんな角度から意見を述べていかなければならないと思いますけれども,先ほど井上委員からも指摘があったような問題もある。やっぱり,この会議としての限界というのを踏まえた上で,今後の例えば制度改革,立法が必要になる場合もあるでしょうけれども,その場合の参考となるような意見はいろんな角度から提言する必要はあるでしょうけれども,こうしなさいというようなところまでやれるかどうか,いろんな意見を出していくことはいいと思うんですが,その限界を踏まえてやっていくことと,時間の制限を考えますと,私は検察官の意識改革の点に焦点を当てながらやっていただくのがいいのではないかと思います。   それは先ほど但木委員からも指摘されて,根源的な問題を考えるべきだということを言われました。私は全く同感ですし,それから,原田委員が研修の問題を言われました。私自身も実はこれは大事なことだと思います。実態として裁判所の研修というのを私どもは承知していますけれども,検察はどういう研修をしておられるのだろうか。それはどういうふうに行われているかという実態について情報を提供していただいて,何か研修についても検察の在り方との関連で,我々として提言できるようなことはないだろうか。そういった点についても議論していったらいいのではないかなというふうに思います。   あと,個々の問題についてはその都度,また,意見を述べさせていただきます。 ○千葉座長 皆さんからそれぞれ御意見をお出しをいただいて,多角的にいろいろな検討を既にやっていただいているということを私も大変有り難く思っております。多少,時間がございますが,皆さん,御配慮いただいて少し言い足りないこともあったかと思いますので,あと,10分,15分程度の時間ということを念頭に置きながら,御意見をお出しいただくことがあればと思います。いかがでしょうか。 ○郷原委員 先ほど井上委員の方から犯行の動機,背景,経過等も含めた精密司法的な立証が供述中心の立証にならざるを得ないというふうなことと,本件の問題が何か関連しているような御意見があったんですけれども,私はちょっとそれは全然違う認識を持っております。 ○井上委員 そうではなく,一般論として,現実には供述証拠の必要性・有用性は否定し難いだろうということを申し上げただけです。 ○郷原委員 ですから,むしろ,逆に本件を踏まえて考えたときは,そういう供述中心の立証の弊害が逆にこういう問題を引き起こしてしまうわけであって,この前,確か但木委員から詳しく御指摘があったと思いますけれども,例えば今回は文書犯罪ではないか。文書犯罪の作成に関して,なぜ,具体的にどういうもので,どういうふうにして文書を作ったのかということが特定できたら,こんなものが決裁と言えるのかという話は,本当は供述中心の立証の話ではなくて,この事実を立証する上では当たり前のことをやっていないというだけの話です。ですから,むしろ,そういったものが行われなくなった原因の一つに,贈収賄などの事件というのは文書犯罪と違ってお話だけで作れますから,お話に頼る立証をしていきたという,むしろ,逆に精密司法的な考え方の立証が悪い方向に出てしまうと,今回のような事件になるという認識を逆に持った方がいいと思うんです。 ○井上委員 そういう趣旨で申し上げたのではなく,供述に過度に頼り過ぎるのは問題だという点は私も同じ考えです。ただ,今までの刑事司法が,そういうところにこだわっていた。裁判員制度が導入された後も,裁判員経験者の感想を見ますと,不可解な点とか完全に明らかにならない部分があると,なかなか確信を持って判断しにくいという感想が示されているのです。そういった感覚は恐らく今までの裁判官にも,検察官あるいは弁護人の間でも共有されていたのではないかと思われるわけで,そういうところを大きく変えていかないと,供述への依存を改めていくのは難しいところがあるということを申し上げただけであり,変えていく必要があるということは共通しているのです。 ○郷原委員 その話と先ほどの但木委員のお話をちょっと関連付けられていたんですけれども,私は但木委員がおっしゃった検察官のところで調書をとることが中心の立証,この構造を根本的に考えないといけないという問題で,これは本当に重要な問題提起だと思いますし,それが供述中心の立証ということとストレートに結び付くわけじゃなくて,とにかく今まで検事調書2号書面中心の立証というものに頼ってきた,それの一番最たるものが特捜の世界だったわけです。ですから,そこの問題は根本的に考えないといけないと思いますし,それが,今,可視化をどうするかという議論に結び付くと思うんですね。   先ほど原田委員がおっしゃったように,確かに出来上がったものを見ると非常に問題のない取調べの状況がそこにある。それは問題のない調べをしている。それが可視化されているからそうなのであって,その一方に,今まで可視化が前提であれば,とてもできないような取調べが現にあったわけです。そういうものができなくなるわけです,全面的な記録化をすれば。そこの違いを考えないといけないと思うんですね。