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アラビア半島のアルカイダ(AQAP)
Al-Qaida in the Arabian Peninsula

イエメンを拠点に活動するスンニ派過激組織。イエメン政府,サウジアラビア政府及び欧米権益に対するテロを実行。

別称:
①Al-Qaida of Jihad Organization in the Arabian Peninsula,②Tanzim Qa'idat al-Jihad fi Jazirat al-Arab,③Al-Qaida Organization in the Arabian Peninsula(AQAP),④Al-Qaida in the South Arabian Peninsula,⑤Ansar al-Shari'a(AAS)(注1),⑥Sons of Abyan,⑦Sons of Hadramawt,⑧Sons of Hadramawt Committee,⑨Civil Council of Hadramawt,⑩National Hadramawt Council(注2)

(1) 設立時期

2009年1月

(2) 活動目的・攻撃対象

ア 活動目的

AQAPの活動目的は,①イエメン及びサウジアラビア両政府の打倒,②両国内に存在する欧米権益の排除,③イスラム国家の樹立-とされる。

AQAPは,2009年1月発出のビデオ声明において,アラビア半島,パレスチナ,ソマリア,イラク及びアフガニスタンを始めとする全ての「イスラムの地」でのジハードに対する支援を宣言した。

イ 攻撃対象

(ア) イエメン及びサウジアラビア両国政府(要人,軍・情報・治安機関など)

AQAPナンバー2のサイード・ビン・アリー・ジャベル・アル・シフリ(当時)は,2009年4月に発出した声明において,「聖なる土地からユダヤ人や十字軍とその支援者(であるイエメン及びサウジアラビア政府)などの不純な存在を一掃することは,我々の義務である」などと主張した。その後,同組織は,サウジアラビア西部・ジッダでの同国内務次官ムハンマド・ビン・ナーイフ王子(当時)爆殺未遂事件(2009年8月)を始め,イエメンのムハンマド・アハマド国防相暗殺未遂事件(2011年8月及び9月,2012年5月及び9月)やイエメン首都サヌアの国防省施設に対する襲撃事件(2013年12月)など,両国で,軍・情報・治安当局関係者に対する攻撃を多数実行した。

(イ) 欧米権益

最高指導者ナーセル・アブド・アル・カリーム・アブドッラー・アル・ウハイシ(当時)は,2009年1月発出のビデオ声明において,「欧米諸国がイスラエルに対する支援を停止し,パレスチナにおけるムスリムへの迫害が終了するまで,我々の地では欧米人を見付け次第殺害し,欧米権益を破壊する」などと宣言した。

AQAPは,2009年12月,米国航空機爆破テロ未遂事件の犯行を自認したほか,2010年4月には,駐イエメン英国大使に対する自爆テロ事件を引き起こした。また,同年10月,イエメン発米国行き航空貨物からの爆発物発見事件について犯行を自認した。さらに,2012年4月には,新たに同組織が開発した金属不使用の爆発物による航空機爆破テロ計画について,米国情報・治安当局が阻止していたと報じられた(注3)

2015年には,フランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件(1月)について犯行を自認した。

(ウ) イエメン国内のシーア派系武装勢力「フーシー派」

AQAPは,「フーシー派」がイエメンの政治的混乱に乗じて活動を活発化させるようになって以降,同勢力への敵意を強めており,2011年12月には,AQAP幹部イブラヒーム・サルマン・ムハンマド・アル・ルバイシュ(当時)が,ウェブサイトに掲載された音声声明において,同勢力に対するジハードを宣言した。

AQAPは,2014年9月,「フーシー派」がイエメン首都サヌアを占拠し,同国南部への侵攻を開始した際には,同勢力に対する攻撃を繰り返したほか,同国内のスンニ派ムスリムに対し,同勢力への攻撃を呼び掛けた。また,2015年4月には,インターネット上に,サーレハ前大統領の顔写真と共に「フーシー派」指導者アブドゥルマリク・アル・フーシーの顔写真を掲載し,殺害又は拘束した者に賞金を出すとする声明を発出した。

(3) 活動地域

イエメン中部・マーリブ州,南部・ラフジ州,アブヤン州,アル・バイダ州,シャブワ州,アデン州,東部・ハドラマウト州

(4) 勢力

最大4,000人(注4)

(5) 組織・機構

ア 指導者,幹部等

(ア) カシム・モハメド・マフディ・アル・リミ(Qasim Mohamed Mahdi al-Rimi)
別名:
アブ・フレイヤ・アル・サナアニ(Abu Hurayah al-Sana'ani),アブ・アンマール(Abu Ammar),アブ・フレイラ(Abu Hurayrah)

最高指導者(2015年6月就任)。1978年6月5日生まれ。イエメン首都サヌア出身。駐イエメン米国大使暗殺未遂事件(2001年6月)を含む外国要人などに対する攻撃に関与したとして,2002年に逮捕された。2005年に禁錮5年の実刑判決を受け服役したが,2006年,後のAQAP最高指導者ウハイシら22人と共に脱走し,2007年の「イエメンのアルカイダ」(AQY)設立時には軍事司令官に就任した。

2009年1月のAQAP設立後,イエメンで,戦闘員のリクルート活動などに従事していたとされるが,2015年6月,最高指導者ウハイシが死亡したことを受け,最高指導者に就任し,同年7月,最高指導者に就任して初となる声明を発出し,「アルカイダ」最高指導者アイマン・アル・ザワヒリへの忠誠を表明した。

国連安保理「アルカイダ」及び「タリバン」制裁委員会は,2010年5月,AQAPの上級指導者であるほか,テロ行為を指揮するなどしているとして,同人を制裁対象に指定した。

