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ボコ・ハラム
Boko Haram(注1)

ナイジェリア北部を主要活動地域とするスンニ派過激組織。近年,攻撃対象は,治安当局のほか,キリスト教や一般市民にまで拡大。

別称(正式名称):
「宣教及びジハードを手にしたスンニ派イスラム教徒としてふさわしき者たち」(Jama'atu Ahlu-Sunna Lidda'awati Wal-Jihad)

(1) 設立時期

2002年頃

(2) 組織・機構

ア 指導者,幹部等

(ア) アブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)(注2)

別名:
アブ・ムハメド・アブバカル・ビ・ムハメド(Abu Muhammed Abubakar BiMuhammed),アブ・モハメド・アブバカル・ビン・モハメド(Abu Mohammed Abubakar Bin Mohammed),シャイク(Shayku),シェフ(Shehu),シェカウ(Shekau)

最高指導者。1969年生まれ。ナイジェリア北部・ヨベ州シェカウ村出身。2010年7月,「ボコ・ハラム」は,同人が指導者に就任したことを表明する動画を発出した。同人の指導者就任後,「ボコ・ハラム」は,より過激な手法を採るようになり,攻撃対象を一般市民にまで拡大したとされる。

2015年3月に同組織がISILに忠誠を表明し「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の「西アフリカ州」を自称してからも,同人は同組織の指導者とされていたが(注3),2016年8月,ISILは,「西アフリカ州」の「知事」として,同人ではなく,アブ・ムスアブ・アル・バルナウィを紹介した(注4)。シェカウは,バルナウィを「不信仰者」であるとして非難した上,同人の「知事」就任を認めない旨表明した(注5)

2012年11月,ナイジェリア政府は,同人の逮捕につながる情報に最大で5,000万ナイラ(1ナイラ0.65円として約3,250万円)の懸賞金を掛けたほか,米国国務省は2013年6月,最大で7万米国ドルの懸賞金を設定した。

国連安保理「アルカイダ」制裁委員会は,2014年6月,「ボコ・ハラム」の指導者であり,同組織のテロ活動を指示したとして,同人を制裁対象に指定した。

(イ) アブ・ムスアブ・アル・バルナウィ(Abu Musab al-Barnawi)

同人の経歴などの詳細は不明であるが,「ボコ・ハラム」の創設者モハメド・ユスフの子息であるとの指摘もある(注6)。2016年8月,ISILのアラビア語週刊誌「アル・ナバア」は,同人を「西アフリカ州」の「知事」として紹介した。同人は,同記事中で,モスクや市場でのムスリムを標的としたテロを非難した。

(ウ) モハメド・ユスフ(Mohamed Yusuf)(死亡)

設立者。1970年生まれ。ナイジェリア北部・ヨベ州出身。ナイジェリア北東部・ボルノ州都マイドゥグリ市のモスクのカリスマ的なイスラム聖職者であった同人は,2002年に同市で「ボコ・ハラム」を結成した。同人は,ナイジェリア北部でのシャリーアの施行を求める一方で,当局に対し敵対姿勢を取らず,合法的にシャリーアの普及活動等を行っていた。しかし,2003年頃から,当局による締め付けが強化されたことなどから,徐々に,政府への敵意を露わにした過激な説法が増加したとされる。2009年7月,ナイジェリア治安当局との戦闘で拘束され,死亡した。

(エ) アブバカル・アダム・カンバル(Abubakar Adam Kambar)

別名:
アブ・ヤシル・カンバル(Abu Yasir Kambar),アブバカル・カンバル(AbubakarKambar),アブ・ヤシル(Abu Yasir)

1977年生まれ。ナイジェリア北東部・ボルノ州都マイドゥグリ市出身。アルジェリアで「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)の軍事訓練を受けるなど同組織と密接な関係を有していたとされる。設立者モハメド・ユスフの同志であったとされる。モハメド・ユスフの死亡後,行方不明となり,2012年頃死亡したとの指摘もある(注7)

(オ) ハリド・アル・バルナウィ(Khalid al-Barnawi)(拘束中)