可視化というのを成果物を見て,こういうもので立証するようになったらどうかという話じゃなくて,可視化による不当な取調べの抑制効果ということを考えないといけないのに,最高検の検証結果の再発防止策もそうなんですけれども,そういう面をほとんど考えないで,要するに今までの取調べの仕方で誤解を招かないように,疑惑を招かないように,だから,こういう可視化をするんだという考え方の下では,私は根本的な問題の解決にはならないんじゃないかと思います。 ○原田委員 僕の言ったことがちょっと誤解されていて,私が言ったのは可視化に反対しているのではなくて,これを進める上でも被告人の権利を十分に保護しないといけないということです。御指摘と同じことです。その点は警戒しないと,可視化したから自白オーケーというふうになってくると,これは致命傷になります。だから,可視化するならば,そういう弊害の点も十分に考える必要があります。これは日弁連の中でも出ている意見でして,当然,僕もそうだなと思います。念のため補足させていただきました。 ○江川委員 先ほど井上さんがおっしゃったことでちょっと私もおやと思ったことがあって,今回の事件について,作った日時,場所が必ずしも明らかでないというようなこともおっしゃった。それが供述に頼らないと分からないじゃないかと。ただ,少なくとも日時はフロッピーを見れば分かるわけで,そういう物的証拠をやっぱりおざなりにして供述に頼ったというところが,今回,問題だったわけですし,そして,その供述のとり方にしても密室の中でやったものですから,全然,後で検証ができない。たまたま今回は被疑者ノートがあったりしたものですから,それが裁判官にも非常に助けになっているわけです。だから,ある種,可視化の必要性をものすごく言っているようなものだと思うんですよね。 ○井上委員 例の挙げ方が不適切で誤解を招いたのかもしれませんが,最高検の検証結果の報告をうかがったときに確認したのですけれども,問題のフロッピーディスクから直接,虚偽の証明書が作成されたということまでは確定的に認定することはできないということでした。そうかもしれない,しかし,違うかもしれないという記述になっていますし,事実経過としても,郵便局に行って証明書を出せと言われて,それから作って出したという可能性もあったということなので,そこのところをあれ以上に解明しなければならないとすると,現実的な方法としては作成した本人のさらなる供述を得るしかなかったのではないか。それがいいかどうかは別です。また,江川さんがこの前,最高検の方に対する質問の中で,なぜ捜査主任であった検事がフロッピーディスクのプロパティ情報を改ざんしたのだろうか,その経緯だとか心理状態が解明されていないじゃないかと言われたのですけれども,そういった点なども,結局突き詰めていくと,当人に聞いてみないと分からないことなのです。そういう意味で,供述に頼らざるを得ない部分というのはどうしても残るので,残るとすると,真実性のある信頼できる供述をどのようにして確保するのかを考えていかなければならなない,そういう流れでお話ししたのです。 ○江川委員 だからこそ,やっぱり可視化が必要だという流れになるんですよね。 ○井上委員 そこのところの具体的な方法については,先ほど申し上げたような問題もあるので,幅広く検討しなければならない。それだけを取り上げてそう簡単に即断するわけにはいかないのではないかということを申し上げたのです。 ○千葉座長 多分,これは,皆さんにも御意見があるところだと思いますし,議論をしなければいけない点だと思われます。また,それを集中して議論いただく,検討いただくという機会に改めていろいろ相互の問題意識を御議論いただくこともできようかと思います。 ○高橋委員 私の方は今後の進め方で,ちょっと幾つかの意見が出されていたので,少しコメントさせていただきたいんですが,私はいきなり具体的なアクションプラン的なものを少し,今日,申し上げちゃったのは決してそればかりやるべきだという意味ではなく,実はさっきの但木委員と,それから,郷原委員のお話に非常に共感をしておりまして,ずっとその問題意識を持っていて,そもそも検察は自分たちの在り方を自己規定してこなかったし,それをすることはいけないことだという発想さえあったのかなという気がするんですね。   ただ,それなしにはなかなか問題は進まないし,さっき郷原委員も言われましたけれども,私はどうしても今の井上委員の言われた,素人ですけれども,いろいろ勉強すると今の刑事司法というのが真実を明らかにすることばかりにいっていますが,今の経済犯罪系とかを考えてみると,真実アプローチ以上に問題解決アプローチ,例えば航空機事故とか,ああいうのはみんなそうだと思うんですけれども,問題解決アプローチを優先すべきだという分野もあると思うんですよね。   それは法律を変えなければいけないのかどうなのか,私は専門でないから分からないんですが,そういうようなことも考えたときに,検察はそういうものに対してどう対応していくのかみたいなことを自己規定するということがないと,いわゆる強行犯アプローチを経済犯罪アプローチに使って無理が出たという部分もあると思うので,その基本的な議論というのはどこかでしたいんですが,言われたとおり,そればかりやっていて具体論の時間がなくなっちゃうと非常に困る。