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ISILによるテロ実行の「指南」

「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)は,かねてから,欧米諸国のイスラム教徒らに対し,「イスラム国」への「移住」を求める一方で,居住国におけるテロの実行を呼び掛けてきた。テロの実行手段に関しては,「アルカイダ」(AQ)関連組織の「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)が,英語機関誌「インスパイア」上において,自動小銃などを用いたテロや台所にある身近な材料などを用いた爆弾の作成方法などを頻繁に紹介していたのに対し,ISILは,フランス語機関誌「ダール・アル・イスラム」上で,自動小銃や手りゅう弾の分解・清掃方法及び不良品の見分け方などを紹介するなどの情報発信にとどまっていた。

しかしながら,ISILは,2016年9月に新たな機関誌「ルーミヤ」を発刊して以降,同機関誌において,テロの手法や標的などを具体的に「指南」するなど,欧米諸国におけるテロ実行の呼び掛けを強めるとともに,容易にテロが実行できることを宣伝している。

ナイフによる「一匹狼」型テロを推奨

ナイフによる「一匹狼」型
テロを推奨


自動車によるテロを推奨

自動車によるテロを推奨


放火による攻撃を推奨

放火による攻撃を推奨

例えば,「ルーミヤ」第2号及び第4号では,「どこでも容易に入手でき,隠すことも簡単で,効果的に扱うことで高確率で死をもたらすことが可能」などとして,ナイフを用いた「一匹狼」型テロを強く推奨し,標的についても,「夜間に閑静な道を帰宅途中の酔った不信仰者」,「夜勤中の不信仰者」,「ナイトクラブや他の遊興場所付近の路地に一人でいる者」,「閑静な場所で散歩している者」などと具体的に例示している。

「ルーミヤ」第3号では,2016年7月にフランス南部・ニースで発生したトラック突入テロ(86人死亡)を称揚した上で,自動車には「多くの犠牲者を出す能力がある」などと,「容易に入手できるが,ナイフと違って所有していても疑惑を抱かせない」自動車によるテロを推奨し,「荷台のあるトラックのような大型車」などの車種を推奨するとともに,理想的な標的として,大人数の集まる「野外での大規模な集会」,「野外市場」,「パレード」,「政治集会」などが列挙されている。さらに,「歩道を走行する場合には,バス停や標識などの障害物を確認すること」,「可能であれば,銃やナイフなどの第二の武器を準備すること」などとの助言もなされている。

「ルーミヤ」第5号では,放火による攻撃を「最小限の手間で破壊をもたらすことができる」として推奨しているほか,標的として,教会や住宅,アパート,居住地域に隣接した森林,工場,ガソリンスタンド,病院,ナイトクラブ,銀行,学校などを例示している。

このように,ISILは,欧米諸国におけるテロを呼び掛ける中,テロの手法や標的などを例示するなどしているが,これには,読者に可能な限り分かりやすく「指南」することで,より多くの「『イスラム国』の兵士」予備軍にテロを実行させたいとの思わくがあるとみられる。

欧米諸国では,このような呼び掛けが行われた後に,記事の内容に沿ったテロが現実に発生しており,機関誌が「指南書」として「活用」されている状況がうかがわれる。

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