(イ) ナーセル・アブド・アル・カリーム・アブドッラー・アル・ウハイシ(Nasir Abd al-Karim Abdullah al Wahishi)(死亡)
別名:
アブ・バシール・ナーセル・アル・ウハイシ(Abu Basir Nasir al-Wuhayshi),アブ・バシール(Abu Basir),アル・ワヒーシ・ナーセル・アブデルカリーム・サーレハ(Al-wahishi Nasser Abdelkarim Saleh)

前最高指導者。1976年10月1日生まれ。イエメン南部・アル・バイダ州出身。1990年代にアフガニスタンへ入国し,一時,オサマ・ビン・ラディンの側近の一人として活動したとされる。アフガニスタン出国後,2001年にイランで拘束された。2003年にイエメン政府に身柄を引き渡された後,政治犯収容所に収監されたが,2006年,22人の囚人と共に同収容所から脱走し,2007年,AQYを設立して最高指導者に就任した。

2009年1月,サウジアラビアの「アラビア半島のアルカイダ」(現在のAQAPとは別組織)メンバーがAQYに合流し,現在の「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)が設立された。以後,同人はAQAP最高指導者を務めていた。

同人は,AQAP最高指導者であると同時に,「アルカイダ」の幹部でもあったとみられており,2013年8月,「アルカイダ」最高指導者ザワヒリが,ウハイシを「総括責任者」(general manager)に任命したとの報道がなされた(注5)ほか,「アルカイダ」のナンバー2であるとの指摘もなされた(注6)

2015年6月12日頃,イエメン東部・ハドラマウト州都ムカッラで,米国の空爆において死亡した。

(ウ) サイード・ビン・アリー・ジャベル・アル・シフリ(Said bin Ali Jaber al-Shihri)(死亡)
別名:
アブ・スフィヤン・アル・アジド・アル・シフリ(Abu Sufyan al-Azid al-Shihri),アブ・オサマ(Abu Osama),アブ・スフィアン・カダダアブ・マトルーク(Abu Sufian Kadhdhaab Matrook),アブ・サヤアフ(Abu-Sayaaf)

元ナンバー2。1973年9月17日生まれ。サウジアラビア中部・リヤド州出身。2000年にアフガニスタンで訓練を受けた後,同国で「アルカイダ」戦闘員の支援及びイラン・アフガニスタン国境周辺での地理案内などを行っていたとされる。2001年,アフガニスタンで拘束され,米海軍グアンタナモ基地収容所に収容された。2007年11月,同収容所から釈放された後,サウジアラビアへ帰国し,同国政府による「更生プログラム」を受けた。その後,2008年にイエメンへ入国してAQYに参加し,イエメン首都サヌアの米国大使館付近で自動車による自爆テロを指揮したほか,外国人の誘拐及び殺害事件に関与したとされる。

AQAPは,2013年7月,同人が米国の空爆において死亡した旨発表した。

(エ) イブラヒーム・ハッサン・ターリ・アル・アシーリー(Ibrahim Hassan Tali al-Asiri)
別名:
イブラヒーム・ハサン・ターレア・アシーリー(Ibrahim Hasan Talea Aseeri),アブ・サーレハ(Abu Saleh),アボッサラー(Abosslah),アブ・サラアハ(Abu-Salaah)

爆弾の専門家と称される(注7)。1982年4月18日又は19日生まれ。サウジアラビア中部・リヤド州出身。2003年に同国のキング・サウード大学化学部を中退。2009年8月の同国内務次官ムハンマド・ビン・ナーイフ王子(当時)爆殺未遂事件では,アシーリーが製造したとされる爆発物を使用して,弟のアブドッラー・アル・アシーリーが自爆攻撃を実行した。また,米国航空機爆破テロ未遂事件(2009年12月)やイエメン発米国行き航空貨物からの爆発物発見事件(2010年10月)に使用された爆発物も,アシーリーが製造したとされる。

国連安保理「アルカイダ」及び「タリバン」制裁委員会は,2011年3月,AQAPの戦闘員で,同組織内での爆弾製造の第一人者であるなどとして,同人を制裁対象に指定した。

(オ) アンワル・ナーセル・アブドッラ・アル・アウラキ(Anwar Nasser Abdulla al-Aulaqi)(死亡)

元幹部。1971年4月21日又は22日生まれ。米国南部・ニューメキシコ州出身で,米国とイエメンの二重国籍者。平易な英語を用いたインターネットでの説法を通じ,過激思想を拡散するとともに,2010年7月,AQAPの発行する英語機関誌「インスパイア」において,欧米諸国のムスリムなどに対し,ジハードを呼び掛けた。

また,同人は,米国テキサス州陸軍基地銃乱射事件(2009年11月)の実行犯ニダル・マリク・ハサンと事件前に電子メールの送受信を行っていたとされる。

2011年9月,イエメン国内において空爆を受けて死亡した。米国司法省は,2013年5月,2009年以降の海外における米国の対テロ作戦で,米国国籍者である同人を標的として殺害したことを認めた(注8)

(カ) イブラヒーム・サルマン・モハンメド・アル・ルバイシュ(Ibrahim Salman Mohammed al-Rubaish)(死亡)

元幹部。1979年7月19日生まれ。サウジアラビア中部・カシーム州都ブライダ出身。2006年12月,米海軍グアンタナモ基地収容所からサウジアラビア政府に引き渡されたが,後にイエメンへ逃亡し,AQAPに参加した。2011年12月,「フーシー派」に対するジハードを宣言したほか,アウラキの追悼ビデオにおいて,同人の「教え子」たちに対し,報復を呼び掛けた。

AQAPは,2015年4月,同人が,米国の空爆において死亡した旨発表した。

(キ) イブラヒーム・アル・バンナ(Ibrahim al-Banna)