ただ,それをどこかの頭の隅に置いておきたいので,ちょっとでもいいですから,最初に少し大きい話の議論を,どこまでこの検討会議が提言できるのか分かりませんけれども,ちょっとしておいて,具体論にがっと入って,また,最後に大きな話に戻っていただくと,そんな流れでやっていただくのがいいんじゃないかなと思いました。 ○千葉座長 ありがとうございます。大変貴重な御提起もいただきました。   いかがでございましょうか。今日は皆さんからこの会議で取り組むべき基本的な大きな柱立てについて御意見をいただきまして,私の方で拙い整理で三分野という形でお示しさせていただきました。   そこは皆さんも必要性を御認識いただけたのかなというふうに思いますが,さらに,今,それぞれからお話がありましたように,少し検察とは何ぞやと,どんな任務なんだという問題意識を皆さんの中に共有しておかなければいけないという御意見もあったかと思いますし,それから,この三つのジャンルを出させていただきましたが,順番をこれで示したというわけではありません。どうしてもペーパーになると,何となくこの順番という感じになるのが大変申し訳ないようでございますが,今日,皆さんからお出しをいただいた御意見,それから,多分,どの問題も分離しているということではないと思いますので,関連したり,行ったり来たりということも当然やらなければいけないということだと思います。また,今日御提案いただいた少し基本的なところの議論をどこかで,基本的なところを後からやってもしようがないわけでございますので,まずは少し議論させていただき,そして,この三つ,どういう形で,どういう順番でやるかは未定でございますけれども,一回,それぞれの議論をすると。そして,また,一回で皆さんの御意見が尽きるということでもないと思いますし,一度,それぞれの分野をやってみたら,これとこれが関連をする,あるいは本質的なところから,こういう問題が新たに考えられると,こういうことも当然あろうと思います。今日の皆さんからお出しいただいた意見を踏まえながら,少し私の方で議論のタイムスケジュールというか,少し順番的な整理,こういうものをさせていただきたいと思います。   今日,お出しいただいた皆さんの御意見は共通性があるものがあったと思います。検察というものの本質的なところの問題を先に,あるいは捜査の問題を先にというお話もございましたし,むしろ,本質からいくと意識の改革というか,そういう問題が大変大きな課題だというような御意見もございました。どれを先にやって時間切れになるということもできるだけ避けなければいけないと考えますので,皆さんの納得のいただけるような,そういう議論の仕方ができますように,少し整理をさせていただきたいと思いますが,そこは座長にお任せいただけますでしょうか。また,それは皆さんにお諮りさせていただきます。 ○諸石委員 全く座長にそうしていただきたいんですが,更に欲を言いますと,その項目ごとにこれは何月何日までという日程付きでお願いできないでしょうか。 ○千葉座長 では,このテーマについてはこの日時を中心にと,そんなこともお示しできれば,改めてお話しさせていただきたいと思っております。   それでは,そのような取り計らいにさせていただきたいと思います。 ○宮崎委員 日程も大事なのですが,やはり,期限を考えますと項目の絞り込みということも必要だと思うので,一定の絞り込みもお願いしたい。三項目を均等にやって何日何日というと,これは1時間とか,そういうことになってしまっては,やっぱり本末転倒だろうと思いますので,その点も御考慮いただければと,このように思います。 ○千葉座長 今日の御議論はとりあえず第一読会のようなことでございますので,この辺りにさせていただき,ここで一旦休憩にさせていただいて,後半でヒアリングとサーベイの問題について改めて御了解などをいただく問題がございます。ここで10分間の休憩をさせていただきたいと思います。 (休憩) 3 ヒアリング・意識調査(サーベイ)について ○千葉座長 それでは,休憩後の議事を再開させていただき,次に議事次第3,ヒアリング,それから,意識調査,サーベイについてに移らせていただきたいと思います。   ヒアリングについてでございますが,前回の会合でヒアリングの実施方法や対象者などについて御意見をいただきました。これらに関する皆様の御意見を検討させていただきましたが,私としてはやはり委員全員が同じ情報を共有させていただくということが最善ではないかと思いますので,全員が集まれる場でのヒアリングを行うことを基本にしたいと思っております。   そこで,まずは次回の会合でございますが,ヒアリングを実施することとしたいと思います。対象といたしましては,お配りいたしました「ヒアリング候補者」という資料のうち,被疑者として捜査の対象となった方々の中から,前回の会合においても御推薦のありました村木さんのほか,被疑者として捜査の対象となった方から,更にお話をお聞きするのがよいと思われますので,同じく前回の会合において御推薦のございました小堀さんのヒアリングを実施させていただくこととしたいと思います。