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イスラエル及びパレスチナ

イスラエルでは、1948年の建国以降、パレスチナ解放を標ぼうする武装組織によるテロが続発した。1972年5月には、テルアビブのロッド国際空港(現ベン・グリオン国際空港)において、「パレスチナ解放機構」(PLO)(注1)反主流派の「パレスチナ解放人民戦線」(PFLP)(注2)と「日本赤軍」が連携して銃乱射事件を引き起こし、24人が死亡した。また、PFLP系の武装組織「黒い9月」(注3)が、同年9月、西ドイツ(当時)のミュンヘンにおいて、オリンピック選手村のイスラエル選手団宿舎を襲撃するなどして、同選手団11人を含む12人が死亡した。

イスラエルとPLOの間でオスロ合意(注4)が締結された1993年以降は、パレスチナ自治区ガザ地区を主な拠点とする「ハマス」(注5)や「パレスチナ・イスラミック・ジハード」(PIJ)(注6)が活発に活動し、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区やガザ地区、イスラエル国内において、イスラエル軍や市民に対する自爆テロ等を繰り返した。2000年頃には、PLO主流派「ファタハ」傘下の「アル・アクサ殉教者旅団」(AAMB)(注7)もイスラエル等で自爆テロを相次いで実行した。「ハマス」やPIJは、イスラエル領内へのロケット弾攻撃も行っており、最近では、2021年5月にイスラエルとの間で大規模な軍事衝突に発展し、パレスチナ側で256人、イスラエル側で13人が死亡した(注8)

パレスチナでは、これらの武装組織以外にも、「パレスチナ解放人民戦線総司令部派」(PFLP-GC)(注9)等が活動する中、2012年には、「エルサレム周辺のムジャヒディン・シューラ評議会」(MSC)(注10)を自称する組織がガザ地区に出現した。MSCは、イスラエルと「ハマス」の停戦合意(2012年11月)後も、ガザ地区やエジプト北東部・シナイ半島からイスラエル領内へのロケット弾攻撃を実行したが、2015年以降は特段の活動は確認されていない。一方、ヨルダン川西岸地区では、2022年、武装組織が活発に活動し、北部・ナブルスでは、「獅子の巣窟」と自称する新たな組織が出現するなどした。

このほか、イスラエル及びパレスチナでは、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)に関連したテロ等も発生している。ISILが「カリフ国家」の「建国」を宣言した2014年6月以降、ISILを支持する「エルサレムのイスラム国支持者」を自称する組織が出現した。同組織は、2015年5月、「ハマス」が拘束するイスラム過激主義者らの解放を要求したが、受け入れられなかったことから、同月、「ハマス」の施設に対して迫撃砲弾を発射した。こうした中、2017年6月、エルサレム旧市街で、パレスチナ人3人によるイスラエル警察官襲撃事件(1人が死亡)が発生し、ISIL名の犯行声明が発出された(注11)。同年8月には、ガザ地区南部・ラファで、エジプトから来訪したISILメンバーとされる男(注12)が自爆し、「ハマス」メンバー1人が死亡する事件が発生した。さらに、2022年3月にイスラエル北部・ハデラで発生した銃撃事件(警察官2人死亡)においても、ISIL名の犯行声明が発出された。

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