幹部。1965年生まれ。エジプト出身。AQAPの設立者の一人。過去,警備部門責任者であったとされるほか,組織指導部に軍事面及び警備面で助言をする役割を担っていたとされる。

AQAPに参加する以前は,エジプトの「ジハード団」のメンバーとして活動し,1996年から1998年までの間は,同組織のイエメンにおける指導者として,その後は,訓練及び情報部門の責任者として活動していたとされる。

(ク) アンデルス・カメルーン・オステンスビク・ダレ(Anders Cameroon Ostensvig Dale)

1978年10月19日生まれ。ノルウェー出身。2008年にイエメンへ渡航して以降,数回にわたりノルウェーとの間を往来したとされる。イエメンでは,AQAPの一員として,自爆ベルトや自動車爆弾などの製造方法を学んだとされる。

国連安保理「アルカイダ」制裁委員会は,2014年9月,査証免除で渡航可能な国々でのテロ実行に関与する可能性があるとして,同人を制裁対象に指定した。

(ケ) ハーリド・サイード・バタルフィ(Khalid Saeed Batarfi)

幹部。イエメン系サウジアラビア人とされる(注9)。イエメン治安当局に拘束された2011年3月当時,同国南部・アブヤン州及びアル・バイダ州における軍事部門責任者であったとされる(注10)。2015年4月,AQAPがイエメン東部・ハドラマウト州都ムカッラの刑務所を襲撃した際,脱走した。以後,声明に登場するようになり,欧米での「一匹おおかみ」型テロを呼び掛けるなどしている。

(コ) イブラヒーム・アフメド・マフムード・アル・クーシ(Ibrahim Ahmed Mahmoud Al Qosi)
別名:
シェイク・クバイブ・アル・スーダニ(Sheikh Khubayb al Sudani)

幹部。1960年7月生まれ。スーダン東部・アトバラ出身。1990年,アフガニスタンで,「アルカイダ」のキャンプに参加し,以後,様々な役割を担ったが,2001年12月,パキスタン当局に拘束され,米海軍グアンタナモ基地収容所に収容された。2012年,釈放されてスーダンに帰国した後,2014年にAQAPに参加したとされ,2015年12月以降,同組織のプロパガンダ動画で,欧米諸国に対する攻撃の呼び掛けなどを行っている。

イ 組織形態,意思決定機構

AQAPは,「アルカイダ」の組織形態に倣い,評議会や軍事部門,メディア部門を有しているとされるが,詳細は不明である。

オサマ・ビン・ラディンの隠れ家から押収された書簡(作成日不明)などによると,AQAP最高指導者ウハイシ(当時)は,「アルカイダ」幹部から,イエメン政府や同国治安部隊ではなく,米国を標的とすることに集中することのほか,引き続き指導者の地位にとどまるよう指示を受けていたことが明らかになった。また,2015年1月のフランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件の犯行を自認した声明でも,「アルカイダ」最高指導者ザワヒリの指示で実行した旨述べ,AQAPが「アルカイダ」の指示を受けていることが示唆された。

(6) 沿革

2001年の米国同時多発テロ事件後,アフガニスタンで「アルカイダ」の軍事訓練を受けていた多くのサウジアラビア人は,米軍主導の連合軍によるアフガニスタン派兵に伴い帰国した。その中でも,1990年代後半にオサマ・ビン・ラディンによってリクルートされていた者らが中心となり,2004年3月,サウジアラビアで「アラビア半島のアルカイダ」(現在のAQAPとは別組織)を設立した。しかし,同組織は,サウジアラビア治安部隊の取締り強化を受け,同国での拠点を失っていった。

一方,イエメンでは,ウハイシを始めとする「アルカイダ」関係者らの一部が,2007年にAQYを結成し,在イエメン米国大使館に対する自爆テロ(2008年9月)を始め,米国権益の排除を目的としたテロを行った。

こうした中,2009年1月には,前述の「アラビア半島のアルカイダ」メンバーがAQYに合流し,現在の「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)が設立された。

その後,AQAPは,2009年12月,米国北東部のデトロイト・メトロポリタン空港に着陸直前の米国ノースウエスト航空253便(アムステルダム発)に対する爆破テロ未遂事件を引き起こした。同事件では,ナイジェリア人ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブが爆発物を起爆させ,同人及び乗客2人が負傷した。アブドゥルムタラブは,下着の股間部分に縫い付けた袋の中に粉末(四硝酸ペンタエリスリット〈PETN〉)を封入し,注射器に入った化学物質を同粉末に注入することで起爆を図ったが,同人の衣服及び航空機の壁に着火したのみであった。

AQAPは,同月,ウェブサイト上で,同事件の犯行を自認した上で,アブドゥルムタラブを「立派で裕福なナイジェリア人の若者がアラビア半島への不正な侵略に対し応えてくれた」などと称賛した。同人は,2012年2月,米国北東部・ミシガン州デトロイトの連邦地裁で,国際テロを実行した罪などで終身刑の判決を言い渡された。同裁判の起訴状などによると,同人は,2009年8月,暴力的なジハードに参加するためにイエメンへ渡航し,同国でAQAP幹部アウラキ(当時)と共謀して,米国内で米国機を爆破させるとの計画を立て,爆発物を受け取った上で犯行に及んだとされる。