別名:
ハレド・アル・バルナウイ(Khaled Al-Barnawi),ハリド・アル・バルナウイ(Khalid Al-Barnawi),ハレド・エル・バルナウイ(Khaled El-Barnaoui),アブ・ハフサト(Abu Hafsat),モハメド・ウスマン(Mohammed Usman)

1976年生まれ。ナイジェリア北東部・ボルノ州都マイドゥグリ市出身。シューラ評議会の一員であり,アブバカル・シェカウの4人いる参謀の一人とされる(注8)。アブバカル・アダム・カンバルとともにアルジェリアでAQIMの軍事訓練を受けたほか,外国人の拉致などAQIMの戦術を採り入れるよう提案するなど,両組織間の仲介役を担っていたとされる。2016年4月1日,ナイジェリア軍は同人を拘束した旨発表した。

(カ) モハメド・ヌール(Mohammed Nur)

別名:
マムマン・ヌール(Mamman Nur)

ナイジェリア北東部・ボルノ州都マイドゥグリ市出身。2009年7月の治安部隊との戦闘後,ソマリアに渡り,「アル・シャバーブ」の軍事訓練を受けたとされる。2011年にナイジェリアへ戻り,同年8月,首都アブジャの国連施設に対する自爆テロ事件を首謀したとされる。

(キ) ムスタファ・チャド(Mustapha Chad)

チャド出身。シューラ評議会の一員であり,「ボコ・ハラム」の活動に,資金,物資及び技術など多方面から支援を行ったとされる。また,2013年にはナイジェリア北東部・ヨベ州での活動を指揮していたとされる。

イ 組織形態,意思決定機構等

「ボコ・ハラム」は,シューラ評議会で運営されているとされる。しかし,同組織は組織的に一枚岩ではなく,組織内の統制が十分にはとられていないとの指摘もある。また,指導者アブバカル・シェカウは,自身の出身州であるボルノ州では強い影響力を有するとみられるが,他地域では,他の幹部が一定の権限を有しているとみられる。

(3) 勢力

数千人のメンバーを擁するとされるが,正確な人数は特定できていない(注9)

(4) 活動地域

主な活動地域は,ナイジェリア国内でイスラム教徒が多数を占める同国北東部のボルノ州,アダマワ州,ヨベ州,北部のカノ州などである。

一方,国外においては,2013年2月にカメルーン北部で,フランス人の拉致を実行した(注10)ほか,2015年7月には,同国北部・極北州で相次いで自爆テロを実行した。また,チャドやニジェールにおいてもテロを頻発させ,同年6月,チャド首都ンジャメナで初めて爆弾テロを実行したほか,ニジェール南部でも村落への襲撃を繰り返すなど,ナイジェリアの近隣国にもテロ活動を拡大させている。

(5) 活動目的・攻撃対象

ア 活動目的

ナイジェリアにおけるシャリーア施行及びイスラム教育の実施を標ぼう。

イ 攻撃対象

軍や警察などの治安当局,政府関係者及び施設を主な攻撃対象としているほか,酒場,キリスト教徒,キリスト教会,イスラム教シーア派(注11),「ボコ・ハラム」に批判的なイスラム教徒,イスラム指導者などに爆弾攻撃や銃撃を行っている。そのほか,市場やバスターミナルなど人が多く集まる場所での自爆テロや,村落への襲撃も頻繁に行っている。

また,「ボコ・ハラム」報道担当は,2010年3月,「米国は,第一の攻撃目標である」,「米国は,イラクやアフガニスタンなどを迫害しているほか,パレスチナの同胞を殺害するイスラエルを盲目的に支援している」として,米国も攻撃対象であることを強調した(注12)

(6) 沿革

「ボコ・ハラム」の前身組織は,1990年代中頃に設立されたイスラム教学習グループであるとされる。設立者モハメド・ユスフは,2002年頃,これらグループの分派組織として「ボコ・ハラム」を設立したとされる。「ボコ・ハラム」は,設立後,ナイジェリアの「タリバン」を自称した。

