検察の在り方検討会議 第14回会議 議事録 第1 日 時  平成23年3月28日(月) 自 午後 1時32分                       至 午後 6時00分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  1 提言案(取りまとめ)について  2 その他 第4 出席者 千葉座長,石田委員,井上委員,江川委員,郷原委員,後藤委員,佐藤委員,        嶌委員,高橋委員,但木委員,龍岡委員,原田委員,宮崎委員,諸石委員,        吉永委員 第5 その他の出席者 黒岩法務大臣政務官,事務局(神,土井,黒川) 第6 議事 ○千葉座長 予定の時刻となりましたので,検察の在り方検討会議の第14回会合を開会させていただきます。本日は,提言の取りまとめに向けた臨時の期日を設けさせていただきました。御多用の中,臨時ではございますけれども,皆さんにそろって御出席をいただきましてありがとうございます。   それでは,議事に移らせていただきます前に,まず,事務局から配布資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(黒川) 皆様のお手元にお配りしております資料のうち,事務局で用意させていただいた資料は本日の「議事次第」でございます。また,提言案につきましては,前回からの修正箇所が分かるように文中に赤字で加削を記しました「見消し版」と,それを反映いたしました「反映版」,そして,「反映版」の枠囲い部分の内容を抜き出した「提言(抜粋)」,提言の冒頭と締めになる「はじめに」と「おわりに」,提言の別紙となる「委員名簿」と「審議経過」をお配りしております。そのほかに,皆様のお手元には,前回お示しした提言案について皆様からお寄せいただいた御意見と,本日の議事に関連して,石田委員,江川委員,郷原委員,龍岡委員,宮崎委員がそれぞれ御準備された資料をお配りしております。本日の配布資料は以上でございます。 1 提言案(取りまとめ)について ○千葉座長 それでは,議事に入らせていただきます。前回の会合におきましては,私が作成した提言案の素案を皆様にお示しして御議論をいただきました。本日は,前回の状況等を踏まえまして,皆様の御議論を反映することができるように,私なりに精一杯意を尽くして提言案を修正させていただきました。改めて皆様のお手元に修正版を配布させていただいておりますので,どうぞ御覧いただきたいと思います。前回も申し上げましたとおり,提言案の作成に当たっての私の基本的な考え方としては,可能な限り全員の御意見の一致をみた内容で取りまとめて公表したいと考えております。皆様の中には,本日の修正案にも十分に御意見が反映されていないと思われることがあるかもしれませんが,前回,そして今申し上げましたとおりの提言についての私の基本的な考え方を御理解いただきたいと思います。   それでは,早速,提言案の議論に移らせていただきたいと思います。本日は提言を取りまとめるための大詰めの御議論になろうかと思います。そのために,臨時の期日を設けさせていただいたものでもございますので,できる限り,この会場の場において,記載ぶりを含めまして確定させていただくことができればと願っているところでございます。そして,最終的なものとしてまとめてまいりたいと思います。また,提言の取りまとめに向けて議論を整理して進める関係上,御意見につきましては,どの部分をどのように修正したらいいのかを具体的な文言で示していただければ幸いでございます。   それでは,まず,お手元の「はじめに」と「おわりに」の部分を御覧ください。この部分につきましては,前回の会合で,これまでの御議論を踏まえ,この提言案の意図するところが多くの皆さんにもお伝えできるようにという気持ちも込めて,私が作成させていただきたいと申し上げました。今回,検察の改革と再生に向けた検討会議の委員の皆さんのお気持ちをできる限りくませていただきながら私なりに精一杯書かせていただいたものでございますので,どうぞ御覧いただければと思っております。   次に,お手元の「委員名簿」と「審議経過」を御覧ください。これは別紙1及び2として提言の末尾に添付する予定のものでございます。「審議経過」の空欄部分につきまして,適宜埋めさせていただきまして完成させたいと思っております。   続きまして,提言案の本体についてですが,前回の御議論を踏まえまして,提言案を修正させていただきましたので,修正後の「反映版」をお使いいただきながら,前回からの修正箇所を中心に御議論いただきたいと思います。   まず,大きなところから全体の構成に関する修正の趣旨を御説明いたしますと,前回の御議論の中で,「検察官の倫理」については,「使命・役割」と密接に結び付くのではないかとの御指摘,そして,「検察官の人事・教育・倫理」の位置を検討したらどうかとの御意見がございまして,御異論はなかったように思われました。そこで,第1の「総論」の中に倫理の部分を移動させまして,その3つ目の小柱としております。そして,全体の順番も整理いたしまして,「総論」,それから次に「人」に関するもの,次に「組織」に関するもの,そして「活動」に関するものという流れで,第1を「総論」としての「検察の使命・役割と検察官の倫理」,第2を検察官に関することとしての「検察官の人事・教育」,第3を組織に関することとしての「検察の組織とチェック体制」,第4を検察官の活動に関することとしての「検察における捜査・公判の在り方」という整理をさせていただきました。   また,皆様の御意見を踏まえ,枠囲いの内容を「提言(抜粋)」として一括して記載することによって,一覧性を持たせる工夫をさせていただきました。   ここまで,これまでの皆様の御意見を踏まえた全体の提言案の作り方について御報告させていただきました。ここまでの部分はよろしゅうございましょうか。 ○江川委員 今日出した「『はじめに』と『おわりに』についての意見」という紙のとおりでありまして,「はじめに」の部分の最初の方は,これは検察に関わるところが余りにも多すぎて,こんなのを一々全部述べることはないだろうということで,なるべく簡素にした方がいいかと思いまして,この部分は消すと。   それから,そのもう1個ですけれども,この最高検がやっているのは第一歩で,これから頑張れと言うだけでは何でこの提言を出すのかが分かりません。それだけでは十分ではないからこういった提言をしなければならない状況なわけですし,国民の目から見て検察の対応というのが十分ではないということはきちんと言っておかなければならないのではないかなと思いました。   それから,「おわりに」の方は,これは制度改革が必要なんだということをやはりきちんと言っておかなければいけない。私はこの提言の内容が先送りになっているとは思いますけれども,ともかく次に何か制度の問題を話すことをやろうということは一応言うわけですから,やはり制度改革も必要なんだということをここできちんと言っておくべきではないかな。検察の自助努力に任せるだけではなくて,そういう制度の問題もやっていくということをここにきちんと,もう少しはっきり入れていただきたいなと思いました。 ○千葉座長 基本的に先ほど申し上げましたように,私といたしましては,今,江川委員のおっしゃっているような意図もこの中に盛り込ませていただいているつもりでもございます。また,皆様の議論に盛り込まれているいろいろな課題につきまして,皆様の総意として,できるだけお伝えできるよう,私なりに精一杯まとめさせていただいたというつもりですので,御了解をいただければと思います。 ○江川委員 これで決めるということですか。 ○千葉座長 これは,私が皆様の御議論を踏まえてまとめさせていただくということで,一応,お伝えはしているものでございます。御意見があれば,どうぞおっしゃっていただければと思います。 ○原田委員 私も昨日,読ませていただいたわけですけれども,内容的に,あるいは書きぶりも,座長の思い入れが入っていて,これで結構ではないかなと思いました。例えば,取調べの可視化のところは積極的に拡大すべきであるというふうにまとめておられて,これは枠囲い中では積極的にとは書いていないところを,ここでは前向きに取り上げておられる点で,なるほどというふうに思いました。   江川委員の御提案について先ほど見させていただきましたが,表現ぶりは座長にお任せということで結構ではないかと思いますし,最高検の検証作業について余りにも不十分だというのは,江川委員の御意見は正にそうかもしれないですけれども,私も意見で申し上げたとおり,今までから比べれば大変な第一歩であったと,これは龍岡委員もおっしゃったことだとは思いますけれども,そういう点では見方が分かれるところを,「はじめに」,「おわりに」のところではやはり最初と同じように全体の大方の意見を反映するということで終始されておられると思うので,ここで個々の意見を取り入れるというわけにはいかないのではないかというのが私の意見です。 ○郷原委員 最高検の検証に対する評価は,むしろこの会議全体としては相当厳しい評価だったと思うのですが,改めて議事録を見直してみてもいいんですが。少なくとも,その模様をマスコミも聞いていて,厳しい批判が相次いだというふうにも書いているわけですし,その一般的な認識と,基本的に評価されたという認識はちょっと違うのではないかという気がします。ですから,もう少し,あの時の議論をそのまま忠実に反映したような表現にした方がいいのではないか。決して一方的に評価できるものではなくて,最高検の検証結果はまだまだ不十分であって客観性を欠いているという意見も強く出されたということをこの「はじめに」の中でも書いていただきたいと思います。   それから,「おわりに」も含めての話なんですけれども,あたかも全体が非常にうまく意見が一致して,この在り方検討会議の成果が取りまとめられたような雰囲気で書かれているのですが,決してそうではなくて,まだ意見が対立している点も非常に多かったけれども,まあ最低限のところで,こういった成果をまとめたというのが実情だと思いますので,そういう実情を表現していただきたいと思います。決してここに書いてあることだけで,ここで議論したことが言い尽くせるわけではないということを表現していただきたいと思います。「はじめに」と「おわりに」については以上です。 ○井上委員 今の部分については,委員それぞれ強い思いがあるとは思うのですが,座長が用意してくださった「はじめに」のところは,別に最高検の検証を積極的に評価するという表現にはなっていないと思いますし,最高検の検証を全員あるいは大方の委員が非常に厳しく評価したかどうかは意見が分かれるところだと思います。,その意味で,このようなまとめ方で良いのではないかと思っています。問題があるところは,提言の関連の箇所で個別に指摘されていますし,それでなお不十分ならそこを補充するべきだと思います。「はじめに」や「おわりに」の部分はある程度勢いをもった文章の方がよいのであって,確かに重要な論点を含め具体的な方策について意見が分かれているところがあることは事実ですが,こういう提言は,一つのまとまりとして世に訴え,検察にも物申していかないといけないと思います。そういう意味で,私は,この部分については,これまで私たちの議論をよく把握し整理してきてくださった座長に基本的にはお任せし,文章で特に問題があるところについて我々が御意見を申し上げるという姿勢で臨むべきだろうと思っています。 ○龍岡委員 私も,今の井上委員の御意見に賛同します。座長は,個々の論点についてほとんど自らの御見解を示されることはなかったのではないかと思います。そういう意味でも,座長の思いというのは全体をずっと仕切りながら全体を御覧になって,その印象を率直にここの「はじめに」あるいは「おわりに」で述べてもらうのは,私は意義があることだろうと思います。内容的に見ましても,全体をよく捉えており,まとめ方としてはいいのではないかと思います。確かに,個々的にいいますと,いろいろな意見がありましたから御不満もあるでしょうけれども,ここは座長のお考えを示されるということでよろしいのではないかと思います。 ○後藤委員 今の問題の部分につきまして,最高検の検証が必ずしも十分ではないからこそ我々こういうことをやっているという意味では,皆さんの意見は一致しているのではないかと思います。そうであれば,「しかし」の後に,「しかし,それだけでは十分ではない,そこで歩みを止めることはなく,」というふうに続けたらどうでしょうか。「それだけでは十分ではない」という一言入れることに,それほど抵抗があるでしょうか。 ○龍岡委員 ちょっと細かいことですけれども,今の点に関しては,「はじめに」の文章を拝見しますと,「最高検が検証作業に着手し,自ら改善策の実施に踏み出したことは,その第一歩であるとは言える。」となっておりまして,今のようなニュアンスもここに含まれているのではないかと思います。あえて不十分とまで言い切るかどうかという点は,確かに井上委員も言われましたとおり不十分という意見もありましたけれども,それなりの意義はあると認めている意見もあったわけですから,これはこの程度の表現が穏当ではないか,もし表現として意見を申し上げるとすれば,私はそのように思います。 ○井上委員 実際の経緯としても,最高検の検証が不十分だったからこの会議が始まったというものではなく,法務大臣から,今回の一連の事態を契機として検察全体の問題について考えて,解決するべきところがあれば提言してほしいという諮問であり,それに応えて検討を行ってきた。その途中で最高検の検証結果が出たことから,それをも踏まえて議論してきたというのが正確なところだと思います。 ○後藤委員 私が申したいのはそういう経緯の問題ではなくて,中身です。もし最高検の検証結果で十分であれば,私たちは,「それを実行してください」と言うだけで足りるはずです。それ以上のことをいろいろ言っているのは,十分だと考えてないからですね。 ○井上委員 後藤委員の発言のある部分が気になったので申しただけです。私はそこの部分は龍岡委員が言われた御意見に賛成です。 ○吉永委員 「はじめに」の部分ではないのですが,「おわりに」という部分なんですね。これはやっぱり私たちは提言を出しますけれども,受け取る側というのがあるわけで,これは法務大臣が受け取るけれども,実際には,ここに掲げたことを実行していただく検察の方々もいらっしゃるわけですね。やはりここは託すしかないわけです。ですから,本当にこれをちゃんと受け取っていただきたい,大変なことを求める部分もありますので,人員の増加も認めずにこれをやれというふうに求めるわけですから,最後にやはりこれをしっかりと前向きに受け取ってもらわなければならない。期待したいとか,頑張ってくれとか,何かそういう,信頼するというまではきっと反対もあるかもしれませんけれども,やはり信じる部分に託すということで,しっかりと期待するというような文言を入れていただいた方が「おわりに」ということでいえばいいのかなという気がしています。これは私の感想ですから,どうしてもこうしてほしいということではありません。 ○後藤委員 細かいことですけれども,幾つか言葉使いが少し気になったところがあります。2ページの一番最初のところに「国民の声」と書いてあります。私たちの言っていることが「国民の声」だと自分で言ってよいかどうか。「国民の」を取った方が穏当ではないかというのが一つです。   それから,3の最初の書き出しにある「本検討会議の共通の認識は検察の再生である。」