また,2010年10月には,イエメン発米国行き航空貨物からの爆発物発見事件が発生した。同事件では,英国南部のイーストミッドランズ空港に駐機中の米国国際物流会社UPSの航空貨物機内及びアラブ首長国連邦北東部のドバイ空港の荷物集配所において,米国向けの航空便荷物からPETNが発見された(注11)。AQAPは,同年11月,ウェブサイトに掲載された英語機関誌「インスパイア」特別号で,同事件について,「爆発物に要した費用は4,200米ドル,6人以下の少人数で準備期間は僅か3か月である」,「我々が今回成功と言えるのは,我々が製造した爆発物が空港の厳しいセキュリティチェックを通過したこと及び欧米諸国が防犯対策として数十億米ドルを負担しなければならなくなったことである」などと主張し,その成果を誇示した(注12)

AQAPは,2011年7月,オサマ・ビン・ラディン死亡後に「アルカイダ」最高指導者に就任したザワヒリに対し,忠誠を誓う声明を発出した。また,ザワヒリは,2012年9月発出の声明において,AQAPを「アルカイダ」の「支部」組織として名指しした(注13)

国連安保理「アルカイダ」及び「タリバン」制裁委員会は,2010年1月,AQAPを制裁対象に指定した。また,米国国務長官は,同月,同組織が多数のテロ事件を自認しているとして,外国テロ組織(FTO)に指定した。

(7) 最近の主な活動状況

ア 概況

(ア) 「アラブの春」以降イエメン国内での領域支配を企図

AQAPは,2011年,イエメンが反政府運動により政情不安に陥る中,同国南部において活動を活発化させるとともに,同組織のフロント組織とされる「アンサール・アル・シャリーア」(AAS)を名のり,同年5月,アブヤン州都ジンジバルを占拠して「イスラム首長国」の設立を宣言し,それ以降,同州及びシャブワ州で支配地域を獲得・拡大した。これら支配地域は,2012年6月,同国軍によって奪還されたものの,AQAPは,「(首都)サヌアや他の都市で,軍・治安当局関係者に対する攻撃を行う」と宣言し,首都サヌアのほか,アブヤン州やアデン州などイエメン南部全域で,爆弾や銃撃などによる攻撃を活発化させた。

AQAPによる領域支配の試みは,2015年に再び表面化した。サウジアラビア主導の連合軍がシーア派系武装勢力「フーシー派」に対して空爆を行う中,AQAPは,同年4月,東部・ハドラマウト州都ムカッラを占拠し,12月にはジンジバルを占拠するなど,2016年2月までに,南部の沿岸部の広域を支配した。しかし,その後,同組織は,イエメン軍及びサウジアラビア主導の連合軍による掃討作戦を受け,これら地域の支配を失い,2017年8月以降,アブヤン州やシャブワ州の支配都市から相次いで撤退するなど,支配地域の縮小が続いた。

(イ) フランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件

2015年1月,フランス首都パリで,アルジェリア系フランス人兄弟サイド・クアシ容疑者及びシェリフ・クアシ容疑者が,週刊紙「シャルリー・エブド」社を襲撃し,12人(警察官2人,同紙編集者ら8人,同社訪問者1人,ビル保守担当者1人)が死亡,11人が負傷した。その後,2人は,同国北部・エーヌ県のガソリンスタンド襲撃,北部・セーヌ・エ・マルヌ県の印刷会社への立て籠もり事件を引き起こしたが,治安当局によって射殺された。シェリフ・クアシ容疑者は,印刷会社に立て籠もった際,メディアのインタビューに対し,「自分はイエメンのアルカイダに送り込まれた」,「イマームのアンワル・アル・アウラキ(2011年9月死亡)から資金を得た」などと発言したとされる(注14)。同襲撃について,AQAPは,ビデオ声明を発出し,「アルカイダ」最高指導者ザワヒリの指示に基づき,標的を選定し,計画を練り,資金調達を行ったなどと犯行を自認した(注15)

イ 他勢力との関係

(ア) 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)

AQAPは,2014年9月,「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)との共同声明を発出し,イラク及びシリアで対立するイスラム武装勢力に和解と共闘を呼び掛けた。AQAPはその後,単独でも声明を発出し,同様の主張を繰り返した。しかし,同年11月,同組織は,イスラム武装勢力間の和解と共闘を訴えつつも,ISIL最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディが宣言した「カリフ国家」の正統性を否認し,同人を批判する内容の声明を発出した。また,2015年10月には,ISIL報道担当アブ・ムハンマド・アル・アドナニ(当時)が,「アルカイダ」最高指導者ザワヒリを暗に批判する声明を発出したことを受け,AQAPがAQIMとの共同声明を発出し,「(ISILは)イスラム共同体の敵にではなく,ムスリムの胸に矢を放っている」として,ISILを批判したほか,2016年11月には,AQAP幹部イブラヒム・アル・クーシが,ISIL戦闘員に対し,「バグダディの組織の支持者たちよ,戻り,悔い改め,撤退するときが来た。(中略)あなた方は,今,イスラム共同体を必要としていることを悟るべきである」として,ISILに「アルカイダ」との和解を再考させることを意図したとも取れる発言を行った。

他方,AQAPとISIL関連組織は,イエメン南部・アル・バイダ州での「フーシー派」に対する攻撃では,しばしば戦略的なレベルで協力しているなどと指摘(注16)(注17)されており,それぞれ発出した「フーシー派」に対する犯行声明では,時間帯と場所が重なるものもあった(注18)

(イ) 「アル・シャバーブ」

AQAPは,2010年以降,ソマリアを拠点に活動する「アル・シャバーブ」との間で,互いに幹部の死亡を追悼する声明を発出し合うなど,両組織の連携がうかがわれていた。AQAPからの「アル・シャバーブ」に対する支援としては,2011年7月,「アル・シャバーブ」幹部がイエメンでAQAPの軍事訓練を受けたとされるほか,2012年7月,ソマリア北東部・プントランドで「アル・シャバーブ」向けとされる武器を積載した船が摘発されたことがある。