組織設立当初の2002年頃には,ナイジェリア北東部・ボルノ州で警察との小規模な衝突を繰り返していた。「ボコ・ハラム」は,2009年7月,バウチ州の警察署を襲撃,その後,カノ州,ヨベ州,ボルノ州においてナイジェリア治安部隊との間で戦闘を激化させた。この戦闘に際し,モハメド・ユスフを含む多数の同組織戦闘員が死亡した(注13)。2010年7月にアブバカル・シェカウが新指導者に就任した後,同年8月,警察や政府関係施設などに対するテロを再開し,2011年6月には首都アブジャで警察本部に対し自動車を用いた自爆テロを行ったほか,同年8月には,国連施設に対しても自爆テロを実行した。近年,「ボコ・ハラム」の簡易爆弾及び自爆等によるテロは増加傾向にあるとされるが,その背景には,同組織が,爆弾製造の能力を有する者や自爆テロを希望する者を数多く取り込んでいる可能性が指摘されている(注14)

米国国務長官は,2013年11月,「ボコ・ハラム」及びその分派組織とされる「アンサール」(後述)を「外国テロ組織」(FTO)に指定した。その際,「アンサール」が,2012年11月に首都アブジャの警察署を襲撃したほか,ナイジェリア国内に滞在する外国人の拉致に関与している旨指摘した。また,国連安保理「アルカイダ」制裁委員会は,2014年5月,「ボコ・ハラム」を制裁対象に指定した。

(7) 最近の主な活動状況

ア 概況

アブバカル・シェカウが2010年7月1日,「ボコ・ハラム」の指導者に就任して以来,同組織の活動は,2011年,従前までの軽火器を用いた攻撃から自爆攻撃などの爆弾を用いた攻撃へと過激化し,活動地域も北部地域から首都圏にまで及んだが,2012年には当局による取締りが強化されたことから,首都圏におけるテロは一時的に収束した。2013年5月,ジョナサン大統領は,「ボコ・ハラム」が北東部のボルノ州,ヨベ州,アダマワ州の一部を占拠しているとして,非常事態宣言をした上で,これらの州に空軍を投入するなどの掃討作戦を開始した。一方,同組織は,政府・軍に協力的な地元の自警団や民間人等に対する報復以外にも,学校に対する攻撃を活発化させ,2014年2月,ヨベ州で寄宿学校を襲撃したほか,同年4月にはボルノ州で200人を超える女子学生を誘拐した。同組織は,首都圏においても,首都アブジャで複数件の爆弾テロ(同年4月及び6月)を実行したほか,同年8月には同国北東部の一部を占領するなど,同地域を支配する姿勢を示した。

ナイジェリア政府は,同年10月,「ボコ・ハラム」との停戦合意を発表したが,同月,同組織は,同合意を否定する声明を発出した。同政府は2015年2月以降,近隣国のニジェール,カメルーン及びチャドなどと共同で掃討作戦を実施したが,「ボコ・ハラム」はそれらの国々を非難し,テロを実行した。同組織は,同年3月,シェカウのものとされる録音声明で,ISILの最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディに忠誠を誓う旨表明し,以降,ISILの「西アフリカ州」を自称した。

他方,同組織は,同年,治安当局による掃討作戦により占拠地の多くを失ったところ,2016年1月~3月には前年10月~12月に比べて,同組織によるとされるテロ件数が大きく減少した(注15)ほか,テロ手法の質も低下したとされる(注16)。しかし,同組織は,引き続き,一般市民を標的とした自爆テロなどを継続しており,2016年にも,ボルノ州を始めとしたチャド湖周辺地域でテロを頻発させた。

イ 他勢力との連携

(ア) 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)

2015年3月7日,アブ・バカル・シェカウは,録音声明により,ISIL最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディへの忠誠を表明し,同月12日,ISILもこれを受け入れる声明を発出した。同表明以降,「ボコ・ハラム」はISILの「西アフリカ州」を自称している。2016年8月,ISILは,アブ・ムスアブ・アル・バルナウィを「西アフリカ州」の「知事」として紹介した。ISILがシェカウではなくバルナウィを指導者とした背景には,ISILが,子供を自爆テロ要員にするなどのシェカウの方針に賛同していなかったことがあるとの指摘もある(注17)