また,幅広くお話を伺うという観点から,特捜部経験者の中からもどなたかからお話をお聞きすると。これは皆さんから御推薦があった中から,最近まで検察におられ,特捜部の事件の決裁の経験もある若狹氏のヒアリングを実施することとしたいと思います。   これらの方々には,私の指示で事務局から御連絡をさせていただきました。御出席いただけることについて,御了解を得ているところでございます。次回の会合におきましては,本日,皆様から御意見を伺った検討事項についても決定しなければなりませんし,ヒアリングを実施する方々の中でも,村木さんからは十分にお話をお聞きさせていただくということも必要ではないかと思われますので,次回は三名の方ということで実施させていただきたいと思っております。   また,高橋委員から御推薦のありました人事コンサルタント関係の方々のうち,野田先生につきましては,本検討会議の定例日でございます2月10日の午前中でございましたら,御都合をつけていただけるということでございました。そこで,大変恐縮でございますが,2月10日は開始時刻を早めて,午前10時から開始をさせていただき,野田先生のヒアリングを実施させていただいたらどうかと思っておりますが,いかがでしょうか。どうぞ,よろしくお願いをしたいと思います。   また,せっかくでございますので同じ日にもう一名,ヒアリングを実施できればと思っておりますが,対象者につきましては引き続き検討させていただきたいと思います。また,ヒアリングの具体的な方法といたしましては,まず,それぞれの方から20分から30分程度,お話をしていただき,その後,同程度の時間を質疑応答に充てさせていただき,お一人当たり40分から1時間程度というヒアリングの時間でいかがかと考えております。   ヒアリングに関しましては,更に御質問等がございますれば,お出しいただきたいと思いますが,いかがでございましょうか。この会議は公開になっておりますので,また,そのお相手の方のこともございますので,もし,具体的なお名前を出しての御質問等でございましたら,ちょっと事務局の方に御提起をいただくというようなことの御配慮もお願いできればと思いますが,そういうことも含めて,もし,何か御意見がございますればよろしくお願いいたします。 ○江川委員 では,名前を余り言わない方がいいのであれば,何番目というふうに申し上げますけれども,三番目の方ですね,被疑者等としての捜査対象になった方々の。村木さんの事件というのは何も証拠改ざんだけの問題ではなくて,取調べ全体のことが問題になっているわけですけれども,まだ,裁判途中の方もいらっしゃいます。ただ,この三番目の方は裁判の対象にもなっていないわけでして,そして,捜査の過程で例えば弁護人の解任を強制されたりとか,そういうようなこともおっしゃっているわけで,ただ,その割に最高検の検証では全く事情を聞いていないと,やはり,検証の結果を私たちがちゃんと検証するためには,そういう方の話も必要だというふうに思います。   それから,もうお一方,被疑者としての対象となった方々の中に,甲10さん,名古屋の事件ですけれども,この方は村木さんの事件と共通する点もあり,あるいはそうでない点もあります。そして,特捜部であって,小堀さんの場合はやはり大阪なんですよね。大阪以外の問題についてもちゃんと聞く必要があるというふうに思います。   それから,特捜部経験者の甲11検事,この方に関してはやはりちゃんと話を聞く必要があると思います。先ほど諸石さんの方からも,こういう改ざんなんていうのがあちこちで行われているのかどうかと,今のところないというふうにおっしゃいましたけれども,実際,報道されているのを見る限り,証拠の改ざんがあったというふうに思われるので,やっぱり,こういうことが常態化しているかどうかということも,きちっと聞く必要があるのではないかというふうに思います。   そして,先ほど座長は全員が共有化することが大事だというふうにおっしゃいました。それも大事ですけれども,なるべくたくさんの方からいろんな意見を聞くということも必要で,もし,例えば全員が共有するということをすごく重視するとすれば,例えばその様子をDVDに撮って委員限りということで,それを来られなかった人に見てもらって共有化するということもあると思うんですね。ですから,例えばここで呼べなければ,誰かが何人かで行ってDVDで撮ってきて,みんなでそれを回して見るということもあり得るんじゃないかと。そこも含めて御検討いただきたいと思います。 ○宮崎委員 お三方のお名前を挙げていただいたんですけれども,この中でリストに,ヒアリング候補者にその弁護人ということが書いてあるんですが,村木さんの場合,弁護人も一緒にいらっしゃるということで承っていていいんですよね。 ○千葉座長 弁護人はおいででないとお聞きをいたしております。別にお越しいただいて悪いという意味では全くないんですが。 ○宮崎委員 お越しいただいてもいいわけですね。というのは,やはり,村木さんはその事件の取調べだとか,そういうことはもちろんいろいろおしゃべりいただくんだけれども,その弁護人としてそういう捜査,そういうことについての知見をいただくというのも貴重かなと思いますので,弁護人も併せてお運びいただければと思いますので,そういう運用をしていただければなと,このように思いました。御都合が悪ければ仕方がないのですが,本人だけという限定されないで,できれば弁護人も。 ○千葉座長 趣旨としては,御本人だけでなければだめと,こういうことを申し上げているものではございませんので。 ○宮崎委員 ですから,弁護人もできるだけいらっしゃれるならばいらっしゃるようにしていただければと,このように思っています。   それと,あと,もしお一人ということでございますれば,名前についてはまた後で私の方も何方か申し上げると思いますが,先ほど名前の挙がりました甲10さんについては,私もヒアリングをさせていただければと,このように思っているところです。   それから,あと,特捜検事で若狹さんを呼ばれていますが,前も申し上げましたけれども,甲5さんについても御検討いただければ。甲5さんの対象事件が今,最高裁にかかっているという難点があるように聞いておりますが,その事件に関しないで地検特捜部の部長として,その後,どうかという形でお話をいただけるならば有り難いなと,このように思っているところです。 ○郷原委員 確認なんですけれども,前回の話ではヒアリングは一日はせいぜい三人か四人ぐらいしか聞けないだろう。ですから,必ずしも定例日じゃないから全員が集まれないかもしれないけれども,他に日を設定して,もう少したくさんの人をヒアリングするというお話だったんですけれども,今日の話で27日にまず三人,それ以外の日というのは,これからまだ……。 ○千葉座長 というのは,御推薦をいただきました野田先生が,次の定例日の午前中の時間帯であればというお話でございましたので,それでは,定例日外よりもそこでお話を伺えればということで。 ○郷原委員 3のカテゴリーの方は別として,1,2が全部で三人で本当に済むのかというと,全然,足りないと思うんですね。ですから,そのためにも,ほかにも日を設定することもやむなしという話だったと私は認識しているんですが,例えば,今,大阪だけではなくて名古屋もという話がありましたけれども,特捜部経験者で検察側で決裁までやっていた若狹弁護士が出てきたとしても,東京の特捜に関しては,全然,被疑者側の人間を呼んでいないという話になりますね,これだと。非常にバランスが悪い。少なくとも乙2事件のように無罪になった事件の関係者の方ぐらいは呼ばないと,東京特捜に関しては,全然,問題点を認識しなかった,把握しなかったということになりかねませんので,そういう面で考えますと,最低でももう一日はヒアリングの日を設定する必要があるんじゃないかと思うんですが。 ○千葉座長 前回,必要であれば,定例日ではなくても,全委員を対象にした日時をとれればということを申し上げましたので,この点もまた検討させていただければというふうに思います。 ○郷原委員 もし,そういう形で,今の乙2事件の関係の方ということであれば,二人,名前が挙がっていますけれども,逮捕されなかった人,どういう逮捕されるかされないかということについての調べ状況だったかということなども含めて,一番,特捜の調べの問題のところなんじゃないかと思いますので,この2人,名前を書いてある中でも下の方の方が適当なんじゃないかと思います。 ○江川委員 それに関連してなんですけれども,郷原さんがおっしゃったように,やっぱり,別の日を設けてなるべくみんなが生の声を聞けるようにするというのが一番望ましいと思います。ただ,そのときにさっき座長がおっしゃったように,来られない人もいるじゃないかと,その人たちが情報共有化できないということであれば,DVDをちゃんと撮っておくと,こういう2段階でよろしくお願いします。 ○郷原委員 それともう一つ,よろしいでしょうか。ヒアリングによって事実を把握することにどうしても時間的に限界があるということであれば,過去の記録などについて可能な範囲で事務局を通じて調査をしていただいて,それも事実の確認の材料にするということも考えられるんじゃないかということを前回も申し上げたんですが,それはもう個別に例えばこの事件などは,こういう記録に基づいて,こういったことを調べていただけないかということは,別途,お願いすればいいでしょうか。 ○千葉座長 そうですね。それはお申出いただければ,事務局の方できちっと調べるように私からも指示をしたいと思いますので。 ○石田委員 今のに関連しますが,村木さんの事件などは有名事件ですから,証拠決定書は公開されて把握することができます。その他,ここで挙がっている事件だけではなくて,特に特捜事件など,過去に少し遡って,証拠決定などがあるものについては,証拠決定書等を検討した方が,ある意味ではヒアリングするよりも事実関係がよく把握でき,客観的にそれを検証することが可能ですから,そういうことも考えていただきたいなと思います。 ○千葉座長 皆さんから,今,御推薦のお名前も挙がり,あるいは御意見がございました。それから,ヒアリングの日程の作り方等々もございました。それから,これまで御推薦をいただいた分野のみならず,より一層,幅広くいろんな分野の方という御意見も,この間もお出しをいただいているということもございます。それから,日程が取れるかどうかという問題等々も含めまして,まず,次回につきましては御了解をいただいた上で,更なるヒアリングについて少しまた私の方で検討させていただきたいと思いますので,その間,もし,御推挙等々がございますれば,また,後ほど事務局の方へお出しいただくということをお願いをしたいと思います。 ○江川委員 今の石田先生の関連で,事務局の方に質問なんですが,今までにいろんな事件があったと思うんですが,例えば特信性を否定されたとか,任意性を否定されたとか,そういうような裁判所の判断というのは,集めようと思えば集められるものなんでしょうか。 ○事務局(黒川) できるものとできないものがあると思います。相当網羅的にやるとなると,最高裁の御協力,あるいはこちらの方の調査等で相当時間がかかってしまうと思います。公刊物に出ているものは比較的容易に検索できると思いますが。 ○石田委員 著名な事件は公刊物に出ていますよね。無罪事件などは,弁護人,担当検察庁に聞けば分かると思います。証拠決定のやり方も文書になっているものとなっていないものがありますから,なかなか,収集は難しいと思いますけれども,村木さんの事件なんかはかなり詳細な決定書が書かれておりますよね。ですから,その辺りは……。 ○事務局(黒川) 事件を特定していただいたり,こういう類型のという,ある程度,ピンポイントに絞っていただければ,できる範囲のことで精一杯やらせていただきます。 ○江川委員 では,精一杯お願いします。 ○千葉座長 限界はあるかもしれませんけれども,こういうことについて全部といっても,これはなかなか難しいことかもしれませんが,少しポイントを御提供いただけば,できる限りということですので,そのような形でお出しをいただければと思います。 ○宮崎委員 勉強すればいいわけですけれども,村木さんの事件は大体有名だから,事件の概要とか,そういうものは分かっているわけなんですが,例えば小堀さんの事件もいろいろ文献があるのですが,何か時系列的なものとか,事実だとか,そういう基礎的な資料を御用意いただければ有り難いな。それから,若狹さんについてはテレビで見ているので分かっていますが,経歴とか,そういう主な取扱い事件だとか,そういうのが分かれば,また,お話を承れると思うので,よろしくお願いいたします。 ○千葉座長 おっしゃることはごもっともな御指摘でございまして,お話を伺うに際してのそういう基礎的なものは準備をさせていただき,むしろ,ヒアリングの前に皆さんにお届けできた方がよろしいかと思いますので,できるだけ,そのように事務方の方で準備をしてもらうようにしたいと思います。 ○井上委員 日程の件だけちょっと確認したいのですけれども,2月10日は前倒しにするということですが,終了時刻はそのままなのですか。 ○千葉座長 定例の日でございますので,普通では1時半から4時半ぐらいを皆さんに予定をいただいていたわけでございますが,10時からとなりますと,相当,負担も大きくなるということで,10日につきましては午前10時からで,午後は3時ぐらいを目途にして,少し頭が疲れてくるかなというふうにも思いますので,少し前倒しでと思いますが。 (小川副大臣,黒岩大臣政務官入室) ○宮崎委員 細かいことですが,1時半からの開始を1時からにしていただいた方が,当日,10日ですが。 ○千葉座長 1時からで3時ぐらいということを考えておりますので,よろしくお願いをしたいと思います。 ○高橋委員 いわゆる出口関係といいますか,解決策系の問題なんですけれども,これは切りがないんですね。野田さんには一人,何とか午前中ではあれしてもらいましたけれども,切りがないので,いろんなものがありますので,ただ,私がこの会議でもとても参考になるかなと思うのは類似事例,端的に言いますと,先ほど佐藤委員が言われて警察の不祥事がいろいろあった後に一体何をやって,どんな効果が出たが,どういうのが逆効果だったとか,あるいは例えば大蔵官僚接待問題から端を発した倫理問題で,相当やられているはずなんですよね,その後。どんなことをやって,どういうことは効果があったが,どういうのはどうだったみたいな事例は,これまた,事務局の仕事が増えてしまいますけれども,もし,よろしければヒアリングとかをしていただき,過去の事例でこういうのがありますよというようなものは,参考にさせていただいたらいいんじゃないのかと。   私も個人的には例えば医療業界とか,さっきの例えばエアラインの問題なんかも,航空機事故でやっぱりパイロットのミスから出てきたもので,どうやってパイロットの仕事の品質を担保するかというのは,そこからものすごく考えてきているんですよね。