他方,「アル・シャバーブ」からのAQAPに対する支援について,イエメン内務省は,2012年3月,「アル・シャバーブ」戦闘員約300人が,AQAPに合流してイエメン南部でテロを実行するために入国したと発表している。

国連安保理は,2017年7月,両組織の間では,専門知識及び戦闘員の交換などの協力関係が継続しており,AQAPメンバーのフランス人ピーター・シェリフ(注19)がこうした協力関係を主導していると指摘した(注20)

(ウ) 「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)

ウハイシが,AQIM最高指導者アブデルマレク・ドルークデルに宛てて作成した書簡とみられる2012年5月及び6月付けの文書が,マリ北部・トンブクトゥで発見された。その中で,ウハイシは,むち打ち刑などの厳格なイスラム的刑罰執行の回避やシャリーアの段階的な施行を勧めているほか,資金集めの方法として誘拐の奨励,スパイ活動防止のための組織防衛の徹底,メディアの活用などを助言した。

AQAPとAQIMは,2014年9月,イラク及びシリアで対立するイスラム武装勢力に和解と共闘を呼び掛けるとともに,対米攻撃を訴える声明を共同で発出したほか,2015年11月にISILを批判する声明,2017年7月には,イスラエルによるアル・アクサ・モスク閉鎖に対する報復としてユダヤ人への攻撃を呼び掛ける声明を共同で発出するなど,プロパガンダ活動において協力関係にあることを示した。また,同年8月に配信されたオンライン英語機関誌「インスパイア」では,ドルークデルのインタビュー記事が掲載された。

ウ 資金獲得活動

主に,強盗や身の代金目的の誘拐,慈善組織を装った団体からの寄附などによって,資金を得ているとされる。

AQAPは,2015年4月から約1年にわたって占拠を続けたムカッラにおいて,港に運ばれてくる商品や密輸燃料への「課税」で毎日200万米ドルを得ていたとされるほか,中央銀行支店から約1億米ドルを略奪したとの指摘もある(注21)

しかし,イエメン東部や南部の支配都市からの撤退で,資金獲得活動に困難が生じ,戦闘員に対する月給の支払に苦慮しているとされる(注22)

エ リクルート活動

活動地域の部族民に対して働き掛けを行っているほか(注23),イエメン国内のモスクや神学校などでもメンバーの獲得を行っているとされる。

オ プロパガンダ活動

AQAPは,インターネットを通じて機関誌を配信するなどしており,過激思想の拡散を図るとともに,欧米諸国でのテロ実行を呼び掛けている。

(ア) 英語機関誌「インスパイア」(Inspire)

AQAPは,メディア部門「アル・マラヒム」(注24)を通じてオンライン英語機関誌「インスパイア」を配信し,この中で,欧米に居住するムスリムの過激化を狙った活動を活発に行っている。特に,同機関誌中の「オープン・ソース・ジハード」部分については,自動小銃などを用いたテロを紹介するのみならず,台所にある身近な材料を用いた爆弾の作成方法(注25)などを紹介するものとして注目されている。