(イ) 「アルカイダ」

「アルカイダ」の前最高指導者オサマ・ビン・ラディンは,スーダンに滞在した際(1992~1996年),同国首都ハルツームのイスラム大学に留学していたナイジェリア人のモハメド・アリ(ボルノ州マイドゥグリ市出身)に対し,ナイジェリア国内で「アルカイダ」細胞を組織するよう依頼し,約300万米国ドルを手交したとされる。モハメド・アリは,2002年,ナイジェリア帰国後,同国内のサラフィー主義組織に資金提供を開始したが,その中には,「ボコ・ハラム」設立者のモハメド・ユスフも含まれていたとされる。

また,2009年7月,ナイジェリア治安当局が実施した取締りを受け,アフガニスタンに逃亡した「ボコ・ハラム」メンバーの一部は,「アルカイダ」から爆発物製造訓練を受けたとの指摘もある(注18)

2009年8月,「ボコ・ハラム」は,「我々は,オサマ・ビン・ラディンを支持し,ナイジェリアが完全にイスラム化されるまで,彼の命令を実行しよう」などと主張する声明を発出した。

(ウ) 「アンサール」(Ansaru)

2012年1月,「ボコ・ハラム」から分派して設立された組織。指導者はアブ・ウスマトゥル・アル・アンサリとされる(注19)。同組織は,「ボコ・ハラム」がムスリムを殺害している点を非難し,2012年6月に発出した動画では,「無辜のムスリムを殺さないこと」や「ナイジェリアのみではなくアフリカ全土でムスリムを守る」ことを目的とする旨主張した(注20)。しかし,2013年11月にカメルーンで発生したフランス人宗教者の誘拐事案に関し,「アンサール」と「ボコ・ハラム」が共同で犯行を自認するなど,両組織は協力関係を保っていたとされる。

同組織は,AQIMと共通のイデオロギーを有し,作戦面でも協力していたとされる(注21)が,2014年以降,目立った活動は見られない(注22)

米国国務長官は,2013年11月,「ボコ・ハラム」及びその分派組織として「アンサール」を「外国テロ組織」(FTO)に指定した。その際,「アンサール」が,2012年11月に首都アブジャの警察署を襲撃したほか,ナイジェリア国内に滞在する外国人の拉致に関与している旨指摘した。

また,国連安保理「アルカイダ」制裁委員会は,2014年6月,同組織が「ボコ・ハラム」の分派組織であり,「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)とも関係を有しているとの認識を示した上で,制裁対象に指定した。

(エ) 「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)

「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)最高指導者アブデルマレク・ドルークデルは,2010年2月,「我々は,あなた方の息子たち(『ボコ・ハラム』戦闘員)に武器の操作に関する訓練を施すほか,人員,武器,銃弾その他装備などのあらゆる支援を行う用意がある」などと述べた(注23)

また,ドルークデルは,2010年6月,中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラとのインタビューで,「(AQIMの)影響力をサブ・サハラ(サハラ以南)地域に拡大するために『ボコ・ハラム』を支援する」などと述べ,支援の用意を再び強調した。

AQIM及びその関連組織がマリ北部を支配下に置いていた間,「ボコ・ハラム」は,同地域にメンバーを派遣しており,2012年4月にマリ北部ガオ市で発生したアルジェリア外交官誘拐事件(第Ⅱ部3「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」〈AQIM〉参照)では,同組織メンバーが関与したと報じられている(注24)。2011年以降,「ボコ・ハラム」によるテロの手段は,従来の銃や刃物,簡易爆弾を用いた攻撃から自動車を使った自爆テロへとエスカレートしたほか,その攻撃対象は国連施設にまで拡大した。こうした背景としてはAQIMによる影響や支援の可能性が指摘されている。