という表現はどうでしょうか。この文脈では,「認識」よりも,「目標」というような表現の方がぴたりとするように思います。「共通の」という意味は,この会議の委員たちの共通のという意味でしょうけれど,少しとりにくいようです。   それから,最後から2行目,「持てる英知を最大限に生かした意義のあるものであり」という部分の主語は委員たちの意見ですね。それが「意義のあるものである」と自分で言うのはどうでしょうか。座長はそのように評価してくださったのかもしれないですけれど,私たちが自分でそういうことを言うのは自画自賛ではないかと思います。一生懸命考えた結果なので活かしてほしいという,謙虚な言い方にしていただけないかと思います。 ○宮崎委員 内部の最高検の検証報告が不十分だったというのは,私も大方の意見ではなかったかと,頑張ってほしいという気持ちとは別に,冷静に評価してみると評価できないなというのは,佐藤委員も珍しく一致したというような気がしているところなので,若干,何か付言しなくてもいいのかなと。   それから「おわりに」ですが,これは確認ですが,自分の首を絞めるようなことで言いたくないのですが,同窓会を開くとかフォローアップをするとかそういう意見が何人の方からかは出ていたかとは思うのですが,これは取り上げないとこういうことでいいんですね,という確認だけ。 ○千葉座長 今の宮崎委員の御意見は,提言の後のことでございますが,「おわりに」は,提言のあとがきといいますか結びですので,その問題はちょっと別だと思っております。そういう意味でそこの部分は御理解をいただければと思います。 ○宮崎委員 分かりました。 ○佐藤委員 私の記憶では,最高検の検証作業については,調査といいますか検証結果といいますか,そういうことについては不十分さが残るという感想を申し上げたと思います。ただ,解決策,改善策につきましては,私はむしろびっくりしました。録画の試行をやるという,そこへ踏み切るという内容であったことについて,大変驚きをもって受け止めました。したがって,それに象徴されるように,最高検の改善策の方につきましては,私は不十分だという感想は持っておりません。この「はじめに」というところの当該部分がどちらの方に主を置いた意味なのかによりましょうけれども,どうやら改善策の方に力点を置いた表現のように思いますので,私はこれでよろしいんじゃないかなと思います。 ○嶌委員 ここの「はじめに」というのは,井上委員もおっしゃったように,法務大臣に諮問されて検察の在り方をもう1回考えるということがポイントだと思うんですよね。そういう意味では,最高検の検証作業について,その内容が良い悪いかという点から議論をスタートさせているわけではなくて,最高検の問題に関しては,客観的にこういう検証作業に着手していたし,ある意味で改善策もある程度出されていたという事実だけを記せばよいと思う。しかし,我々は,最高検の検証作業だけでは良くないと思っているから,この4項目にわたる検討課題について書いたわけですから,僕はここは淡々とこれでいいのではないかなというふうに思います。   最後の部分については,先ほど座長がおっしゃられたから後でいいと思いますけれども,僕もやはりこの問題を言っ放しにするのではなくて,どこかでフォローアップするという機会を持つべきだということを「おわりに」というところに書いてほしいなという思いはあります。 ○千葉座長 皆さんから御意見をいただきました。私の表現方,力足らずの部分もございますし,それからそれぞれの思いがいろいろおありだと思いますが,私なりにそれぞれの意をくませていただいたということございますので,御理解をいただいて,一旦引き取らせていただいて,今,いただいた御意見が最大限,伝わりますように,私のもとで最後の工夫をさせていただくということで,引き取らせていただきたいと思います。   それでは,そこも含めまして全体の構成ですね,先ほど申し上げましたような順序立て,それから少しそれをくくった分かりやすい冒頭の一括記載,こういうようなところにつきましては,こういう形でよろしゅうございますか。   では,一応そこはこのような項目のまとめ方,それから体裁といいましょうか,そういうものについては,このような提言案にさせていただきたいと思っております。   では,これからの議論の進め方として,それぞれの柱ごとに,前回の提言案からの主な修正の趣旨を私から説明させていただいて,その修正箇所を中心に御議論いただけたらというふうに思っております。なお,前回,分かりやすい文章とするべきとの御意見もございましたことから,重複記載を削除するなどして文章を簡潔にさせていただきました。そのような修文は,適宜,「見消し版」で御確認いただくこととして,説明は省かせていただきたいと思います。   それでは,第1の「検察の使命・役割と検察官の倫理」の部分から御議論いただきたいと思います。最初に,私から,この部分の主な修正の趣旨を御説明させていただきます。お手元の「反映版」を御参照いただければと思います。   まず,1ページ目を御覧いただきたいと思います。小柱1の「検察の基本的使命・役割」に関しましては,枠囲い2つ目の○の原案で用いていた「処罰の実現に偏してはならない」との表現について,意味が分かりにくいという御指摘がございました。それを踏まえまして,この部分を「有罪判決の獲得のみを目的とすることなく,公正な裁判の実現に努めなければならない」との表現に修正させていただきました。また,枠囲いの3つ目の原案で用いていた「公訴官」の意味が分かりにくいといった御指摘がございました。この御指摘を踏まえまして,この部分を「起訴・不起訴を決し公判活動を行う公訴官」と,少し説明を頭につけさせていただきました。   次に,1ページの下から3行目でございますが,検討会議での議論において,今般の一連の事態だけでなく,これまで東京地検特捜部等について指摘されてきた問題も議論の前提としていたことを明記するべきであるとの御意見もございました。これを踏まえまして,「今回の問題が」以下に,その旨を記載させていただきました。   続いて,3ページの小柱2の「時代の変化に応える検察」の部分を御覧いただきたいと思います。枠囲いの原案で用いていた「独善や傲慢に陥らないようにする」との表現を,一般の国民・市民の皆さんにもなじみやすい表現とするべきであるとの御意見を踏まえて修正させていただきました。また,4ページの本文4行目から5行目にかけてでございますが,21世紀の価値観に関する記載について,「手続の透明性」や「情報公開」といった重要なことを加えるべきだという御意見を踏まえまして,その旨を記載させていただきました。   さらに,小柱3の「検察官の倫理」に関してですが,6ページ7行目を御覧いただきたいと思います。ここでは,基本規程に盛り込むべき事項として,「供述の任意性に疑念を抱かせるような取調べをしてはならない」旨を加えるべきであるとの御意見がございました。これを踏まえて,�Eの項目を挿入させていただきました。また,6ページの末尾の注の直前の段落でございますが,基本規程の作成に当たって外部の意見を聞くべきであることを記載すべきであるとの御意見を踏まえ,その旨を記載させていただきました。   主な修正の趣旨は以上でございます。御説明いたしました修正を踏まえまして,この「検察の使命・役割と検察官の倫理」の部分につきまして,特に付け加えて御意見がおありの方はお出しいただきたいと思います。 ○後藤委員 1の囲みの2つ目の○の部分でございます。今,御説明いただいた趣旨は理解いたしました。ここで「公正な」という言葉を入れるというのは,確か但木委員もおっしゃって,私も賛成したと思います。ただ,私が言いたかったのは少し趣旨が違いました。ここが私の意見を入れてくださったのかどうかそれは別として,この修正版の表現だと,検察官は公正な裁判の実現に努めろということですね。間接的には確かにそうなりますけれども,公正な裁判を実現するのは直接的にはまず裁判官の役割ですね。検察官は直接には,公正な訴訟活動をするべきなのではないでしょうか。村木事件で一番はっきりしている問題は,前田元検事が証拠を改ざんしたということです。それは非常にアンフェアなことをやったということです。だから,それに対して私たちの答えはまず,フェアにやってくださいということ,それが一番大事な,まず言うべきではないでしょうか。それは「公正な訴訟活動を行う」ということではないかと思います。   ですから,ここを,例えば「公正な訴訟活動に努めなければならない」,あるいは「公正な訴訟活動を行わなければならない」というふうにできないでしょうか。それに伴って3ページの説明の部分も同じことがありますけれども。その方が趣旨が明らかになるのではないかと私は考えました。 ○嶌委員 公正な裁判ということは僕もずっと言い続けてきたわけですけれども,僕は別に訴訟活動だけではなくて,事務局から提供していただいたいろいろな資料を見ると,外国の例においては検察も公正な裁判を実現することが重要な使命であり,そのためには,例え不利な証拠であっても全て出しなさいと,武器は公平にしなさいと,そういうふうにしてやることが検察の役割だと,ただ裁判で有罪を勝ち取ることだけが検察の役割ではなくて,全体として公正な裁判を担うということも検察の役割だというふうにずっと書かれているわけですよね。私は,そういう意味にとりましたから,むしろこういう言葉が入った方がいいなと思います。だから,検察の訴訟活動だけに公正であるかどうかというよりも,裁判全体を公正にするということが裁判官も検事も,それから弁護士も,みんなやはりそこをまず目指すべきだとした方が,これからの裁判の在り方としても,もう少し高尚というか理念が高くなるのではないかなというふうに思いました。僕は,この言葉はそういうふうな意味だと思って受け止めましたので,これでいいのではないかなと個人的には思っています。 ○石田委員 私もその意見に賛成です。やはり検察官も公正な裁判を実現する一翼を担うべきだ,これは弁護士もそうだと私自身も認識しております。さすが研究者で分析的だとは思いますけれども,やはり訴訟活動というとかなり狭まってしまうのではないか。メッセージとしては,今,私が申し上げたようなことを込めるという意味では,この表現の方がいいのではないかと思います。 ○井上委員 私も石田委員の意見に賛成です。むしろ後藤委員の言われたようにすると狭まってしまうと思います。それから,検察官も飽くまで一当事者としての立場なんだというのは後藤委員のお考えであるとは思うのですが,そういう見方がある一方,単なる一当事者にとどまるものではないという見方もあり得るので,それを全部包むとすれば,この原案の方がよいのではないかと思います。 ○石田委員 私は,やはり検察官は当事者であることは間違いないと思っていますが。 ○井上委員 それはそのとおりです。 ○石田委員 それとは別に,やはり理念としては公正な裁判の実現をするための一翼を担うという,そういう発想で申し上げているんですけれども。 ○井上委員 そこから先は論争になりますので,これ以上は申し上げません。 ○石田委員 これはどうしてもということではないんですが,各項目の第1の表題のところですが,ちょっと表現は悪いんですけれども,官僚が書いた表題といったようなことに受け取られないか。やはりここには何かのメッセージ性をつけた方がいいのではないかという感じはします。私の25日付けの提言案ではこの部分を,例えば,第1の項を「検察の信頼回復を目指して」といったようなことで副題をつけるとか,どういう表題をつけるかということは少し考えなければいけないですが,もう少し何となくメッセージ性を持った表題をみんなで考えた方がいいのではないかというふうに私は考えます。 ○郷原委員 「時代の変化に応える検察」というところで,私はいろいろな項目でこれに関連する発言をしてきましたので,できれば特にその中で強調したかった違法行為の悪質性・重大性についての考え方,刑罰適用の前提になる考え方を明確にしていく方向で検討していくべきだということを入れていただきたいということを改めて書いたんですが。ちょっとそれがバランス上できないとすると,せめてこの4ページの最後のところの書き方ですね,二重に消極的に書いてあるような気がするものですから,ちょっとこの表現を何とかしていただけないかと思います。下の方から見ますと4行上ぐらいから,「刑事制裁を課すのにふさわしい行為はどのようなものであるのかといったより広い観点からの検討が不可欠な問題であるため」の後に,「直ちに結論を得ることは困難であり,将来的な検討課題とするべきものと考えられる。」と書いてあるんですが,将来的な検討課題とするべきというのは,要するに,今はやらないという消極的なメッセージそのものです。少なくとも直ちに結論を得るような問題でないことは間違いないわけですから,より広い観点から今後検討していくべき問題だというふうに言えば特に問題はないのではないかと思うんですが。何も「将来的な」という表現を使わなくても,今後検討すべき問題,すぐ初めてなかなかそう簡単に結論が出る問題ではないということが分かればいいのではないでしょうか。 ○千葉座長 ここの部分につきまして,御趣旨が生かされるような形で盛り込めることにつきましては,できるだけ工夫をさせていただくということで,私の方でちょっと検討させていただくという形にしたいと思います。大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。   次に,第2の「検察官の人事・教育」部分ですが,その主な修正の趣旨を御説明させていただきたいと思います。   まず,9ページ第1段落の末尾になりますが,教育・研修に関しては,「失敗事例の研究等に当たっては,外部の有識者の意見を聞くことも有効ではないか」という御意見がございました。これを踏まえまして,その旨の修正をさせていただきました。次に,9ページ末尾から10ページ上段でございますが,専門性の向上に関しては,「検事に対する意識調査に現れた問題意識を活用してはどうか」との御意見をいただきました。その御意見を踏まえまして,その旨修正させていただきました。さらに,11ページの(3)の冒頭でございますが,幹部研修に関しましては,「一つの船に乗って進んでいる特捜部という記載は現状肯定のように読める」という御指摘をいただきました。それを踏まえて修正をさせていただきました。また,11ページの中ほどから次ページにかけてでございますが,「検察の組織風土の変革等の観点から,幹部のリーダーシップの重要性を強調するべき」,「幹部研修については,リーダーシップの改革の観点からも重要性を強調するべき」との御意見をいただきましたので,それを踏まえての修正をいたしました。さらに,13ページの中ほどでございますが,検察庁職員の増員に関しては,「提言すること自体は否定はしないけれども,表現ぶりなどは工夫するべき」との御意見で大方の一致をみたものと思われますので,枠囲いと小柱からは落としまして,(2)のように修正させていただきました。そして,同じ(2)の部分ですが,法務省の人事に関しては,「法務省に検事が必要ないとは言わないけれども,幹部の多くを検事が占める現状への問題意識を示したらどうか」との御意見が示されておりましたので,末尾の「なお」以下の修正をさせていただきました。   主な修正の趣旨は以上でございます。この「人事・教育」の部分につきまして,今,御説明させていただきました修正以外で,更に,特に付け加えるなどの御意見がございますれば,お出しをいただきたいと思います。 ○江川委員 9ページなんですけれども,今,正に付け加えていただいたその検証に関しての外部の有識者の意見も聞くなどしてというところです。最初の段落の下から2行目のところですね。ただ,ここの加わったことはよかったのですけれども,この提言では,外部の目や風を入れなさいと言っている割には声を聞きなさいと言っているだけで,つまり,このとりでの中には立ち入らせないというこの密室性というか閉鎖性は余り変えないまま,外に出てきて意見を聞きなさいという感じのところが何か所も出ているんですね。ここもそうなんですけれども。外部の有識者の意見を聞くだけじゃなくて,検証そのものに外部の人の何らかの手が入るというんですかね,そういうこともあっていいのではないか,むしろあるべきではないかなというふうに思います。   最高検の今回の事件についての調査でも,外部のアドバイザーは入ったけれども,結局,調査そのものには全くノータッチで,出てきたものをどう料理するかというところだけだったわけですよね。だからもう少し例えば,こういう人に話を聞いたらいいのではないかとかそういうことも含めて,何か検証に加われるような形にできないものかというのが私の意見です。だから,例えば,外部の有識者も加わってとかそういうことにできないかということを申し上げたいと思います。 ○千葉座長 今,江川委員から御意見いただきました,従来から私もよく認識させていただいておりますが,ここの議論の中では全体として,そこまで合意が形成されたまではいかなかったのかなということで,しかし大変貴重な御指摘でもあり,このような形で生かさせていただいたということでございますので,御了承・御理解をいただければと思っております。 ○江川委員 外部の人が調査に何らかの形で関わることに反対という方は,そんなにいらっしゃいましたっけ。 ○井上委員 この件については,私は,既に意見を述べていますが,検証という意味では,大量の生資料に立ち入って調査をしたり,証人や訴訟の表に出てきていない事件関係者から話を聞いたりする必要もあり,そこに外部の人が入るというのは非常に難しいだろうと思います。技術的に難しいのと同時に,余りそういうことをやってしまうと,結局,現場の検察官に萎縮効果が生じてしまい,検察の独立という観点から余り好ましくないように思うのです。他方,意見を聞くというのも,単に1年間こんなことがありましたといった報告をして感想を聞くというだけのことではなく,問題があった事柄については,こういう方法でこういうふうに調査し,その結果,ここに問題があったので,こういうふうに対処しますといった報告をし,それについて意見を聞くわけで,それに対して問題があると思えば,ここのところは不十分ではないか,もっとよく調べて報告してほしいということは当然できるだろうと思います。これ以上論争するつもりはないのですが,そういう意見もあったということを御記憶ください。 ○千葉座長 今日,また改めて議論をさせていただくということではございませんが,図らずも今,こういう形になりました。私の方では,できる限り一致をしている,あるいは趣旨が重なり合っているという部分で取りまとめをさせていただいておりますので,この部分はそういう意味で,記載のような形にさせていただいたということでございます。 ○江川委員 井上委員のおっしゃるとおりだとしても,例えば,もう少しこういうところが必要なのではないかということを注文して,そしてそれをやってもらうということだとすると,この聞くだとそのニュアンスまで含まれないですよね。やはりもうちょっと何か関わり感みたいなものがないと。井上委員が今おっしゃったのだって,ただこれだと聞きっ放しという感じにもなりかねないんじゃないですか。 ○井上委員 当然,意見は言えると思います。 ○千葉座長 私なりの,皆さんの御趣旨が重なり合う部分でまとめたということでございますので,もし表現ぶりということでございますれば,また具体的にお出しをいただければと思います。基本的には,この記載が大方の趣旨の一致するところとしてまとめさせていただいておりますので,御理解いただければと思います。 ○嶌委員 外部の検証というか監察という話は,組織の内部に設ける検証と組織の外部に設ける検証と両方あったわけですよね。ここはどちらのことを言っているのか,ちょっともうひとつ判然としないんですけれども。検察内部の検証というところに外部の人が入るといっても,これは相当難しいなという感じが,僕はするんですよね。新聞社で何かいろいろ問題が起こったときに,もちろん新聞社の内部で検証いたしますけれども,そこに一般の人が入ってきて同じようにしようとしても,それは難しい。むしろ外部委員がいろいろな問題点を聞いて,それこそしつこく聞けるようにして,それに応えられるかどうかというふうにするのが外部の人が入る検証の意味ではないのかなというふうに僕は思うんですね。そこのところは内部と外部との検証の意味をきちんと書き分けておけば,僕はいいのではないかなというふうに思いますけれどもね。 ○江川委員 お言葉ですが,新聞社とかマスコミで問題があったときに結構外部の人が入ってやってて,例えば,確か関西テレビでしたか,「あるある大事典」とかいう番組ですね。あれなんかも外部の人が検証をやって,それは会社として全面的に協力するという形だったと思うんですね。今,これはさっき二重になっているのではないかというのはチェック体制の方だったと思うんですね。これはもう済んだ事件で,検察からすれば,失敗したというか,無罪になったり,任意性飛ばされたり,そういうようなケースについて,いろいろ失敗から学ぼうというそういうところであって,何も糾弾的に何かしようという,そういうところではないと思うんですね。 ○嶌委員 関西テレビのケースは僕はちょっとはっきり覚えていませんけれども,あれはBPOか何かで決められて,そして確かやったんですよね。BPOができる前ですか。そうですか。要するに,外の人が入った場合に,どういう権限を持っているかによって調査の仕方というのは全然変わってくるわけですよね。そういう権限を本当に与えて果たしてできるのかどうなのかという問題だろうと思うんですよね。僕はそこは一般の場合には新聞社にしてもテレビにしても,いろいろなところが外部の意見を聞くようになっていますけれども,それは相当の専門家が根掘り葉掘り聞いて,それに答えられるかどうかというところに,その組織の信用性とか在り方が試される感じに僕はなっているのではないかなという気がするんですよね。だから,全く内部の人と同じように捜査をしたり調査をしたりするということは,ちょっとほとんど外部の人にとっては不可能に近いというか,能力問題として不可能に近いと僕は思いますけれどもね。それだけの時間もまずないだろうしね。 ○千葉座長 この部分も,これまでも議論をさせていただいてきた部分でございます。今,ここで皆さんの意見に基づいて修正したという部分は,人事・教育の部分での問題に関わるところでございますので,そこも御理解をいただいた上,基本的には,このような限度で失敗事例等についても十分に研究しなさい,勉強しなさいと,こういう部分であったと思われますので,この形でまとめさせていただきたいと思います。 ○郷原委員 12ページに,この前もちょっと気になってたんですけれども,「女性職員の幹部への登用の促進」というのが囲みの中で出てきているんですが,この話はそんなに出てきたのかなと思っています。突然出てきたような気がします。この間,言うのを忘れちゃったんですけれども。余りなかったような気がして。重要なことではあるんですけれども,いろいろな考え方があって,とにかく女性の幹部というのをつくればいいんだと,その数の問題だという考え方と,かえってそういうこだわりを持つと適材適所の配置ができなくなるという考え方,いろいろあると思うんですね。単に女性職員の幹部への登用を促進することが一つの大きな課題だというのをこの枠の中で書くのがいいのかどうか,ちょっと議論が十分に行われたのかなという感じがしたもんですから。 ○千葉座長 御指摘を受け止めさせていただきたいと思います。逆に,突然消えるとまたどうなるかというのもございますけれども。ここは一つの多様化を図るという意味での指摘ではあると思います。本文の方でもそこはきちんとなっていると思います。 ○高橋委員 今の点ですけれども,恐らく私のペーパーなんかには,この話は出ていたと思うんですが,郷原委員がおっしゃるように,そんなにディスカッションは十分されているわけではないので,囲みというほどではなく,本文の中で多様性という中の一つとして是非入れていただければそれでいいかなという感じもしました。最初に言い出した者としては確かにそんな感じもいたします。 ○但木委員 囲みに入っていたんだから,そのまま残してもいいような気がします。郷原委員が言う意味も分かるけれども,ただこれは当然のことだから余り議論の対象にしなかった面もあるし,検事も検察事務官も,女性の人数がたくさん増えているのに,その割に幹部に就いている人はやはり少ないんですよ,客観的に。だから,「登用を促進し」というのは囲みの中に残していただいてもいいんじゃないかと思います。 ○吉永委員 促進しないと進まないことかもしれないなと思います。やはり人事と絡んでくるというのは,女性の職員というのは幹部になれないというのはなぜかというと,転勤とかいろいろなことが多すぎるということで,それができないからということで幹部への道が絶たれてという面がある。それに対して,人事院の勧告も出たかというふうに思いますので,ここを入れておいても別に構わないですよね。 ○高橋委員 皆さんにそう言っていただけるなら。 ○千葉座長 そういう意味では,皆さんの御認識は大体共通かなと思いますので,ここは残す方向でよろしいのではないかと思われます。そのほか,このような字句を入れたらどうか,あるいは文言の修文等,必要かという部分ございますか。   それでは,お出しをいただいたところは私の方で引き取らせていただいて,可能な限りで表現がきちっと伝わりますようにしてまいりたいと思っております。   続いて,第3の「検察の組織とチェック体制」というところにまいりたいと思います。ここもまず,主な修正の趣旨を御説明させていただきたいと思います。   まず,15ページになりますが,特捜部の存廃及びその組織の在り方に関しましては,「特捜部を廃止するまでの必要はない」という部分の「までの」が分かりにくいという御指摘がありましたが,独自捜査を主たる任務とする部署を廃止する必要はないという範囲で大方の共通する御認識ではなかったかと思いますので,御指摘を踏まえて,15ページの下から7行目に,「特捜部,あるいは,独自捜査を主たる任務とする部署を廃止する必要はないという点で,大方の委員の意見が一致をみた。」と記載いたしました。その上で,同じページの枠囲いの中にも,「廃止するまでの必要はない」の「までの」を削除して,分かりやすい形にさせていただきました。   次に,小柱の2番目の(1)特捜部の独自捜査に対するチェック体制に関しては,17ページの中ほどを御覧いただきたいと思います。特捜部が行った独自捜査については,同部に所属しない検察官において起訴・不起訴の処分を行うというチェックの在り方も選択肢としてあり得るのではないかとの御指摘がございました。それを踏まえて,17ページの中ほどの「具体的には」以下で,その旨を記載させていただいております。また,17ページ(2)の公判段階におけるチェック体制に関しましては,公判段階におけるチェック体制の対象となるのは,特捜部の独自捜査事件に限られないとの御意見を踏まえまして,下から5行目にその旨を記載しております。さらに,17ページ末尾から18ページ冒頭にかけてですが,公判段階でも,専門的知見等を活用した「横からのチェック」による検討の対象とすることを記載するべきだとの御意見を踏まえまして,その旨を記載しております。   そして,小柱3の監察体制の構築になりますが,19ページの中ほどを御覧いただきたいと思います。監察を担当する検察官の任命に当たっては,監察制度の適正性・公正性に疑念を抱かれないようにするべきとの御指摘を踏まえまして,その旨を記載をいたしました。   さらに,20ページの末尾でございます。監察体制の構築及び外部の目・外部の風に関連して,監察担当部署に検察官以外の者を任期付公務員として登用するなどして外部の第三者を監察に参画させることを記載すべきとの御意見や,外部有識者が個別の事件についての情報も含めて十分な情報を得る必要があるため,外部有識者に検察官等の聞き取り調査権限を認めることを記載するべきとの御意見がございました。   しかし,外部の第三者を監察に参画させることや,外部の第三者に調査権限を持たせることについては,これまでに,慎重な御意見も相当示されているものと理解しております。   そこで,今回,指摘があった趣旨をできる限り活かすという観点から,20ページの最後の部分に,外部有識者が検察運営全般の実情を十分に把握して適切な意見・助言を行うことができるようにするため,十分な情報提供に努めるべきという記載を追加させていただきました。   主な修正の点の趣旨は以上でございます。御説明いたました修正を踏まえまして,この「組織とチェック体制」の部分につきまして,更に修文や,あるいは何か特段に漏れている等々の御指摘や御意見がありますればお出しをいただきたいと思います。 ○郷原委員 特捜部の存廃のところなんですが,表現ぶりとして確かに「特捜部を廃止するまでの必要」という言葉はちょっと日本語としておかしいのではないかという御意見もありましたし,そこには問題はあったんですが,あえてそういう言い方をしたのは,特捜部を廃止すべきかどうかということについての意見もやはり分かれている部分もあり,少なくとも独自捜査を主たる任務とする組織は必要だというところは一致していると,それをどう表現するかということだったと思うんですが。それが何か「まで」を単純に削って,特捜部を廃止する必要はないという結論にしてしまうのは,前回から今回の間に,そんな議論がそこまで進んだのかなという感じがするので,ここは正に工夫をしないといけないところではないかと思うんですが。ですから,廃止をする必要はないということをストレートに言うのではなくて,この会議としては,直ちに特捜部そのものを,検察独自捜査の任務を背負う組織としての特捜部を直ちに廃止しろというわけではないけれども,その後ですね,その後,現状を是とすることなくというところに重点がかかるような表現の仕方にすべきじゃないかと思うんですね。   もう一つの本文の方に,またこの表現を,「特捜部あるいは独自捜査を主たる任務とする部署を廃止する必要はない」という,「何々あるいは何々を廃止する必要はない」という,何のことかよく分からない表現になってしまっています。ちょっとさすがに,この表現はまずいのではないか。日本語としておかしいと思うんですね。AあるいはBを廃止する必要はない,どういう意味なのか。これは端的に独自捜査を主たる任務とする部署は存続させるべきだということは意見は一致しているわけで,特捜部も名称の問題とかはありますけれども,基本的にそういう特捜部の機能を存続すべきだという点については,大方委員の意見は一致していたんだろうというのが今までの議論の忠実な表現ではないかと思うんですが。 ○江川委員 箱の中なんですけれども,「特捜部を廃止する必要はないが」というのはちょっと唐突感がありますよね。