これまでに配信されている「インスパイア」各号の概要は次のとおりである。

発行年月日 概要・注目記事
第1号  10. 7.11
  • ○ 米国航空機爆破テロ未遂事件の実行犯ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブを称賛
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    ~ママの台所で爆弾を作ろう~
    • ・ 容易に入手可能な材料で,爆弾製造が可能
    • ・ これらの材料を購入しても,不審感を持たれることはない
    • ・ 敵に家宅捜索されても,容易に隠すことができる。爆弾探知犬は,これらの材料で作った爆弾を認識できない
    • ・ 製造には1日から2日しか要しない。この爆弾により,少なくとも10人を殺害可能である
    • ・ 1か月を費やせば,より大きく,より殺りく的な爆弾を製造でき,その威力は一度に数十人を殺害可能である
第2号  10.10.11
  • ○ イスラム教過激説教師アンワル・アル・アウラキの論文
  • ○ AQAPのナンバー2に対するインタビュー
  • ○  「オープン・ソース・ジハード」
  •  ~究極の人刈り機~
    • ・ 前後に鉄の刃を何枚も溶接したピックアップトラックで混雑した狭い空間に赴き,フルスピードで通行人を殺害し,車が動かなくなれば銃を乱射する,という「殉教作戦」の実行を呼び掛け
    • ・ 同作戦の対象国は,①イスラエル,米国,英国,カナダ,オーストラリア,フランス,ドイツ,デンマーク,オランダ,②イスラエルのパレスチナ占領並びにアフガニスタン及びイラクへの米国の侵略を政府又は大衆が支援している国,③預言者ムハンマドの冒涜(とく)に際立った役割を果たしている国と主張
  • ~アスラル・アル・ムジャヒディン2.0extras~
    • ・ 秘密にしたい電子ファイルを暗号化して通信し,コンピュータから完全削除するためのソフトウェア「ムジャヒディンの秘密」の使用法を紹介
第3号
(特別号)
 10.11.20 ○ 「イエメン発米国行き貨物からの爆発物発見事件(2010年10月)で,要した費用は4,200米ドルにすぎない」と主張
第4号  11. 1.16
  • ○ イスラム教過激説教師アンワル・アル・アウラキの論文
  • ○ 2010年12月11日にスウェーデン首都ストックホルムで発生した自爆テロの実行犯タイヤル・アブドルワハブ・アル・アブダリの声明
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
  • ~ビルの破壊~
    • ・ ビルの低層階の角部屋を借り,ガスボンベ又はガス管からガスを漏出させてビルを破壊することが可能と主張
  • ~AK-47を用いた訓練~
    • ・ AK-47(カラシニコフ自動小銃)の概要を紹介
第5号  11. 3.29
  • ○ 編集者「『アルカイダ』は『アラブの春』を肯定」
  • ○ AQAP軍事司令官カシム・アル・リミのインタビュー
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
  •  ~AK-47を用いた訓練~
    • ・ AK-47の扱い方を紹介
第6号  11. 7.18
  • ○ オサマ・ビン・ラディン追悼
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
  • ~AK-47を用いた訓練~
    • ・ AK-47の射撃法を紹介
  • ~過酸化アセトンを使った爆弾製造法~
    • ・ 過酸化アセトンは製造が容易で,材料も入手しやすいが,不安定な性質のため扱いに注意が必要で,大量に製造することなく,製造後数日以内に使用すべきと主張
第7号
(特別号)
 11. 9.27
  • ○ 米国同時多発テロ事件10周年特集
    • ・ 同事件は,米国が半世紀にわたってイスラエルを支援してきたことへの報復である。世界各国の数百万人のムスリムは同事件を祝賀したと主張
    • ・ 同事件は,ごく僅かな人数で約3,000人の米国人を殺害した,歴史に例のない壮挙である。その標的が,経済力の象徴たるビルとペンタゴン(米国国防総省)であったことも特筆されると主張
第8号  12. 5. 2
  • ○ イエメン南部・アブヤン州における2012年4月の戦闘で戦死した者たちの追悼
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
  •  ~拳銃を用いた訓練~
    •  ・ 拳銃の扱い方を紹介
  •  ~遠隔操作爆弾~
    •  ・ 遠隔操作爆弾の製造法を紹介
第9号  12. 5. 2
  • ○ アンワル・アル・アウラキ及びサミル・カーンの追悼
  • ○ 編集者「我々の目的は,英語圏でのジハードの呼び掛け及びテロのノウハウの提供」
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
  • ~殉教への道~
    • ・ 標的の選定や準備などオペレーション実施のスケジュールを紹介
  • ~爆弾に点火するのはあなたの自由~
    • ・ 火災,爆弾の爆発は大きな成果につながると主張
    • ・ 火炎瓶や時限装置の製造法を紹介
    • ・ 標的とする国は,「テロとの闘い」に関与した国々で,米国,英国,イスラエル,NATO加盟国及びこれらの同盟国であると主張
第10号  13.2.28
  • ○ 「アルカイダ」プロパガンダ担当アダム・ヤヒイェ・ガダーンからの寄稿
    • ・ 米国やその同盟国(特に,フランス及び英国)の本土及び他国でのこれら国々の権益に対する戦闘を優先するよう発言
  • ○ イスラム教を冒涜(とく)した者を「お尋ね者」(WANTED)として攻撃対象に列挙
    •  ・ 過去,預言者ムハンマドの風刺画を掲載したデンマークのユランズ・ポステン紙やフランスのシャルリー・エブド紙関係者を含む11人の名前と写真(うち女性2人は名前のみ)を掲載
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    • ・ 停車中の車に火をつける方法を紹介
  • ○ 「アルカイダ」の相談員によるQ&A
  • ~米国及びフランスの大統領,英国首相などの暗殺方法を問う質問~
    • ・ 式典やパーティー,選挙期間中が狙い目
    • ・ 難易度の低い標的として,ブッシュ米国前大統領やサルコジ前フランス大統領,ブレア元英国首相などを列挙
第11号
(特別号)
 13.5.30
  • ○ 「ボストンマラソン爆弾テロ事件」を特集
    • ・ 実行犯ツァルナエフ兄弟は,「インスパイア」の全ての内容に鼓舞されテロを実行
    • ・ 同テロを「単独ジハード」の実例として,「誰」,「なぜ」,「どこで」,「いつ」,「どのように」に着目し,評価
    • ・ 米国に居住するムスリムに対し,「ボストンでの爆破はムスリムの青年の可能性を明らかにした」などと指摘した上で,次の攻撃を実行するよう呼び掛け
第12号  14.3.17
  • ○ 米国が軍事,経済,社会の面で衰退し,世界の指導者ではない旨主張
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    •  ・ テロの標的として,米国,英国,フランスのスポーツイベント会場や観光地などを列挙
    •  ・ 新たな自動車爆弾の作り方を特集し,同爆弾を使用した「単独ジハード」を呼び掛け
第13号  14.12.24
  • ○ 米国の力の柱である「経済」に注目し,米国経済に対する「単独ジハード」を呼び掛け
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    • ・ テロの標的として,米国民間航空機や米国財界人などを列挙
    • ・ 新たな爆弾として,臭いの漏れを防ぐシリコンや非金属のプラスチックなどを使用するなど,空港のセキュリティを通過可能な爆弾を紹介
第14号  15. 9. 9
  • ○ 米国を始めとする欧米での「一匹おおかみ」型テロを呼び掛け
  • ○ フランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件への関与を主張
  • ○ 前最高指導者ウハイシの死亡に関して,対米テロの決意を表明
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    • ・ テロの標的として,米国財界人などを列挙
    • ・ 「最小のコストで最大の効果を得る作戦」として,「暗殺の仕方」を紹介
第15号  16. 5.14
  • ○ 欧米,特に,米国での「一匹おおかみ」型テロを呼び掛け
  • ○ パレスチナ人によるユダヤ人刺殺事件を「ナイフ革命」と称賛
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    •  ・ 標的の自宅で暗殺を実行するための爆弾製造法を解説
第16号
(特別号)
 16.11.12
  • ○ 米国での「一匹おおかみ」型テロを呼び掛け
  • ○ 「インスパイア・ガイド」第4号を掲載し,米国で9月に発生した爆弾事件などについて,その実行タイミングなどを評価(後述)
  • ○ 米国同時多発テロ事件15周年に際し,同テロ事件の与えたインパクトを強調
第17号 17. 8.13
  • ○ 米国での「一匹おおかみ」型テロを呼び掛け
  • ○ 「オープン・ソース・ジハード」
    •  ・ テロの標的として,米国などの鉄道を例示
    •  ・ 「列車脱線攻撃」を奨励し,脱線装置の製造方法を紹介
  • ○ ハムザ・ビン・ラディンの声明(2017年5月13日発出)を全文掲載
  • ○ AQIM最高指導者ドルークデルのインタビューを初めて掲載し,ISILや米国を批判
(イ) 「インスパイア」の別冊版「インスパイア・ガイド」(Inspire Guide)