国連安保理「アルカイダ」制裁委員会は,2014年5月,「ボコ・ハラム」を制裁対象に指定するに当たり,同組織が,軍事訓練,物資援助を目的としてAQIMと関係を有しており,爆発物製造の知識を得たほか,戦闘員がマリでのテロに参加したと指摘した。

(オ) 「アル・シャバーブ」

カーター・ハム米国アフリカ軍司令官(当時)は,2012年6月,「『ボコ・ハラム』,『アル・シャバーブ』及びAQIMが一緒に軍事訓練を行う一方,活動資金及び爆発物を共有している兆候がある」と述べた。「ボコ・ハラム」幹部マムマン・ヌールは,2009年7月,ナイジェリア治安当局との戦闘後,ソマリアへ渡り,「アル・シャバーブ」の訓練を受けたとされる。また,2015年10月,「ボコ・ハラム」は,「アル・シャバーブ」に対し,ISIL最高指導者バグダディに忠誠を誓うよう呼び掛ける声明を発出した(注25)

ウ 資金獲得活動

「ボコ・ハラム」は,メンバーや同組織支持者などからの寄附のほか,略奪や,誘拐による身代金で資金調達を行っているとの指摘もある(注26)

エ テロ手法の傾向

(ア) 女性や子供の利用

ナイジェリアでは,2015年,女性や子供が自爆する事件が急増し(注27),カメルーンやチャドなど近隣国にも同じ手法によるテロが拡大した。2016年8月に国連児童基金(UNICEF)が発出した報告書によると,ナイジェリア,チャド,ニジェール及びカメルーンで2014年以降に自爆テロに利用された子供の数は86人に上り,2014年1月から2016年2月の間に同4か国で発生した自爆テロの24%は子どもを利用したものとされる(注28)。こうした自爆テロについては,「ボコ・ハラム」が子供たちを誘拐し,「自爆テロ要員」として利用しているとして国際社会から強く非難された(注29)。なお,2,000~7,000人の女性や少女が「ボコ・ハラム」によって拘束されているとの指摘もある(注30)。また,自爆テロ以外にも同組織のリクルート要員とみられる女性が逮捕されており,それらのリクルート要員は,諜報活動にも関与していたとの指摘もある(注31)

(イ) 占領地域の統治

「ボコ・ハラム」は,2014年8月,ナイジェリア北東部の一部の占領と,シャリーアによる統治を宣言した。同組織は,同月以降,ボルノ州,ヨベ州等の町村を襲撃,占領するようになり,2014年12月1日時点で,アダマワ州,ボルノ州,ヨベ州の村少なくとも17か所で,シャリーアの極端な解釈に基づく統治を行い,違反したとされる者に対して厳罰を科していたとされる(注32)。しかし,ナイジェリア軍と近隣国の軍は,2015年2月以降,同組織に対する掃討作戦により,それら占領地域を大幅に縮小させている。