だから,ここをあえてそれを言うことなく,例えば今,郷原委員も「現状を是とすることなく」というところが力が入ったところなんだというところは恐らく皆さん一致しているところだと思うんですけれども,そうすると何もその前を入れる必要もなくて,特捜部は現状を是とすることなくということで,そして詳しいことはいろいろな意見があったけれどもこうだったよということで,本文の中に残せばいいので,何もここで「廃止する必要はないが」というのを入れなくてもいいんじゃないかなと思うんですけれども。特捜部については現状を是とすることなくというのを提案したいと思います。 ○千葉座長 ここも,これまでにも大分御議論をいただいたところでございます。ここは,表現ぶり,あるいはどうしたものかという部分もございますので,ほかにこの部分で御意見がありますればお聞きいたしまして,少し調整をさせていただきたいと思います。 ○高橋委員 郷原委員と江川委員が言われるのも分かるんですが,例えば,この後の第4の可視化なんかもこういうことを進めるべしみたいなアクションワードが入っているんですが,ここだけがそうする必要がないというネガティブワードから入るというのは何か表現的にどうかなというのは確かにおっしゃるとおりだと思います。ただ,今,江川委員が言われるように,「特捜部は現状を」とただそこでつなげてもいいと思いますし,ただ機能として重要だが,在り方を見直す必要があるみたいな感じから入ってもいいと思いますし。言葉は細かくはあれですけれども,そんな感じで少し変えれば,大分ニュアンス変わるんじゃないかなという感じも私はいたします。 ○井上委員 今の意見ですと,この柱で,「存廃」と書いていることに対応しないように思います。その辺,うまく整合するような工夫ができるならそれでよいと思います。 ○郷原委員 存廃というのを削ったらいいんじゃないですか。 ○千葉座長 ここにつきましては,実は,国会の御質疑の中で,大臣がこの検討会議では特捜部の存廃についても御議論されているとの御発言をなさったとも聞いておりますので,そういうことも念頭に置きながら,この表題と枠囲いの中ですね,ここの表現をどう調整できるか,少し引き取らせていただきたいと思います。皆さんの御趣旨はほぼ共通であろうと私も認識・理解しておりますので,引き取らせていただきたいと思います。 ○嶌委員 法務大臣から,特捜部の存廃という言葉を使って議論してくれと,こういう要請があったということですか。 ○千葉座長 要請というよりは,検討会議では存廃も含めて検討をしているという答弁をされたと聞いております。 ○嶌委員 したがって,この存廃というタイトルというのはなかなか削るわけにはいかないということですか。 ○千葉座長 そこは,少し検討が必要かなと思います。 ○嶌委員 僕はさっき,江川委員が言ったように,「特捜部については,現状を是とすることなく」とつなげるのが一番すっきりした言い方だなというふうに思います。やはり,この特捜部というのがほかの部と多少違う捜査をするということを少し中に書いてもいいんじゃないのかなと思います。例えば,政治悪の問題だとか新しい時代に関係した犯罪をやるような部だから存在意義があるんだということはもう少し強めに書いてもいいんじゃないかなというふうに思います。 ○千葉座長 本文の方では,大体皆さんの御指摘のところは盛り込まれているかと思いますが,そこについてはまた,皆さんから少し知恵をお貸しいただきつつ,どういう形にするのが一番分かりやすいか,この検討会議の趣旨がきちっと伝わるかということも併せて,調整させていただきたいと思います。 ○後藤委員 別のことで,やや細かい表現の問題なんですけれども。「反映版」ですと19ページの(注)に落とされた部分があります。その2行目で「検察官による調査や検証には信用がおけないことから」と,この意見を表現しています。これは何だかけんかを売っているような表現です。こういう対立をあおるような表現はなるべく避けて,冷静に議論する姿勢の方がよいと思います。ここは例えば,「検察官だけによる調査や検証では客観性が不十分であるから」とするか,あるいは,この「監察を担当する」から「ことから」までを全部取ってしまっても,この意見の趣旨は分かると思います。どちらかにした方が良いと思います。つまり,この意見は,検察官に対する特別な不信の表明ではなくて,どんな組織でも身内だけで見直したら不十分になりがちでしょうと言っているだけですから。 ○千葉座長 これは(注)で意見の紹介をさせていただいている部分ではございますけれども,御指摘を受け取らせていただきます。 ○石田委員 これは,私の意見が多分入っているんだろうと思います。今,後藤委員がおっしゃったことは全く異論はありませんので,抜いていただいて結構です。 ○千葉座長 真意は別といたしまして,確かにこういうものの中に,余り適切な表現ではないのかなとも思う部分がありますので,それは少し工夫をするということで受け取らせていだきます。ほかにこの部分,よろしいでしょうか。   それでは,ここまで幾つか字句あるいは表現ぶり等々,少し修正あるいは知恵を出さなければいけないという部分があったかと思いますので,それについては,私の方でもう一度どういう形が適切なのか,皆さんの趣旨が分かりやすくなるかという観点から検討させていただきたいと思います。御指摘がございました部分以外ではおおよそ内容的にはよろしゅうございますか。では,御指摘のところは引き取って,検討をするということにいたしたいと思います。   それでは,ここで若干休憩をさせていただいて,その後に「検察における捜査・公判の在り方」の部分に入りたいと思います。では,10分間の休憩といたします。 (休     憩) ○千葉座長 議事を再開させていただきます。   第4の「検察における捜査・公判の在り方」の部分につきまして御議論いただきたいと思います。まず,ここも私の方からこの部分の主な修正の趣旨を御説明させていただきたいと思います。   21ページの枠囲いの可視化の基本的な考え方については,現段階で録音・録画に関する法制度が存しないにもかかわらず,これをより一層拡大するとするのは不自然ではないかとの御意見がございましたことから,書きぶりを改めまして,その部分を「運用及び法制度の整備を通じて,」と修正させていただきました。次に,22ページの本文の(3)においても同様の趣旨を修正しております。戻っていただきまして,21ページの(1)の1段落目につきましては,取調べの問題点に関する記載が曖昧ではないかとの御意見がございましたことを踏まえて,表現を明確にするとともに,このような取調べの問題点は大阪地検特捜部に限定されるものではないとの御意見も盛り込ませていただきました。   次に,22ページの枠囲いの記載のうち,知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等の取調べについては,委員からの御指摘を踏まえて書きぶりを修正させていただきました。23ページ本文の(2)におきまして,一部録音・録画の効果を具体的に指摘する御意見も付加するとともに,録音・録画された中での取調べについて研修を行うべきとの御意見を踏まえた修正をいたしました。さらに,24ページの(3),ここでは少年事件についても取調べの録音・録画の試行を行うべきとの御意見を踏まえ,今後の課題として検討されることを望む旨,追加的に記載させていただきました。加えて,運用による取調べの可視化に関連し,検察事務官に取調べの記録を作成・保管させるなどとする御意見もございましたことから,これを(4)として記載させていただいております。   さらに,24ページの小柱3におきましては,各委員から指摘がありました各種表現ぶり等の修正をさせていただいたほか,25ページの下から2段落目の「本検討会議においては」以下で,従来の偽証罪の運用等に係る記述を削除し,また,26ページの2段落目には,新たな時代の要請として「手続の透明性の要請」,「情報公開」との文言を加えさせていただきました。27ページの(2)及び28ページの(3)においては,委員からの本文の記載が冗長であるとの御指摘をも踏まえまして,議論が複数の意見に分かれ,特定の結論を得るに至らなかったものの,なお,議論の状況を記載することが望ましいと考えられる部分について,文字の大きさを小さくし,(注)として記載することといたしました。また,その中で,29ページの(注4)にあります被疑者・被告人の身柄拘束の在り方につきましては,御意見を踏まえて本検討会議における議論の状況をより詳細に記載することといたしました。   主な修正の趣旨は以上でございます。今,説明させていただきました修正を踏まえまして,この捜査・公判の部分につきましても,更なる御意見がございますれば,ここでお出しいただき,議論させていただきたいと思います。 ○江川委員 可視化に関してのところについてなんですけれども,恐らくこの提言案を新聞記者が読んだときに,さっきの特捜に関しては書きぶりをまた考えるということだったのですが,これそのものだったら「特捜存続,可視化先送り」というふうになりかねないと思います。ただ,この間の議論では,これはそんなゆっくりやっている問題じゃないんだということは,ほかのいろいろな点も踏まえて検討するのは急がなきゃいけないというのは,これは大方の一致したところだと思うんですね。ですから,例えば,最初の囲みの箱の中ですけれども,「法制度の整備を通じて」というところの前に,「速やかな」という文字を入れる,あるいは,この3番目の新たな何か会議をつくるというところなんですけれども,そこも私はやはりどれぐらいかという期限は区切った方がいいのではないかというふうに思い,私の意見としては,今日,お配りいただいた「提言案についてのごくささやかな意見」という書面に1年以内に結論を出すべきであるというふうな意見を入れましたけれども,このようにゴールというか急いでやらなきゃいけないんだということをやはり強調すべきではないかなというふうに思います。   それから,ほかにもあるんですけれども,議論が一遍に拡散するといけないので,取りあえず1点目はこれです。 ○後藤委員 意見を申し上げたい点が幾つかございます。もちろん全て私の期待どおりになるとは考えておりません。なるべく公約数を最大にすることを目標に,まず重要な点を先に二つ申し上げたいと思います。   一つは,2番目の囲みのところです。前回も私は申し上げたことですけれども,試行の中に全過程の録音・録画の試行も含むべきだという趣旨を何とか囲みの中に入れられないでしょうか。それでまとまるのは無理なのでしょうか。囲みの中では,最初の○に入れるのがベストだと思いますけれども,そうでないとしても4番目の○にそういうものも試行の中でやるべきだと示したい。そうしないと,取調べの全過程を録音・録画したときにどんな結果になるかの試行は実はできないですね,実際やってみないと。だから,全過程の録音・録画をこの囲みの中に入れられないか,これが一番大きな問題です。   もう一つは,29ページから最後の部分です。ここの書きぶりが前回いただいた版とは変わっているところがありますね。このバージョンを拝見すると,29ページの(4)からの部分,この文脈を読んでいくと,村木事件のようなことを二度と起こさないためには新たな捜査手法の導入が必要だという結論,我々がそういう結論に至ったのだと言っているように見えてしまいます。しかし,そういう結論には至っていないでしょう。そういうふうに考えている方はいると思いますけれども,全体がそういう結論に至ったと受け取られるのは正確ではないと思います。この部分は前の版の表現の方が良かったように思います。かえって誤解を生む表現になっているのではないかと思います。前のバージョンでは,そこまでは読めない表現になっていたと思います。 ○郷原委員 前回も申し上げたんですけれども,こういう時期に取りまとめをするのであれば,世の中からもそれなりの成果があがったというふうに認めてもらえるような内容でなければいけない。そういう意味で一番注目されているのが,第4の「検察における捜査・公判の在り方」だろうと思います。ところが,この「検察における捜査・公判の在り方」のところ全体として,前回も申し上げたように,特別捜査部,特別刑事部という検察独自捜査の可視化の問題,取調べの問題と,警察送致事件の可視化の問題と,それと今後の刑事司法制度の問題がこの第4の中に渾然一体となって書かれていて,非常に分かりにくいんですね,全体が。本来であれば,私はその一般的な刑事司法制度の問題というのを書き分けるべき,もっと言えば警察送致事件の可視化の問題と特捜の問題,今回の村木事件の問題というのは特捜の問題ですから,それを書き分けるべきだと思うんですが,今の段階で。それが若干困難だとしたら,やはりこの特捜の可視化の問題について少なくともこういうことだけはやるべきだと,最高検のあの指針よりも,ここのところは更に踏み出すことを提案したということがなければ,一番核心部分について何を議論していたのかという話だと思うんですね。私は是非,ここに「例えば」という形で書いてあるんですが,23ページの「身柄拘束の初期段階の取調べ,主要な供述調書の作成に係る取調べ等」を可視化の対象にする,これを,明確に,この二つ,まず原始供述の可視化,そして公判の立証で使う予定の調書の読み聞け署名部分,ここについては最低限,可視化の対象にするということを最高検のガイドラインか何かで具体的に示すべきだと思います。そこだけでも一つの前進だというふうに見られるんじゃないか。そこを是非やっていただきたいと思います。できたら囲みに入れて目立つようにしていただきたいということです。 ○宮崎委員 まず,第4をざっと読みますと,我々は,村木さんの事件を通じてえん罪を起こしちゃいけないと,そのために捜査・公判をいろいろ検証しようと。密室の取調べ,そこに原因があったんだと,こういうところから議論が始まり,全過程可視化の議論があり,そして全過程の可視化については今すぐ実現するにはいろいろなことを検討しなきゃならないんじゃないかと,こういう議論の流れであったかと思いますけれども。出来上がったものを見てみますと,先ほど,後藤委員が指摘されましたように,最後のまとめの部分が,私はやはり非常に良くないと考えています。   まとめの(4)は,前回の取りまとめも良くなかったんですが,今回の取りまとめは文章の順番を変えたことによって更に悪くなっている。というのは,前回の取りまとめですと,いろいろなことをやって,現在の刑事司法制度を変えて,新たな制度を構築していく必要があり,本格的な検討の場を設けるという記述でしたが,今回のまとめは,一連の司法制度改革においては,改革審意見書における新たな捜査手法の導入がなかったから供述に頼りすぎる病理現象が起きたんだと,今回の原因なんだと,その記述を受けた形で今般の事態を踏まえてと,どの事態かというと,新しい捜査手法がないから生じた病理現象を受けて,同様の事態を二度と引き起こさないようにするためには,現在の司法制度が抱える問題点,というと前の病理現象を受けているので,第4のまとめとして可視化ではなく,最重点に新しい捜査手法に取り組むという印象になるわけです。我々は,村木さんの事件を反省してこういう議論を始めたのに,最後の最後の結論が新たな捜査手法のなかったことが全ての原因だったと,これを解決しなきゃだめですよというこのまとめは,問題のすり替えに近い印象を与えると私は思います。この第4全体の記述を見てみますと,先ほども申し上げましたように,まず最初のところは多くの人が可視化の拡大をしなきゃだめですねと,こういうことで取りまとめが行われ,そして2番目が運用によってそれを拡大していきましょうというまとめが行われ,3つ目が新しい場をもっていろいろなことを検討していきましょうねと,そこにおいては,捜査手法の問題がありますねと。