「アル・マラヒム」は,2016年6月,米国南東部・フロリダ州オーランドにおけるナイトクラブでの銃撃テロ事件を機に,欧米で発生したテロ事件の手法に関する分析を記載し,新たなテロを呼び掛ける「インスパイア・ガイド」の配信を開始した。「インスパイア・ガイド」は,「インスパイア」の別冊と位置付けられ,数ページで構成される小冊子の体裁を採っている。

これまでに配信されている「インスパイア・ガイド」各号の概要は次のとおりである。

発行年月日 概要・注目記事
第1号  16. 6.23
  • ○ 米国南東部・フロリダ州オーランドにおけるナイトクラブでの銃撃テロ事件(6月12日)を称賛するとともに,「改善点」を指摘
  • ○ 「『単独ジハード』(「一匹おおかみ」型テロ)は『アルカイダ』や他の組織が独占するものではない」として,全てのイスラム過激組織に「一匹おおかみ」型テロを採用するよう呼び掛け
第2号  16. 7.21
  • ○ フランス南部・ニースでのトラック突入テロ事件(7月14日)を称賛するとともに,同事件における標的や手法,インパクトなどに関する分析を記載
  • ○ 人混みでのテロに自動車を使用するという「アイデア」は「インスパイア」第2号で紹介済みと主張
第3号  16. 9.13
  • ○ フランス首都パリでの爆弾テロを企図したとして女性(ムスリマ)のグループが逮捕された事案(9月9日)に関して,フランスを批判
  • ○ 欧米諸国在住ムスリムに対し,女性を「一匹おおかみ」型テロに参加させないよう「指導・助言」
第4号  16.11.12
(「インスパイア」第16号の中に掲載)
  • ○ 米国東部・ニューヨークにおける爆弾事件及び北部・ミネソタ州で発生した襲撃事件(いずれも9月17日)などに関して,米国同時多発テロ事件15周年のタイミングで実行された点やボストンマラソン爆弾テロ事件(2013年4月)に続き,圧力鍋爆弾が使用されたことを指摘するとともに,インパクトの大きさや手法などについて肯定的に分析
  • ○ 圧力鍋爆弾製造の際に,「インスパイア」を参考とするよう強調
第5号  17. 4. 7
  • ○ 英国首都ロンドンでの国会議事堂付近における車両突入及び襲撃事件(3月22日)に関して,テリーザ・メイ首相の議会登壇日に,政治的関心や観光客の注目が集まる場所で実行されたことを称賛
  • ○ 欧米のムスリムに対し,適切な時期に,最も有効な手段で,最適な標的を攻撃するよう呼び掛け
(ウ) その他

「アル・マラヒム」は,2011年12月,同年9月に殺害されたアウラキの生涯や事績を特集したビデオ「宣教への殉教者」を発表し,欧米諸国居住のムスリムに対し,ヒジュラ(移住)又はジハードのいずれかを選択するよう呼び掛けた。具体的には,米国テキサス州陸軍基地銃乱射事件(2009年11月)の実行犯ニダル・マリク・ハサンらの例に倣う(欧米でテロを行う)か,アフガニスタン,イラク,ソマリア,イエメンなどの「前線に赴いて兄弟たちに加わる」(移住する)ことを推奨した。

