フロントページ > 国際テロリズム要覧 (Web版) > 「ホームグロウン・テロリスト」の脅威

「ホームグロウン・テロリスト」の脅威

「ホームグロウン・テロリスト」とは,一般的には,欧米諸国に居住する者で,「アルカイダ」などの唱える主義主張に感化されて過激化し,居住国でテロを行う者を指す。「ホームグロウン・テロリスト」の過激化は,通常,居住国において(注1),インターネットなどを通じて進行するとされる。

「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)は,英語表記の機関誌「インスパイア」(Inspire)を配信し,この中で欧米諸国における自発的なテロ実行を呼び掛けるなどして,英語圏に居住するイスラム教徒の過激化を狙った活動を活発化させている。同機関誌では,自動小銃などを用いたテロや,台所にある身近な材料などを用いた爆弾の作り方などを紹介している。

また,「アルカイダ」は,2011年以降,「アルカイダ」に同調する欧米在住者に対し,「一人又は少人数」で自発的にテロを実行するよう勧める声明を発出するなど,「個人的ジハード,単独ジハード」の実行を呼び掛けるようになった。

過激化の結果,外国の紛争地域等に渡航してテロ訓練などを受けるに至った者も「ホームグロウン・テロリスト」とみなされるが(注2),外国のテロ組織から指示を受けて行動する者については,多くの場合,「ホームグロウン・テロリスト」とはみなされないとされる(注3)。

「ホームグロウン・テロリスト」によるとされる事件として,2004年11月,オランダでイスラム教に批判的な映画を作成した映画監督が殺害され,同国人ら9人が逮捕された事件,2006年6月,カナダ・トロントで爆弾テロ計画が摘発され,同国人ら18人が逮捕された事件,2009年11月,米国フォートフッド陸軍基地で軍医が銃を乱射して兵士ら13人が殺害された事件,2013年4月のボストンマラソン爆弾テロ事件(注4)などが挙げられる。また,2014年においても,カナダ首都オタワで発生した連邦議会議事堂などでの銃乱射事件(10月)(注5)や,フランスにおける警察署襲撃事件(12月)など「ホームグロウン・テロリスト」によるものと指摘される事件が発生した。

「ホームグロウン・テロリスト」は,インターネット上の国際テロ組織等による主張等に感化されて過激化することが多いため,端緒が表面化しにくいとされる。また,外国のテロ組織の構成員やその関係者などと連絡,接触せずにテロを実行するなど,組織の中で行動するテロリストに比べて,動向の把握が困難であるとともに,テロリストとして把握・識別することも困難である。さらに,犯罪歴などがない当該国の国籍者であれば,国内で目立たず自由に活動できることから,テロの準備・実行の容易度が飛躍的に高くなるとされるなど,その脅威が指摘されている(注6)。また,近年では,単独または少人数でテロを実行する「ホームグロウン・テロリスト」(注7)が特に大きな脅威として認識されている(注8)

このページの先頭へ

ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。