捜査手法について,供述に頼らない手法がありますから,これについて議論をしていきましょうと,さらに,制度としての全過程可視化を検討しましたけれども意見がまとまりませんでした。さらに,本検討会議においては,参考人取調べとか保釈とか,いわゆる人権保障の観点からいろいろ議論をしたので,これも次の場で関連する諸課題としてやりましょうと。そして,最後の結論が,また捜査手法を導入しましょうという記述になっているわけですね。私から見ると,捜査手法の導入がしつこいぐらい出てくる。しかも,最後の結論が,全ての原因は捜査手法が取り入れられなかったからだと,これは問題のすり替えで,私はとってもおかしいと思っています。しかも,司法制度改革審議会意見書による指摘事項のうち,裁判員制度を始めとする様々な改革が実現されてきた一方,我が国の社会経済の変化やそれに伴う犯罪情勢,動向の変化等に対応するため,検討を求められていた新たな捜査手法の導入については必ずしも十分な検討が行われてきたとは言えないとこういう形で,司法制度改革審議会がいろいろ求めた中で新たな捜査手法の導入だけが残っていると,こういう印象のように見えるわけであります。   そこで,私もびっくりして司法制度改革審議会の意見書を改めて読んだのですが,ここでは「新たな時代に対応しうる捜査・公判手続の在り方」という項目が確かにあります。頭書き部分では,やはり新しい時代には今の捜査手法では十分対応できないとこういう記載もありますが,一方で,人権保障に関する国際的動向も踏まえつつ,新しい時代における捜査・公判手続の在り方を検討しなければならないと。確かに,新しい捜査手法が書いてあります。しかし,刑事免責制度等,新しい捜査手法の導入については,憲法の人権保障の趣旨を踏まえながらという形できちんとバランスよく書かれているわけです。しかも次の項では,被疑者・被告人の身柄拘束に関する問題ということも,並列して記載がされてあるわけです。私は,司法制度改革審議会意見書のように人権保障の観点,そういうことを踏まえつつ新しい捜査手法,身柄拘束の問題点,こういうことの解決を今度の新しい場でやりましょうと,バランスよく書いていただくということが不可欠ではないか。これでは我々は笑われる,この結論は,はっきり言えばとんでもない結論に最後なっているということです。   あとは,私も書面を出させていただいて,どこの箇所をどう修正するか言わせていただいております。まず,第4の最初の総論のところで,可視化の拡大について大方の意見の賛同を得,また全過程可視化についても多くの賛成意見を得た,こういうことですから,やはり何人かの委員がおっしゃっておられますけれども,このまとめのところにも,今後取調べの全過程の録音・録画,前は目指しと提言していたんですが,譲歩しまして,「取調べの全過程の録音・録画を含めより一層その範囲を拡大すべき」だという形で入れていただけないかという提案をいたします。   それともう一つは,運用による可視化の拡大につきましては,試行をやる以上,先ほど後藤委員がおっしゃったように,全過程の録音・録画を含む試行をしていただかないと全過程録音・録画の実験ができないのではないかと,こういう具合に考えますので,この点も○の1番目に入れるか○の4番目に入れるか別にして,運用の内容についても御検討を賜ればと,このように思っているところであります。   それから,今後の検討の場でありますけれども,やはりスピードの問題です。今まで6年間,棚ざらしにされてきたと言いましたら,吉永委員,井上委員から,それは法曹三者でやってるから悪いんだというような御意見を受けました。ただ,私はそれは私の立場からするとえん罪であって,というのは協議の場というのは何か議題が出てきて協議をするわけですけれども,法務省から何の提案もなかったわけですから協議しようがない。私は引き延ばしをする際には,とんでもない,とても受け入れられない提案をしてくるという引き延ばしの方法もあるけれども,黙ってて何も提案してこないのも引き延ばしの方法としてあるんだなという具合に非常に学習をしたわけでありまして。   今度は,やはりそういうことになってはならない,やはりこれについても速やかとか,あるいは可視化の議論はやはり急ぐんだと,そういうメッセージ性を持たないと,皆さんから何をまとめたの,何を議論したのと言われる。捜査手法の強化だけということになりかねない。あとの議題は各論併記で,次の場で議論しましょうとこういう形になっちゃっているので,私は,可視化について,それは何とかもう少しはメッセージ性を持つようにしていただきたい。   それから,当たっているかどうか分かりませんが,可視化についての意見として,第一,第二,第三と並列的に並べてあります。私はこの前,イとウの意見の違いが分からんと言って,高橋委員や井上委員に怒られたような気もしますが,私はどう見ても,ウはイの中の一部変形ではないかと思えて仕方がないわけですけれども,この場で,もう言いませんけれども。そう考えると私は,アとイを足した方がかなりの多数で,ウはそんなに大勢いらっしゃるのかなという気もします。もしそうであるならば,この辺の記述については,めりはりをつけていただけないだろうかと思うわけであります。   以上でございます。そういう趣旨から具体的な修正箇所については,書面で述べさせていただいております。 ○石田委員 ここはかなり意見の対立をしているところで,千葉座長を始め,事務局の方々も苦労されたところであろうと推察をして,その点については本当に御苦労様と言いたいところです。   しかし,前回も申し上げましたが,この検討する場が,今の時点ではどういうメンバーの方が,いつまでにやるのかというようなこと,それから具体的な議論のテーマというのがこれで果たして分かるのだろうかということが非常に疑問でありまして,このままではこの第4のところは私としては賛同することはできません。それで,さてどういうふうに訂正をすればいいかという点につきましては,今日「110327,提言案についての私見」という書面を出させていただいておりまして,その2ページ目から23ページ以下の第4についての修正意見を出しておりますが。余りたくさん言うといけませんので,どうしてもというところだけを申し上げたいと思います。   この中の25ページ,この書面では4ページ目ですが,先ほど,後藤委員も指摘されましたが,試行の方法についての問題で,例えば,この25ページの赤の線の入ったところですが,「とりわけ全過程の録音・録画を行った場合に」どういうような障害が出るのかということも検証をしてもらいたいということの指摘をしてもらいたい。   それから,27ページ以下,これが新たな実現の場の問題でありますが,「直ちに」という文言は,私が以前提案をしたところで採用をしていただいておりますが。捜査・公判の在り方というんですけれども,今までの議論の中では,供述調書に過度に依存した捜査・公判からの脱却をするための制度改革ということが議論をされていた,それが重要な議論の対象ではなかったのかというところを,そこをちゃんと明確にした上で,直ちに取調べの全過程の録音・録画などについて議論をしてもらいたい。そして,直ちに設けると同時に,これを早急に制度改革を実現すべきであるという,本来であれば,例えば何年以内にというようなことを入れていただきたいんですが,それはどうも難しいようでありますので,できれば早急に,できればじゃなくて早急に制度改革を実現すべきであるということまで含めたことを書くべきであると思います。   それから,次の29ページです。この書面では8ページ目でありますけれども。それと同じようなことを書いております。   それから,最後の末尾でありますが,先ほど宮崎委員も御指摘になりましたが,(4)の冒頭の部分,この修正のコメントのところの削除というところで,案ではここを削除しておりますけれども。この部分やはりちょっと問題ではないかと思います。この部分をただ削除するだけでもこの文章は通ると思いますので,是非ここは削除する方向で考えていただきたい。そして末尾は,この改革を実現することを強く求めたいというふうに書いてありますので,もう少し早急にといったような文言を入れればかなりメッセージ性があるものになるのではないかと思います。   それから,形式的なところですが,ほかの項もそうなんですけれども,この(注)についての場所のことについて申し上げたいと思います。特に,この第4については(注)が非常に長いんですね。それをこの行間に入れますと,やはり読む方が視覚的にもちょっと読みにくいと思います。これを,ページ数を見ますと,これが32ページありまして,それから「おわりに」と「はじめに」も入れますと,恐らく35ページぐらいになるんじゃないかと思うんですが。今の最高裁判所の上告趣意書でも余り長く書いちゃいけないよと,もし長くなるのだったら,20ページ以内にまとめたサマリー出しなさいと言ってるように,大体どんな人でも20ページ以上読むと疲れちゃうというような感じがあります。せめて本文は20ページ台ぐらいにした方がいいというような趣旨も含めて,まず(注)は,全部末尾にもってきた方が読みやすくて,すっきりまとまるのではないかというふうに私は思います。 ○井上委員 宮崎委員,石田委員,後藤委員も指摘されたとおり,確かに,一番最後の部分については,中身は前の方に書いてありますので,削除してすっきりさせるのが良いと思います。   2点目として,真ん中の方で,宮崎委員などの意見で,多数とかごく一部というふうに書くべきだということについては,数をそれほど厳密に数えたわけではないと思いますので,いかがかと思いますし,多数というところは柱で書いてあるのに対して,「ごく一部」の方は意見の紹介の中でそのように記述していますが,意見の紹介は意見の内容を要約して書くべきもので,多数dだとか少数だとかを書くべきところではないと思います。ここのところは,御提案のように改めることには反対です。   3点目として,宮崎委員や石田委員の書面に記されていることですが,全過程の録音・録画が目標であるとか,それを切り離して先行させるべきだとされていることについては,この前も申し上げたように,法制化という点での取りまとめとしては,そこまで大方の意見が一致しているわけではありませんので,そのような書き方にすることに反対です。   また,同じ書面の中で,知的障害の方について,全過程ということを書いて,句点をおいて以後の文章と区別しようとしているのですけれども,これも試行としては,対象者の特性とか事案の性質に応じて柔軟に幅広く運用するということでカバーするのが穏当であろうと思います。少年については,この前申し上げたとおりです。   最後に,新たに設けてほしい検討の場については,年限を切るとかメンバーをこうしろ,あるいはテーマ設定をこうしろというところまで我々が注文をつけるのは僭越かなと思います。ただ,おっしゃっている趣旨はよく分かりますし,この前言いましたけれども,法曹三者だけに任せておくと,懸念がありますけれども,本会議の提言としてここまで言っったのを受けて公の会議が設けられたのに,棚ざらしでいつまでも結論を出さないということがあるとは考えにくい。司法制度改革のときも,審議会の提言を受けていろいろな会議体をつくってやったのですけれども,長いものでも2,3年で結論を出しています。しかし,御不安も分かりますので,最後のところに,「早急に」とか入れてはどうかと思います。「1年以内」とまで書くのはどうかと思いますが,速やかに結論を出し,その結論に沿った改革の実現を図るべきだと,そのようにすれば非常に強いメッセージになるのでないかと思います。 ○江川委員 29ページのところの最後の部分なんですけれども,やはり「今般の事態」というのは,つまり村木さんの事件と前田検事のことですよね。やはりそれは別に捜査手法がなかったからじゃないというのは正にそのとおりなので,(4)の1段落目は全部削除すべきではないかなというふうに思います。   それから,「本検討会議としては」の後も,「今般の事態を踏まえて同様の事態を二度と引き起こさないようにするためには」のこのところは削除すべきだというふうに思います。   その次のページの「結論に至ったものであり」と,私は可視化と抱き合わせというのは賛成はできないんですね。ですから,やはり「それが大勢を占め」ぐらいにしていただかないと,私はその結論には与みすることができないのであります。その話をすることはいいんですけれども,私は可視化も含めてというところが違うんじゃないかと言っているわけなので,こういう会議で何か話し合うこと自体には反対しているわけじゃないんですけれども,そこのところの書きぶりを少し考えていただきたいなというふうに思います。   それから,そのほかのことを一挙に言っておきますと,可視化のことについてなんですが,21ページの下から7行目の辺りから,「本検討会議における議論では,虚偽の自白によるえん罪を防止し,被疑者の人権を保障する観点から見ると,被疑者の取調べの録音・録画は有効であり」と,確かにそうなんですけれども,この間,後藤委員の方からも,もう少し録音・録画というのはどっちに有利・不利というだけじゃなくてニュートラルなものじゃないかという話がありましたし,それから検察自身も任意性や信用性を立証する上でやろうとしているわけですよね。それから,この間,知的障害者の方のことで議論したときに,やはりこれは決裁をしたりする人たちにとっても非常に有益になることがあるというようなことがありました。それから,一番最初の頃だったと思うんですけれども,やはり裁判官御出身の方から,こういうものが映像があればいろいろな判断をするときにすごく参考になるよねという話もあったかと思うんですね。   ですから,例えばですよ,例えば,こんなふうにしたらどうかと思うんですが。「被疑者の取調べの録音・録画は,裁判所の的確な判断に資することはもとより,虚偽の自白によるえん罪を防止し,被疑者の人権を保障するとともに,検察の適切な決裁や調書の任意性・信用性を立証する上でも有効であり」とそんな感じのことがこの部分に入ったらどうかなと思いました。   それから,21ページの下から12行目の「(可視・可聴化)」は,諸石委員のオリジナルな表現だと思うんですけれども,可視化というのは別にビデオを撮ることだけではなくて,音声もということも含めてずっと使われているところでもあり,そこをより明らかにしたいという,そういう意図は分かるのですけれども,余り日常的に使われていないオリジナルなワードを使うのはどうなのかなと。小見出しのところとの整合性も含めると,可視化だけですっきりいった方がいいのではないかなというふうに思いました。   それから,全過程の問題なんですけれども,できれば箱の中に入れることが望ましいと思いますけれども,試行についてですね。あるいは23ページの下から9行目辺りに,「主要な供述調書の作成に係る取調べ等」の,「取調べ」と「等」の間に,取調べの「全過程」等というふうにして,そこで入れるということもあり得るのかなと思いました。   それから,試行の結果を1年をめどとして検証を実施しなさいということが22ページの箱の中と23ページの下から13行目に書いてあります。これもまた検察だけでやるのが適切なのかというと,私は外部の有識者を交えてというふうにした方が,これは公正な検証であるということがみんなに信頼されるのではないかなというふうに思います。 ○後藤委員 今の江川委員の意見と関連します。私も前回も申し上げたことですけれども,取調べの可視化の有益性をえん罪の防止という観点だけから見るとやや弁護人的な,党派的な見方になってしまいます。それでは不十分だろうということで,より客観的な効果を捉えた方がいいということです。実は,(注)に落ちた部分では一部その意見を取り入れていただいた部分がありますけれども,もう一度読み直してみると,今,江川委員が指摘された21ページの部分でこそはっきり言うべきだと思いました。ですから,この江川委員の御提案が入るのであれば,これで結構ですけれども,もしこれが長すぎるということであれば,例えば,「本検討会議における議論では」の後に,「供述の任意性・信用性を的確に判断するとともに」という語句を,挿入するだけでも,その観点がもう少し出ると思います,これが一つの意見でございます。   続いて,26ページの下から二つ目の段落の2行目のところです。「捜査・公判の在り方の検討は,基本法令の大幅な見直し等を伴うことが予想されるものであり」とはっきり書いていますけれども,これやや書きすぎだと思います。「大幅な見直しを伴うことが予想される」というと,大幅な改正をすることが当然としているように見えてしまうので,「見直しを伴う可能性があり」くらいの方が穏当だと思います。   それから,27ページの(注)のア,イ,ウの第一の意見の表現です。これをよく読むと,えん罪の原因は不適正な取調べにあると言っていますね。しかし,誰もそれだけがえん罪の原因だとは言っていません。えん罪の一つの原因だという見方は確かにありますけれど。これはやや極端なまとめになっていると思います。「その一つの原因が不適正な取調べにある」ということだと思います。 ○諸石委員 非常にたくさんの修正意見が出てまいりました。その中で少しだけ文章を直せばいいものは,いくら出てきても,座長がちょこちょこっと決めていただければできるでしょうけれども,かなり基本的な問題について,ここまで座長が取りまとめられたものに対して,それを狂瀾を既倒に返すといいますか,元に戻すようなお話につながるという危惧を持たせるような御発言が多いのではないかと思います。それでは,黙っている人は発言者に賛成なのかというとそうではなくて,これで結構ですなと思っている人は特段発言をしないということですので,座長がこれを整理されるときに,サイレントマジョリティはどちらなのかということも頭に置いていただきたいと思います。   それから,可視化というものは,究極の目的としては,最後は弊害がない限り全面的な可視化なのでしょうけれども,そういうことが望ましいだろうということだけを,今いろいろ出てまいりました意見のように,そのことだけを強調して書いたならば,そんなに良いものならば,なぜ明日からやらないのですかということになるだけじゃないかと思います。やはりいい面もあるけれども,問題もある。いろいろあるからということでこれまで議論をしてきた。その可視化のメリットというものについては,これはもう多分全員がメリットがあるということを認める。ただ,それが無条件でそれだけ一人歩きして大丈夫といっているかというと,これはいろいろ意見があるのだと思います。そうなりますと,それを表現するまとめ方というのも,おのずからそういうものを反映したまとめをしていただきたい。今,いろいろ御意見があった中で,これは結構ですなというのもたくさんありました。しかし,そのように変えてくれと今言われるならば,初回に戻るようなもので,今まで何の議論をしてきたのかなと思うところもございます。   それから,時期について,この法制に関する抜本的な検討ということを直ちにとか,速やかにとか,できるだけ急いでという気持ち,これはよく分かります。6年は長いということは多分皆さん一致されるでしょう。じゃあどれぐらいなのだというめどが示せるものか。特に1年という御提案がありましたけれども,しかし一方で,この同じ提言の中で1年間の試行をして,その結果を公表して検討しましょうと,一方では,法制化1年で結論を出すということは,その試行した結果については見ませんよといっている意味なのかなと,こう思うわけであります。その辺は,やはり全体のバランスというか整合性をとっておく必要があるんじゃないかと思います。 ○嶌委員 幾つかあるんですけれども,一つは速やかにという問題で,これも今,制度を変えるという問題と,それから試行的にどうするかという問題とを分けて考えた方がいいなと思います。恐らく試行するのに半年ぐらいかかって,それを検証しながら1年ぐらいかかって制度を変えるというような形に何かできればいい。僕は年限を入れた方が,やはりこの問題は締まってくるのかなと思います。僕は知りませんでしたけれども,6年も議論して何も決まらないというようなことを聞くと,何が速やかで何が遅いのかという議論からまた始めなきゃいけないので,そういう意味では我々はそういうのを聞いた上で考えると,試行を半年ぐらいやってみて,そしてその結果を判断した上で1年ぐらいかかって制度を改革するというふうにすることが大事なのかなと思います。   それから,2番目に,試行するということに関して,できる限り広い範囲でというふうに書いてあるわけですけれども,その広い範囲という意味をもうちょっと別な意味で,僕は例えば全面可視化というのも広い範囲だし,それから少年だとか障害者に対して全面可視化するというのも広い範囲だし,あるいは普通の特捜事件じゃないものについて可視化をするということも範囲の一つに入る。僕は試行方法というものをいろいろなバラエティに富んだ形や種類,方法の試行方法をやる方が,次の議論を考えるときに非常に有意義なんじゃないかなというふうに思うんですね。その中に全面・全過程の可視化ということも一つの方法としてやることが後の議論に資するのではないかと思います。ここで広い範囲に拡大すべきであるというふうに書いてあるけれども,この範囲というのは漠然たる範囲だけではなくて,もう少し中身のバラエティに富ませ,具体的な形で範囲を拡大するというふうにした方が,皆さんの意見を取り入れる上でもいいのではないのかなと思います。そういう中に全面可視化というようなことも含めた試行もするということを1項目入れたらどうなのかなと思います。   それから,可視化の問題と捜査手法というものは結び付いているというふうに盛んに議論が出ているんですけれども,僕ら素人から見ると,捜査手法の問題は重要なので結び付けるのではなく,可視化の問題とは別に,捜査手法の問題についても新たに議論するというふうに分けて考えればいいのではないのかなと思います。恐らく,今,議論になっているのは,可視化の問題と捜査手法の拡大という問題が取引みたいになっているとみられ,恐らく疑念が相当出ているんだろうと思うんですけれども,僕は捜査手法を強化したり拡大したりするということはそれはそれですごく意味のあることだと思うし,可視化の問題は可視化の問題で意味があることであって,それは結び付ける必要はないのではないかなと思うんですね。そういう意味でいうと,捜査手段というものを考えるという問題では,可視化の問題とは別にこの問題を考えるというふうにしておけば,そう問題はないのではないかなと思います。   それからもう一つ,やはり僕は,この会議でずっと聞いていて何となく印象に残ってて驚いたことは,今までの捜査においては,要するに最強の証拠というのは供述なんだということを何人かの委員がおっしゃられていたことです。。僕なんか普通の素人から見ると,最強の証拠というのは,まず具体的証拠を集め,その事実を積み重ねて,そして,その事実を供述で裏付けるというふうなものがいわゆる捜査の本道なのかなと僕は思い込んでいました。もしかして,それは表面的な話であって,自供こそが最強の証拠だということになると,やはりそういう考え方はきちんと改めた方がいいのではないのかなと思います。そういう問題点の中に,この可視化の問題というのはあるんだなという位置付けをきちんと,文章に書くかどうかは別として,そういうことは広く世間に知らしめておいた方がいいのではないのかなというふうに思いました。   それから最後に,やはりこの会議としてこれだけのことを書いた以上,責任があるわけですから,1年後か1年以内か別として,どこかでこの検討会議がフォローアップするということで,一種担保をとっておくということも重要なのではないのかなと思います。それをすることによって,また何らかの意見を述べるということもできるのではないかなというふうに思います。もちろん,新しい制度や何かをつくる委員会とかということとは全く別な話として,この提案に対して我々は責任をとるために1年以内にフォローアップをするということも,一応書き込んでおいた方が僕はいいのではないかというふうに思います。 ○龍岡委員 今,嶌委員の言われたフォローアップの点なんかは,私もそれはどこかに入れていただくといいかなと思うのです。その前に一つ,捜査手法の問題と可視化の問題を分けて論じた方がいいのではないかという御議論についてちょっと一言。これは既に議論されてきたところですけれども,改めて少し申し上げたいと思います。確かにこれを区別することは可能だと思うんですけれども,運用論においては,これを区別して論じることは可能だと思いますけれども,制度論を論じようとした場合に,これを別々にというわけにはやはりいかないのではないか。刑事司法制度全体の中で考えていかなければならないという意味で,それを区別するというのはちょっと難しいかなと思います。運用論で拡大の方向は大方の意見になってきて,嶌委員が言われたようにいろいろな拡大の例があるだろう。私もそれを具体的に挙げたらいいと思うんですね。私も前に申し上げましたけれども,取調べの当初の可視化の問題もありますし,それから場合によっては全過程をやってみるということも必要だろう。これを例示しておくということは具体的な提案としては非常に良いと思います。ただ,制度論を論ずるとなった場合には,これはやはりこの運用を踏まえていろいろ検証ですね,問題点,メリット・デメリット,いろいろ検証した結果を踏まえて論じていかなければならないから,これはある面では一体として議論していかなければならないところがあるのではないでしょうか。だから,まず試行で運用を広げていく中で問題点を探りつつ,制度論の中でもそれを取り入れながら,具体的に可能な制度についての検討に取り込んでいく。しかも,それも最終的に全体の制度ができるというのが一つの理想でしょうけれども,場合によっては,検証の結果として,ここまでは大丈夫だというところがあれば,そこまでの制度化といいますか,法制化というのも考えられるのではないか。   今までの法案について,宮崎委員が繰り返し言っておられたわけですが,6年かかったとかいう点も,こういう問題が提起されたとなると,今後はそうは言っていられない,できるだけ速やかに制度化についてのいろいろな,井上委員が言っておられたところですけれども,そういう専門家等含めた第三者も入った場で徹底的に議論していくということによって,速やかにというか,比較的早い段階に結論が得られるようにしていただくというのが望ましいのではないかと思います。 ○嶌委員 分かりました。ただ,僕が言ったのは,切り離してというのは本当に制度を考えるときは,当然両方一緒になって考えざるを得ないと思うんですけれども,一方で,この1年間ぐらい試行している間は,試行は試行としてやりながら,一方でそれとは切り離した形で捜査手法をどうやって高めたらいいかという議論は,それはそれで議論としてあっていいのではないかなと,そういう意味で申し上げた次第です。 ○但木委員 正直申し上げますと,私は諸石委員と違って,皆さんの意見が同じ方向を向いているんだという確信を持っております。やはり日本のこれまでの刑事裁判の在り方というのは非常に優れた面もありましたけれども,やはり時代に合わなくなってきているのかなというふうに思っております。裁判員制度が入って,国民の目が裁判に直接注がれるようになりまして,やはり刑事手続においても,それ相応の変化を来たさざるを得ない。昔だったらば,かなり厳しい調べでも真実に届けば,その調べは別にそれを批判されることはなかったんですけれども,現在では,やはり調べの方法自体について問題視されるというような時代がやってきたんじゃないかなというふうに思っております。   そういう意味で取調べの透明化の問題というのが非常に大きなテーマに浮かんできたのは,僕はある意味で当然だと思うし,その透明化する手段として録音・録画という手段が優れているということもそのとおりだと思います。日本の捜査手法というか捜査構造そのものもやはり裁判が変わるのと同じように変わっていかなければいけない。その一つが調べをしているところの録音・録画の問題であると。それも非常に大事な問題でありますが,それと同時に,今度はそういうバランスの中でどうやって刑事司法の健全な運営ができるか,あるいは国民の安全を守れるのかというもう一つの問題をやはり考えていかなければいけないんだと思います。やはり制度論としてはその二つを切り離すわけにはいかないのではないかというのが個人的な考え方であります。   ただ,可視化の問題については既に論議になっていて,法務省にも勉強会があるので,それはそれでおやりになればと思いますけれども,私は完全な形での可視化,いろいろな除外例と,それからきちんと義務化した義務付けをするという意味での録音・録画というようなものは,やはり捜査構造全体の中できちっと位置付けられて,整合性を持ってやられるべきだと。そうじゃなくて,何か一つだけを鬼っ子みたいにするのは,私はどうかなと。やはり全体を見て次の時代を開かなきゃいけないんじゃないかと思います。   それから,それについて速やかというふうに皆さんおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。そんなに長く,そんなことをいつまでも論議するような時代でもないし,少なくとも在り方会議が公に言ったことですので,それを無視するようなことはないのではないかと思います。   もう一つ,運用の問題ですが,もちろん検察を全面的に信じられないんだというふうな御意見もあろうかと思うんですが,この際,やはり検察に大いに勇気を持っていろいろな試みをしてもらおうじゃないかと私は思っております。そういう意味で,例えば,知的障害者の問題にしても,私は非常に難しいので,初めから知的障害者と分からない場合もあるので,それは全過程の可視化をしろよと言われたらそれはちょっとできないんだろうと思うんですが。事案によってはそういうものができる場合もあるだろうと,そういうときに検察が勇気を持って,初めから全部やられたらいい,僕はそう思っております。ですから,私は検察がやはりこれだけの期待と,お前,再生しろよというそういう皆さんの心を大事にして,是非勇気を持っていろいろなことを試してもらいたい。その結果をできるだけ正確に受け取りながら,次の時代の刑事手続はこうあるべきだと。私は後藤委員あるいは江川委員が言われたように,何も録音・録画は検察にとって常に不利で弁護側にとって常に有利だなんて思っていません。そんなことじゃないだろう。いろいろな捜査手法だって同じような問題なんですよね。別にどっち側に有利とかどっち側に不利じゃなくて,日本の刑事手続として真実を求め,えん罪をつくらないためにどうするのかという,そういう問題だろうと思います。是非皆さんの御賛同を得て,次の出発をさせていただけないだろうかというのが本当に心からの願いであります。 ○原田委員 意見を述べるつもりはなかったんですが,但木委員から最終陳述のようなのが出てきたので,私も物を語るのはこれで最後かなという意味では,お話しします。やはり僕はこの問題を最初から考えていたときに,接見指定のこともちょっと申し上げましたけれども,接見指定という問題,実は半世紀かかって全面解決をみたわけです。今はもう警察のお陰と言ってもいいと思うんですけれども,夜中の11時でも何時間でも会わせてくれますね,ものすごい変わりようです。しかし,この半世紀,検察が何を言ってきたか,それ捜査の支障なのです。半世紀,捜査の支障をずっと言い続けました。それはなぜかというと,弁護人に早く会って接見をすると自白がとりにくいと,これです。でも,この主張は半世紀経って,最高裁の判例によって,接見はもうスケジュール調整であるとなったのです。現状を申し上げると,取調べをします,取調べの予定があります,実況見分します,実況見分の予定があります,これ以外は全部会わせることになったのです。当たり前のことを半世紀かかったのです。それなのに,自白がとりにくいという話が,今また繰り返されているのです。必ず学者の方ってこういう議論をすると,いや,接見指定の場合と可視化とは場面が違うと,必ずこういうふうにおっしゃる人がおられるかもしれないのだけれども,僕は本質は同じことで,半世紀かかってきたようやく解決をみた問題をまた蒸し返して半世紀やるのかという感じがするのです。そういう点では,龍岡委員がおっしゃったように,全般的な解決を絶対しなきゃいけないということはよく分かるのですけれども,僕とすると,やはり可視化の問題はまず取り上げて早い解決を是非やっていただきたいと思います。そういう点では,この「早急」というのを「直ちに」とお書換えになったのは大変賛成で,ここまでおっしゃっていて法務当局が直ちにやらないというのは僕はちょっと考えにくいのです。最終意見陳述みたいで申し訳ないですけれども,以上です。 ○佐藤委員 私はもう,今さら内容について意見を申し上げる時期ではないと思いますので,それにあえて触れないことといたしたいと思います。ただ,座長にこの取りまとめの仕方についてちょっとお願いがありまして,一言申し述べたいと思います。   21ページの1の(1)の2行目の最後から2行ですけれども,「これらの却下された供述調書の作成経過については,検察官が他の関係者の供述や検察官の意図する内容に沿った供述調書を作成したとの指摘がなされている。」とあります。この会議は,このようなことを是正することを求めて開かれたと言ってよろしいと思うんです。そうだとしますと,この会議の提言の取りまとめの仕方は,大阪特捜部がしたように,すなわち,ある意図する内容に沿った作成とならないように是非御配慮いただきたい。公平・中正に意見を取りまとめてお作りになることを祈念いたしまして,最終の意見といたします。 ○高橋委員 それでは,もう最終ということで私も一言だけなんですけれども。第4のこのセクションがうまく合意がとれないと,それ以外のものまで含めて全てが無に帰してしまうのは余りにも残念でございますので,今までどなたか何人か委員の方がおっしゃった意見と同意する部分もとてもあるので一言だけ言わせていただきたい。   まず1点は,一番最後の部分で,全体の話で,いつまでかという議論がいろいろ出ておりまして,年数切るのは何だと,だけれども急ぐのは間違いないというところでは皆さんの御意見が一致していると思うんですね。6年という話が都度都度出ておるんですが,私は,その辺りは素人で分からないんですが,この司法制度改革審議会の意見書が出てから6年間経っているという理解でよろしいわけですかね。 ○宮崎委員 10年。 ○高橋委員 10年ですね。ですから,10年経っても,その中でいまだに例えば表現的にはですよ,これ表現の問題ですけれども,進捗していないものもあるが,そのようなスピードは今の世の中,到底許されるものではないとか,何かそういう具体的な年数ではないが感覚的に今の世の中のスピード感は違うんだと,求めている年数が,というような表現を例えば入れていただくのであれば,皆さんのニュアンスが一番共通するのではないのかなという感じがいたしました。   それから,可視化の表現についても広げる事例として,例えば,こっちのベクトル,こっちのベクトルという嶌委員の御提案なんかも,私はとても良いのではないかなと,そんな形の表現で入れば,試行で幅広く多様にという御意見も但木委員からもございましたが,その線にも乗るんじゃないのかな。その辺り最後是非,座長の方からうまく表現調整をしていただいて,是非合意のとれる案にしていただければなと,こんなふうに思います。 ○井上委員 司法制度改革審議会の提言との関係は,あそこでそもそも,我々がこれから提言しようとしているくらいに焦点を絞った提案の形にはなっていなかったので,それもあって,その後の協議が進まなかったという面もありますし,それと何度も言うようですけれども,それぞれに言い分はあると思うのですが,法曹三者の中だけでやっていたからなかなか進まなかったというところもあるので,それはむしろ書かない方がいいのではないかと思います。 ○高橋委員 ただ,スピード感が違うんだと,世の中,今もう少し早急にという修飾語だけではなく,今の求めているスピード感が違うんだというような感じの分かるような表現と法曹三者以外も含めてというので入れていただくと,とても良いかなという気がいたしました。 ○井上委員 司法制度改革審議会が積極的に提言した改革は2年,3年でほとんど全て法制化されていますので,そのころでもスピード感はあったのですよ。 ○郷原委員 先ほどからこの最後の(4)についてはかなり強い反対意見が出ていたので,これは,基本的に削除するという方向でよろしいんでしょうか。 ○千葉座長 改めて検討させていただきます。 ○郷原委員 もしそういう方向で,先ほどの意見に従って考えられるんだとすると,この(4)の問題はそういう制度問題と今般の事態というのは必ずしもストレートには結び付かないのではないかという意見だったと思うんですね。そうなると,同じことがこの(1)のところにも言えるのではないかと思うんですが。ここにも「今般の事態に至った原因について考えてみると」と書いてあって,その後に,「検察において,我が国の刑事司法特有の構造をも背景として」というのが出てくるんですね。これは,ここで何が言いたいのかがまだよく分からない。その後に書いてあることは正にそのとおりなんですよ。「供述調書による立証・事実認定を重視するあまり,供述の信用性等に関する慎重な検討を軽視したまま」,これも正にそのとおりなんですが,この前に「刑事司法制度特有の構造」というのが出てくるので,非常に意味が分かりづらくなっている。むしろ言うとしたら,この「刑事司法特有の構造」というのは,ここにあるような極端な取調べ,供述調書偏重の風潮の背景にそういう「刑事司法特有の構造」もあったと考えられるということでその後につながるんじゃないか。そういうふうな記述の方が(4)の問題の指摘と同じような意味で適切なのではないかという気がします。   それと,私も小柱2の方ばかり見てて,ちょっとこの辺りは,余りよく見てなかったんですが,改めて見てみますと,この3番目のパラグラフの2行目以降のその背景として,「従来の実務において,公判での供述の信用性が乏しいと判断されれば,捜査段階の供述調書が事実認定に求められることが多かった」という,ちょっと意味が分からないんですけれども。乏しいと判断されればというよりも,ストレートにこの後に書いているように,「検察官としては,公判廷での供述による立証に重きを置かず,捜査段階の供述調書の作成に注力することとなっていた」。それだけのことじゃないかと思うんですね。この前のところが,ちょっと信用性が乏しいと判断されればと,判断がどうのこうのじゃなくて,とにかく,今までは調書中心の立証を考えてきたということでシンプルに書けばいいのではないかということが,ちょっと何かここは非常に違和感があるということ。   それと,その次のパラグラフに,これはいろいろ異論もあったところではないかと思うんですが,2行目で,「犯罪成立要件の主観面と自白によって立証する必要性が高く」,そういう犯罪があることは間違いないと思いますけれども,そのことと,「特に特捜部が取り扱う汚職犯罪等においては,供述に頼る度合いが相対的に高かったこと」,これはストレートに結び付くんだろうか。この「高く,特に」と書いてあるので,何かその一例のように読めるんですけれども,特捜部の問題はむしろここに書いてある汚職事件等は主観的な要件の問題よりも,密室の犯罪だから立証が供述に依存せざるを得ないということで,今まで供述中心であったということで,ちょっと二つの問題がごっちゃになっているのではないか。ちょっと正確性の面で若干問題があるのではないか。最後になって細かいことを言って申し訳ないんですけれども,ちょっとそこが気になりました。 ○井上委員 制度の問題と今回のことを切り離すというのは,今,郷原委員がおっしゃったことですけれども,全体としてはそういう議論ではなかったと思います。全体としては,制度の問題に踏み込んで,録音・録画の問題も含めてですけれども,制度の問題として変えていかなければならないというのが議論の流れだったので,それを反映した提言になっていると思います。   もう一つは,主観面とのつながりということですけれども。郷原委員がおっしゃっているように,密室性の犯罪については,関係者の供述がないとそもそも犯行事実自体すら立証できないというところがあるのですけれども。例えば,賄賂性の認識とかそういうところに関しては主観面の立証にも支障が出てくるので,そういうふうに必ずしも言えない。そこは議論があるところだと思います。   また,我が国特有の構造というのも,ここで結構議論したことを反映したものであり,その言葉だけで十分表現されているかどうかは別として,そういう全体的な構造があって供述に重きが置かれてきたので,それを全体として変えていかなければ根本的な改善にはならないんじゃないかと,そういう議論の流れだったので,こういう表現になっているということではないかと思います。 ○郷原委員 基本的な方向性はおっしゃるとおりなんですけれども,飽くまでこの文章の表現の仕方がちょっとはっきりしない表現が先にきてしまっていて意味がよく分かりにくいということと。   それと,今の汚職犯罪の場合,ほとんど政治家は否認じゃないですか。政治家の場合,捕まえても,別に供述によって立証しているわけではないと思うんですね。むしろそれは重点は事実の問題,授受の問題になるということが言いたいということです。 ○諸石委員 何か最終陳述というような言葉が出てきまして,時計を見ますと予定時間になってきている。今までたくさんの意見が出た。私は,実を言いますと今日になってこんなに意見が出てくるとは思わなかった。大体,今までの13回で言い尽くしている。そこでちょこちょこっと数文字直せば変わるようなこと,これを今思いついたから意見を出すよと,うまいことやってくれと,上手に修文をしてくれと,これにはいくらでも対応可能だと思いますけれども。この答申書がどんな中身であるべきかということについて,この会議の当初に思っていたとおり,今も思っていて,それと違う意見であるならば反対なのだと,こういう委員が多数ありましたら,それこそ14通りの意見書を書いて好きなのをとってくれというか,それともやはりこういう議論を衆智を集めてやるというのはなかなか難しいですな,やめておきますわと言うか,そういうことになるので,次から次からいろいろな意見が出てくるのを,全部それが良いか悪いかと議論しておりますと14通りの意見があるはずだし,出てきた意見がこういう結論であるべきだというイメージというのはそれぞれ非常に違うだろう。その中で座長がこれまで何とかみんなの意見を集めてこの検討会議としての一つの意見をまとめたいと,こう終始おっしゃっていた。それに応えて,皆それぞれ努力をしてきたと思うのですが,この最後に至るとやはり何か自分の理想とするものではないなというふうに立ち返ってくる。もしそういうことであるならば,この会議はもうやめましょうやというのが正しい答えになる。前に佐藤委員がおっしゃったと思いますけれども,議論したけれども結論が出なかったというのも一つの国民に対する答えであると,こういうお話があったと覚えているのですが。   それから言いますと,いろいろな御意見の中には取り入れるべき点は多々あると思います。それについては誠に大変だと思いますが,座長にもう一遍,御苦労いただいて修文をしていただきたい,その努力をしていただきたいと思います。なお,それが自分が理想としているものとは違うから嫌だと,こういうことが最後までその後でもまだ続くのだったら,4,5か月間,しんどい思いをしたけれども,まあそういうもんだわなと,こういう割り切りをすればいいのであって,もしどうしても頑張る人がいた場合に,しょうがないから14人がそれに従おうかという,これはやはりないと思うんですね。もしそうだったら私も好き放題を言いたくもなります。   それから申しますと,最後にもう一遍,座長におまとめいただいて,それに対して,そういうことでまとめようというのが多くの意見なのか,自分の理想,こうあるべきだというのと違うならばあくまで反対だという意見が多数なのか,その辺をそろそろ議論をしないと,最終陳述の後にまたいっぱい議論をしなければならないと,こういうことになろうかと思いまして。どういう進め方を座長はお考えになっておられるのか,できればそこらをお示しいただければというのが私の最終陳述でございます。 ○江川委員 先ほど,郷原委員の方から御指摘のあった25ページなんですけれども,箱の下の「我が国の刑事司法制度特有の構造をも背景として」,確かにこれは何か唐突にこういうのが出てくるという感じがしてしまいます。今回,村木さんの事件を出発点にいろいろこれの原因を話し合い,そして対応策を話し合い,中で可視化というのが出てきたら,いや,こういう問題もあるんじゃないかと,そこに広がっていったんだと思うんですね。ですから,やはり郷原委員がおっしゃったように,ここは検察においてその供述調書によるとこういうふうにくっつけて,その背景のことについてはそのパラグラフの終わり辺りに,こうしたような状況はこういった問題も背景としてありますというふうに,ちょっとここに位置をずらした方が分かりやすいのではないかなというふうに思いました。   それから,この25ページの後ろの二つのパラグラフは,やはりこれは捜査機関が供述調書に頼っていたのはやむを得ないんだというような感じがものすごくニュアンスとして伝わってくるんですけれども,それはどうなのかという感じがします。これは飽くまで検察に理解のある警察側の見方ではないかなというふうな気がします。思い切った言い方をすれば,例えば,ここの公判廷での供述の信用性が乏しいと判断されれば云々というのは,恐らく裁判所が供述調書があると比較的採用してくれて,それで有罪にしてくれたとこういうことなのかもしれないなと,そういうことを言いたかったのかなというふうに思いますけれども。そうすると恐らく裁判官出身の方は一言おっしゃりたくなるという感じもあるんじゃないかなというふうに思いますので,ここのところはもう少しすっきりさせた方がいいのではないかなという。つまり,有罪立証が供述調書があれば容易になると,そういう認識からこうなったということではないかなというふうに,書くとしたらですね,ということではないかなと思います。