年 月 日  主要テロ事件,主要動向等
09. 1.23  最高指導者ウハイシを始めとする幹部らが,ウェブサイト上で,「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)設立を宣言
09. 3.15  ソマリアで訓練を受けたとされる武装要員が,イエメン東部・ハドラマウト州シバームで,韓国人観光客の団体に写真撮影を装って接近した後に自爆し,韓国人4人及びイエメン人ガイド1人が死亡
09. 6.14  イエメン北部・サアダ州で,駐在外国人の集団を襲撃し,ドイツ人7人,英国人1人及び韓国人1人を誘拐。翌15日,ドイツ人2人及び韓国人1人の遺体が発見
09. 8.27 サウジアラビア内務次官爆殺未遂事件
 サウジアラビア西部・ジッダで,アブドッラー・アル・アシーリー(AQAPメンバーのイブラヒーム・ハッサン・アル・アシーリーの弟)が同国内務次官ムハンマド・ビン・ナーイフ王子のオフィスで自爆し,同王子が負傷
09.12.25 米国航空機爆破テロ未遂事件
  米国北東部のデトロイト・メトロポリタン空港に着陸直前の米国ノースウエスト航空253便の機内で,ナイジェリア人ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブが爆弾を起爆させ,同人の衣服及び航空機の壁に着火,本人及び乗客2人が負傷。同月28日,AQAPがウェブサイト上で犯行を自認
10. 4.26  イエメン首都サヌアのノクムで,ティモシー・トーロット駐イエメン英国大使の車列を狙って自爆テロを実行し,警備員ら3人が負傷
10. 7. 1  「アルカイダ」関連組織で初となる欧米諸国のムスリムなど向けの英語機関誌「インスパイア」(Inspire)をインターネットで配信
10. 9. 3  米国UPS貨物機がアラブ首長国連邦(UAE)北東部・ドバイ近郊で墜落し,機長及び副操縦士の2人が死亡。11月5日,AQAPがウェブサイト上で犯行を自認
10.10.29 イエメン発米国行き航空貨物からの爆発物発見事件
 英国南部のイーストミッドランズ空港に駐機中の航空機内とUAE・ドバイの荷物集配所で,イエメン発米国向け航空貨物からPETNを含んだ計2個の航空便荷物が発見。11月5日,AQAPが犯行声明を発出
11. 5.28  イエメン南部・アブヤン州都ジンジバルがAQAPのフロント組織とされる「アンサール・アル・シャリーア」(AAS)によって陥落。AASは,30日までに,「イスラム首長国」設立を宣言
11. 7.26  AQAPは,「アルカイダ」新指導者アイマン・アル・ザワヒリに忠誠を誓う声明を発出
11. 8.30  アブヤン州で,ムハンマド・アハマド国防相の乗った車に対する爆弾テロを実行し,警備に当たっていた兵士2人が死亡
11.12.12  AQAP幹部イブラヒーム・アル・ルバイシュが,イエメン北部のシーア派系武装勢力「フーシー派」に対するジハードを宣言
12. 3. 4  アブヤン州のイエメン軍基地に対し,自爆テロを含む攻撃を実行。兵士ら185人が死亡,73人が人質として誘拐(人質は4月29日に解放)。AQAPは6日,同事件を含む複数のテロ事件についての犯行声明を発出
12. 3.28  イエメン南部・アデン州アデンでサウジアラビア人外交官を誘拐
12. 4.22  イエメン西部・フダイダ州で,赤十字国際委員会のフランス人職員を誘拐(7月14日解放)
12. 5. 7  AP通信が,「AQAPが新たに開発した金属を使わない爆発物による航空機の爆破テロを計画していた」,「米国当局が同計画を阻止していた」などと報道
12. 5.21  サヌアのアル・サビーン広場で,軍事パレードのリハーサル中に自爆テロを実行し,約120人が死亡。AASは,国防相が標的であったとの犯行声明を発出
12. 6.15  イエメン当局がアブヤン州のAQAP拠点を奪還
12. 9. 1  サヌアで,国防相の車列に対する爆弾テロを実行し,警備兵ら13人が死亡
13. 7.11  イエメン南部・アル・ダーリア州で,同国南部の分離独立運動「南部運動」最高評議会のムハンマド・ファドル・ジュバリ副議長を殺害
13.10. 6  サヌアで,ドイツ大使館に勤務するドイツ人男性1人を殺害
13.12. 5  サヌアの国防省施設に対する自動車爆弾及び銃撃戦による攻撃を実行し,外国人医療関係者を含む50人以上が死亡。AASは6日,犯行声明を発出。
14. 4. 2  アデン州アデンの軍施設の門付近で自動車爆弾を爆発させた後,同施設内に侵入して銃を乱射し,軍兵士6人が死亡。AQAPが犯行声明を発出
14. 7. 4
 ~5
 ハドラマウト州とサウジアラビア南部・ナジュラーン州が接する国境地点のワディアで,自動車爆弾を爆発させ,イエメン軍及びサウジアラビア軍の兵士各1人が死亡。その後,サウジアラビア治安部隊を銃撃し,同部隊員3人が死亡。5日,ナジュラーン州シャロウラで,ワディアから逃亡してきた戦闘員2人が,治安関連施設に立て籠もった後に自爆
14. 8. 7  ハドラマウト州サユーンで,イエメン軍車両を襲撃し,兵士14人を誘拐した後に殺害。AASが犯行声明を発出
14.10. 9  サヌアで,「フーシー派」の検問所を標的に自爆し,少なくとも同派戦闘員ら47人が死亡。AQAPが犯行声明を発出
14.12. 3  サヌアの駐イエメン・イラン大使公邸付近で,自動車爆弾を爆発させ,イエメン軍兵士2人を含む3人が死亡
14.12. 6  イエメン南部・シャブワ州で,人質となっていた米国人ジャーナリスト1人及び南アフリカ人教師1人が死亡。AQAPが犯行声明を発出
15. 1.14  フランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件(1月7日)について,犯行声明を発出
15. 4. 2  ハドラマウト州都ムカッラの治安当局本部や警察署,刑務所,銀行などを襲撃し,占拠。刑務所から,AQAP幹部ハーリド・サイード・バタルフィを含む受刑者300人以上が脱走
15. 6.12頃  ハドラマウト州都ムカッラで,最高指導者ナーセル・アル・ウハイシが,空爆で死亡
15.12. 2  アブヤン州都ジンジバルなどを襲撃し,占拠(2016年5月撤退)
16. 4.24  イエメン軍及びサウジアラビア主導の連合軍がハドラマウト州都ムカッラを奪還
16. 7.18  ハドラマウト州都ムカッラで,イエメン軍の検問所を自爆攻撃し,兵士6人を含む10人が死亡
16. 8. 2  イエメン南部・ラフジ州で,同国軍の基地を自爆攻撃し,兵士5人が死亡
17. 1.29  米軍が,イエメン南部・アル・バイダ州ヤクラで地上部隊による急襲作戦を実施し,AQAP戦闘員14人が死亡
17. 3.27  ラフジ州で,政府関係施設を襲撃し,兵士6人を含む11人が死亡
17.10.23  アブヤン州ムディヤフのイエメン軍基地で,自動車爆弾を爆発させ,少なくとも兵士4人が死亡

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