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サッカーをめぐるテロの脅威

2016年10月,サウジアラビア西部・ジッダで,サッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選のサウジアラビア対アラブ首長国連邦の試合会場を標的とした,「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)関連の自動車爆弾テロが計画されていたことが明らかになった。

サッカーは,世界で最も人気のあるスポーツの一つで,世界各地で日常的に行われており,イスラム教徒の有名選手も多数存在している。しかしながら,ISILなどのイスラム過激組織は,一般的に,「サッカーは西洋の価値観」,「観戦は信仰に悪影響」などとし,「イスラム法に反する」と認識しているとされる。特に,ISILに関しては,その前身組織「イラクのアルカイダ」(AQI)創設者であるザルカウィにとっての精神的指導者であったと言われるアブ・ムハンマド・アル・マクディシ(注1)が2000年頃の自著で,抵抗と破壊の対象としてサッカーを例示し,その考えが現在も引き継がれているとみられ,サッカーに関係したテロ計画が多数明らかになっている(下表参照)。

他方,「アルカイダ」については,オサマ・ビン・ラディンはサッカー好きとも言われるが,現最高指導者のザワヒリは,2010年7月,「シオニストがサッカーを利用してイスラム教徒を互いに争わせようとしている」と主張しており,少なくともサッカーを好意的に捉えていないことがうかがえる。なお,「アルカイダ」関連組織の「アル・シャバーブ」は,同月,アフリカ中部・ウガンダでサッカーを標的にテロを実行しているが,同テロは「アルカイダ」関連組織として認められる前の事件とされる(注2)

2018年にはロシアW杯も控え,今後,サッカーに対する関心が一層高まっていくとみられる中,ISILなど一部のイスラム過激組織がサッカーを絶好の攻撃機会と捉えるなど,テロの脅威が高まる可能性がある。

サッカーをめぐる主なテロ事件・計画
イラク 2008年3月 サッカー観戦中の市場で自爆テロ(AQI 関与の疑い)
2015年1月 サッカー観戦中の飲食店で銃撃テロ(ISIL関与)
2016年3月 サッカー試合中の自爆テロ(ISIL犯行声明)
南アフリカ 2010年6~7月 W杯に参加するオランダ及びデンマークのチームに対するテロ計画(AQI構成員関与の疑い)
ウガンダ 2010年7月 サッカー観戦中の飲食店で自爆テロ(「アル・シャバーブ」関与)
フランス 2015年11月 フランス・ドイツ親善試合中の競技場付近で連続自爆テロ(ISIL犯行声明)
2016年11月 欧州選手権(ユーロ2016)を含む複数の標的を狙ったテロ計画に関係(ISIL関係者関与の疑い)
ベルギー 2016年6月 欧州選手権ベルギー対アイルランド戦を狙ったテロ計画(ISIL関係者関与の疑い)
ドイツ 2016年8月 国内リーグ開幕戦を標的としたテロ計画(ISIL関係者関与の疑い)
サウジアラビア 2016年10月 W杯アジア最終予選サウジアラビア対UAE戦を標的としたテロ計画(ISIL関係者関与)
アルバニア 2016年11月 W杯欧州選手権アルバニア対イスラエル戦を標的としたテロ計画(ISIL関係者関与の疑い)

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