それで,一番下のパラグラフも,重視せざるを得なかったではなくて,重視してきたんだというふうに思います。   それから,くどいようですけれども,この21ページの箱の中に「法制度の整備を通じて」というところにはやはり「速やかな」というのが,これは是非とも入るべきではないか。だって,さっきから皆さんの議論を聞いていても,何年もかかるんじゃないと言ってるんですから,それをやはり後押しするというワードが一言入るというのは,これはそんなに反対する理由もないのではないかなというふうに思います。 ○後藤委員 ここでいろいろな意見が出ていますけれども,それらは,諸石委員がおっしゃったような根本的なレベルで対立しているわけではなくて,今までの皆さんの意見の最大公約数を適切に表現するにはどうしたらよいかというレベルでの,今,詰めをしているのだと私は理解します。先ほど来,嶌委員が御指摘になった可視化の問題と,例えば,新たな捜査方法のような刑事訴訟法全体の問題を条件というか取引的に考える,あるいはセットでないと解決できないと考える,という表現をする方が適切かもしれません。そういう考え方と,いや,可視化は可視化でやるべきだし,できるという意見があります,私はその後の方の立場ですけれども。このように,意見が分かれているのは確かです。しかし,私のような立場からこの文案を見ると,全体がセットでなければだめだという意見でまとまったように見えてしまうという心配があります。   もう一つの心配は,それでセットでなければいけないということになって,可視化についても延々と結論が延ばされるのではないかという危惧を感じるわけです。そこで,なるべく少ない変更で,そこの趣旨を変える方法があるのか,さっきからずっと考えていました。なかなかうまい知恵がないのですけれども,例えば27ページに「特に速やかに議論・検討が進められることを期待したい。」と書いていますね。この「特に速やかに」の意味が何にかかっているのかというと,私の理解では可視化の問題,制度化だと思います。反映版の27ページの(2)の最後の行の部分,(注)の前,「特に速やかに議論検討が進められることを期待したい。」という箇所です。この部分は可視化の問題について言っているわけですね。しかし,このままの文章だと,セットでの解決を特に急げと言っているようにも見えなくもないです。そこをもう少し明確にすることで,ある程度折り合いが付きやすくなるのではないかと,今考えました。 ○井上委員 それを言い出すと,結局,諸石委員のおっしゃっているようなことになってしまうのではないかという危惧を感じます。後藤委員は,二つに整理されたけれども,ア,イ,ウのイもあり,イは,この新しい手法の導入を伴わないと録音・録画は絶対だめだという立場ではない。全体を見直して,その中でどういう解決策をとっていくべきかを考えるべきだという立場です。そういうことからすると,切り離してとか,あるいは条件でないといけないということではなく,その検討の場で並行して全部を検討しましょうという意見なのです。検討してみなければ,切り離せるかどうかは分からないという立場なのです。だから,こういうまとめ方にしていただいているにもかかわらず,後藤委員のようなことを強調するのでは,諸石委員のおっしゃるようなことになってしまわざるを得ないのではないか,それを私は非常に危惧します。中身について議論するならいいんですけれども,もはやそんなことをやっている段階ではないと思います。 ○吉永委員 私としては,この最後の日に全員がそろっているということは良かったなと,途中で席を立って,二度と来ない人が出なかったということは,一所懸命,本当にどの形がベストかということを最後まですり合わせをしようという姿勢だというふうに理解をしております。ただ,ここの部分が,第4の部分というのが,一番やはり今後どういうふうに検察が向かっていくのかということにおいては,一番注目される部分でもあって,それに対して,私たちがこういうふうに向かいますよということを明確に説明できないと,何のためにあんたやってたのかということになってしまうわけで,そこのところだけは確認をしたいなというふうに思うんですね。実際に第一,第二,第三とありますよね。この一つで運用という方向と,法制度の整備という方向,二つの方向から拡大をしましょうということの方向性は示せた。それを受けて,まず次のパラグラフは運用の部分で目いっぱい試行しましょうと。その結論を得た上で,次の段階である3に進みましょうと,こういうことですよね。そこで,その時間的な問題ということは,やはり時代のスピード感に合わせたものということが求められているということ。そこにいくために,まず試行の部分では,できるだけ広範囲と書いてあるんですね。今,こういうことを読み解くときに,みんなこういう提言なんかの文言というか言葉の使い方に関してものすごくみんなよく研究していて,そこに疑念がはさまれるということが多々あると思うんですね。そういうふうに思っているんだったら,明確にすべきところは明確にしてもいいかなと。つまり,できる限り広範囲という,これがみんながやりたいときだと放っておいても広範囲になってくるんですけれども,そこに何か躊躇があると,できる限りという話になってしまうんじゃないかというふうに思うんですね。だから,そっちにブレーキのかかる部分においては背中を押すということで,例えば。1年をめどにして検証を実施した上と,これは1年とここに書いてあるわけですよ。1年できちっと検証するんだ,検証するときにはできるだけたくさんの事例が検証の対象にあがっていくべきだと思います。その中に,やはり全過程というものも含まれないと,あのときやってなかったからやはりもう一回やりましょうかということになると,3のパラグラフのところに大変時間的なロスタイムを生じてくるということがまた疑われるわけですよ。だったら,ここのところはできる限りというところにもっと強烈なものを出しても,全過程というものを入れていっても,積極的な運用が確実に行われる。この積極的というところにこれも含まれますよというメッセージがあってもいいかなというふうに思います。   それから,1年をめどに検証を実施する,この検証はどういう検証がされるのか,内部だけで検証してその報告だけを受けるのか,あるいはこういうことがあったということをどういう場で検証して共有していくのかという,ここのところがものすごく強いメッセージがあると,次のところの時間的な問題も相当に,この方向でこうやりますからということのめどが立っていくんじゃないかなという。   この三つの関係がきちっと伝わる,そこに私たちの姿勢が伝わる,目いっぱい私たちの中で確認された姿勢が伝わるということに説明できるかどうかということがしっかりとこの中で伝わるようにしたいなというふうに思っております。これ最終陳述ってどうやっていいのか分かりませんが,このように思います。 ○千葉座長 今,皆さんから御意見をいただきました。これまでも申し上げておりますように,それからこの間の皆さんの本当に熱心な御議論を伺いましても,決してこの検討会議をやめましょうというお気持ちにないことは私は共通だと思います。やはりこれだけの検察の危機において,何とか提言を,そして,その処方箋を示したいということは皆さんの共通のお考えではないかと思います。その皆さんの共通の思いを私もできるだけ生かすことができるように,そして今,お話が皆さんからお出しいただいたものも,ほぼ共通の部分ではないかなと思います。そういう意味で,ここで皆さんからいただいたものを整理をして,どれだけまたこの提言に生かすことができるか,言葉の修文でございますればお任せをいただくということでよろしいかと思いますけれども,少し,この間の議論を踏まえて最終陳述ではございませんけれども,そういう御意見も示されたというふうに思いますので,ここで一旦休憩にして,私の頭の整理を少しさせていただきたいと思います。 (休憩) (吉永委員退室) ○千葉座長 それでは,大変お待たせをしてしまいましたが,ただいまから議事を再開させていただきたいと思います。休憩の間に,本日,皆さんからいただきました御意見を整理をさせていただきました。そして,検討の上,その結果につきましてはお配りしたものを御覧いただきたいと思います。1から�@,�A,�B,�C,この形で先ほど来,皆さんからいただきました御意見をこのような形で修文,そして挿入等をさせていただいたものでございます。どうぞ御一読をいただければと思います。   お目通しをいただけましたでしょうか。ただいまお示しした修正につきましては,その趣旨,方向性,皆様からいただきました御意見に最大限沿った形でさせていただきました。このような表現をすること,修正をすることについて皆さんに御理解をいただき,これで御一任をいただければと思いますが,いかがでしょうか。   それでは,その上でまた提言案,第4のうち(4)につきましては,先ほどの御議論を踏まえて,「一連の司法制度改革においては」から始まるパラ,ここは削除する方向で修正をさせていただきますので,その字句等については御一任をいただければと思います。   さらに,提言案第4に関して,録音・録画の有用性について,供述の任意性,信用性の判断にも有用であるという御意見いただきました。これについても御趣旨を踏まえて修正をさせていただきます。その文言については御一任をいただければと思います。それを含めまして,先ほど大変重要なポイントでありましたところを,�@から�Cという形で文言で示させていただきましたので,どうぞこの点について,今,宮崎委員もチェックをなさっておられるようでございますので,もう少し時間をおきますので,どうぞ御検討いただいて御一任いただければと思います。 ○石田委員 ここでもう文章も含めて決定するという趣旨ですね。 ○千葉座長 そうです。今,申し上げましたように,字句で修正をさせていただくというところは更にさせていただきたいと思いますが,細かい字句修正,表現ぶり,こういうところはまだあろうかと思いますが,その点については,私の方で字句的な修正はさせていただいて,次回の会合で体裁等の仕上りを確認をしていただくという形にいたしたいと思います。先ほど申し上げましたように,先ほどの御意見をいただいての,この4点ですね,�@から�Cの修正につきまして,このような形で表現をすることについて御一任をいただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。 ○郷原委員 資料3の「取調べの全過程の録音・録画を含めて検討の対象とし」と書いてあるんですが,その前に「録音・録画の試行については」という言葉に続いているので,「試行については検討の対象とし」ということは,要するに試行の対象に含めるかどうかも検討の対象であって,そこは分かりませんということなんでしょうか。この検討のというのをもし入れなければ,試行については取調べの全過程の録音・録画も含めて対象としといえば,その範囲はともかくとして,少なくとも全過程というのも一つは対象としてやってみなさいと,それを弊害が生じるかどうかを確認してみなさいということになるんですけれども。検討ということは試行する前にもまず検討するという意味ということでしょうか。この意味なんですが。 ○千葉座長 私の意図するところは,先ほどいろいろな多様な試行があるだろう,そういう中には当然のことながら,このような全過程ということも一つの例であるという趣旨でございます。 ○郷原委員 最低でも1件ぐらいは全過程をやってみなさいという意味と考えていいんでしょうか。 ○千葉座長 当然,そういうことも念頭に置いておやりいただかなければならないということでございます。1件かそれは分かりませんけれども。その性格上,様々な試行をするべしと,こういう趣旨でございます。そこをご確認をいただいた上で,よろしゅうございましょうか。   はい。それでは,この部分,そしてまた,更なる字句の修正,皆様から貴重な文章の整理等についていただいている部分は字句の修正を私の下でさせていただきたいと思っております。   以上のほかには,本日,お寄せいただいた他の修正意見に関しましては,改めて整理検討させていただきましたが,大方の委員の御意見が一致したものまでは認められなかったということですので,今,お示しをしたもの,あとは字句の修正ということでさせていただきたいと思います。それで,御異議ございませんでしょうか。 (「異議なし」という声あり) ○千葉座長 ありがとうございます。では,そのように取り計らわせていただきたいと思います。 ○宮崎委員 私個人は異議はありませんが,日弁連が声明を出されるのは自由であるということは,あらかじめ御了承いただきたい。 ○千葉座長 そのことについては,この検討会議として何か申し上げるという筋のものでは全くございません。それでは,御一任をいただいたことと思います。本当に御協力をいただき,ありがとうございました。皆さんの御趣旨を重く受け止めて,最後の整理,そして文章のまとめをさせていただくことにさせていただきたいと思います。   それでは最後に,提言の表題につきまして御相談をさせていただきたいと思います。今,皆様のお手元に提言の表題の案をお配りをさせていただいております。皆様からは国民や検察に対し,この提言の理念といいますか,検討会議が提言で最も訴えたいメッセージを表題として分かりやすく記したらいかがかとの御意見をいただきましたので,それを踏まえ,お示しをした表題の案を作成いたしました。   いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。 (「異議なし」という声あり) ○千葉座長 それでは,皆様の御賛同をいただいたと思いますので,提言の表題はこのとおりとさせていただきたいと思います。「検察の再生に向けて,検察の在り方検討会議提言」という形で取りまとめをさせていただくことにいたします。   以上で提言の取りまとめについての議論を終えさせていただきたいと思います。4か月余りでございますけれども,皆様には大変密度の濃い御議論をいただき,本日提言を取りまとめる,そこまで歩みを進めることができました。大変非力な座長でございます。そういう意味では,大変皆さんに御迷惑をおかけをする,あるいは本当にそれぞれの御意見全てをここに記すことまでには至っておりませんし,これでは不十分だと感じておられる方もおられることと思います。ただ,全体として共通したことまでは到達できたのではないか,やはりその重みを法務大臣の下で,そして検察におかれましても,これがもう本当にまずは最初の第一歩だという気構えで受け止めていただければと思っておりますので,この間の皆さんの本当に御協力,そして大変熱心で真摯な御議論,私も心から御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。   次回はこの取りまとめました提言につきまして,最終的な御確認をいただいた上で,法務大臣に交付をさせていただきたいと思います。予定としては3月31日,ちょうど3月31日が定例の木曜日ということになりますので,この日をもって法務大臣に提出をさせていただきたいと思います。時刻は,次回は午後4時から開催をさせていただきたいと思いますので,どうぞ手帳に御記入いただければと思います。   それでは,以上で本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。これにて本日の会合を終了したいと思います。 —了—