そういうのは私も個人的にいろいろヒアリングには行こうと思っているんですが,是非,特に官庁関係の過去の不祥事に対する対策の効果と反省みたいなのは,ちょっと簡単でもいいですからまとめていただくと,すごく参考になるんじゃないのかなと思うんですけれども。 ○千葉座長 どうでしょうか。その辺りは。 ○事務局(黒川) できる限りは。 ○千葉座長 参考にさせていただけるものもあろうかと思います。事務局としても,この議論に寄与できるように,精力的にやっていただくようにお願いをします。   ヒアリングにつきましては,先ほど申し上げましたようなことで,次回はまず村木さん,小堀さん,若狹さんのヒアリングということで実施をさせていただくということで御了解をいただきたいと思います。   それでは,次にサーベイに関する議論に移りたいと思います。   高橋委員から質問案の進捗状況などについて,御説明をお願いをいたします。 ○高橋委員 前回の会議の後,こういうのを入れてほしいという御依頼をいただいた方が三名おられまして,龍岡委員と後藤委員とそれから嶌委員からいただきました。実はなかなか,設計上,本当にできるだけ意図を酌んで入れたいと思っているんですが,一つ,やっぱりオープンエンドのクエスチョンはできませんので,それこそ,イエスですか,ノーですかというんじゃないんですけれども,五段階でどうですかという質問にせざるを得ないとか,それから,全体の質問の数も限られるとか,それから,事務局にもいろいろ参考意見を聞いているんですが,言葉の使い方が検事の方々はある意味,とても厳密なので,何か抽象的な物の言い様をすると答えようがないみたいなこともあるので,かなり詰めて,今,作ってはおります。   あと,サーベイの専門家の参考意見も,今,求めておりまして,今週中ぐらいには最終案ができるというふうに考えていますが,意見をいただいた方々,そのままストレートというわけにはなかなかいかない部分もあるんですが,できるだけ考えさせていただきましたので,やっぱり,でも,こういうのは入れたいという具体的なものがそこからまたありましたら入れていただければ,できるだけというふうには考えております。   ポイントが幾つかございまして,一つはサーベイの内容はそうやって詰めるとしても,例えばサーベイの内容でも,皆さん方,さっきから議論されているようなことは,結構,入れるようにはしておりますが,もう一つが匿名性の問題です。匿名性が担保されないと,やっぱり,正直に答えていただけないという問題があるので,今回は外部のインターネットの調査会社に依頼するわけですが,基本的には一番の心配が要するにデータはもちろんいただくんですが,名前は書かないで無記名でやるんですが,コメント欄なんですよね。コメント欄に正直に書いていただくために,コメント欄は切り離して,どの答えをした人がどのコメントを言ったかが分からない形でしか,こちらには調査会社から返ってきませんよというような形がいいのではないかと思っています。   更に言いますと,今,やはりかなり外部でどのように我々が言ったことが使われるのかを非常に気にしている検事の方々も多いので,公開の仕方なんですが,もちろん,こういう場でやったわけですから,単純集計ですよね,一番間に合うのは単純集計,各質問に対して平均点が何点,何%が何と言ったかというのはだっと,もちろん,これは全部公開だと思うんですが,コメントを生の言葉のまま,全部,公開するかどうかなんですね。   コメント欄に,もし,生の言葉を全部公開するとなれば,書き方は非常に丸くなると思うんですね。もし,生の言葉をそのままは出しませんと,ただし,こういう意見がこのぐらいあったというふうにまとめて出しますというと,例えば私の過去の経験でもそうですけれども,場合によっては固有名詞が入って出てくる場合もあるわけですよね。何々という人にこういうふうなことを言われて,どうだ,こうだみたいなものが出てくるケースだってある。もちろん,公開しますといったら,絶対にそういうのは出てこなくなるというのがあるので,そこが痛しかゆしではあるんですが,私はやっぱりコメント欄はそのままの生の言葉は公開しないから自由に書いてくださいと,どんなことを言ってきた人がどのぐらいいましたということだけを公開しますという方が,恐らく意外なものも出てくる可能性はあるのではないかと,こんなふうに考えておりますので,もし,御意見がありましたら,また,いただきたいと。   それから,最後に手続的なことなんですが,前回も申し上げましたけれども,主体はやはり検察庁が主体でやるべきだというふうに考えておりますので,今回はそうは言っても,この会議でこれだけディスカッションしてきたものですから,千葉座長から検察庁にいきなりなのか,法務省になるのかあれですけれども,こういうサーベイをやるべしという提言を正式に提言書として,この会議としてしていただいて,それを受けて検察庁が主体的にやるというような形をとられるのがいいのではないかと思いますので,そういう要請書というんですかね,を会議として出すというのは,皆さん方,もし,御異存がなければその方向でというふうに思っているんですが,いかがでございますかね。 ○千葉座長 今,進捗状況についての御説明と,それから,扱い方等についての御提起がございました。御意見はいかがでしょうか。 ○石田委員 発案者の一人として,今,高橋先生がおっしゃったのは,もっともだと思います。やはり,これは検察庁の組織としてやっていただきたい。そして,今日も提言しましたが,今後,できれば,こういう形でしていただきたいという面もありますので,是非とも,この会議として検察庁側に,そういった提言をするというのが必要だと思います。それから,匿名性の問題については,その効果を見るためには,高橋先生がおっしゃったような形でするべきだと思います。 ○郷原委員 質問項目はまだ送ってもらっていない,これからですね。 ○高橋委員 今週一杯ぐらい,土日になっちゃうかもしれませんが,メールで確認いただくと,各委員の方に,そんなぐらいのスケジュールで考えております。そのままいけば,恐らく今月中,来週一杯には調査の会社の方に手渡せる形にして,そうすると,単純集計がこの会議に出てくるのが恐らく3月上旬から中旬,それでもそのぐらいにどうしてもなると。これもインターネットだから,そのぐらいでできるので,本当は3か月ぐらいかかるんですけれども,そんな感じなので,その結果からものすごく時間をかけて議論をするというぐらいの時間はとれないけれども,何とかこうだったんだというぐらいは入れられる感じかなと思いますが。 ○郷原委員 先ほども申し上げたような特殊な組織ですから,非常に質問項目の立て方は難しいと思うんですよ。私もなかなかちょっと直ちに良い案を出してくれといっても思い浮かばないんですけれども,やはり,倫理規程がないということとかということの関係で,一人一人がどういう倫理観を持っているかということを何とかその中から推測するようなものを出していきたいと,何かすごく難しい話なんですけれども,その辺,何か取りあえず作ってみていただいて,何か気の付いたことがあったら私も意見を。 ○高橋委員 後から,もし良い質問があったら,是非,お願いします。 ○千葉座長 では,是非,その辺は郷原委員にもどういう聞き方をすればというのを知恵を出していただいて,高橋委員と御相談いただければと思います。   今,お話がございました,このサーベイの問題はこの検討会議で一回やって,何か,それを参考にしてというだけではなく,むしろ,これはちょっと議論の中身にも関わりますけれども,今後,やはり,自らこういうサーベイなどを継続をして,自分の中でいろんな議論の改革の参考にして自己改革を図っていく,そのスタートという位置付けにして欲しいという問題提起でもあろうかと思いますので,私の方からこの検討会議の名の下に検察庁の方に,こういう形でスタートしたらどうかと,知恵をまず検討会議の方で御提供させていただくのだということで,私の名前で要請をしたいと思います。   では,サーベイにつきましては,今のような日程の下で,高橋先生を中心に大変御苦労いただいておりますが,進めてまいりたいと思います。    4 その他 ○千葉座長 その他,何かございますれば,お出しをいただきたいと思います。 ○江川委員 今日の朝日新聞のコピーをお手元にお配りしましたけれども,前々から申し上げている大阪の貝塚の放火事件なんですけれども,前回は捜査報告書の改ざんというのが出てきたわけですが,今度は新たに捜査の段階でも誘導があったんじゃないかと,そういうことで,これは取調べの一番最後の場面だけが録音・録画されていたということもあり,今後,可視化の議論を進めていく上でも,この事件というのは一つの参考になるのではないかとも思います。ということなので,やはり,この事件をこの検討会議としてきちっと調査するということを,もう一度,必要性を強調したいと思います。   それと同時にこのDVD,これはどういうものなのかというのをやっぱり可視化を議論する上での一つの参考資料にもなりますので,検察庁もしくは弁護人,どちらかにこれを見せてほしいというような依頼もまたすべきではないかなというふうに思いますので,よろしくお願いします。 ○千葉座長 ご意見をいただきました。では,少しこれも検討させていただくようにいたします。   他に今日はよろしゅうございましょうか。   それでは,本日予定しておりました議事は終了いたしましたので,これで会合を閉じさせていただきたいと思います。   次回の会合は,先ほど申し上げましたように,村木さん,小堀さん,若狹さんのヒアリングの実施の他,検討事項についての御議論,それから,サーベイの実施についての問題等々,また,少し御意見をいただく,あるいは御了解をいただいたりする部分があろうかと思いますので,よろしくお願いをいたします。   次回は原則のとおり,木曜日午後1時30分ということで開催させていただくことにいたしますので,1月27日午後1時30分ということでよろしくお願いいたします。   次回の会場は,第2回の会合と同じ20階大会議室を予定しています。   本日は以上でございます。ありがとうございました。 —了—