年月日 主要テロ事件,主要動向等
02  「ボコ・ハラム」設立
03.12.31
 ~04. 1. 1
 ナイジェリア北東部・ヨベ州の警察署3か所を襲撃
09. 7.26
 ~7.30
 ナイジェリア北東部・バウチ州都バウチ市の警察署を襲撃後,北部・カノ州,北東部・ボルノ州及びヨベ州の各地でナイジェリア治安部隊との戦闘が発生。設立者モハメド・ユスフは拘束され,その後死亡
10. 7. 1  アブバカル・シェカウが「ボコ・ハラム」の新指導者就任を表明
10. 9. 7  バウチ市で,拘置所を襲撃し,収容者759人が脱走。兵士と警察官ら4人が死亡
10.12.24  ナイジェリア中部・プラトー州ジョスのキリスト教会に対し,簡易爆弾を用いた攻撃を実行
11. 4.23  ナイジェリア東部・アダマワ州ヨラで,収監されていたメンバーの奪還を図って,刑務所を襲撃し,囚人14人が脱走
11. 5.29  ナイジェリア北部・ザリアの酒場などに対する連続爆弾攻撃を実行し,少なくとも16人が死亡
11. 6.16  ナイジェリア首都アブジャで,警察本部に対し自動車を用いた自爆テロを実行し,2人が死亡
11. 8.26  アブジャの国連施設に対し,自動車を用いた自爆テロを実行し,23人が死亡
11.11. 4
 ~11. 5
 ボルノ州都マイドゥグリ市で,イスラム神学校などに対する4件の連続爆弾攻撃を実行し,約150人が死亡
11.12.22
 ~12.23
 ヨベ州ダマトゥル及びポティスクム,ボルノ州都マイドゥグリ市で,キリスト教会や民家などに対する連続テロを実行し,約100人が死亡
11.12.25  アブジャ近郊のマダラとジョス,カノ州,ヨベ州のダマトゥルとガダカで,キリスト教会,警察署,治安機関に対する爆弾攻撃を実行,少なくとも40人が死亡
12. 1.20  カノ州カノ市で,警察署,治安当局,入国管理事務所などの政府関連施設8か所を銃や爆弾で攻撃。約200人が死亡
12. 2.15  ナイジェリア中部・コギ州で,刑務所を襲撃し,看守1人を殺害,囚人119人が脱走
12. 4. 8  ナイジェリア北部で,キリスト教会に対する自爆テロを実行し,38人が死亡
12. 6. 7  ナイジェリア北部・カドゥナ州で,キリスト教会3か所に対し,自動車を用いた自爆テロを実行し,少なくとも19人が死亡
12. 6.18  ヨベ州ダマトゥルで,警察や軍施設に対する爆弾攻撃を実行し,少なくとも25人が死亡
12. 6.24  ヨベ州ダマトゥルで,刑務所を襲撃し,囚人40人が脱走
12. 7. 7
  ~8
 プラトー州で,キリスト教徒の村12か所を襲撃し,国会議員1人及び州議会議員1人を含む65人が死亡
12.11.25  カドゥナ州ジャジで,軍施設内のキリスト教会前で自動車爆弾テロを実行し,少なくとも30人が死亡
13. 2.16  バウチ州で,レバノン系建設会社を襲撃し,レバノン人4人,英国人,イタリア人,ギリシャ人各1人を拉致。「アンサール」が犯行を自認
13. 2.19  カメルーン北部で,フランス人の一家7人を拉致。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
13. 3.22  アダマワ州で,飲食店や銀行に放火,また,刑務所を攻撃し,少なくとも25人が死亡
13. 5. 7  ボルノ州で,刑務所を攻撃し,囚人100人以上が脱走。その後,政府及び軍関連施設を攻撃し,少なくとも40人が死亡
13. 7. 6  ヨベ州で,寄宿学校に対する襲撃テロを実行し,教師及び生徒が少なくとも20人が死亡
13. 7.29  カノ州で,飲食店などに対する爆弾テロを実行し,少なくとも20人が死亡
13. 9.17  ボルノ州で,民間人に対し銃撃し,少なくとも140人が死亡
13. 9.29  ヨベ州で,大学学生寮に対する襲撃テロを実行し,少なくとも学生40人が死亡
13.11.13  米国国務省は,「ボコ・ハラム」及び「アンサール」を「外国テロ組織」(FTO)に指定
13.12. 2  ボルノ州で,空軍基地や国際空港を襲撃し,ヘリコプター2機,空軍機3機が破壊,軍兵士2人が負傷
14. 2.25  ヨベ州で,寄宿学校の生徒に対し銃撃し,59人が死亡
14. 4.14  ボルノ州で,女子学生200人以上を誘拐。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
14. 4.14  アブジャで,自動車爆弾テロを実行し,71人以上が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
14. 5.16  カメルーン北部で,中国系企業を襲撃し,中国人10人を誘拐
14. 5.20  プラトー州で,爆弾テロを実行し,118人以上が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
