フロントページ > 国際テロリズム要覧 (Web版) > 国際テロ組織 > モロ・イスラム解放戦線(MILF)

モロ・イスラム解放戦線(MILF)
Moro Islamic Liberation Front

主な活動地域

フィリピン(ムスリム・ミンダナオ自治地域〈ARMM:マギンダナオ州,南ラナオ州,バシラン州,スールー州,タウィタウィ州〉,コタバト州,北ラナオ州,スルタン・クダラト州,サランガニ州並びにダバオ地域及びサンボアンガ半島の一部)

組織の概要

「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)は,フィリピン南部におけるムスリム(モロ)の自治確立を目指す政治・武装組織である(MILF公式ウェブサイトとされるluwaran.netによると,「非国家・武装革命組織」を自称)。現在の指導者は,ムラド・イブラヒム議長である。2014年にフィリピン政府と包括和平合意に調印した。

1976年に「モロ民族解放戦線」(MNLF)が政府との停戦に合意した後,これに反対するサラマト・ハシム副議長派が離反し,1977年,MILFを設立した(1984年公表)。1981年にミンダナオ島中部のマギンダナオ州に本拠地・軍事キャンプ「アブバカル」を設立し,フィリピン南部におけるイスラム国家の建設を掲げて武装闘争を継続した。フィリピン当局によると,勢力は約1万2,000人とされる。

設立者ハシムは,宣教,教育,ジハードを通じたイスラム国家の建設を主張していたが,2003年に同人が死亡した後,指導者となったムラド・イブラヒム議長は,政府との和平路線を採り,「(政府からの)完全な独立は要求しない」と公言し,ムスリムを中心とするフィリピン南部の先住民族全体の利益のためとして,経済状況の改善,資源採掘・治安維持権限の移譲などを要求してきた。なお,組織内では,ムラド議長の交渉方針を「イスラム国家建設という目的の放棄」として批判する声もあり,政府との和平交渉が一旦決裂した2008年8月には,MILF司令官アメリル・ウンブラ・カト(後にMILFを離脱)ら強硬派がフィリピン国軍と交戦状態となり,住民を含む約400人が死亡した。

フィリピン政府との和平については,ラモス政権が1997年1月,予備交渉を開始した。2001年1月に発足したアロヨ政権下では,和平の全体的枠組みを定めた協定(同年6月)及び停戦協定(同年7月)がそれぞれ締結された。2010年に就任したベニグノ・アキノ3世大統領は,2011年8月,ムラド議長との非公式会合を日本で行った(成田会談)後,MILFとの協議を進展させ,2012年10月にミンダナオ和平に関する枠組み合意(「バンサモロ枠組み合意」〈FAB〉)に達し,2014年3月,「バンサモロ包括和平合意」(CAB)に調印した。

その後,CABにおける合意事項(「バンサモロ自治政府」の新設など)の履行へ向け,バンサモロ基本法(BBL)審議が国会で進められていたが,2015年1月,マギンダナオ州ママサパノで治安部隊が「ジェマー・イスラミア」(JI)メンバーであったズルキフリ・ビン・ヒルの捜索を行った際,「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)及び同組織に加勢するMILFとの間で戦闘が発生し,警察官44人が死亡する事案が発生した(注)。この影響で,BBL法案の審議は停止したが,2016年に発足したドゥテルテ政権下で,改めて同法案の審議が進められている。

このページの先頭へ

ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。