14. 6. 2  ボルノ州で,複数の村に対する襲撃テロを実行し,少なくとも200人が死亡
14. 6. 25  アブジャで,ショッピングセンターに対する爆弾テロを実行し,少なくとも21人が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
14. 7.16  アダマワ州で,ドイツ人技術講師を誘拐。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
14. 7.27  カメルーン北部で,同国副首相宅等を襲撃し,同副首相夫人等を誘拐
14. 8.24  ナイジェリア北東部の一部を占領し,シャリーアによって統治していると宣言するビデオ声明を発出
14.10.17  ナイジェリア政府,「ボコ・ハラム」との停戦を発表
14.10.31  政府との停戦を否定するとともに,今後の交渉も拒否するビデオ声明を発出
14.11.28  カノ州で,モスクに対する爆弾,襲撃テロを実行し,少なくとも120人が死亡
14.12.14  ボルノ州で村落を襲撃し,女性と子供少なくとも170人を誘拐。民間人35人が死亡
15. 1. 3
  ~7
 ボルノ州で,多国籍軍司令部を襲撃し,少なくとも兵士等11人が死亡。その後,周辺の集落等を襲撃し,約150人が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
15. 2. 7  カメルーン北部・極北州フォトコルで,モスク等を襲撃し,少なくとも100人が死亡
15. 2.14  ボルノ州で,検問所や警察署に対する襲撃テロを実行。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
15. 3. 7  ISIL最高指導者に対する忠誠を誓う旨の録音声明を発出
15. 3.12  ISILが「ボコ・ハラム」による忠誠を受け入れる旨の録音声明を発出
15. 4.25  ニジェール南東部・カラムガ島で,同国軍キャンプを襲撃し,少なくとも軍兵士46人と民間人28人が死亡
15. 5.24  ベヌエ州で,村落を襲撃し,少なくとも30人が死亡
15. 6.15  チャド首都ンジャメナで,警察本部及び警察学校に対する連続爆弾テロを実行し,少なくとも38人が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
15. 7.11  ボルノ州及びチャド首都ンジャメナで,自爆テロを実行し,少なくとも17人が死亡。「ボコ・ハラム」が警察署を標的に作戦を実行したとして,2件の犯行を自認
15. 8.13  ヨベ州で,村落を襲撃し,50人以上が死亡
15. 9. 3  カメルーン北部・極北州で,市場及び軍関連施設に対する連続自爆テロを実行し,少なくとも42人が死亡
15.10. 2  アブジャ近郊で,自爆テロを実行し,少なくとも18人が死亡。「ボコ・ハラム」が警察署を標的に作戦を実行したとして犯行を自認
15.10. 7  ISIL最高指導者に対する忠誠を再び誓う旨のビデオ声明を発出
15.11.27  カノ州都カノ近郊で,イスラム教シーア派行事「アーシュラー」の行進を標的とした自爆テロを実行し,少なくとも22人が死亡。「ボコ・ハラム」が犯行を自認
16. 1.25  カメルーン北部・極北州の市場付近などで,4件の自爆テロが発生し,少なくとも35人が死亡,65人が負傷。同日,ISILと関連を有する「アーマク通信」が,ISIL関係者の同事案への関与を主張
16. 1.30  ボルノ州で,村を襲撃し,少なくとも65人が死亡
16. 2. 9  ボルノ州の避難民の収容施設付近で,女2人が相次いで自爆し,少なくとも58人が死亡
16. 5.12  ボルノ州マイドゥグリで,自爆テロが発生し,治安関係者2人を含む7人が死亡,18人が負傷。同日,「ボコ・ハラム」が犯行を自認
16. 6. 3  ニジェール南東部・ディファ州ボソで,治安当局の拠点を襲撃し,兵士32人が死亡。4日,「ボコ・ハラム」が犯行を自認
16. 8.21  カメルーン北部・極北州モラにある市場で,自爆テロが発生し,3人が死亡,24人が負傷
16.10.13  ナイジェリア政府は,「ボコ・ハラム」が,2014年4月にチボクの学校から誘拐した女子学生のうち21人を解放したことを発表
16.10.29  ボルノ州マイドゥグリにある避難民の収容施設付近で,女が自爆し,5人が死亡,11人が負傷
16.12. 9  ボルノ州マダガリの市場で,女性2人が自爆し,57人が死亡,177人が負傷

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